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弁護士報酬規程-報酬見積作成システム失念に気付く

平成24年12月 3日(月):初稿
○「弁護士の倫理研修制度概観-規程と規則から」に日本弁護士連合会倫理研修規程と仙台弁護士会倫理研修規則(会規)を紹介しましたが、平成24年11月17日に仙台弁護士会館4階大会議室で開催されて平成24年度倫理研修会の民事編問題の主要テーマは弁護士報酬規程でした。

○倫理研修は、仙台弁護士会の場合、事例を挙げて、この事例に関する対立する考え方についてレポーター2組が登場して、司会者がレポーターの意見を聞く形で2組のレポーターがそれぞれの考え方を披露し、司会者の指揮進行で何度かレポーター同士が意見を戦わせた後に、会場の出席者の意見も聞き、最後に元日弁連副会長等会務に精通したベテラン弁護士が解説レジュメ等を参考にしながら解説をするという形式で進行します。勿論、レポーターの報告は、シナリオにしたがったものでいわば決められたセリフを言うようなものです。

○1人の講演者が一方的に講義するよりはズッと判りやすく、レポーターは決められたシナリオに従って役割を決めて新旧の極端な考え方を並列させますが、会場の参加者からも時に予想外のハッとする意見が飛び出て大変勉強になります。平成24年研修会の問題では、解説レジュメの解説がそもそも遅れているなと感じて、私なりの意見を言おうかなと思ったくらいでした。

○弁護士の職務の基本は、弁護士職務基本規程に定められていますが、その中で報酬に関する規制は第24条(弁護士報酬)、第29条(受任の際の説明等)、第30条(委任契約書の作成)等があり、報酬に関する更に細かい規制は弁護士の報酬に関する規程に規定され、第3条(報酬基準の作成・備え置き)、第4条(報酬見積書)、第5条(報酬の説明・契約書作成)等が規定されているところ、未だに報酬見積書どころか、報酬契約書すらろくに作成していない事務所もあるようです。

○弁護士は、お客様には、契約書の重要性を説き、キチンと作成しなければいけませんなどと言いながら、自分の職務に関する契約書は無頓着な方が多いように見受けられますが、当事務所は、自慢の桐システムで報酬契約書はキチンと作成しております。この報酬契約書作成桐システムは、「報酬契約締結システム」で説明していますが、今般、その中に「更に必要に応じて次のような報酬見積書を作成・印刷して差し上げます。報酬説明フォームは、『事案の概要』、『処理方針』等の報酬見積書作成必要データも入力できるようになっております。」と説明しながら、この報酬見積書を殆ど作成してしておらず、メニューの中にも組み込まれていないことに気付きました。

○そもそも報酬見積書作成フォームが出来ていないことにも気付き、これは早速作成に取りかからねばなりません。
以下、弁護士報酬契約に関する弁護士各規程を紹介しますが、報酬見積書は、お客様からの「申出があったとき」に限り、「作成及び交付に努める」との努力義務を課すだけで作成義務を課されていないのが中途半端なところです。

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弁護士職務基本規程
第24条(弁護士報酬)

 弁護士は経済的利益事案の難易時間及び労力その他の事情に照らして、適正かつ妥当な弁護士報酬を提示しなければならない。

第29条(受任の際の説明等)
1 弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなければならない。
(中略)

第30条(委任契約書の作成)
1 弁護士は、事件を受任するに当たり、弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなければならない。ただし、委任契約書を作成することに困難な事由があるときは、その事由が止んだ後、これを作成する。

2 前項の規定にかかわらず、受任する事件が、法律相談、簡易な書面の作成又は顧問契約その他継続的な契約に基づくものであるときその他合理的な理由があるときは、委任契約書の作成を要しない。


弁護士の報酬に関する規程
(平成16年2月26日会規第68号)
改正平成20年12月5日

第1条(目的)
 この規程は、会則第87条第二項及び弁護士法人規程第19条に基づき、弁護士(弁護士法人を含む。以下同じ)の報酬に関し必要な事項を定めることを目的とする。

第2条(弁護士の報酬)
 弁護士の報酬は、経済的利益、事案の難易、時間及び労力その他の事情に照らして適正かつ妥当なものでなければならない。

第3条(報酬基準の作成・備え置き)
 弁護士は、弁護士の報酬に関する基準を作成し、事務所に備え置かなければならない。
2 前項に規定する基準には、報酬の種類、金額、算定方法、支払時期及びその他弁護士の報酬を算定するために必要な事項を明示しなければならない。

第4条(報酬見積書)
 弁護士は、法律事務を依頼しようとする者から申し出があったときは、その法律事務の内容に応じた報酬見積書の作成及び交付に努める

第5条(報酬の説明・契約書作成)
 弁護士は、法律事務を受任するに際し、弁護士の報酬及びその他の費用について説明しなければならない。
2 弁護士は、法律事務を受任したときは、弁護士の報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなければならない。ただし、委任契約書を作成することに困難な事由があるときは、その事由が止んだ後、これを作成する。
3 前項の規定にかかわらず、受任した法律事務が、法律相談、簡易な書面の作成、顧問契約等継続的な契約に基づくものであるときその他合理的な理由があるときは、委任契約書の作成を要しない。
4 第二項に規定する委任契約書には、受任する法律事務の表示及び範囲、弁護士の報酬の種類、金額、算定方法及び支払時期、委任契約が委任事務の終了に至るまで解除ができる旨並びに委任契約が中途で終了した場合の清算方法を記載しなければならない

第6条(情報の提供)
 弁護士は、弁護士の報酬に関する自己の情報を開示及び提供するよう努める。

附則
1 この規程は、平成16年4月1日から施行する。
2 この規程の施行の際現に受任している法律事務の弁護士の報酬については、なお従前の例による。
附則(平成20年12月5日改正)
第5条第4項の改正規定は、平成21年4月1日から施行する。


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