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H30- 9-22(土):遺言と異なる内容の遺産分割協議無効確認の訴えを却下した地裁判例紹介
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○Aの相続人である被告ら(被控訴人)の遺産分割協議は、Aの遺言執行者である原告(控訴人)の同意なくして、遺言と全く異なる内容でなされ、無効であると主張したところ、本件遺言で相続人ではないBに「遺贈する」と記載がある一方、その余の財産は相続人に「相続させる」と記載され、これは相続分の指定とともに遺産分割の指定であり、Bが遺贈を放棄した本件では、原告が遺言執行者としてこれに関与する余地はないとして、訴えを却下した平成10年7月31日東京地裁判決(金融・商事判例1059号47頁)全文を紹介します。

○事案概要は、被相続人が財産の一部を相続人4名に「相続させる」、一部を第三者Bに「遺贈する」、原告を遺言執行者にしていするとの自筆遺言書を残していたところ、Bは遺贈を放棄し、相続人4名がBが放棄した財産を含め全遺産について、遺言書内容とは異なる遺産分割協議をしたことについて、遺言執行者の原告が相続人4名を被告として、被告らがした遺産分割協議は遺言内容と異なるから無効として遺産分割協議無効の訴えを提起したものです。

○これに対し、判決は、「相続させる」とした財産は、なんらの行為を要せず相続承継されるので遺言執行者が関与する余地はなく、Bが放棄した財産は遺言対象外の相続財産となり遺言執行者の関与する余地はなくなり、結局、本件では遺言執行者たる原告がすべき遺言の執行行為は存しなくなったので、被告らが相続財産をどのように処分しようとも、これによって原告が本件遺言の執行を妨げられることはなくなったものと解すべきであり、原告は、もはや本件遺産分割協議の無効を確認する利益は有しないとして遺言執行者の訴えを却下しました。


**********************************************

主   文
一 本件訴えを却下する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第一 請求

 被告らが平成7年10月30日にした遺産分割協議は無効であることを確認する。

第二 事案の概要
一 本件は、相続人である被告らがした遺産分割協議は遺言内容と異なるから無効であるとして遺言執行者である原告が右遺産分割協議の無効確認を求めている事件である。

一 争いのない事実
1 甲山太郎(以下「太郎」という。)は、平成7年1月17日死亡したが、同人の相続人は、妻である被告甲山春子(以下「被告春子」という。)、長女である被告乙山秋子(以下「被告秋子」という。)、長男である被告甲山一郎(以下「被告一郎」という。)、二男である被告甲山二郎(以下「被告二郎」という。)の4名である。

2 太郎は、要旨左記の内容の平成6年8月19日付け自筆遺言書を残し(以下「本件遺言」という。)、原告は、右遺言により遺言執行者に指定された。

       記
(一)被告春子には次の物件を相続させる。
(1)別紙遺産目録1(1)の土地
(2)別紙遺産目録2(1)の建物
(3)別紙遺産目録2(2)の建物
(4)その他前記建物内にある什器備品その他動産及び電話加入権等一切。
(二)被告秋子、同一郎、同二郎らには別紙遺産目録1(3)の土地及び預貯金、債権、株式、退職金その他の一切の債権を3分の1の割合で各人に相続させる。
(三)被告一郎、同二郎は兄弟仲良くして埼玉日産自動車株式会社、埼玉日産モーター株式会社の事業経営にあたること。
(四)別紙遺産目録1(2)の土地は甲山B(「以下「B」という。)に遺贈する。ただし所有権移転登記手続に必要な費用は同人の負担とする。
(五)本項以外に後日遺言者名義の遺産が発見された場合その遺産はすべて被告春子に相続させる。
(六)祖先の祭祀を承継すべきものとして被告春子を指定し、墓地、位牌その他祭祀に必要な財産は同人に相続させる。

3 Bは、平成7年6月20日、原告に対し、前項(四)記載の遺贈を放棄する旨の意思表示をした。

4 被告らは、平成7年10月30日、原告の同意、承諾のないまま、左記内容の遺産分割協議を成立させた(以下「本件遺産分割協議」という。)。
       記
(一)別紙遺産目録1〈略〉の土地及び同目録2記載の建物は、被告春子が単独で取得する。
(二)別紙遺産目録3(1)〈略〉の上場株式は、次のとおり被告秋子及び被告春子が取得する。
(1)被告秋子が取得する株式
日産自動車株式会社の株式のうち3000株
全日本空輸株式会社の株式1万1025株全部
三菱重工株式会社の株式2万株全部
日東建設株式会社の株式8万9951株全部
(2)被告春子が取得する株式
日産自動車株式会社の株式のうち2万0100株
その余の上場株式全部
(三)別紙遺産目録3(2)〈略〉の非上場株式は、次のとおり各相続人が取得する。
(1)埼玉日産自動車株式会社の株式(107万4160株)
被告春子 53万7080株
被告秋子 10万7416株
被告一郎 16万1124株
被告二郎 26万8540株
(2)埼玉日産モーター株式会社の株式(16万8600株)
被告春子 10万1160株
被告一郎  4万2150株
被告二郎  2万5290株
(3)大阪日産自動車株式会社及び千葉三菱コルト自動車販売株式会社の株式
被告春子が全部を取得する。
(4)SAINICHI及び埼玉日産自動車USAの株式
被告二郎が全部を取得する。
(四)別紙遺産目録4〈略〉の現金は、全部被告春子が取得する。
(五)別紙遺産目録5〈略〉の預貯金及び同6〈略〉の退職手当金は次のとおり各相続人が取得する。
(1)預貯金1億8660万3227円及び退職手当金のうち相続税の課税対象となる1億3750万合計3億2410万3227円
被告春子 3858万5794円
被告秋子 9842万2299円
被告一郎 7309万5134円
被告二郎 1億1400万円
(2)退職金のうち非課税分2000万円
被告春子  50万円
被告秋子 650万円
被告一郎 650万円
被告二郎 650万円
(六)別紙遺産目録7〈略〉の弔慰金は、次のとおり各相続人が取得する。
(1)同目録7(1)の弔慰金600万円(非課税分)は次のとおり三名が取得する。
被告秋子 200万円
被告一郎 200万円
被告二郎 200万円
(2)同目録7(2)ないし(8)の弔慰金380万円(課税分)は全部被告春子が取得する。
(七)別紙遺産目録8〈略〉の未収給与等、同目録9〈略〉の還付金、同目録10〈略〉のゴルフ会員権、同目録11〈略〉の電話加入権、同目録12〈略〉の美術品及び同目録13〈略〉の家庭用財産は全部被告春子が取得する。
(八)別紙遺産目録に記載のない財産が発見された場合は相続人間で協議してその分割方法を定める。

