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著作者人格権の譲渡禁止の趣旨とゴーストライティング契約の有効性1

平成26年 3月10日(月):初稿
○佐村河内守氏の謝罪記者会見以来、同氏を叩く報道が連続していますが、天の邪鬼の私は、一方的に彼を叩く報道にうんざりしています。あの記者会見での質問する記者の正義の味方気取りには、貴方は何様ですかと、さらにウンザリしました。というのは、この問題は、18年間の長きに渡りゴーストライターの新垣隆氏も自ら述べているとおり「共犯者」であり、佐村河内氏だけ一方的に責められるのは不公平と感じたからです。

○新垣氏は自らの作品についてお金のために佐村河内氏に対し、18年に渡って佐村河内氏の名前で公表・発表し、同氏の作品として売り出すことを了承していました。この行為が法的に有効か無効かは別にして、いわば自らの魂をお金のために売り渡したに等しい行為です。しかも、新垣氏は佐村河内氏が聴覚障害者ではないと認識しながら、佐村河内氏が現代のベートーベン・全聾の作曲家と世を欺いて作品を売り出すパフォーマンスをゴーストライターとして18年間に渡って手伝っていたわけです。正に「共犯」です。

○どこの世界にもゴーストライターが居ることは公知の事実であり、タレント・政治家等が出版する著作物は90%はゴーストライターの作品と言われており、また、作曲の世界でも大学の大先生の作曲を弟子の学生が手伝い、大先生の名前で発表することも、当たり前のごとく行われているようです。新垣氏は大学教官もしており、上司の大先生のゴーストライターもしていたかも知れません。自分の名前では世に出せない作品も大先生の名前なら世に出せて且つ対価も得られるのであれば、ゴーストライターが著作物の世界に蔓延することもおかしくありません。

○ところが著作権法の世界では、ゴーストライター契約は、無効と解されるのが一般のようです。私は平成18年まで日弁連知財ADRセンター委員を拝命し、知財の勉強を試みたことはありましたが、著作権法を少しばかり勉強しただけで知財の世界からは退きました。仙台では知財事件では食えないと判断したからです(^^;)。

○「第9章著作権法-目的、著作物とは 小松」以下に少しばかり著作権の解説コンテンツを作成しており、以下、復習備忘録です。
著作権法
第2条一号「著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」


佐村河内問題では、著作権でも一身専属権としての著作者人格権が問題になります。
第59条(著作者人格権の一身専属性)「第59条 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。」

著作者人格権の中身は、次の3つです。

1.公表権
第18条1項 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
いったん公表された後は消滅する。一身専属権なので著作者が著作権を譲渡した後も行使できるが、譲渡によって公表同意が推定されるので、一身専属性は余り意味がない。

2.氏名表示権
第19条1項 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。

3.同一性保持権
第20条1項 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。



以上:1,506文字

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