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ある遺言無効確認事件の顛末-筆跡鑑定あれこれ5

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平成21年 4月15日(水):初稿
「ある遺言無効確認事件の顛末-筆跡鑑定あれこれ4」を続けます。
「筆跡は異なる」とのB・C2鑑定についてその不合理性を主張・立証するため筆跡鑑定解説書である吉田浩一著「ポイント解説筆跡・印章鑑定の実務」と、魚住和晃著「筆跡鑑定ハンドブック」で、懸命に鑑定を筆跡鑑定の基本を勉強し、総論としてその成果を披露し、各論で具体的にB・C鑑定をこてんぱんに批判したつもりの最終準備書面を完成させました。

○この最終準備書面は,本文は約1万1000字で11頁足らずですが、データベースソフト桐で作った各鑑定比較表と「筆跡は異なる」とのB・C2鑑定の批判一覧は、詳細にデータが詰まった充実したもので、更に東京高裁平成12年10月26日判決(判例タイムズ1094号242頁)を援用して、筆跡鑑定なんて,余り当てにならないこと、特に本件では裁判所が選んだ鑑定人の鑑定が最も杜撰で信用性が乏しいことをオーバーに強調して主張しました。

○この11頁に渡る最終準備書面の末尾にまとめを次のように記述しました。
七 まとめ
1 C(裁判所)鑑定の杜撰さ
 以上詳細に述べてきたとおり、C鑑定は通常行われるべき検査を十分に行っていない上に、内容においても杜撰な鑑定であり、当事者間に利害のない裁判所依頼の鑑定であったとしても、その鑑定内容は証明力に乏しいものであり、証拠としても採用されるに値しない。

2 B(原告側)鑑定の信用性欠如
 また、B鑑定においても、C鑑定同様、通常行われるべき検査を十分に行っておらず、仮にそれらの検査を行ってとしても検査内容を明確にせず、また本件遺言書筆跡と対象筆跡が類似するとしながらも、その類似性について排除された理由も明確されておらず、信憑性がない。
 加えて、原告においては、C鑑定がB鑑定と同様の鑑定結果であったことを奇貨として、C鑑定の内容についての言及を避けおり、原告らは、本件遺言書は、亡○○以外の者が亡○○の筆跡を真似て偽造したものであるとの決定的な立証を尽くしていない。

3 A・D両鑑定(被告側)の適正さ
 それに対し、A鑑定及びD鑑定は、本件遺言書と鑑定資料の筆跡が同一であることの根拠を様々な検査方法により説明を尽くし、相違点を排除する理由についても客観点、かつ明確に説明しており、信頼に値する鑑定である。

4 結論
 よって、本件遺言書については、亡○○以外の者が亡○○の筆跡を真似て偽造したものとの立証は到底尽くされていないことは明らかであり、原告の請求は速やかに棄却されるべきである。


○かように筆跡鑑定基本書2冊を熟読し、この知識を元に膨大な量の4鑑定書をジックリ時間をかけて熟読精査して、比較一覧表、批判一覧表を作成して、これを元み最終準備書面を書き終えたときは、この裁判の勝利を確信しました。しかしその結果は、そう簡単には出ませんでした。
以上:1,167文字

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