二 争点
1 原告は、遺言執行者である原告の同意なくしてされ、本件遺言の内容と全く異なる本件遺産分割協議は無効であると主張し、その無効確認を求めているところ、被告らは、受遺者であるBが遺贈を放棄している以上、遺言執行者である原告には本件遺言を執行する余地はなく,相続財産の管理権、処分権は原告にはないから、原告の関与なくされた本件遺産分割協議も無効ではなく、そもそも、原告には本件遺産分割協議の確認を求める利益はなく、本件訴えは当事者適格を欠き、不適法であると主張している。

2 したがって、本件の争点は、
(一)遺言執行者である原告が提起した本件遺産分割協議の無効確認の訴えは適法か、
(二)遺言の内容と異なる本件遺産分割は無効か

の2点である。

第三 争点に対する判断
一 前記の争いのない事実によれば、本件遺言ではごく大まかにいえば東京の不動産は被告春子に相続させ、その他の遺産はその余の被告3名に等分に相続させるとなっているのに対し、本件遺産分割協議では不動産全部を被告春子が取得するほか、株式、預貯金、その他の遺産のかなりの部分を被告春子が取得する内容になっているのであって、本件遺産分割協議の内容が本件遺言の内容と異なること、また、遺言執行者である原告が右遺産分割協議に同意していないことは明らかである。

二 そこで、まず、本件訴えの適法性について判断する(なお、被告らが本件訴えを不適法として却下すべきことを申し立てたことについて、原告は、右申立ては時機に後れているから却下すべきであると主張するが、訴えの利益、当事者適格の問題は職権調査事項であるから、裁判所は当事者の主張がなくても判断せざるを得ないものであり、申立てが時機に後れているとの理由で却下することができないことはいうまでもない。)。

 遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有し(民法1012条1項)、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができないのであるが(民法1013条)、遺言執行者の相続財産に関する右の管理処分権は、遺言の内容を実現するために必要な限りで付与されているものであるから、遺言執行者は、遺産分割協議が遺言執行者の遺言の執行を妨げる内容を有する場合に、その限度で遺産分割協議の効力を否定することができ、この場合には、遺言執行者が右のような遺産分割協議の無効確認を求めることの利益を否定することはできないが、遺産分割協議が遺言執行者の遺言の執行を妨げるものでない場合には、特段の事由がない限り、遺産分割協議の内容に立ち入る権利も義務も遺言執行者にはないものというべきである。

三 かかる見地に立って本件をみるのに、前記争いのない事実によれば、本件遺言には第三者であるBへの遺贈が含まれていたが、Bは遺贈を放棄したというのであり、そうすると、右遺贈の対象となった財産も相続財産の一部となったと解される。
 そして、本件遺言では、別紙遺産目録1(1)の土地及び同目録2(1)、(2)の建物及び右各建物内にある什器備品その他動産及び電話加入権等は被告春子に相続させるとなっているから、右相続財産については、なんらの行為を要せず、被告春子に相続承継されたものとみるべきであり(最高裁平成元年(オ)第174号同3年4月19日第二小法廷判決・民集45巻四号477頁参照)、これに遺言執行者が関与する余地はなく、また、被告春子が相続すべき財産を除く財産、すなわち、別紙遺産目録1(3)の土地及び預貯金、債権、株式、退職金その他の一切の債権については、被告秋子、同一郎、同二郎の3名に3分の1の割合で相続させるとなっているから、相続分及び分割方法の指定があるとみるべきであるが、右3名が具体的にどのように右相続財産を取得するは、右3名の協議に任されているものと解され、これにも遺言執行者たる原告が関与する余地はないというべきである。また、遺贈の対象となっていた土地の帰属についても、被告ら4名の遺産分割協議によることとなり、原告の遺言執行の対象外である。


