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2011/ 8/16 第59号 錦の御旗と人権弁護士(2)

平成24年 2月29日(水):初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 夏目漱石に、「それから」というとても面白い小説があります。近代日本を代表する小説ですから、いまさら書くのも気がひけますが、こんな話です。

 代助のお父さんは、一代で巨額の富を築いた人です。「誠実と熱心」を持って「国家社会のために尽く」していれば、お金は後からついて来るみたいなことを言うのが大好きでして、息子の代助にも何時もそんなお説教をしているんです。

 一方代助は、お父さんの「国家社会のために尽くす」と「お金もうけ」の関係について、どうにも胡散臭いものを感じているわけですね。

 「御父さんの国家社会の為に尽すには驚いた。何でも十八の年から今日迄のべつに尽してるんだってね」「国家社会の為に尽して、金が御父さん位儲かるなら、僕も尽しても好い」漱石大先生が、代助の口を通して書く、こういった偽善批判は、当時の人たちの共感と、さらには現代の人たちの共感も呼んでいる気がします。

 何だって長々と夏目漱石の話をしたかといいますと、「国家社会のために尽くす」という「錦の御旗」を掲げていた父親に対する代助の批判は、「人権を守る」という錦の御旗をかかげてきた弁護士達への批判にも共通するものがありそうだと感じたからです。

 実際問題、何かというと「人権。人権」と言い出すような弁護士には、ろくなのが居ないなという意見は、かなり多くの弁護士の間でも共有されていると思います。

 「人権」という錦の御旗を振りかざして名前を売って、それによって商売も繁盛した弁護士のこともよく聞きます。「人権」は、まさに商売の手段にもなるのです。

 さらに、「人権」という錦の御旗は、弁護士に対する特権を要求するためにも使われてきたんですね。おれたちは「人権」を守ってきたのだから、他の仕事とは違うのだという考えです。

 ここのところ、弁護士の人数がかなり増加してきています。そうしますと、競争が厳しくなりますし、中には食べていけない弁護士も出てきます。

 多くの弁護士は、今までと同じ殿様商売を続けるためにも、なんとか人数を増やさないで欲しいと考えているのですが、正直にそんなこと言ったら、誰も共感してくれません。そこで、「人権」という錦の御旗を振りかざして、反対運動をしているわけです。

 「弁護士が増えると、自分が生きるのが大変なので、これまでのように人権活動ができなくなり、国民の皆さんに多大なる迷惑をかけてしまいます!」というのが、弁護士の用意した説明なんです。どうしてこんな説明で、皆さんの共感を得られると考えているのか、私なんか不思議でしょうがないんですけれども。

 ここにきて、「弁護士」と「人権」に対する、かなり厳しい世間の視線を感じています。

 「弁護士さんの人権の為に尽すには驚いた。何でも弁護士になってから今日迄のべつに尽してるんだってね」「人権の為に尽して、金が弁護士さん位儲かるなら、僕も尽しても好い」こういった世間の声を感じ取った上で、自分達がどのようにしていくかを考えることが、「人権」という「錦の御旗」を振って生活してきた弁護士に、求められている気がするのです。

 
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 弁護士より一言

 40年くらい前には、カブト虫が大好きでした。朝早くに起き出して、近くの林に行って、木の蜜を吸っているカブト虫を捕まえていました。

 現在5歳の息子はカブト虫が大好きで、幼稚園からオスとメスと2匹もらってきたのです。

 そんな中、メスのカブトムシがひっくり返ってしまいました。メスは角がないので、自分では起き上がれないんですね。そこで、私が元に戻すことになったんですが、この年になって改めてカブト虫を見ると、巨大なゴキブリにしか見えないんです。

 気味が悪くて、なかなか触れずにいたら、見かねた妻がひょいっとひっくり返してくれました。

 息子の尊敬を失くしてしまいました。ううう。

 (2011年8月16日第59号)
以上:1,565文字

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