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プーチン氏は頬に手を当てて無表情ー安倍首相の対北朝鮮制裁強化協力要請に

平成29年 9月 8日(金):初稿
○「「北朝鮮は雑草を食べても核を開発」とプーチン大統領-この言葉に妙に納得」の続きです。
ロシアに制裁を科す米国が、北朝鮮への制裁でロシアに協力を求めている状況を『ばかげている』と述べ」ているプーチン大統領が、安倍首相と会見しましたが,安倍首相の対北朝鮮制裁協力要請にどのようにこたえるか興味を持っていました。その答えは,「頬に手を当てて無表情」ということで、実にハッキリしています。産経新聞ニュースを後記します。

○「「北朝鮮は雑草を食べても核を開発」とプーチン大統領-この言葉に妙に納得」で、「いつも、大量核兵器を保有している米国が、他国に核開発にとやかく言うことに疑問を感じています。少なくとも、俺も、必ず廃棄するから、お前も核開発なんて止めろと言うのがスジです(^^;)。」と述べていましたが,後記「【北朝鮮】核を放棄させる現実的な方法、専門家らが立案―自意識過剰な日本は冷静さを」との記事の「昨年7月に北朝鮮側が提示した条件」を読むともっとだなと感じてしまいます。

○「田原総一朗氏が安倍晋三首相に持ちかけたのは訪朝だった! 6カ国協議再開へ米朝橋渡しを提案」なんて記事もありますが、安倍首相には「制裁強化」ばっかり言わないで,米国・北朝鮮話し合いの仲介役になり,何としても米朝開戦事態を避ける努力をして貰いたいところです。

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安倍晋三首相、対話重視の露韓2首脳を説得 露とは溝、韓国とは一定の成果
2017.9.8 00:19産経新聞

 安倍晋三首相が7日にロシア極東ウラジオストクで行った首脳会談は、核実験を実施した北朝鮮をめぐり、日本の立場とは必ずしも一致していなかった首脳2人に再考を促す場となった。1人はロシアのプーチン大統領、もう1人は韓国の文在寅大統領だ。2人は圧力強化を求める首相に対照的な反応を見せた。

 日露首脳会談でプーチン氏の振る舞いが一変したのは、首相が北朝鮮の話題を取り上げた瞬間だった。

 「北朝鮮の問題を含め、地域の平和と安定に貢献するために話し合いたい」

 首相がこう語りかけると、プーチン氏は頬に手を当てて無表情になった。経済協力などの進展を評価する首相の言葉には、うなずいて賛意を示したのとは正反対だった。北朝鮮をめぐる日露の溝は大きい。さらなる対北圧力を求める日本に対し、ロシアは制裁強化に消極的な姿勢を示す。

 日本とともに追加制裁を求めるトランプ米政権は、ロシアにサンフランシスコ総領事館の閉鎖を通告するなど関係が悪化しており、ロシアとの対話に乗り出しにくい。首相はプーチン、トランプ両氏と関係を構築しているため、7日の会談では米露の橋渡し役を果たすことも狙った。

しかし、北朝鮮に関してロシアが交渉相手とみなすのは米国であり、首相の説得には限界があるのも事実だ。日本外務省の幹部は「対北制裁を受け入れる代わりにサンフランシスコ総領事館を返せと言い出しかねない」と語る。

 首相は会談に先立つ東方経済フォーラムで、核実験がウラジオストクから約300キロの地点で実施されたことを指摘し、ロシアにとっても脅威であることを強調して翻意を促した。だが、プーチン氏は会談後の共同記者発表で「核問題の解決は政治・外交的手段によってのみ可能だ」と言い放った。

 一方、首相は文氏との会談で「タイムリーに話し合うことができる関係を構築できてうれしい」と笑顔を向けるなど友好ムードの演出に腐心した。徴用工や慰安婦などに関しても原則的立場を伝えるだけで追い込むことはしなかった。

 文氏は「韓国は北朝鮮と国境を接しており、国民の不安が大きい」と述べ、圧力強化が北朝鮮の暴発につながる懸念をにじませた。とはいえ「最大限の圧力」をかけることでは一致し、対北対話を重視する韓国を日米韓の連携に引き込むことに一定の成果を得た。(ウラジオストク 大橋拓史、黒川信雄)


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【北朝鮮】核を放棄させる現実的な方法、専門家らが立案―自意識過剰な日本は冷静さを
志葉玲 | フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)8/31(木) 7:30