 したがって、本件遺言においては、Bが遺贈の放棄をした時点において、遺言執行者たる原告がすべき遺言の執行行為は存しなくなったものというべきで、被告らが相続財産をどのように処分しようとも、これによって原告が本件遺言の執行を妨げられることはなくなったものと解すべきである。そうであれば、原告は、もはや本件遺産分割協議の無効を確認する利益は有しないものとせざるを得ず、本件全証拠によってもこれを肯定すべき特段の事由があるものとも認め難い。

四 以上によれば、本件訴えは、本件遺産分割協議の無効を確認する利益のない原告から提起されたことになり、不適法といわざるを得ないので、本件訴えを却下することとし、主文のとおり判決する。
裁判官 大橋弘

(別紙)遺産目録〈略〉

以上:4,734文字
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H30- 9-21(金):遺言と異なる内容の遺産分割協議を理由とする遺言執行者の解任は疑問
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○相続人全員で、被相続人亡父が残した公正証書遺言内容と異なる遺産分割協議をして、遺言で指定された遺言執行者を解任できますかとの質問を受けました。民法第1013条(遺言の執行の妨害行為の禁止)には「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。」、同第1019条(遺言執行者の解任)には「遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。」との規定からは、質問に対する回答はいずれも出来ませんとなりそうです。

○しかし、相続人の一人に対し遺産の一部を相続させる旨の遺言がある場合において、遺言執行者の同意を得ることなく、相続人らが遺言による指定と異なる遺産分割協議を成立させ各持分の登記を経由したところ、遺言執行者が相続登記の無効を主張した事案につき、遺産分割方法の指定がされ、遺言執行者が指定されている場合には、相続人はその遺言の執行を妨げる行為をすることができず、これに反する遺産分割行為は無効であるが、本件の遺産分割協議は、相続させる旨の遺言により直接に取得した取得分を相続人間で贈与ないし交換的に譲渡する有効な私法上の合意であるとして、遺言執行者からの請求を棄却した平成13年6月28日東京地裁判決(判タ1086号279頁)があります。

○これについて、私は、「信託銀行を遺言執行者にした遺言執行を解除できるか?3」に「(遺言執行者である)信託銀行に対し、相続人全員一致で遺産分割及び遺産の分配手続は全て相続人が共同で行いますので遺言執行業務はして頂かずとも結構ですと通知しても、信託銀行はこれに異議を唱えることは出来ないはずです。」と記載していました。

○前記質問の内、相続人全員での遺言に反する内容の遺産分割協議についてはOKですが、これを理由とする遺言執行者の解任は、「その他正当な理由」になるかどうかを直接判断した判例は現時点では見つかっていません。平成13年6月28日東京地裁判決(判タ1086号279頁)全文を更に復習して検討します。この事案では、事前に相続人らは、東京家庭裁判所に対し、遺言執行者解任の申し立てをしたものの、その却下が確定しているとの記述があり、原則は、遺言執行者の解任はできないようです。

*********************************************

主   文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用及び補助参加によって生じた費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

1 被告廣川春子は、補助参加人廣川夏子に対し、別紙物件目録1記載の土地持分10000分の246について、真正な登記名義の回復を原因とする持分移転登記手続をせよ。
2 被告廣川二郎は、補助参加人廣川夏子に対し、別紙物件目録1記載の土地持分10000分の455について、真正な登記名義の回復を原因とする持分移転登記手続をせよ。
3 被告廣川三郎は、補助参加人廣川夏子に対し、別紙物件目録1記載の土地持分10000分の455について、真正な登記名義の回復を原因とする持分移転登記手続をせよ。
4 被告広洋不動産株式会社は、補助参加人廣川夏子に対し、別紙物件目録1記載の土地持分10000分の122について、真正な登記名義の回復を原因とする持分移転登記手続をせよ。

第2 事案の概要
 本件は、遺言執行者である原告の同意なしに、相続人である被告ら及び補助参加人(以下「相続人ら」という。)がした遺産分割協議に基づく、補助参加人が取得した持分を除く相続登記は被相続人の遺言に反し無効であるとして,遺言執行者である原告が、被告らに真正な登記名義の回復を原因とする持分移転登記手続を求めている事件である。

1 争いのない事実
(1)廣川一郎(以下「被相続人」という。)は、別紙物件目録1記載の土地の5分の1の持分(以下「本件土地持分」という。)等の所有者かつ登記名義人であったが、平成8年5月2日死亡し、相続が開始した。同人の相続人は、妻である被告廣川春子(以下「被告春子」という。)、子である同廣川二郎(以下「被告二郎」という。)、同廣川三郎(以下「被告三郎」という。)及び補助参加人廣川夏子(以下「夏子」という。)の4名である。

(2)被相続人は、平成2年8月8日、次の内容の自筆証書遺言(以下「本件遺言」という。)をした。
ア 各相続人の相続分を次の通り指定する。
 被告春子  4分の1
 被告二郎 12分の1
 被告三郎 12分の1
 夏子   12分の7

イ 遺産の分割方法の指定を遺言執行者に委託する。但し、夏子に対しては、相続分12分の7に満つるまで、以下の遺産を次の順序にしたがって相続させる。
〔1〕別紙物件目録3記載の建物(但し、この建物については、平成2年12月12日に被相続人から夏子に生前贈与されている。)
〔2〕被告広洋不動産株式会社(以下「被告広洋不動産」という。)の株式全部
〔3〕本件土地持分及び別紙物件目録2記載の土地の持分5分の1

