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家庭で学ぶモノ

平成12年 9月 1日(金):初稿 平成16年 9月23日(木):更新
■家庭で学ぶ対象は、人間そのもの
 それでは家庭で何を学ぶかというと、大事なところなので繰り返し述べますが、それは「人間」の一語につきます。夫婦、子供がお互いに生徒、教師、教材として、お互いを見つめ合い、人間を学びます。夫婦は所詮赤の他人であり、子供も血の繋がりはあっても、独立の人格でいずれ他人となります。
 これらの他人同士が一つ屋根の下で暮らせば、軋轢が生じるのが当然です。
 この軋轢を、お互いに人間観察・コントロールを尽くして解消し、良好な人間関係構築及び維持の技術を訓練する場を提供するのが家庭です。相手の「顔色をうかがい」ながら、お互いに機嫌を損ねず安定した人間関係を築く技術を学びます。お互いが素っ裸になって、人間を観察し、教師・生徒・教材となって、学習する場は家庭だけであり、学校や職場では替えられません。小さいけれども人間を学ぶ最も基本的組織体が家庭なのです。
 私は、この通信でも又日常の相談業務でも、相手に対するアンテナ張りの重要性を繰り返し説いてきましたが、それはこの家庭という学校で最も重要な心構えだからです。

■どこを見るべきか―先ず感情
 夫婦の争いに限らず、人間の争いを見ると、人間とは「感情」の動物だなとつくづく感じます。人間が人間を好きになるのは感情です。決して理屈で好きになることはありません。嫌いになるのも感情であり、離れてしまった感情をどんな立派な理屈をもっても取戻すことが出来ません。
 良くある例が、子供がいる妻が夫を嫌になって出ていった場合に、夫が「子供のしあわせ」のためにやり直す「べきだ」と「理屈」を述べます。しかしこの「べきだ」という「理屈」では、決して妻の夫に対する感情は動きません。例え妻が子供への思いから一時戻ったとしても、夫が理屈抜きで妻の感情を癒し、取り戻さない限り不安定は続きます。この人間は感情の動物であるということをよく自覚して相手を観察すべきです。感情的になっている妻を理屈で説得しようとする夫が実に多く、実は私もその一人でした。


感情を鎮めるのは感情だけ
 人間は感情の動物であることの自覚が大事で、感情的になっている人間を理屈で説得することは愚の骨頂です。例えば、共稼ぎの夫婦で、夫の帰りの遅い日が続き子供を風呂に入れる任務を放棄し続け、妻が切れて、夫に激高して文句を言ってきた場合、夫としてはどう対処すべきでしょうか。
 大抵の夫は、帰りの遅いのは仕事のためであると仕事の重要性を得々と説明し、時に大声を上げて妻の激高を鎮めようとします。しかし、激高した即ち感情の高ぶった人間を理屈で説明して鎮めようとする行為は愚の骨頂です。仮にその理屈や大声で妻が鎮まったとしたら、却って後が怖いと思うべきです。妻は高ぶった感情を発散できず、且つ理屈や大声の力で押さえ込まれ、却ってその恨みは二、三倍に膨れ上がって、深く心の奥底に残ります。

 感情が高ぶった人間には、ただひたすら平伏し、嵐が鎮まるのを待つしかありません。妻本人としては、切れるまで我慢に我慢を重ねてきたと思っています。
 夫としては喩え妻の激高が理不尽だと思っても、先ずは妻の感情の高ぶりを発散させることが重要です。それはひたすら頭を下げることです。頭なんていくら下げても減るもんじゃありません。男の沽券などという詰まらぬこだわりは持たないことが重要です。
 ひたすら頭を下げて、嵐が鎮まった頃を見計らって、再度、「済まなかったなー。実は自分の仕事も……」と始めます。こうすれば妻も自分も一寸言い過ぎてしまったと、自発的に自らの激高を恥じて反省もしてくれかも知れません。

 以上の行動は言うは易し、行うは難しの典型です。

 感情には決して理屈で対処すべきでないとの理は夫婦関係に限らず人間関係一般に通じます。普通の家庭ではこの理のこの訓練の場は、頻繁に提供されるはずです。相手が激高したら良い訓練の場が提供されたと思う位の気持ちの余裕を持てれば最高です。

どこを見るべきか-感情の次は評価
 人間の争いを見ていると、人間とはつくづく他人に評価されることによって生きていると言うことを感じます。人間は、他の人間に評価・期待されていると感じるとやる気を起こし頑張りますが、反対に無視され全く期待されていないと感じると、途端にやる気がなくなります。
 夫婦間でも全く同じです。離婚相談に訪れる大部分の方は、相手をけなす一方で、評価する部分が全くなくなっています。
 夫は、専業主婦の妻に対しては妻のおかげで元気に仕事に励むことが出来ると言う思いを、また妻は、夫のおかげで家族の生活が出来る感謝の念を、それぞれあまりオーバーでなくさりげなく伝える技術が必要です。お互い相手を評価し、期待していることをさりげなく伝え、相手が気持ちよく仕事や家事に励むことが出来るようにコントロールする技術を日常的に磨いておく心構えが必要です。夫婦が長くなるほどごく当然のこととして相手に伝える努力をしなくなりますが、ここは極めて重要な気がします。

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