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平成20年1月10日横浜地方裁判所低髄液圧症候群認定判決1

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平成22年12月13日(月):初稿
○交通事故のむち打ち損傷と脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の発症について争いになった事案で、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)を認めた判例として表記平成20年1月10日横浜地方裁判所判決を紹介します。この判決について、保険会社側弁護士が、、「本判決はX・Y双方において医学的各争点について十分に争われた事案ではないので、先例的な価値は余りない」と説明しているとのことですが、実質的には脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の発症が争点になっており、判決はその認定理由について詳細に論じており、「先例的な価値は余りない」と言い切れるかどうかは、疑問です。

○事案は、42歳男子が、乗用車を運転して交差点を直進中、対向右折乗用車に衝突され、頭部打撲等から低髄液圧症候群を発症したとする事案につき、激しい起立性頭痛等があり、副作用の強いホルモン剤等服用しても改善しなかったが、ブラッドパッチ療法で仕事ができるまでに改善等から、Xは「本件事故後に低髄液圧症候群にり患した」と認定、17か月後治癒したと認めたもので、自動車保険ジャーナル・第1727号(平成20年3月27日掲載)に掲載されています。

○この事件は、当初実質保険会社側が、被害者側に損害は約40万円を超えて存在しないとの債務額確定請求として提訴したのに対し、被害者側が約1324万円の損害があるとして、反訴の形式で損害賠償請求をしたものです。その損害の内容は、受傷直後から右眼奥の頭痛を訴え、「典型的症状とされる激しい起立性頭痛が生じ」「副作用の強い副腎皮質ホルモンブレドニンを服用しても改善が見られなかった」症状が、ブラッドパッチ療法を受けて消失等から「低髄液圧症候群にり患した」として請求したものです。

○裁判所は、「約17か月で低髄液圧症候群は治ゆした」と認め、被害者側請求額のおよそ半額を損害と認定しましたが、保険会社側は、「低髄液圧症候群にり患」の主張を実質否認しており、その存否が争点となっています。
以下、判決の内争いのない部分までを掲載します。

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判   決
  原告(反訴被告)     乙山次郎(以下「原告」という。)
  訴訟代理人弁護士     菅 友晴
  同            植田 薫
  被告(反訴原告)     甲野太郎(以下「被告甲野太郎」という。)
  被告(反訴原告)     甲野花子(以下「被告甲野花子」という。)
  法定代理人親権者父    甲野太郎
  法定代理人親権者母    甲野春子
  上記2名訴訟代理人弁護士 中西義徳

【主   文】
1 本訴に係る訴えを却下する。
2 原告は、被告甲野太郎に対し、金676万0686円及びこれに対する平成16年2月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告は、被告甲野花子に対し、金3万2217円及びこれに対する平成16年2月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被告らのその余の請求をいずれも棄却する。
5 訴訟費用は、本訴について生じたものは原告の負担とし、反訴について生じたものは、これを2分し、その1を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。

【事実及び理由】
第一 請求
1 本訴
(1)原告の被告甲野太郎に対する第二の2(1)記載の交通事故に係る不法行為に基づく損害賠償債務は金39万7531円を超えて存在しないことを確認する。

(2)原告の被告甲野花子に対する第二の2(1)記載の交通事故に係る不法行為に基づく損害賠償債務は金1万9632円を超えて存在しないことを確認する。

2 反訴
(1)原告は、被告甲野太郎に対し、金1324万0180円及びこれに対する平成16年2月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(2)原告は、被告甲野花子に対し、金4万1690円及びこれに対する平成16年2月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要
1 本件は、原告の運転する普通乗用自動車と被告甲野太郎の運転する普通乗用自動車が衝突し、同被告及び同車に同乗していた被告甲野花子が負傷した交通事故につき、
(1)原告が、被告甲野太郎に対し、前記交通事故に係る不法行為に基づく損害賠償債務は金39万7531円を超えて存在しないことの確認を、被告甲野花子に対し、同交通事故に係る不法行為に基づく損害賠償債務は金1万9632円を超えて存在しないことの確認をそれぞれ求め(本訴)、

(2)被告甲野太郎が、原告に対し、民法709条に基づき、損害賠償金1324万0180円及びこれに対する同交通事故発生の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を、被告甲野花子が、原告に対し、民法709条に基づき、損害賠償金4万1690円及びこれに対する同交通事故発生の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を、それぞれ求める(反訴)事案である。

2 争いのない事実等(本訴、反訴共通。証拠を引用するものは、証拠により容易に認定できる事実である。)
(1)交通事故(以下「本件事故」という。)の発生
ア 日時 平成16年2月22日午後1時34分ころ
イ 場所 神奈川県〈地番略〉の交差点(以下「本件交差点」という。)
ウ 事故態様等
 原告は、普通乗用自動車((ナンバー略)、以下「原告車両」という。)を運転し、本件交差点を右折した際、対向車線を走行してきた被告甲野太郎の運転する普通乗用自動車((ナンバー略)、以下「被告車両」という。)と衝突した。

(2)被告ら(証拠略)
 被告甲野太郎は、昭和36年10月生まれの男性であり、本件事故当時は42歳であった。同被告は、本件事故当時、個人の顧客に高級布団を販売する仕事に従事していた(証拠略)。
 被告甲野花子は、被告甲野太郎の子で、平成13年8月生まれの女児であり、本件事故当時は2歳であった。

(3)本件事故による被害
 被告甲野太郎は、前記衝突の衝撃により、頭部挫傷、頸椎捻挫、腰椎捻挫の傷害を負った。
 被告甲野花子も、前記衝突の衝撃により負傷し、B病院に2日、Cクリニックに1日通院した。

(4)原告の責任原因
 原告は、本件交差点を右折するに当たり、対向車線の安全確認不十分のまま右折進行した過失により本件事故を発生させており、民法709条に基づき、本件事故により被告らに生じた損害を賠償する責任を負う。

(5)損害のてん補
 被告甲野太郎は治療費等188万2205円の支払を、被告甲野花子は治療費4万8930円の支払をそれぞれ既に受けている。


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