ウ 遺言執行者として原告を指定する。

(3)原告は、被相続人の死亡後、遺言執行者への就任を相続人らに通知した。これに対し、相続人らは、東京家庭裁判所に対し、遺言執行者解任の申し立てをしたものの、その却下が確定している(以下「家事審判」という。)。

(4)相続人らは、原告の同意なしに独自に遺産分割協議(以下「本件遺産分割協議」という。)を成立させた上、平成9年12月8日、相続を原因として本件土地持分について、被告春子10000分の246、被告二郎10000分の516、被告三郎10000分の516及び夏子10000分の722とする持分移転登記(以下「本件相続登記」という。)をなした。そして、平成10年3月12日には、被告広洋不動産に対し、売買を原因として、被告二郎及び被告三郎各々持分10000分の61、夏子持分10000分の267の持分移転登記をした。

2 争点
(1)訴訟要件の有無(2)被告らの主張の可否
(3)本件遺言の効力
(4)本件遺産分割協議の効力
(5)原告の登記請求の可否

3 原告の主張
(1)原告適格

 夏子への本件土地持分移転登記がなされる前に、他の相続人が持分移転登記を経由したため、遺言の実現が妨害される状態が出現した場合、原告は、遺言執行の一環として、その妨害を排除するため、夏子への真正な登記名義の回復を原因とする本件土地持分移転登記をする原告適格がある。この場合には、夏子が自ら本件土地持分に基づき同様の登記手続請求をすることができるとしても、このことが遺言執行者の職務権限に影響を及ぼすものではない。

(2)被告らの主張の可否
 本件訴訟における被告らの主張は、家事審判において主張してきたことの蒸し返しに過ぎないから、このような主張をすることは信義則に反し許されない。

(3)本件遺言の効力
 相続させる趣旨の遺言は、遺産の分割方法を定めたものであり、他の共同相続人もその遺言に拘束されるから、これと異なる遺産分割協議はできない。

(4)本件遺産分割協議の効力
 遺言執行者である原告の承諾を得ずになされた本件遺産分割協議及びこれに基づいてなされた本件土地持分についての相続登記は、遺産分割方法の指定を定める本件遺言に示された夏子の取得分である12分の7に満たないものであり、したがって本件土地持分は、遺言により当然に夏子に帰属しており、各持分移転登記の内、相続を原因とする夏子への持分移転登記及び夏子が被告広洋不動産に対してなした持分移転登記を除く部分は民法1013条に違反し絶対的に無効である。

(5)原告の登記請求の可否
ア 登記請求の利益
 本件遺産分割協議が、相続によって夏子が取得した本件土地持分を他の相続人に贈与・交換する趣旨であれば、本件相続登記は中間省略登記ということになろうが、このような登記手続は、実質的に遺言者の意思に反する行為であるから許されない。

イ 権利濫用
 原告の登記請求は、遺言者の意思を実現するためのものであり、権利濫用には当たらない。

4 被告らの主張
(1)訴えの利益

 相続人らの間でなされた本件遺産分割協議は、遺贈の性質を有する本件遺言に優先する以上、遺言執行の余地はなくなったものであり、原告の訴えは、訴えの利益を欠き、訴訟要件を欠く不適法なものである。
 仮に、本件遺産分割協議成立によって、さかのぼって相続開始から本件遺産分割協議のとおりに相続がなされたものとみることができないとしても、遺産分割の協議と共に、夏子が本件遺言により観念的にいったん取得していた相続財産に対する権利につき、交換ないし贈与が行われたことにより他の相続人に帰属するに至ったと解すべきであり、本件遺産分割協議は何ら遺言執行を妨げるものではなく、訴えの利益を欠くというべきである。

(2)被告らの主張の可否
 家事審判は、遺言執行者と相続人の遺言執行に関する見解に対立があれば、基本的には訴訟事項であるとしている。また、家事審判は、そもそも遺言執行者解任の理由の有無について判断したに過ぎないから、蒸し返しにはあたらない。

(3)本件遺言の効力
 本件遺言は、その一部において具体的な相続財産の帰属を定めているのであって、その範囲においては遺贈であると解される。

(4)本件遺産分割協議の効力
 本件遺産分割協議は有効に成立しており、本件遺産分割協議に抵触する限度で本件遺言の効力は失われるので原告の本訴請求に理由がない。
 仮に、本件遺産分割協議成立によって、さかのぼって相続開始から本件遺産分割協議のとおりに相続がなされたものとみることができないとしても、遺産分割の協議と共に、夏子が本件遺言により観念的にいったん取得していた相続財産に対する権利につき、交換ないし贈与が行われたことにより他の相続人に帰属するに至ったと解すべきであり、本件遺産分割協議は何ら遺言執行を妨げるものではない。


(5)原告の登記請求の可否
ア 登記請求の利益
 私的自治の原則により、遺言と異なる内容の権利移転を定めることは可能であり、現在の実体的権利関係を反映する登記を抹消して、いったん遺言の内容どおりの登記を実現しなければならない理由はない。

イ 権利濫用
 本件遺産分割協議が本件遺言に優先しないとしても、相続人全員の希望により、本件遺産分割協議が成立しているのであって、本件請求は夏子の意思に反するものであり、相続人全員にとっても何らの利益もない。本件のように、相続人全員の意思及び利益に反することが明らかである場合にまで、遺言執行者が遺言の執行を強要することは権利濫用にあたり許されない。