 北朝鮮が今月29日に行った弾道ミサイル実験で、その軌道が宇宙空間を通るものだったとは言え、その下に位置する日本では大きな動揺が広がった。安倍晋三首相は「これまでにない深刻かつ重大な脅威」と危機感をあらわにし、衆院安全保障委員会は30日午後の閉会中審査で、北朝鮮に対する抗議決議を全会一致で採択した。だが、残念ながら、安倍政権がくり返し強調してきた「北朝鮮に圧力を強化していく」という外交姿勢は、何の成果もあげていないというのが現実であろう。どうしたら、北朝鮮に核開発や弾道ミサイル実験をやめさせられるのか。30日夜、民間シンクタンク「ピース・デポ」の田巻一彦氏が都内で講演し、米国や韓国の外交専門家による北朝鮮の非核化構想などについて、解説した。

〇北朝鮮が米国に求めていること―日本は相手にされていない
 29日のミサイル実験によって大きな衝撃を受けた日本ではあるが、田巻氏は「弾道ミサイル実験はあくまで米国へのメッセージ。北朝鮮は日本を相手にしていません」と喝破する。北朝鮮にとって、最大の脅威は同国の政権を崩壊させうる米国の存在であり、日本ではない。「北朝鮮は米国と交渉したがっており、一連のミサイル実験もそうした外交の一環なのです。勿論、核やミサイルの脅威を外交に使うことは批難されるべきことですが、北朝鮮が米国を脅威としており、自衛手段として核開発を進めている以上、圧力で核を放棄させることは不可能です」(田巻氏)。

 では、北朝鮮は何を求めているのか。カギとなるのは、昨年7月に北朝鮮側が提示した条件だ。

「まずは、今なお休戦状態にある朝鮮戦争を終結させ、米国と北朝鮮との平和協定を締結することです。それに加え、(在韓米軍などが持つとされる)朝鮮半島の核の存在を全て明らかにすること、全ての核兵器および核に関する基地を検証可能なかたちで撤去すること、朝鮮半島の周囲に核兵器を配備しないこと、いかなる場合にも北朝鮮に対して核兵器による威嚇を行わないこと、核兵器を使用する権限のある部隊全ての韓国からの撤退を宣言すること、の5つです。これらが実現したら、北朝鮮側も核兵器の放棄に応じるとしています」(田巻氏)

〇米韓の専門家による非核化の提案
 こうした条件には、2005年9月の六か国協議での共同宣言でも合意されたことも含まれているが、実際には米韓は実行しておらず、北朝鮮側も核開発をエスカレートさせている。その一方で、現在、米国の外交経験者および韓国の政府顧問が北朝鮮に核を放棄させるための交渉計画をまとめているのだという。

「米国の国連大使を務めたトーマス・ピカリング氏や、韓国のムン・ジェイン大統領の外交・安全保障顧問を務めるムン・ジョンイン延世大学名誉特任教授など、そうそうたる面々がまとめた最新の提案として、『包括的安保合意で核の脅威を終わらせる』との論文が発表されています。その内容を要約すると、第一段階として、北朝鮮が核・ミサイル開発を凍結するかわりに、米韓合同演習を縮小していきます。さらに数年という期間で、北朝鮮が核関連プラントの解体を行い、それと同時に六か国協議の再開やエネルギー支援などを行っていきます。第三段階として、北東アジア非核地帯を設立し、拘束力のある形で、この地域での核兵器による攻撃や威嚇を禁止するプロセスを開始、非核化を完了させるというものです」(田巻氏)。

 米国側も認めるように、北朝鮮に対し攻撃をしかけるなど、軍事力で同国を非核化させることは現実的ではない。その場合、全面戦争となり、北朝鮮のみならず、韓国や場合によっては日本も、甚大な戦争被害を被ることになるからだ。北朝鮮は「ノドン」などの中距離弾道ミサイルを200発以上、移動式発射台も50台保有していると観られ、ミサイル防衛システムをもってしても、被害を防ぐことは極めて困難だ。結局のところ、交渉こそが現実的な解決方法なのである。米国のトランプ政権の動きは読めないところがあるが、だからこそ、日本も対話を呼びかけていくべきなのだろう。

〇パニック状態の日本が落ち着くことが必要
 田巻氏は「北朝鮮のみならず、米韓、そして日本も変わっていく必要があります」と言う。「米国の“核の傘”によって、北朝鮮の核の脅威から守ってもらおうという発想を、日本も変えていかなくてはなりません。容易なことではないかも知れませんが、本気で核廃絶へ取り組むかの、日本の信念にかかっていることだと思います」(田巻氏)。

 この間の日本の政治やメディアのパニックとすら言える騒ぎぶりを見ていると、日本が米朝交渉の足を引っ張ることになりかねない。いかに東アジアの核危機を解決するかのビジョンや具体策もないまま騒ぎ立てることは、無様であるだけでなく、無責任だ。田巻氏も「北朝鮮の方から日本に攻撃をしかけることは、まず無い。体制の維持という目的のため何の得にもならないからです」と言う。本当に北朝鮮の核を何とかしたいのであれば、冷静さとリアリズムに基づいた言動が、日本の政治家やメディア関係者にも求められるのだ。(了)

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