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”自由と正義”H24年4月号懲戒例での注意点-監査役は鬼門

平成24年 4月15日(日):初稿
○弁護士稼業をしていると時々、ご依頼を頂き,或いは現在ご依頼を頂いているお客さまから、現在の会社或いは新しく設立する会社の監査役就任を依頼されることがあります。依頼するお客さまからすると、かつて弁護士の社会的地位が高かった時代には、弁護士が監査役だと、箔が付くというか、法律的にシッカリしている会社とのイメージを世間に持たせることが出来ると思っていたようです。

○しかし、私は、監査役就任要請は、全てお断りしていました。全てと言ってもその要請された回数は,数えるくらいしかありませんが、私なりのポリシーがあったからです。それは、監査役とは、株式会社においては、株主総会、取締役(または取締役会)と並ぶ株式会社の機関の一つで、会社経営の業務監査および会計監査によって、違法または著しく不当な職務執行行為がないかどうかを調べ、それがあれば阻止・是正する職務であり、特に会社代表者とは利益相反関係になり、会社に訴訟問題が生じるなどして代理人が必要な場合、監査役では、その会社の代理人になれなくなり、その会社の役に立つことが出来なくなるからです。

○私は、監査役就任の要請があった場合は、このようにもし監査役に就任してしまうと、いざという時にお客さまである会社のお役に立てなくなるので、誠に恐縮ですが、私としては、会社のお役に立てる立場に居たいので、監査役就任はご勘弁お願いしますと言って断ってきました。

○次に弁護士の重要業務の一つに会社の法律顧問がありますが、これは顧問契約を締結し、毎月定額の顧問料をお支払い頂き、その会社の法律相談・助言を原則として無料で行い、また、訴訟事件等個別の案件が起きた場合は、標準料金よりは低額で受任するなどの契約内容にしているものです。

○弁護士が会社の監査役或いは法律顧問に就任したときに、その会社内部で内紛があって代表者取締役と他の取締役或いは株主との間で紛争が発生したとき、監査役に就任している弁護士は、監査役としてその代表者の職務執行を監視する立場にありますので、当然、利益相反として、一方取締役の立場に立つ代理人にはなれません。法律顧問に就任している場合でも、会社の取締役間の争い或いは取締役・株主間の紛争が発生した場合も、会社全体の法律顧問であるのに、会社内部の一方当事者の代理人に付くのは遠慮した方がよいと思っております。

○ところが、「自由と正義」平成24年4月号懲戒例に次のような事案がありました。
1 処分を受けた弁護士 (省略)
2 処分の内容 戒告
3 処分の理由の要旨
 被懲戒者は、A株式会社の顧問弁護士及び監査役でありながら、懲戒請求者が2004年に提起したA社の代表取締役Bを被告とする株主代表訴訟において、Bから同事件を受任し、同事件の判決が確定する2010年までの間、Bの代理人として訴訟活動をした。
 被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条1項(※弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。)に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
○このような場合、株主代表訴訟原告代理人弁護士は、仙台会辺りでは、被懲戒者弁護士に、先生が代理人を継続すると懲戒されますよと、アドバイスして辞任を促すことが多いのですが、大都会の弁護士はそのようなお節介はしないようです。この場合、監査役ではなく単なる法律顧問としても、会社顧問は会社全体から依頼されているところ、代表者個人が会社所有者の1人である株主から訴えられたのですから、会社の顧問弁護士はどちらか一方の立場に立つのは遠慮し、代表者個人の代理人にもならないのが常識と思っております。
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