第3 争点に対する判断
1 訴訟要件の有無

 相続させる趣旨の本件遺言は、即時の権利移転の効力を有するが、そのことから当然に遺言の執行行為が不要になるものではなく、遺言執行者は当該遺産について不実の登記が経由されるなど、遺言の実現が妨害される事態が生じたときには、その妨害を排除するため、遺言の執行として必要な登記手続きを求めることができる(最高裁平成10年(オ)第1499号・1500号同11年12月16日第一小法廷判決・民集53巻九号1989頁参照)から、原告には、真正な登記名義の回復を原因とする持分移転登記をする原告適格があり、また、遺産分割の効力如何によっては、原告の登記請求を認める余地もあるので、一般に訴えの利益がないとはいえないというべきである。

2 被告らの主張の可否
 審判書(甲9)によれば、家事審判は、本件遺産分割協議によって、直ちに、遺言が無効になったり、遺言執行の余地がなくなることはないという遺言執行における一般論を前提に、解任の正当事由があるとはいえないと結論付け、遺言執行者と相続人の現実の遺言執行に関する見解の対立については、むしろ訴訟事項であるとしてその解決を本件訴訟に委ねたものと理解できるから、被告らの主張は、必ずしも蒸し返しにはならないというべきである。

3 本件遺言の効力
 特定の遺産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言は、遺言書の記載から、その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情がない限り、当該遺産を当該相続人をして単独で相続させる遺産分割方法の指定の性質を有するものであり、これにより何らの行為を要することなく被相続人の死亡時に直ちに相続により承継されるものと解される(最高裁平成元年(オ)第174号同3年4月19日第二小法廷判決・民集45巻4号477頁参照)。そして、本件遺言の記載をみるに、その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情が存するとは認めがたいから、本件遺言による当該遺産の承継は、遺産分割協議を経るまでもなく生じると解される。したがって、本件土地持分は、遺言により当然夏子に帰属していることになる。

4 本件遺産分割協議の効力
 本件遺言は、前記のとおり、遺産分割方法の指定と解されるが、このように被相続人が、遺言により特定の財産をあげて共同相続人間の遺産の分配を具体的に指示するという方法でもって相続分の指定を伴う遺産分割方法の指定をし、あわせて原告を遺言執行者に指定した場合には、遺言者は、共同相続人間において遺言者が定めた遺産分割の方法に反する遺産分割協議をすることを許さず、遺言執行者に遺言者が指定した遺産分割の方法に従った遺産分割の実行を委ねたものと解するのが相当である。そして、民法1013条によれば、遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることが出来ず、これに違反するような遺産分割行為は無効と解すべきである。

 もっとも、本件遺産分割協議は、分割方法の指定のない財産についての遺産分割の協議と共に、本件土地持分については、夏子が本件遺言によって取得した取得分を相続人間で贈与ないし交換的に譲渡する旨の合意をしたものと解するのが相当であり、その合意は、遺言執行者の権利義務を定め、相続人による遺言執行を妨げる行為を禁じた民法の規定に何ら抵触するものではなく、私的自治の原則に照らして有効な合意と認めることができる。

5 原告の登記請求の可否
 前記のとおり、本件土地持分に関する相続人らによる合意が有効であるとすると、少なくとも現状の登記は現在の実体的権利関係に合致していることになる。そして、本件の場合、いったん夏子が取得した持分を自己の意思で処分すること自体は、夏子による本件土地持分の取得を強く希望する旨の遺言を残した遺言者としても容認せざるを得ないところ、遺言書に現れた遺言者の意思として、そのような実体関係のみならず、対抗要件面においても正確な権利移転の経過を登記簿に反映することを厳格に希望していたとまでは認めがたい。また、原告自身も、本件において抹消登記請求ではなく真正な登記名義の回復を原因とする夏子への直接の移転登記請求を求めているように必ずしも過去の権利移転の経過を正確に反映することを求めていない。そうすると、遺言者の意思を受けた遺言執行者にとって、現状の権利関係に合致する現在の登記の抹消を求める法律上の利益があるとは言い難い。
 したがって、原告の登記請求は認められない。


第4 結論
 以上によれば、原告の請求は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する

(裁判官 藤原俊二)

別紙 物件目録〈省略〉

以上:6,322文字
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H30- 9-20(木):ハーグ条約実施法により常居所地国(米国)への返還を命じた高裁決定紹介
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○「ハーグ条約実施法により常居所地国(米国)への返還を命じた家裁決定紹介1」の続きで、その抗告審である平成27年3月31日東京高裁決定(判タ1450号113頁、判時2375・2376号200頁)全文を紹介します。

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主   文
抗告人らの相手方に対する本件各抗告をいずれも棄却する。
抗告費用は抗告人らの負担とする。

理   由
第1 抗告人らの抗告の趣旨

1 原決定を取り消す。
2 相手方の本件申立てを却下する。

第2 事案の概要

(1)抗告人A(昭和49年*月*日生。)と相手方(昭和50年*月*日生)は,平成13年*月*日にアメリカ合衆国(以下「アメリカ」という。)○○州の方式により婚姻し,同州における婚姻生活中,両名の間の子として,G(平成13年*月*日生。),B(平成15年*月*日生。),D(平成18*月*日生。),E(平成20年*月*日生。)及びF(平成22*月*日生。)の5名が出生した(以下,Gを除く4名の子を「本件子ら」ということがある。)。

