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普通の聴力検査の正確性検証は極めて難しい

平成26年 2月19日(水):初稿
○「全聾の作曲家」と呼ばれて、NHK特集番組でも放映された佐村河内守さんが、ゴーストライター作曲家の曲を自分の作曲として発表していた問題で一時大騒ぎとなりました。NHK特集番組は、私も興味があって見ましたが、凄い人もいるものだと感心していました。しかし、内情を暴露されて、ある意味やはり凄い人だと感心しました。「全聾」という聴覚障害を売り物にして、世間の注目を集め見事に成功したからです。

○私も聴覚障害の端くれですが身体障害6級の手帳を持っており、私自身もこれまで聴覚障害を多少利用して来た面があります。何か嫌な役割を要請されたりすると、「耳が遠いものですから、どうか、ご勘弁お願いします。」とお情けを乞い、さらに「えっ、何を言っているのか、良く聞こえませんが」、「えっ、えっ!」と繰り返していると、相手は、こんなやつを相手にしてもダメだと、呆れて要請を諦めてくれます。そこで、「いやー、ホントに私の耳は、不便で困っています。都合が悪いことは、ますます聞こえなくなるんです。」とダメを押します(^^;)。

○佐村河内氏は、「聴覚障害2級の障害者手帳を所持しながら、3年ほど前から聴力が回復し、他人の言葉が聞き取れていた」と公表したことで、「全聾」も嘘だったことがバレてさらに窮地に陥っているようです。見える見えないを本人の申告で判断する視力検査もそうですが、聞こえた聞こえないを本人の申告で判断する聴力検査も、その正確性の担保は全くありません。交通事故の後遺障害では、詐視、詐聴が良く問題になります。

○幼児時代から慢性中耳炎で高校時代まで耳鼻科通いが年中行事であった私は、25歳直前に東北労災病院で当時耳鼻科部長であった湯浅涼先生の鼓室形成手術を受け、以来、現在まで中耳炎が再発することは全くなくなりました。しかし、年に1,2回は、湯浅先生の仙台・中耳サージセンター将監耳鼻咽喉科に通って聴力検査を受けています。この聴力検査は、難聴者にとっては大変難しいものです。私の場合、23歳の春に再発した右耳中耳炎で右耳に耳鳴りも発症し、以来、今日まで右耳耳鳴りは止まったことがありません。

○一時は、気が狂うほどに耳鳴りに悩んだことがありましたが、「耳鳴りを友達にした」と言うある落語家の言葉を聞いて楽になり、今では殆ど気になりません。しかし、聴力検査のため完全無音の防音室に入ると相対的に耳鳴りが大きくなります。聴力検査機から出される音が、聞こえるか聞こえないか微妙な小さい音の場合、耳鳴りとして鳴っている音との区別がつかなくなります。感音性難聴の方は耳鳴りを伴う方が多く、おそらく皆さん、聴力検査には苦労されているはずで、聴力検査結果もあまり当てになりません。

○私の経験では、徐々に進行する感音性難聴が回復することは先ずありません。平成26年2月現在聴力損失左耳70db台前半、右耳70db台後半の私ですらそうですから、まして両耳とも聴力損失90db以上に低下している障害等級2級の聴覚障害が、補聴器なしで他人の言葉が聞き取れるまで回復することは、奇跡以外にないと思われます。佐村河内氏は、「3年ほど前から聴力が回復し」たと公表して、さらに墓穴を掘ってしまいました。

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朝日新聞DIGITAL2014年2月13日16時58分

聴力は回復するのか、専門家に聞いた 佐村河内氏問題

「全聾の作曲家」などと呼ばれた佐村河内守さん(50)が、聴覚障害2級の障害者手帳を所持しながら、3年ほど前から聴力が回復し、他人の言葉が聞き取れていたことを12日に公表した。聴力は回復するのか。専門家に聞いた。

 東京医療センターで幼小児難聴・言語障害クリニックを担当する加我君孝・東京大名誉教授によると、2級該当者の聴力は、電車が走るガード下にいても、その音が全く聞こえないレベルだという。「補聴器の効果が得られないほど音を感知する細胞が破壊されているわけで、それが自然によくなることはまず考えられない」と話す。

 また、障害者手帳を取得するにあたって医療機関で義務づけられている聴覚検査について、「大きな病院では、本人の『聞こえない』という自己申告以外に、音を流して脳波を測定し、障害の程度を判断する聴性脳幹反応(ABR)検査を行うこともある。今回、それが実施されていたのか知りたいところだ」と話す。

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