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不貞行為第三者に対する請求を権利濫用とした最高裁判決全文紹介2

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平成25年11月22日(金):初稿
○「不貞行為第三者に対する請求を権利濫用とした最高裁判決全文紹介1」を続けます。


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二 原審は、右事実関係の下において、以下のとおり判断し、本訴請求を棄却した第一審判決を変更して、被上告人の損害賠償請求のうち110万円とこれに対する遅延損害金請求を認容した。

 すなわち、
(1)上告人は、Aに妻がいることを知りながら、平成2年9月20日以降Aと肉体関係を持ったものであるところ、肉体関係を持つについてAからの誘惑があったことは否定できないが、上告人が拒めない程の暴力、脅迫があったわけではなく、また、被上告人とAとの婚姻関係が破綻していたことを認めるべき証拠もないから、上告人は、被上告人に対してその被った損害を賠償すべき義務がある、
(2)本訴請求が権利の濫用に当たるというべき事実関係は認めるに足りず、上告人の権利濫用の主張は理由がない、
(3)右一の事実関係を考慮すると、上告人において賠償すべき被上告人の精神的損害額は100万円が相当であり、弁護士費用は10万円が相当である。

三 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
 前記一の事実関係によると、上告人は、Aから婚姻を申し込まれ、これを前提に平成2年9月20日から同年11月末ころまでの間肉体関係を持ったものであるところ、上告人がその当時Aと将来婚姻することができるものと考えたのは、同元年10月ころから頻繁に上告人の経営する居酒屋に客として来るようになった被上告人が上告人に対し、Aが他の女性と同棲していることなど夫婦関係についての愚痴をこぼし、同2年9月初めころ、Aとの夫婦仲は冷めており、同3年1月には離婚するつもりである旨話したことが原因を成している上、被上告人は、同2年12月1日にAと上告人との右の関係を知るや、上告人に対し、慰謝料として500万円を支払うよう要求し、その後は、単に口頭で支払要求をするにとどまらず、同月3日から4日にかけてのAの暴力による上告人に対する500万円の要求行為を利用し、同月6日ころ及び9日ころには、上告人の経営する居酒屋において、単独で又はAと共に嫌がらせをして500万円を要求したが、上告人がその要求に応じなかったため、本件訴訟を提起したというのであり、これらの事情を総合して勘案するときは、仮に被上告人が上告人に対してなにがしかの損害賠償請求権を有するとしても、これを行使することは、信義誠実の原則に反し権利の濫用として許されないものというべきである。

 そうすると、本訴請求が権利の濫用に当たらないとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。この趣旨をいう論旨は理由があり、その余の上告理由について判断するまでもなく、原判決のうち上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして、右に説示したところによれば、右部分についても、被上告人の本訴請求を棄却した第一審判決は相当であり、被上告人の控訴は棄却すべきものである。

 よって、民訴法408条、396条、384条1項、96条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 大野正男 裁判官 園部逸夫 可部恒雄 千種秀夫 尾崎行信)

以上:1,394文字

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