(2)相手方は,平成21年以降,Aに対して複数回の接近禁止命令を申し立て,Aと相手方は,平成23年*月,別居した。相手方は,平成24年*月*日,○○州○○郡巡回裁判所(以下「裁判所」という。)に対し,Aに対する3回目の接近禁止命令を申し立て,裁判所は,相手方にG及び本件子らの暫定的監護権を付与する旨の接近禁止命令(以下「本件接近禁止命令」という。)を発令した。本件接近禁止命令に係る暫定的監護権の内容は,Aの養育時間を除き,相手方がG及び本件子らを監護するというものであり,Aの養育時間については,当初は監督付き養育時間が付与されたが,後に,裁判所の平成25年*月*日付け修正命令により,G及び本件子ら全員について,毎週水曜日の放課後から午後8時までの養育時間,Fを除く4名の子について,金曜日の放課後から日曜日の午後8時までの宿泊を伴う養育時間が付与されている。

(3)相手方は,平成26年*月*日(金曜日)開始に係るAの養育時間に関し,AがG及び本件子らと宿泊付きの面会をすることを了承した。この面会には,Gは行かず,本件子らが行き,Aは,週明けの同月*日(月曜日)午後2時に相手方に本件子らを返すことになっていたが,同時刻になっても所定の場所に現れず,この頃,本件子らを伴い,カナダを経由して日本に入国し(以下「本件連れ去り」という。),現在まで本件子らとともに日本に居住している。

(4)本件連れ去りの前である平成26年*月*日,相手方の提起していた裁判所の離婚裁判の手続において,相手方に本件子らの単独監護権を認めた上で離婚する旨の和解が成立していたが,本件連れ去り後の平成26年*月*日,裁判所は離婚判決をし,同判決において相手方に本件子らの単独監護権を認めた。

(5)相手方は,平成26年*月*日,Aに対し,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(以下「法」という。)に基づき,本件子らをアメリカに返還することを求める申立てをした。

(6)原審は,平成27年*月*日,相手方の本件申立てを認容し,Aに対し,本件子らのアメリカへの返還を命じる旨の決定をしたので,A及びBがこれを不服として抗告した。

2 Aの主張
(1)子の異議について

 法28条1項5号は「子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において,子が常居所地国に返還されることを拒んでいること」を子の返還拒否事由と定めているところ,次の諸点に照らせば,上記規定により,本件子らの返還は認められるべきではない。
ア Bについて
 Bは,家庭裁判所調査官による調査において,アメリカに帰りたくない理由について,アメリカに帰るとGとけんかになることを述べているが,このようなBの発言から,Bが,Gと一緒にいたくないだけで,アメリカに帰ることは拒絶していないと捉えるべきではない。すなわち,子の異議の内容を常居所地国において発生した状況やDVから完全に切り離して理解することは不可能であり,子の異議の主たる内容が常居所地国において発生した状況やDVに関するものであったとしても,異議の程度が強い場合には常居所地国への返還の拒否とみるべきである。そして,Bは,家庭裁判所調査官による調査(スケーリング・クエスション)において,今の状態を10点,日本に来る前の状態を1点と表現としていることなどに照らせば,その異議は合理的で強いものとみることができるから,アメリカに返還されること自体に異議を述べているとみるべきである。

イ Dについて
 Dは,家庭裁判所調査官による調査において,「アメリカに帰るか決める。うーん,もう分かんない。」と述べたが,成人でも,アメリカに帰るかを決める手続であることは理解できても,それ以上のことは,理解できないことはあり得るし,Dは,家庭裁判所調査官による調査において,来庁の目的などを正確に回答しているから,子供っぽい表現だけを捉えて,手続の意味を理解していないと判断することは極めて早計で危険であり,その意見を考慮に入れることが適当である年齢及び成熟度に達していたといえる。Dは,家庭裁判所調査官による調査において,アメリカに戻ることに対しては明確に「行きたくない。」と述べ,「ママが嘘をつく。」と述べるなど,アメリカに帰国させられることに対して強い懸念を表明している。異議の強さについても,スケーリング・クエスションにおいて,どのような条件であってもアメリカに帰国することは0点と評価しているから,アメリカに返還されること自体に異議を述べているとみるべきである。

ウ E及びFについて
 きょうだいを分離すべきではないから、B及びDのアメリカへの返還が認められない以上,E及びFのアメリカへの返還も認められるべきではない。 

(2)重大な危険について
 法28条1項4号は「常居所地国に子を返還することによって,子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること」を子の返還拒否事由として定めているところ,次の諸点に照らせば,本件子らについて上記の「重大な危険」が存在する。
ア 相手方は,ビザの申請を却下され,上訴しているが,Uビザを取得できる可能性は低い。Uビザを取得することができなければ,就労することができないし,運転免許を取得することもできない。本件子らがアメリカに返還されれば,生活に困窮する可能性が高い。相手方はアメリカの正規の滞在者ではないため,本件子らのために○○州から必要な援助を受けることはできない。

イ 本件子らがアメリカに返還されれば,Gから暴力を振るわれる可能性があるところ,アンダーテーキングの手法を採用していれば,本件子らの返還につき,Gと同居しないための措置を講じることを条件にすることもできるが,日本はアンダーテーキングの手法を採用していないから,アメリカに返還されれば,本件子らについて「重大な危険」があるとみるべきである。

