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2011/ 9/ 1 第60号 マイ国家・マイ労組

平成24年 2月29日(水):初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 「マイ国家」というのは、星新一の傑作小説ですね。ある家に預金の勧誘にやってきた銀行員が、国家への不法侵入ということで監禁される話しです。

 そもそも国家といえるためには、領土と、国民と、統治機構が必要だと、国際法の本などには書いてあります。その家の主人によると、まさにそこは、一定の領土(その家ですね)と国民(そのご主人です)と統治機構(そのご主人による民主制?独裁制?)を備えた国家である、というわけです。世界最小の、一人だけの国家なんですね。国家の主権を侵害したとして、死刑を宣告された銀行員の運命は・・・、という、とても面白い小説です。何となく分かっていたつもりでいた「国家」というものが、本当は何なのだろうと考えさせられます。

 というところで話しが変わりますが、うちの事務所でも最近、労働組合がらみの案件が増えてきました。少し前までは、組合と言えば企業別の組合がほとんどでしたが、最近は地域労組が盛んになっています。

 地域労組というのは、地域ごとに活動している組合で、基本的にその地域で働いている人ならば一人でも加入できるんです。

 最近では、従業員がみんなで企業別組合に加入するというのではなく、一人で地域労組に加入するようになってきたわけです。このような時代の流れを考えますと、この次に来るのは、一人で労組を作る、「マイ労組」だと思い至ったわけです!法律によりますと労働組合とは、労働者が主体となって、労働条件の改善を目的とする組織です。会社側の人間が加入してはいけないなどという規制はありますが、一人組合である「マイ労組」はいけないなんて、どこにも書いてありません。

 そうしますと、時代の流れとして、「マイ労組」が出てくる可能性は高いのです。(ホントかよ!)従業員が「マイ労組」になりますと、会社と従業員の交渉も、組合としての規制を受けることになります。

 一般に、ボーナスの査定などについて、従業員は上司と個別面談をしますよね。これなど、かなりいい加減に行われている場合が多いようです。しかし、従業員が「マイ労組」になりますと、こういう面談も、法律上の「団体交渉」になってしまいます。拒否したら、不当労働行為ということで、地労委に救済の申し立てがなされちゃうのです。

 従業員が有給休暇を請求する場合、会社は合理的な事情があれば、日にちを変更するように要求出来ます。普通の従業員ならこれに従わないといけませんが、「マイ労組」でしたら、組合の権利として争えますね。

 「その様な不当な変更に対しては、さらなる団体交渉を要求します。

 認められない場合は、その日にストライキを決行します!」話し合いの中で興奮して、従業員が上司に手を出したりしたら、普通なら警察沙汰になります。しかし、これが「マイ労組」のやったことですと、「憲法上の権利である争議権に付随する行為として、違法性が阻却され無罪です!」なんて言えちゃうのです。

 くだらないことばかり書いていると、顧問先が減るといけないので、このくらいにしておきます。

 しかし、星新一が、「マイ国家」という切り口で、国家の本質に疑問を提起したように、私も企業の弁護士として、労働組合の本質に対する考察は、続けていく価値があるのではと考えているのです!
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 弁護士より一言

 私が最初に読んだ星新一の本が、「マイ国家」でした。たしか、小学校5年生のころだと思います。世の中にはこんなに面白い本があるのかと、夢中になって読んだことを覚えています。

 現在、小学校5年生の長女も、星新一を読み始めています。別に私が教えたわけではないのに、面白い本の情報は、どこからともなく聞こえてくるようですね。

 このニュースレターも、ようやく60号まできました。引き続きコメントを楽しみにしております。

 (2011年9月1日第60号)
以上:1,559文字

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