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お風呂の入り方と寿命の関係-奥井識仁女性泌尿器科医師記事紹介

平成29年12月 5日(火):初稿
○私は、お風呂大好き人間で、毎日、筋トレ後の入浴を欠かさず、最短5分はお湯に浸かるようにしています。温泉も大好きで、温泉旅館に行くと1日3回は温泉に浸かります。平成29年シンガポール事務所旅行で宿泊したパン・パシフィック・シンガポールは、大変、良いホテルでしたが、レギュラールームのためバスタブがないのが唯一の不満でした。シャワーだけだと、いくらかけても入浴した気になりません。

○私は、どちらかというと熱いお風呂が好きで、42度以上にならないとお湯に入った気がしません。温泉でも、お湯の出口付近の熱いお湯に浸かります。ところが以下の、奥井識仁よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック院長の記事によると「お風呂のお湯の温度は高すぎない41度以下にする。 」とあり、42度以上はダメのようです。

○奥井医師は、入浴中の突然死を防ぐ準備として以下の4点を挙げており、私の備忘録とします。
1)脱衣室や浴室の室温を24~26度程度に維持する。
2)お風呂のお湯の温度は高すぎない41度以下にする。
3)入浴中に水分を取ることができるように浴室に水を持って入る。
4)お湯につかる時間は10分以内を目安にする。
5)浴槽から急に立ち上がらないようにする。


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お風呂の入り方と寿命の関係
2017年1月7日 奥井識仁 / よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック院長


 寒い時期に起こりやすいのが、お風呂での突然死です。とくに高齢者がお風呂で意識を失い、亡くなるケースが最近も報道されていました。「注意をしましょう」というのはもちろんなのですが、なぜお風呂で突然死が起きるのか、その原因を探ってみましょう。

冬場に増える日本の入浴中突然死
 東京都内におけるお風呂での高齢者死亡事故の件数が、2015年に報告されています。09年から11年にかけて報告された総数3289人のお風呂に関連した死亡者のうち、解剖を実施した550人のケースを検討しています。そのほとんどが60歳以上の高齢者で、435人(79.1%)がおぼれて水を飲んでいることが認められました。また300人(54.5%)は、循環器系の疾患が死亡に大きな関係があることが突き止められ、さらに250人(45.5%)では心臓病変が認められました。

 冬に高齢者に起こる入浴中の死亡事故は、他の(海や川などで起きる)溺水とはかなり異なります。つまり溺水が直接の死因であるとは限らないのです。前述の研究によると、水を飲んだ兆候がある人もない人も、心臓病変があると死亡事故につながる確率がもっとも高くなると報告されています。ということは、お風呂は心臓に悪いということなのでしょうか? それともお風呂の入り方の問題なのでしょうか? この点を検討する前に、海外で行われたお風呂と突然死の関係の研究について見てみましょう。

お風呂に毎日入る人は、死亡リスクが減る!?
 日本人と同じようにお風呂にゆっくり入る習慣がある民族はなかなか見つかりません。そのため研究論文も少ないのですが、フィンランドとイタリア、米国の研究者のチームが出した注目すべき研究成果があります。

 フィンランドでは、サウナが一般的です。戸建て住宅ならまずサウナが設置され、アパートでも住人用のサウナがあります。フィンランド人のお風呂好きは、日本人と同じくらいと言ってもいいでしょう。研究者らは、フィンランド東部に住む42~60歳の2315人について検討しました。1984年から89年に調査対象者として登録をして、その後平均20.7年間の長期追跡調査を行っています。この観察期間にいろいろな原因で死亡した人(全死因死亡)は929人です。このうち、190人に心臓突然死、281人に致命的な冠状動脈性心疾患、407人に致命的な心血管疾患がありました。

 この研究によると、心臓突然死は、1週間に1回のサウナ入浴をしている男性を1とすると、週2~3回入浴する人は0.78、週4~7回の人は0.37とその割合が少なくなっています。さらに、サウナの回数が増えると、致命的な冠状動脈性心疾患、致命的な心血管疾患、および全死因死亡リスクまで低下することがわかりました。
 お風呂そのものは、体にいいので、心臓や血管のためには、なるべく毎日入った方がいいわけですね。そうなると、日本で報告されているお風呂での突然死の原因は、お風呂の入り方にあると思われます。

