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扶養的財産分与として妻にマンション賃貸を命じた例1

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平成22年 5月28日(金):初稿
○離婚事件において夫が妻に嫌気がさして夫名義居住建物から出て別居し、妻と子供が夫名義居住建物に住んで生活しており、夫から離婚請求されて離婚が認められると妻と子供はその居住建物を退去して夫に対し明け渡さなければならず、それでは生活が出来なくなることを理由に頑として離婚を拒否し、或いは、離婚は認めても夫名義居住建物に当分の間居住したいと主張する例が良くあります。

○このような場合、訴訟上の和解での解決の場合は、離婚を認め、居住建物の明渡は一定期間猶予し、一定期間後に明け渡すと言う内容の条項で和解することが多くあります。妻と子供が夫名義建物に居住している場合、訴訟上の和解でないと妻と子供の居住権についての問題が解決できず、離婚判決後更に居住建物からの退去・明渡を求める訴えを提起しないと最終的な問題解決にならないことを説明して、和解での解決を目指すことが多いものです。

○ところが、平成21年5月28日名古屋高裁判決(判時2069号50頁)では、夫から妻に対する離婚請求で夫婦共有財産であるマンションの夫持分について清算的財産分与として夫に取得させた上で扶養的財産分与として妻に対し賃貸することを命じて具体的紛争を現実的に解決していました。判例時報の解説では、財産分与の方法として不動産に賃借権を設定することを命じる事例は比較的少なく、財産分与における裁判所の裁量に関して実務上参考になるとされていました。私もこのようは判決は初めて見ましたが、実務での紛争解決の具体的方法の一例としてホントに参考になり、この判決は実務で使えそうです。

○先ず主文としては相当長いものですが、主文全文を紹介します。妻A、夫Bと表現します。
一 控訴人の本件控訴及び当審における反訴請求に基づき,原判決を次の通り変更する。
(1)控訴人(妻A)と被控訴人(夫B)を離婚する。
(2)AとBの長女C(平成8年7月1日生まれ、判決当時13歳)の親権者をAと定める。
(3)BはAに対し、本判決確定の日(※平成21年6月11日)から平成31年3月まで毎月末日限り金9万円を支払え。
(4)BはAに対し、慰謝料として、400万円及びこれに対する平成16年3月20日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
(5)BはAに対し、原判決別紙物件目録記載の不動産(※妻Aと子Cが居住しているマンション)のBの持分(全体の1000分の883)を下記内容で賃貸せよ。
賃貸期間 本判決確定時(※平成21年6月11日)から平成27年3月まで
賃料   月額4万6148円
支払時期 毎月末日限り
(6)BはAに対し、別紙自動車目録記載の自動車につき所有権移転登録手続をせよ。
(7)AはBに対し、471万0643円を支払え。(※妻Bが夫Aに支払うことに注意)
(8)AとBの間の別紙「年金分割のための情報通知書」記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を0.5と定める。
(9)当審におけるBのその余の請求を棄却する。

二 訴訟費用は第1,2審を通じてこれを4分し、その1をAの、その余をBの負担とする。

三 この判決第1項(4)は、仮に執行することができる。


○まるで和解条項のような判決内容ですが、一審判決が平成19年9月20日で二審判決平成21年5月28日まで8ヶ月ありますので、この8ヶ月の間に和解条件を協議する実質和解期日を何度か繰り返したものと思われ、和解協議の中で斡旋された和解案がそのまま判決になったような感もします。おそらくこの事案での具体的紛争解決のためには当事者に納得できる内容であったと思われ、夫Bにとっては相当不利な内容と思われますが、上告せずに確定しています。その判決全文内容を熟読し別コンテンツで私なりの解説をします。
以上:1,544文字

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