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陪審制度雑感-裁判の民主化

平成17年 3月18日(金):初稿 平成17年 5月15日(日):更新
○サンフランシスコ裁判所視察で、陪審制を目の当たりにしてきました。老若男女白人黒人アジア人等多種多様で様々な色の平服を着た14人の陪審員が医療過誤裁判の原告本人質問を熱心に聞いていました。

○法廷は壇上に黒の法服を着た裁判官が居るのは日本と同じですが、それ以外は、全く雰囲気がことなります。日本の法廷は神聖な場所とされ、花一つ置かず、色は壁の白と机やいすの茶色の2色位で正に無味乾燥です。これに対しアメリカの法廷は一言で言えばカラフルで花や調度品が置かれ、様々な色の普通の服装をした陪審員の存在も、法廷をごく普通の場所の様に見せます。

○陪審制とは、国民の中から選ばれた一般の人たち(陪審員)が裁判の審理に参加して、裁判官から独立して、事実の判断と、刑事事件であればそれに基づく有罪・無罪を、民事事件であれば有責かどうかを決定する制度のことをいいます。
陪審制の詳細は、東京弁護士会解説松山大学田村教授解説が良くまとまっています。

○日本でも過去に陪審制が行われていたのが停止され、今般の司法改革で刑事事件で復活することになりましたが、これまでの私は訓練を受けていない素人の方の事実認定は恐くて到底陪審制には賛成できないとの立場でした。

○アメリカでは民事事件にも当事者の選択による民事陪審が採用されています。サンフランシスコの弁護士事務所訪問で説明に当たった弁護士が難しい事件は一人の裁判官では頼りないので陪審を選択すると言ってました。

○日本では素人の陪審員を信頼できないと考える弁護士が多いがと質問すると、確かに陪審員の中には極端な考えの人もいるが、皆で合議しているうちに最終的には適正妥当な結論に至るので、これまの経験から揺るぎなく陪審制を信頼していると回答されました。

ポール・ニューマン主演映画「評決」での陪審員による裁判官の意向に反する劇的な結論は、あながち作り話では無いのかもと思った次第です。
何より私が最高に感激した法廷の赤外線補聴システムは陪審制が産んだものだと言う現地弁護士の解説に陪審制反対論者から賛成論者に変わりつつあります。

○私はアメリカが好きでは有りませんでしたが、その強さ・したたかさは、裁判官も選挙によって民が選び、裁判の結論も、陪審制によって民が選ぶと言う徹底した民主主義が源泉なのかと思った次第です。

以上:956文字

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