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不動産売主なりすまし詐欺加担責任巨額損害賠償を弁護士に命じた判例紹介1

平成29年 7月11日:初稿
○真実の不動産所有者Bになりすました自称Bと原告の代金2億5000万円での売買契約立会人となり、同契約に基づく登記移転手続のために,Bの本人確認情報を作成した上で,登記義務者である自称Bの登記申請代理人として,所有権移転登記の申請を行った弁護士に対し、代金を支払いながら不動産を取得できなかった買主からこの立会人弁護士に約3億2240万円の損害賠償請求がなされ、内約1億6044万円の損害賠償が命じられた平成28年11月29日東京地裁判決(金法2067号81頁)の、先ず、事案概要を紹介します。

○弁護士にとっては大変怖い話しですが、幸い、弁護士賠償責任保険に加入していたようで、その保険会社も被告弁護士側補助参加人として訴訟に加わっています。


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第1 請求
 被告は,原告に対し,3億2239万7300円及びこれに対する平成26年2月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は,不動産を購入して代金を支払い,自己に対する所有権移転登記を経た原告が,売主の依頼によって当該不動産の所有権移転登記申請に当たり売主の本人確認情報を提供した弁護士である被告に対し,被告が,過失により,売主の本人確認の際に提示を受けた住民基本台帳カード等の書類が偽造されたものであることに気付かないまま誤った本人確認情報を提供し,このために,真実の所有者から所有権移転登記抹消登記手続を求められ,当該不動産の所有権を取得することができなくなったと主張して,不法行為に基づき,当該不動産の売買代金,登記申請費用,不動産の紹介者に対して支払った報酬及び弁護士費用相当額の合計3億2239万7300円並びにこれに対する不法行為の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

1 前提事実(以下の事実は争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる。)
(1) 当事者等

ア 原告は,畜産業を主な目的とする有限会社a(以下「a社」という。)及びその関連会社を経営し,社団法人b協会の会長を務めている者である。(甲41の1)

イ 被告は,第二東京弁護士会に所属する弁護士である。(乙16)

ウ B(以下「B」という。)は,平成26年2月26日当時,港区○○c丁目1番65,同番66,同番105,同番133,同番135,同番140及び同番141の7筆の土地並びにその一部の土地上にある3階建共同住宅(以下,これらの土地及び建物を併せて「本件不動産」という。)及び2階建ての未登記建物の所有権を有していた者である。
 登記記録上,他に,上記の一部の土地上に平家建ての建物が存するが,上記時点においては存在していなかった。

エ 本件不動産は,かつてBの夫であるC(以下「C」という。)が所有していたものである。本件不動産のうち上記ウの1番65の土地の持分100分の8については,Cが平成5年10月17日にBに贈与し,同月21日,その旨の登記がされた。本件不動産のその余の部分は,Cが平成25年2月28日に死亡したため,Bが,同年12月10日,Cの子であるD(以下「D」という。)及びE(以下「E」という。)との間で行った遺産分割協議によって単独で相続し,同月24日,その旨の登記をした。(甲2の1ないし9,乙24)

(2) 被告が本件不動産の売買契約に関与した経緯
ア 被告は,平成26年1月23日頃,かつて法律事件の委任を受けたF(以下「F」という。)から,本件不動産の売買契約について,売主が売買契約の立会人となる弁護士を探しており,その旨引き受けてもらいたいとの依頼を受け,これを承諾した。

イ 被告は,平成26年2月13日,F及びBを名乗る女性(以下「自称B」という。)と面会した。

ウ 被告は,平成26年2月17日,Fから,Bが本件不動産の所有権移転登記手続のために必要な登記識別情報通知を紛失したから本人確認情報を作成してほしいとの依頼を受け,これを承諾した。

(3) 本件不動産の売買
ア 原告と自称Bは,平成26年2月26日,被告の弁護士事務所において,本件不動産に関する不動産売買契約書(以下「本件売買契約書」という。)に署名押印し,Bが原告に対し代金2億5000万円で本件不動産を売り,同日引き渡すこと,原告が契約締結日に上記代金のうちの2億4000万円を支払い,残代金1000万円については,平成26年3月末日までに本件不動産における共同住宅に居住する賃借人を退去させるまで支払を留保することなどを内容とする売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結した。

イ 被告は,平成26年2月26日,本件売買契約の締結に当たり,同契約に基づく登記移転手続のために,Bの本人確認情報を作成した上で,同日,登記義務者であるBの登記申請代理人として,所有権移転登記の申請を行った。被告は,前記(2)イ以前にBと面識がなかったため,上記本人確認情報に,自称Bから提示を受けた住民基本台帳カード(以下「本件住基カード」という。)の顔写真により同一性を確認し,さらに氏名及び住所,年齢,干支等の申述を求めたところ,正確に回答したと記載した。(甲4ないし9,10の1,甲12,被告本人)

ウ 上記イの所有権移転登記申請により,平成26年2月26日,本件不動産の所有権がBから原告に移転した旨の所有権移転登記がなされた(以下「本件所有権移転登記」という。)。(甲2の1ないし9)

(4) 成りすましの発覚
 Bは,平成26年3月31日,原告に本件不動産を売却した事実がないこと,本件所有権移転登記の申請書に添付されているB名義の本件住基カード及び印鑑登録証明書が偽造されたものであることなどを理由に,東京地方裁判所に,原告を債務者とする本件不動産についての処分禁止の仮処分を申し立て(東京地方裁判所平成26年(ヨ)第1008号),同裁判所は,同年4月2日,その旨の仮処分命令を発した。(甲2の1ないし9,甲3ないし16)

(5) 本件住基カード
 本件住基カードは,券面事項確認利用領域であるQRコードが付されたもので,スマートフォン等の電子機器を利用してこのQRコードを読み取ると,生年月日情報を読み取ることのできるものであった。(甲10の1及び2,甲17)

(6) 補助参加人の関与
ア 原告補助参加人は,司法書士業を行う者であり,前記(3)イの原告の登記申請代理人として本件所有権移転登記の申請を行った者である。

イ 被告補助参加人は,損害保険事業を目的とする会社であり,被告との間で,弁護士法に規定される弁護士の資格に基づいて遂行した同法3条に規定される業務に起因して被告が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害について保険金を支払う旨の弁護士賠償責任保険契約を締結している。
以上:2,836文字

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