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法科大学院曲がり角との記事を読んで

平成22年 5月17日(月):初稿
○繰り返し記載していますが、サービス業者としてのこれまでの弁護士の殿様商売ぶりを長らく見て、こんな殿様商売がいつまでも許されるはずがなく、いずれも弁護士業界も人数が増えされ、競争社会になり、サービスを競う普通の商売とされてしまうだろうと思っていました。案の定、この10数年来の司法改革の波で合格者大幅増が決定され、殿様商売の元であった法律事務独占、少人数での寡占、競争排除という3大特権が剥奪され、弁護士業界も普通の商売の方向に大幅軌道修正されています。

○私は、合格者を増やして競争社会とされるのは国民のニーズである以上、仕方ないことと反対ではありませんでしたが、自分のことではないのにどうにも我慢ならなかったのが、お金と時間がかかる法科大学院制度の創設でした。もし私の受験時代にこんなお金のかかる制度になっていたら、耳の病気を抱え、年老いた父が漁船員として働きながら、郷里の気仙沼で受験勉強を続けさせて貰った私などは、到底、受験も出来なかったからです。受験資格を得ること自体にはお金がかからず、何年かかろうと、働きながらであろうと、誰でも何度でも挑戦できる平等・公平な受験制度であって欲しいのですが、年間数百万円もかけて法科大学院に入らなければ受験できないなんて制度は即刻止めて貰いたいと思っているところです。

○今回は1万908人が受験予定だったが、4人に1人が「受け控え」たとのことですが、勿体ないこととこの上ありません。受験して、その失敗によって受ける感銘力は、普通の受験勉強の何十倍の大きさがあります。また目の前に迫った受験に備えての勉強の迫力は、普通の受験勉強では到底出せません。「受け控え」によってこの感銘力を受ける機会も、また、直前の鬼気迫るような勉強をする機会も失います。受験期間5年間あるならなんで5回受験させてくれないのか、歯がゆくて仕方ありません。

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(2010年5月13日 読売新聞)
新司法試験の合格率 広がる格差
 法科大学院修了生を対象とした5年目の新司法試験が12日、4日間の日程で始まった。過去最多の8163人が受験したが、合格率の低迷は今年も続く公算が大きく、多様で優秀な法曹養成という目標実現への道は険しい。実績の低い法科大学院は今後、統廃合も必至で、大学院別の合格率にも注目が集まる。

◆「受け控え」
 今回は1万908人が受験予定だったが、4人に1人が「受け控え」た。受験できる回数が法科大学院修了後の5年間で3回までと制限されており、実力が不十分なまま受験するリスクを避けた人も多いとみられる。

 「正直言って、制度にだまされたという気持ち」。試験初日を終えた千葉県の男性(36)は不満を漏らした。5年前、9年間勤めた商社を退職して法科大学院に進み、今回は2回目の受験。借りた奨学金は700万円近くに上るという。

 政府は当初、新司法試験の合格率を7~8割と想定し、合格者数を2010年頃までに3000人程度とする目標を掲げていた。しかし、昨年の合格者は2043人と初めて前年割れし、合格率は約27・6%。今年も同程度の合格者数ならば、合格率は25%程度に下がる。

◆法科大学院離れ
 合格率が低い背景の一つには、当初20~30校、総定員4000人程度と見込まれた法科大学院が74校も開校し、定員も約5800人に膨らんだことがある。

 法科大学院の入学志願者は、一斉開学した2004年度の入試では7万2800人いたが、今年度は2万414人。志願倍率も13倍から4・2倍にまで落ち込んでおり、法科大学院離れは深刻だ。中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別委員会の昨秋の会合では、ヒアリングに招かれた修了生から合格率の低さや経済的負担の大きさが指摘され、「後輩に法科大学院に行くことは勧めません」といった発言が相次いだ。

◆撤退検討も
 各校の合格実績の差も大きい。合格率60%超の法科大学院がある一方、過去4回の試験で合格率が全体平均の半分に満たない状態が3回以上続いた大学院が9校に上る。

 過去の新司法試験で合格者が1けただった姫路独協大は、今年度の入学募集で定員20人に対し受験者が3人、合格者はゼロだった。来年度も募集するかどうかは未定で、撤退も視野に今後検討するという。文科省は、再編・統合が必要と考えており、今後合格実績が低迷する大学院への交付金や補助金を削減する方針だ。

 ある法務省幹部は「再編・統合が進めば入試も厳しくなり優秀な学生が入学する。生き残った大学院には優秀な教員がそろい、教育の質も高まるはず」と指摘している。


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