ウ 本件子らはAと過ごすことを強く望んでいるが,本件子らがアメリカに返還されれば,Aと引き離されることとなり,精神的な危害に晒される。

第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,Aは,本件子らをアメリカに返還すべきものと判断する。その理由は,後記2のとおり,当審におけるAの主張に対する判断を付加するほかは,原決定の「理由」中「第3 争点に対する判断」に記載のとおりであるから〈中略〉,これを引用する。

2 Aの主張に対する判断
(1)子の異議について

ア Aは,BだけでなくDについても年齢及び発達の程度に照らして意見を尊重することが適切であるところ,子の異議の内容を常居所地国において発生した状況やDVから完全に切り離して理解することは困難であるから,子の異議の主たる内容が常居所地国において発生した状況やDVに関するものであったとしても,異議の程度が強い場合には常居所地国への返還の拒否とみるべきである旨主張する。

イ しかし,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約は,国境を越えた子の不法な連れ去り又は留置があった場合には,原則として子を元々居住していた国に返還することが子の利益に資するとの考え方を基本としているものと解され,そのように考える理由としては,子は,一方の親の都合によって国境を越えて不法に連れ去られ又は留置されることにより,異なる言語又は異なる文化環境での生活を余儀なくされるなどの有害な影響を受けると認識されていること,子の監護に関する紛争は,子が慣れ親しんできた生活環境のある常居所地国で解決することが望ましいと考えられることなどが挙げられる。このような条約及び法の趣旨からすると,常居所地国への返還を認めるか否かは,子の居住地として常居所地国と連れ去り先の国とのいずれかが適切かという問題であって,したがって,法28条1項5号で考慮すべき「子の意見」も,常居所地国で発生した諸状況やDVなど個別具体的な事情に関する意見ではなく,「子が常居所地国に返還されることを拒んでいる」か否かについて,子の意見を考慮することにあると解される。
 そして,Bが常居所地国であるアメリカに返還されること自体に異議を述べているものとはいえないことは,引用に係る原決定の「第3 争点に対する判断」中の2(3)に説示のとおりである。

ウ また,一件記録によれば,Dは,家庭裁判所調査官による調査において,来庁の目的を尋ねられると,「日本にいるために」と答えたものの,家庭裁判所調査官がもう少し説明してほしいと促すと,「うーん,分かんない。」と述べたことが認められる。そして,その後の家庭裁判所調査官による調査の内容は,引用に係る原決定の「第3 争点に対する判断」中の2(2)イに認定のとおりである。このように,Dは来庁の目的を一応明確に述べているものの,その後の家庭裁判所調査官による調査の状況に照らせば,来庁の目的を真に理解しているか疑わしい。また,Dの「アメリカに帰るかを決める。うーん,もう分かんない。」という発言が,自らの理解している範囲を認識した上でのものとも考えられない。そして,Dがその意見を考慮に入れることが適当である年齢及び成熟度に達しているか,また,その意見がD自身の記憶や考えに基づくものであることについて疑問が残るといわざる得ないこと,Dが常居所地国であるアメリカに返還されること自体に対する異議を述べているものとはいえないことは,引用に係る原決定の「第3 争点に対する判断」中の2(4)に説示のとおりである。

エ なお,Bは年齢及び発達の程度に照らしてその意見を考慮することが適切であるから,仮にBがアメリカに返還されること自体を拒んでいるとみることができるとすれば,きょうだいのうちBだけが日本で生活することになる。しかし,他のきょうだいと離れBだけが日本で暮らすことは,Bに悪影響を及ぼすおそれがあることについては,後記(2)ウに説示のとおり,仮にGのBに対する暴力があったとしても,それはきょうだいげんかの域を出るものではないこと,○○州では,DHSや裁判所等関係機関の関与を通して,相手方やGとの関係でBの保護が図られる見込みがあることなどの事情に照らせば,Bをアメリカに返還することがBの利益に資すると認められる。

オ したがって,Aの上記主張は,採用することができない。

(2)重大な危険について
ア 抗告人は,前記第2の2(2)のアないしウに照らせば,法28条1項4号の「重大な危険」が存在する旨主張する。しかし,次のイないしエに照らし,抗告人の上記主張は,採用することができない。

イ 相手方は,現在Uビザを申請中で取得できる見込みがないとはいえないこと,旅行ビザの申請を拒絶されたものの,旅行ビザとUビザは異なることは,引用に係る原決定の「第3 争点に対する判断」中の1の(1)及び(2)の各ウに説示のとおりである。

ウ Gが,平成26年*月頃,Bとけんかをして足にあざを生じさせたことはあったが(引用に係る原決定の「第3 争点に対する判断」の1(2)イ(ア)),これ以外に,GがAに傷害を負わせたことを認めるに足りる証拠はない。Aは,家庭裁判所調査官による調査において,「Gの物を勝手に触ったら,Gがすごく怒ってけんかして,引きずられたり殴られたりする。」と述べているものの,一方で,最後にけんかをしたときのことや一番大きなけんかになったときのことは「忘れた。」などと述べていることに照らせば,GがBに対して継続的に暴行を働いていたことは認められず,GがBに暴力を振るったことがあったとしても,それはきょうだいげんかの域を出ないものと考えられる。

