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第6章意匠権侵害訴訟6 井上順子

平成17年 8月 6日(土):初稿
2 被告の主張・立証
(1)意匠権の成立及び範囲に関する主張

侵害訴訟で意匠権の無効そのものを争えない(特許庁の専権)が,無効原因が明白なら権利濫用処理はあり得る。

(2)抗弁免責事由の主張
(a)先使用による通常使用権(意29)

意匠登録出願に係る意匠の内容を知らないで意匠の創作をした者が,現に意匠実施事業をしているときは,実施の範囲内で通常実施権を有する。

(b)先出願による通常実施権(意29条の2)
拒絶された出願に後願排除効がなくなった(平成10年改正)。拒絶確定前の実施が権利侵害とされる不都合を回避するための利害調整規定。

(c)中用権(無効審判請求登録前の実施による通常実施権(意30)の主張)

(d)意匠権の存続期間満了後の通常実施権(意31,32)の主張
後願意匠は先願意匠と抵触する部分について実施できないが,先願が期間満了になると逆に先願意匠が実施できなくなる。その場合に先願意匠権者に通常実施権を認めた。

(e)再審により回復した意匠権の効力の制限と通常実施権(意55)

(f)許諾
 販売について通常実施権を持っていても製造の点では侵害と認めた判例。

(g)意匠権無効の抗弁(意41→特許104の3),権利濫用・自由意匠の抗弁等
平成16年改正で無効の抗弁が認められた。

(h)存続期間の満了等
 設定登録日から15年(意21)。関連意匠は本意匠の設定登録日から起算。

(i)意匠権と先願の特許権等及び意匠権の出願日前に成立した著作権との関係
①特許権、実用新案権・意匠権・商標権との関係

技術的効果と共に美的効果を生じる場合,重畳するから権利相互の調整が必要。
先願のものを利用するとき,抵触するとき→意匠権者は実施不可(意26条)

Q「利用する」とは?
ex.先願が部分意匠で,後願の全体意匠の中に含まれる場合(ex.「自転車のハンドル」と「自転車」)

Q「抵触する」とは?
先願の類似範囲と後願の類似範囲が相互に抵触する場合。

②著作権との関係
絵画,版画,彫刻刀が工業的にも利用可能なとき。
抵触するとき→意匠権者は実施不可。
但,著作権は相対的独占権。依拠して利用する行為を排除できるだけ。存在さえ知らず意匠権者がたまたま同一のものを創作しただけなら実施可能。
以上
以上:923文字

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