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加害者請求権消滅時効理由での保険会社への直接請求否認判例全文紹介8

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平成26年 4月18日(金):初稿
○「加害者請求権消滅時効理由での保険会社への直接請求否認判例全文紹介7」の続きです。



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(4)休業損害
ア 第1事故から第2事故まで
 原告は,第1事故(平成17年11月18日)の当時,専業主婦として稼働していたところ,平成17年の賃金センサス産業計・企業規模計・学歴計女子全年齢平均賃金年収は,343万4400円と認められる。そして,第1事故から第2事故(平成18年7月3日)までの期間(228日)における実通院日数(同一の日に複数の通院をした場合は1日|と数える。)は,1 2 4 日と認められるところ(甲4ないし6(枝番を含む。),甲23,2 4, 弁論の全趣旨),前記1(1)で認定した原告の治療の経過等に鑑みれぱ,実通院日数である1 2 4 日は平均80%,それ以外の1 0 4 日は平均40%を休業したものとして休業損害を算定することが相当である。そこで,第1事故から第2事故までの休業損害は,132万4800円(≒[343万4400円÷365日×1 2 4 日×80%]十[343万4400円÷365日×1 0 4 日×40%])と算定されるところ,これは,第1事故のみによって発生した損害である。

イ 第2事故後から症状固定日まで
 第2事故の翌日(平成18年7月4日)から症状固定日(平成19年2月3日)までの期間(2 1 5日)における実通院日数(同一の日に複数の通院をした場合は1日と数える。)は,1 4 5 日と認められるところ(甲5の5,甲7の1ないし12,甲8の1ないし6,甲9の1ないし16,甲11の1,2,甲23ないし25,弁論の全趣旨),第2事故後の原告の治療の経過等に鑑みれぱ,実通院日数である1 4 5日は平均50%,それ以外の70日は平均25%を休業したものとして休業損害を算定することが相当である。そこで,第2事故から症状固定日までの休業損害は,84万6800円(≒[343万4400円÷365日×1 4 5 日×50%]十[343万4400円÷365日×70日×25%])と算定されるところ,これは,本件各事故の競合による損害であり,第1事故の寄与がその80%に相当する67万7400円,第2事故の寄与が20%に相当する16万9400円と認められる。

(5)通院慰謝料
ア 第1事故から第2事故まで
 第1事故(平成17年11月18日)から症状固定日(平成19年2月3日)までの通院期間は約14か月であるが,前示のとおり原告の症状が他覚所見のない神経症状にとどまること,本件の通院の状況に鑑み,通院慰謝料は160万円をもって相当と認める。そこで,この1 6 0万円を第1事故から第2事故(平成18年7月3日)までの約7.5か月をもって按分し,第1事故から第2事故までの通院慰謝料を85万円(≒1 6 0万円÷14か月×7.5か月)と認める。これは,第1事故のみによる損害であり,第1事故の寄与が100%である。

イ 第2事故から症状固定日まで
 第2事故から症状固定日までの通院慰謝料は,75万円(=1 6 0万円-85万円)と算定されるところ,これは,本件各事故の競合による損害であり,第1事故の寄与がその80%に相当する60万円,第2事故の寄与が20%に相当する15万円と認められる。

(6)後遺障害慰謝料
ア 前記2(1)のとおり,原告には,本件各事放の競合により白賠法施行令別表第二の第14級9号に相当する後遺障害が残存したと認められるところ,その後遺障害慰謝料は,110万円をもって相当と認める。

イ 後遺障害慰謝料は,症状因定日時点の後遺障害の内容及び程度によって算定すぺきであるから,本件各事故の寄与割合は,症状固定日時点における割合とすべきところ,これは,結局のところ,第2事故後に生じた原告の症状についての本件各事故の前記寄与割合とおおむね等しいものと考えられる。そこで,後遺障害慰謝料である110万円のうち,第1事故の寄与がその80%に相当する88万円,第2事故の寄与が20%に相当する22万円と認められる。

(7)逸失利益
ア 原告の基礎収入は,前記(4)アの認定事実によれば,平成17年の賃金センサス産業計・企業規模計・学歴計・女子全年齢平均賃金年収である343万4400円とすぺきである。また,原告には,本件各事故により自賠法施行令別表第二の第14級9号の「局部に神経症状を残すもの」に相当する後遺障害が残存したことに鑑み,原告は5%の労働能力を喪失したものと認められるところ,前示のとおり原告の症状が他覚所見のない神経症状であることに照らすと,労働能力喪失期間は,症状固定日から5年間の限度で認めるのが相当である。そこで,原告の逸失利益は,74方3400円(≒343万4400円×5%×4.3295(5年間のライプニッツ係数))をもって相当と認める。

イ 逸失利益についても,症状固定日時点の後遺障害の内容及ぴ程度によって算定すぺきであるから,本件各事故の寄与割合は,前記(6)イと同様に,第1事故が80%,第2事故が20%とすべきである。そこで,逸失利益である74万3400円のうち,第1事故の寄与がその80%に相当する59万4700円,第2事故の寄与が20%に相当する14万8700円と認められる。

(8)既払金
ア 第1事故の自賠責保険関係
 原告は,第1事故の加害者である訴外Aの自賠責保険会社である被告三井住友から,自賠法の損害賠償額75万円を受領した。そこで,この75万円は,第1事故が寄与する損害(すべて人身損害である。)に充当すべきである。

イ 第2事故の自賠責保険関係
 原告は,第2事故の加害者である訴外Bの自賠責保険会社である被告共栄から,自賠法の損害賠償額75万円を受領した(丁2)。そごで,この75万円は,第2事故が寄与する損害(すぺて人身損害である。)に充当すべきである。

ウ 第1事故の任意保険関係
 証拠(甲6の2,甲13,5 4,55)及び弁論の全趣旨によれば,被告三井住友は,第1事故の加害者(訴外A)の任意保険会社として,原告に対し,治療費約128万円,タクシー代約1 0 8万円,ぞの他費用として5万円をそれぞれ支払ったこと,このうち治療費及びタクシー代は,本件請求から除外された損害にすべて充当されたこと,その他費用は,平成17年12月19日及ぴ28日の仙台整形外科の通院治療費4万3361円に充当されたことがそれぞれ認められる(被告三井住友も特段争わない。)。そうすると,上記充当後のその他費用の残額である6639円のみを,第1事故が寄与する損害に充当すぺきである。

エ 第2事故の任意保険関係
 証拠(甲14の1,2,丙5)及ぴ弁論の全趣旨によれば,被告日新は,第2事故の加害者(訴外B)の任意保険会社として,原告に対し,第2事故によって生じた損害として,68万1060円(治療費65万9950円,タクシー代2万1110円)を支払ったこと,これらは,本件請求から除外された損害にすべて充当されたことがそれぞれ認められる(被告日新も特段争わない。)。そうすると,被告日新の上記既払金は,第2事故が寄与する前記認定の損害には充当されないというぺきである。


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