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遺留分減殺請求に対する価額弁償の抗弁のポイント1

平成19年 3月14日:初稿
○遺留分減殺請求に対する価額弁償の抗弁についてのポイントを整理します。
民法第1041条は、遺留分権利者に対する価額による弁償として、「受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。」と規定しています。

○遺留分減殺請求権とは、相続人たる子(その代襲相続人を含む)、直系尊属、配偶者について認められている遺産の一定割合を確保できる権利をいい、その一定割合とは直系尊属のみが相続人であるときは3分の1、その他の場合は2分の1と定められています。具体的には法定相続分3分の1の子の遺留分は6分の1になります。

○被相続人Aの相続人は長男Bと二男Cの2人だけでAは唯一の遺産である1億円相当の甲土地をBに相続させるとの公正証書遺言を残し、Bがこの遺言書に基づき甲土地をB名義に所有権移転登記をした場合、Cの遺留分は4分の1ですから、CはBに対し、遺留分として甲土地の4分の1の持分権の移転登記手続をせよと請求することが出来ます。

○これに対しBは、民法1041条に基づきCの遺留分4分の1に相当する金2500万円をCに弁償して4分の1の持分返還を免れることが出来ます。この弁償の意義ですが、現実に2500万円を支払うか少なくとも2500万円を支払うとの履行の提供が必要とされています(最判昭和54年7月10日民集33巻5号457頁)。

○しかし実際の裁判では、上記設例のようなシンプルな事案は殆ど無く、複数の遺産、債務、特別受益等が存在し、「遺留分減殺請求のポイント整理」に記載したとおり、遺留分侵害額の算定は大変面倒で、甲土地の時価が争いになるなど、簡単には決められません。

○価額弁償をする場合、その価額算定基準時は現実の弁償時と解されており、弁償時に上記甲不動産の時価が8000万円に値下がりしていれば価額弁償額も2000万円に減額になります。裁判になった場合は、現実に弁償する時期に最も接着した時期である事実審(通常は高裁)の口頭弁論終結時とされています(最判平成9年2月25日判タ933号283頁)。

○上記の通り、価額弁償の抗弁での価額算定は大変困難であり、裁判になった場合は、現実の提供はしなくても、裁判所の定める価額を支払うとの裁判上での意思表示をすれば足りるとされ、その場合の判決文は、上記設例の場合
BはCに対し、金2500万円の支払をしないときは、Cの持分4分の1について平成○年○月○日遺留分減殺を原因とする所有権移転登記手続をせよ。
となります(最判平成9年2月25日判タ933号283頁)。

○この判決主文での執行は、先ずCが執行文付与の申立をすると書記官がBに対し期間を定めて弁償額2500万円支払事実を証する文書の提出を催告し、催告期間内に文書の提出がない場合に限り、執行分が付与され、この付与で持分権移転登記の意思表示があったとみなされ、持分権移転登記手続に至ります。
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