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第21回弁護士業務改革シンポジウム開催報告at同志社大学今出川キャンパス

令和 1年 9月 8日(日):初稿
○令和元年9月7日(土)午前10時から同志社大学今出川キャンパスで日弁連第21回業務改革シンポジウムが開催されました。業務改革シンポジウムは、金曜日開催が恒例でしたが、平成29年9月9日開催第20回から土曜日開催となりました。同シンポは、11分科会とセミナーの12のテーマで開催され、私は、業革委員会事務所経営PTが主催する第1分科会「法律事務所の事業承継について」にスタッフの一員として参加しました。

○私の担当部分は、「承継対象と対価について」でこの部分の基調講演原稿書きを担当しましたが、私が最も興味があった対価査定が、日弁連職務基本規程第13条の厚い壁のため論じることが出来なくなり、ちと期待外れに終わりました。具体的には、事務所承継の最も大きな部分が、係属事件・顧問先等の営業部分ですが、この営業部分について、以下の日弁連職務基本規程第13条で対価の授受が禁じられています。
弁護職務基本規程第13条
 弁護士は、依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払ってはならない。
2 弁護士は、依頼者の紹介をしたことに対する謝礼その他の対価を受け取ってはならない。


○私自身は、ここでの「紹介」には事業としての委任契約の受任者の地位「譲渡」は含まれないと解釈すべきで、依頼者紹介対価支払禁止の趣旨は、弁護士が依頼者を紹介する場合は、弁護士が依頼者を紹介したということだけで、その相手方から対価(紹介料)をもらうことは品位にもとると解説されており、事件委任契約での受任者の地位譲渡は、正に「契約上の地位の譲渡」であり、単なる「紹介」ではないので、事務所承継の場合での、係属事件・顧問契約譲渡については対価授受禁止にはならないと考えていました。

○しかし、日弁連調査室に照会すると、一調査室員の回答としながら、職務基本規程13条を大変厳格に解釈しており、事件委任契約、顧問契約いずれも、それが単なる紹介でも、委任契約地位の譲渡でも、対価の授受は一切できないと解釈せざるを得ないとのことでした。

○法律事務所の事業譲渡に伴う場合であっても、事業譲渡対価に事件契約・顧問契約の譲渡対価を含ませることはできず、賃借権や什器備品等の対価名下に、事実上、事件契約・顧問契約の譲渡対価を上乗せすることも許されず、要するに事件契約・顧問契約の譲渡対価は一切取得できないとの解釈で、だとすると、法人譲渡の場合も、法人譲渡の対価に、事件契約・顧問契約の譲渡対価は含ませることはできないことになります。

○こんな厳格解釈では、賃借権や什器備品等の対価を高めに設定して、事実上、事件契約・顧問契約の譲渡対価を含ませることもできませんので法律事務所承継は、全く進まないと思われます。なんとなく、いつもの日弁連らしいなと言う感じはありますが、ABA(米国法曹協会)規則では、厳格な要件の下に法律業務の売買が認められ、対価の取得も認められており、日本の職務基本規程にもこのような規程ができれば、事件契約・顧問契約の譲渡対価取得も可能になるでしょうとのことです。
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