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相続人の子、孫への贈与と遺留分基礎財産算入-害意の要否

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平成20年 5月13日(火):初稿
「相続開始1年以上前の相続人への贈与は当然算入」で、民法第1030条の「贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によってその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする。」との規定を紹介しました。

○そして贈与を受けた者が相続人の場合、民法第1044条で民法903条「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし」との規定を準用していることを根拠に、「当然に」相続人の受けた贈与はその価額を遺留分算定基礎財産に算入することを説明しました。

○民法903条の「遺贈」、「婚姻若しくは養子縁組」、「生計の資本」としての贈与は「特別受益」と呼ばれ、特別受益を受けていない相続人との間の公平を期すための調整規定と説明されています。

○この特別受益の考え方が、遺留分算定に当たっても適用されて、相続人が生前贈与を受けていた場合、その贈与の価額は、受贈者の「害意」の有無に拘わらず遺留分算定基礎財産に「当然に」加えられますが、相続人以外の者が受けた贈与は、「害意」を持って即ち「当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って」なされた場合に限り、「1年前の日より前にしたものについても」算入されます。

○資産が膨大にある場合、被相続人の生前に相続税等を軽減するため資産の分散を図り、相続人だけでなく相続人の子、孫にまで贈与される例がよくあります。相続人の子、孫等は、被相続人の直接の相続人ではありません。この相続人の子、孫が贈与を受けた場合は、民法903条の準用により「当然に」算入されるでしょうか。

○この点に関する判例・学説の記述は現時点では見出せませんが、民法903条はあくまで「共同相続人中」の特別受益についのて調整規定ですから、被相続人の共同相続人ではない、相続人の子、孫への贈与については、民法903条は準用されないと思われます。

○ですから被相続人の共同相続人ではない、相続人の子、孫への相続開始前1年より前の贈与については、民法第1030条「当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたとき」に限り、遺留分基礎財産算入がなされるべきと思いますが、今後も文献調査を続けていきます。
以上:1,026文字

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