危険な湯船で起きる熱中症
 改めて高齢者がお風呂に入ったときのリスクを考えてみましょう。循環器や心臓に病気がある人がお風呂に入ると、皮膚の表面の血管が広がります。すると、手足に血液を取られ、脳の血液が少なくなって、血圧が急激に低下してしまいます。脳に血液がたりないと、意識がもうろうとしてしまいます。この結果、危険な状態を察知できないまま、お風呂の中で体が熱をどんどん吸収して、熱中症を起こします。そのような状態になった人は、脈が速く、かつ弱いという特徴があり、めまい、一時的な失神、顔面蒼白(そうはく)などの症状を起こします。そして意識を失っているうちに、溺水する可能性もあります。

 このような血圧の変化は、冷えた体でお風呂に入ると起こりやすいと考えられます。また、お湯の温度が42度を超えると入浴直後の1~2分で急激な血圧上昇が起こる可能性もあります。その後は前述のように血圧が下がるため、その時の血圧変動の幅が大変大きくなります。その場合、さらに意識低下、そして熱中症のリスクが高まりますし、急激な血圧変動は脳梗塞(こうそく)を起こすことも考えられます。

 では、安全にお風呂に入る方法と、万が一お風呂で倒れている人を見つけた場合の対処法を紹介しましょう。

適切な準備をしてお風呂に入ろう
 さまざまな研究から言えることは、入浴中の突然死を防ぐには、お風呂に入る前の準備が大切だということです。

1)脱衣室や浴室の室温を24~26度程度に維持する。
2)お風呂のお湯の温度は高すぎない41度以下にする。
3)入浴中に水分を取ることができるように浴室に水を持って入る。
4)お湯につかる時間は10分以内を目安にする。
5)浴槽から急に立ち上がらないようにする。

といったことが事故の予防策になるでしょう。入浴前に家族に声をかけるのも事故予防に役立ちます。また、アルコールを飲んだ状態での入浴は危険です。

もしお風呂で意識を無くしている人がいたら
 もし入浴中の事故に遭遇しても、その対処法を日ごろから確認しておくと、死亡を回避できます。
 お風呂で意識を無くしている人を見つけた場合の基本は、その人の状態を確認することです。そして、すぐに救急処置を行うために、浴槽から出すことが必要ですが、一般の人にはなかなかうまくできません。そのためまず、
1)119番通報をする。
2)人手を集める。
3)浴槽の栓を抜く、または顔か上半身だけでも浴槽から出す。
という対処をしてください。

 人手が集まったら、入浴している人を浴槽から引き出してあおむけに寝かせてください。呼吸を確認し、呼吸をしていないようなら、あごを引き上げて空気が通るようにし、救急隊が来るまでは、心肺蘇生を試みます。基本は胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を繰り返し行う、ですが、近年ガイドラインが改訂され、人工呼吸の訓練を受けていない場合や人工呼吸用マウスピースがない場合などは、気道確保なしで胸骨圧迫を続けるだけでもよい、とされています。

 意識がある場合は、体を横向き(注)にして床に寝かせ、体が冷えないように毛布をかけて救急隊が来るまで観察をしてください。心臓の持病があり薬がある場合は、投与後に寝かせてください。胃の中の物を吐き出すようなしぐさがあれば、横向きのまま吐いたものが肺に入らないようにします。わからないことは、何でも電話で救急隊に聞いてその指示通りに待つのが大切です。

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注:横向きに寝る「側臥位」で、安楽体位、回復体位などとも呼びます。あごを前に出し、両肘を曲げて上側の手を顔の下に入れます。上側の脚は膝を曲げます。横浜市消防局のサイトに分かりやすいイラストと説明があります。

奥井識仁
よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック院長

おくい・ひさひと 1999年東京大学大学院修了(医学博士)後、渡米し、ハーバード大学ブリガム&ウイメンズ病院にて、女性泌尿器科の手術を習得する。女性泌尿器科とは、英語でUrogynecology。“Uro”は泌尿器科、“Gynecology”は婦人科を意味し、“Urogynecology”で、両科の中間にあたる部門という意味がある。都内の複数の大学病院から専門領域の診療に関する相談を受けながら、「よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック」を運営し、年間約300件の日帰り手術を行っている。水泳、マラソン、トライアスロンなどのスポーツ、音楽(サックス演奏)が趣味で、さまざまなスポーツ大会にドクターとして参加している。著書に「人生を変える15分早歩き」「ドクター奥井と走るランニングのススメ」(いずれもベースボールマガジン社)など。

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