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司法試験合格者大量増員の得失雑感

平成18年 3月10日(金):初稿
○法務省HPの「併行実施期間中の新旧司法試験合格者数について」に記載されていますが、平成18年度司法試験合格者最大数は現行試験組600人、新試験組1100人で1700人となり、徐々に増やし、平成22年には合格者が3000人になることが既定路線となっており、更に9000人まで増やせとの意見も出ています。

○私が合格した昭和52年当時は450~500人前後でしたから3000人時代は6倍以上に司法試験合格者数増えることになります。このよう司法試験合格者が大量増員されて弁護士資格取得者が増えた場合の得失について考えてみます。

○先ず合格者のレベルが下がることは確実です。いくら法科大学院で詰め込み授業を重ねたからと言って限度があり、上位500人しか合格しなかった時代と上位3000人まで合格したのでは、特に上位500番以内と2000番以下ではそのレベルに相当の差があることは目に見えています。要するに同じ合格者でもレベルはピンキリ相当差があります。

○しかし合格時のレベルが低いことが実務家になってもレベルが低いままとは限りません。試験には向き不向きがあって実務法曹として適性のあるのに超難関であった500人時代には合格できなかった人が3000人時代に合格して実務法曹としては優秀な人材に育つ可能性があります。要するに裾野が広がることによって優秀な人材を広く集めることも出来ます。

○500人時代にあっても法曹不適格者で不祥事を起こして法曹界から脱落していく人が一定数いましたが、裾野が大きく広がる3000人時代になれば法曹不適格者も相当数増え且つその割合も多くなることは確実で、裾野が広がることにより広く不適格者も集まります。

○3000人時代になれば弁護士数が一挙に相当数増え、弁護士需要が余り変わらなければ競争が激化することが確実です。競争激化によって弁護士報酬ダンピングも起こります。実際、ネットで検索すると破産事件等のダンピングが既に始まっています。

○更に競争に勝つために宣伝・広告も必要になります。現時点では東京以外では弁護士の宣伝・広告はHP以外には殆ど見られませんが、10年後には地方都市においても宣伝・広告が出現すると思われます。更に顧客へのサービス強化が必要になり、他の事務所にない特徴を出す必要も生じます。

○弁護士になったからと言って食える時代ではなくなります。弁護士は一つのライセンスの一つに過ぎなくなり、確実に食べていくためにはその後の精進・努力が重要になります。この時代が依頼者層にとって良いかどうかは一概には決められません。
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