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現実に収入低下がない場合の休業損害

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平成21年 8月10日(月):初稿
○交通事故による休業損害について、保険会社は現実の休業による損害が発生しない限り休業損害を認めません。例えば休業期間中年次休暇を利用して現実の給料の低下がなかった場合、休業損害が発生していないと評価します。また、本給が支給されている限り、残業等出来ずに現実に収入減少が発生しても、損害とは認めない傾向があります。

○当事務所扱い案件でも、事故による傷害治療のために通院の時間がかかり、その分会社での仕事ができなくなり、自宅に仕事を持ち帰って仕事をして、何とか給料の減額を回避出来た場合、兎に角、収入の減少がない限り、休業損害は一切認められないとの杓子定規の主張で一貫している例があります。
この現実の収入低下がない場合でも休業損害を認めた判例があり,紹介します。

平成7年3月1日神戸地方裁判所(交民集28巻2号341頁)
【判決要旨】
①消防士の被害者につき、時間外勤務手当等の不支給、整備操縦手当の減額、年次休暇利用に伴う損害を休業損害の算定に考慮した事例。
 
(二)年次休暇利用に伴う損害 (金50万7758円)
 右認定の事実関係に基づいて考えると、原告は、本件受傷及びその治療のため、前記期間にわたって欠勤及び休職を余儀なくされたが、そのうち前記年次休暇(本件事故当日分も含む)33日間については、本来であればその趣旨及び目的に従い他の用途に充て得たはずのものを右治療のために利用せざるを得なくなり、そして、右年次休暇利用によって欠勤に伴う給与減額等の不利益を免れ得たということができる(福岡地裁昭和63年1月21日判決・交民集21巻1号63頁参照。なお、被告らが準備書面で指摘する裁判例は当裁判所の採用するところではない)。
 そうすると、原告の右年次休暇利用に伴う事情は、慰謝料算定の際の斟酌事由とする考えもあり得るところではあるが、本件においては、前記認定の事実関係と原告の主張内容等に照らして考えると、休業損害として肯認するのが相当である。
(中略)

(三)時間外勤務手当等の不支給等による損害(金97万3000円)
 まず、神戸市職員の給与に関する条例(昭和26年3月30日条例第8号サ甲13号証)、神戸市消防職員の勤務時間及び休暇規程(昭和38年9月26日消訓令第5号)及び神戸市消防職員特殊勤務手当支給規程(同年12月17日消訓令第6号。甲23号証)によると、神戸市消防職員については、超過勤務手当、休日給、夜勤手当、宿日直手当等の時間外勤務手当の支給があるほか、一定の職員については隔日勤務(午前9時30分から翌日の午前9時30分まで)をすることがあるとされており、また、出場手当、隔勤手当、外勤手当、整備操縦手当等定額の各種特殊勤務手当の支給が定められている。

 そして、前記(一)でみた原告の職務内容及び休職状況等と証拠(略)によると、原告は、本件事故前、須磨消防署において、消防ポンプ車の運転等の職務を行うに当たり、他の職員と同様、右時間外勤務及び隔日勤務等をこなしており、それに見合う諸手当の支給を受けていたこと、しかるに、原告は、平成元年7月1日から復職した後も、本件事故後の前記症状と医師の指示に基づき、平成2年3月末までの間、消防現場に出向かない日勤のみに従事することになり、また、その後、同年9月末までの間については、隔日勤務をするようになったものの、依然、上司の配慮等に基づき、消防現場には出向かない仕事(隔日軽勤務)に従事したこと、原告は、その結果、本俸のみの支給となり、前記諸手当について不支給又は減額されることになり、実績との対比において、時間外勤務手当に関し、平成元年1月分から平成2年4月分までの間についておよそ金64万1000円の減収となり、また、変動特別勤務(隔日勤務日の夜間業務等)手当に関し、平成元年1月分から平成2年10月分までの間についておよそ金33万2000円の減収となったことが認められる。
以上:1,616文字

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