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合意による性関係後妊娠・中絶した女性の保護程度2

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平成23年 6月27日(月):初稿
○「合意による性関係後妊娠・中絶した女性の保護程度1」の続きです。
結婚相談所で紹介されたB男と2回性行為をして妊娠・中絶したA女がB男に対し、妊娠・中絶によって生じた損害は共同の性行為によって生じたもので、男にも責任があるとして、慰謝料等905万円の支払を求める訴えを提起し、B男は、中絶はAの意思で決めたことで自分には責任はないと争いました。

○この争いについて第一審の平成21年5月27日東京地裁判決主文は以下の通りでした。
1 被告は原告に対し、114万2302円及びこれに対する平成20年3月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを7分し、その1を被告の、その余を原告の負担とする。
4 この判決の主文第1項は仮に執行することができる。


○東京地裁で、約114万円を認容した理由骨子は次の通りです。
まず中絶の決定はA女が自ら一方的に決めたとのB男の主張に対しては、A女からの相談メールに対し「正直どうしたらよいかわからない」との対応しかしなかったB男にも責任があるとしています。交際終了後に妊娠を聞かされた男性としては、通常は中絶して欲しいとハッキリ言うはずですが、このB男は、「どうしたらよいかわからない」としてA女からの相談に応じませんでした。ハッキリ中絶を進めてもおそらくB男も責任は問われるはずで,いずれにしても男にも責任は生ずるようです。

次に不法行為責任ですが、確実な避妊方法をとらないでの性行為は暴力に等しいとの主張は流石に排斥されていますが、以下のように述べてB男の責任を認めました。
本件性行為は原告と被告が共同して行った行為であり,その結果である妊娠は、その後の出産又は中絶及びそれらの決断の点を含め、主として原告に精神的・肉体的な苦痛や負担を与えるものであるから、被告は、これを軽減しあるいは解消するための行為を行うべき義務があったといえる。しかるに、被告は、どうしたらよいか分からず、具体的な話し合いをしようとせず、原告に決定を委ねるのみであって、その義務の履行に欠けるものがあったと言うべきである。
問題はこの義務の不履行による責任ですが、義務不履行によって原告に生ずる損害の2分の1とするのが相当としています。2分の1の理由は義務不履行も原告と被告の共同行為だからとしていますが、この義務履行も共同行為だから2分の1責任があるとの理屈付けはいまいちピンと来ません。

原告に生じた損害としては慰謝料金200万円、治療費約68万円の合計約268万円であり、その2分の1の134万円と原告弁護士費用の内10万円の144万円について被告に支払義務を認め、既払金30万円を差し引いた114万円の支払を認めました。

○905万円の請求に対し約114万円の請求が認められたことは、女性の勝利か男性の勝利か、紛らわしいところもあります。認容額は請求額の僅か13%弱であり、実質男性側の勝利ではとの解釈もできますが、中絶費用30万円を負担しており追加支払など不要と考えていたB男が判決を不満として先に控訴し、B男の控訴を受け、A女も附帯控訴をして争いの舞台は東京高裁に移りました。

以上:1,319文字

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