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H19.2.13福岡高裁脳脊髄液減少症否定判決解説5-後遺障害

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平成21年 3月14日(土):初稿
「H19.2.13福岡高裁脳脊髄液減少症否定判決解説4-休業損害」に続けて事案を検討します。私がこの事案で理解出来なかったことは、一審の認容判決で「(本件事故後の原告の状況について)原告は、現在でも、後頸部背部痛、頭痛、下肢の冷感、嘔吐、顔と下肢の腫れ及び眼の痛みと眩しさなどの症状があり、日常生活や労働に支障がある(甲80)。」と認定される証拠があるのに、後遺障害と後遺障害に伴う逸失利益や慰謝料の請求を全くしていないと言う点でした。

○現在でも、「後頸部背部痛、頭痛、下肢の冷感、嘔吐、顔と下肢の腫れ及び眼の痛みと眩しさ」等の厳しい症状が残っているとすれば、女性であれば家事を行うことが困難になって、夫や子供達或いは家政婦さん等に手伝って貰っている等の訴えがあり、労働能力が一部喪失したとの後遺障害の存在を主張するのが普通です。

○各種疼痛の後遺障害は、第14級9号「局部に神経症状を残すもの」(労働能力喪失率5%)或いは第12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」(労働能力喪失率14%)のいずれかに該当すると主張するのが普通です。尚、激しい疼痛の場合は、RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)或いはCRPS(複合性局所疼痛症候)として最高7級4号「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」に該当するとの主張をする場合もあります。

○本件事案では髄液漏れによる低髄液圧症候群或いは脳脊髄液減少症との医師の診断書もありますので、他覚的所見がある神経症状として第12級に該当し労働能力を14%喪失した逸失利益や慰謝料請求して然るべき事案であったと思います。後遺障害第12級の慰謝料は日弁連交通事故相談センター「青本」(21訂版)では250~300万円、逸失利益については平成15年の賃金センサス女子労働者全年齢平均の年間賃金額である349万0300円を基礎として喪失期間10年のライプニッツ係数7.722とすれば、349万0300円×0.14×7.722=約377万円の請求になります。

○控訴審においても被害者は後遺障害を前提とした主張は全くしていませんが、後遺障害分として650万円程度上乗せして請求しても良かった事案と思われます。ただ控訴審においては脳脊髄液減少症について存在を否定されましたので第12級の認定は厳しく、後遺障害が認められても第14級止まりで且つ心因性を考慮され請求額は相当減ぜられますが、ゼロでは終わらないように思います。
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