エ 本件子らがアメリカに返還されれば,精神的な危害に晒されることを認めるに足りる証拠はない。

3 結論
 以上によれば,Aは,本件子らをアメリカに返還すべきであり,これと同旨の原決定は相当である。
 よって,本件抗告は理由がないから棄却することとして,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 浜秀樹 裁判官 宮永忠明 裁判官 木太伸広)
以上:5,416文字
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H30- 9-19(水):ハーグ条約実施法により常居所地国(米国)への返還を命じた家裁決定紹介1
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○ハーグ条約実施法28条1項4号及び5号の返還拒否事由の主張を排斥し,子の常居所地国(アメリカ合衆国)への返還を命じた平成27年2月27日決定(判タ1450号113頁)全文を2回に分けて紹介します。

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主   文
1 相手方は,子B,子D,子E及び子Fをアメリカ合衆国に返還せよ。
2 手続費用は各自の負担とする。

理   由
第1 申立ての趣旨

 主文第1項と同旨

第2 事案の概要
1 本件は,子B〈中略〉,子D〈中略〉という。),子E〈中略〉及び子F〈中略〉といい,上記4名の子らを併せて「本件子ら」という。)の母である申立人が,本件子らの父である相手方に対し,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(以下「法」という。)に基づき,本件子らのアメリカ合衆国への返還を求めた事案である。

2 前提事実
 本件記録によれば,以下の事実が認められる(以下の資料の引用については,枝番のあるものは枝番を含む。)。
(1)当事者等
 申立人及び相手方は,いずれも日本国籍を有する者であり,平成13年*月*日,アメリカ合衆国○○州の方式により婚姻し,同州における婚姻生活中,両名の間に申立外G(平成13年*月*日生。),B(平成15年*月*日生),D(平成18年*月*日生),E(平成20年*月*日生)及びF(平成22年*月*日生)が生まれた。
 申立人,相手方,G及び本件子らは,婚姻後,平成26年*月下旬頃まで,○○州に居住しており,同時点で,B,D及びEは同州の小学校に,Fは同州の保育園に在籍していた。

(2)本件子らの連れ去りに至る経緯等
ア 申立人は,平成21年以降,相手方に対する接近禁止命令を複数回申し立てており,平成23年*月には相手方と別居するに至った。
 申立人は,平成24年*月*日,○○州○○郡巡回裁判所(以下,単に「裁判所」という。)に相手方に対する3回目の接近禁止命令を申し立て,裁判所は,G及び本件子らについて,申立人に暫定的監護権を付与する旨の接近禁止命令(以下「本件接近禁止命令」という。)を発令した(甲7)。

 なお,本件接近禁止命令に係る暫定的監護権の内容は,相手方の養育時間を除き,申立人がG及び本件子らを監護するというものであり,相手方の養育時間については,当初は監督付き養育時間が付与されたが,後に,裁判所の平成25年*月*日付け修正命令により,G及び本件子ら全員について,毎週水曜日の放課後から午後8時までの養育時間,Fを除く4名の子について,金曜日の放課後から日曜日の午後8時までの宿泊を伴う養育時間が付与されている(甲8)。

イ 申立人は,平成26年*月*日(金曜日)開始に係る相手方の養育時間に関し,相手方がG及び本件子らと宿泊付きの面会を行うことを了承した。そこで,相手方は,本件子らと,宿泊を伴う養育時間に係る面会を開始した(なお,Gはこの時の面会に行かなかった。)。
 相手方は,週明けの同月*日(月曜日)午後2時に,申立人に本件子らを返すことになっていたが,同時刻になっても所定の場所に現れず,この頃,本件子らを伴い,カナダを経由して日本に入国し(以下「本件連れ去り」という。),現在まで本件子らと共に日本国内に居住している。
 なお,アメリカ合衆国は,本件連れ去りの時点において,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の締約国である。

ウ 本件連れ去りの前である平成26年*月*日,申立人の提起していた裁判所の離婚裁判の手続において,申立人に本件子らの単独監護権を認めた上で離婚する旨の和解が成立していたが,本件連れ去り後の平成26年*月*日,裁判所は離婚判決をし,同判決において申立人に本件子らの単独監護権を認めた。

3 争点
 上記前提事実によれば,法27条に定める子の返還事由である,本件子ら(いずれも16歳未満である。)の常居所地国がアメリカ合衆国であること,同国の法令によれば本件連れ去りが申立人の監護権を侵害するものであること,本件子らが日本国内に所在していることはいずれも認められる。
 本件の争点は,次のとおり,法28条の返還拒否事由の有無である。
(1)重大な危険(法28条1項4号)
(相手方の主張)
ア 本件連れ去りに至るまでの間,〔1〕申立人が本件子らに暴行を加える,〔2〕Gが本件子らに暴行を加えることがあるのに,申立人が適切な対応をとらない,〔3〕申立人が,本件子らに対し,日本語を使わせない,嘘をつくことを強制する,相手方が虐待者である旨告げるなど心理的虐待を加える,〔4〕FやBの皮膚疾患の治療を怠る,本件子らを自動車内に残したまま買い物をするなどのネグレクト(育児放棄)に及ぶ,〔5〕危険な運転行為をする,G及びBを恫喝する,申立人の同居人や友人が本件子らに暴行を加えたことについて対応を怠るなどの事情があり,これらに照らすと,常居所地国において本件子らが申立人から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれ(法28条2項1号)がある。

イ 申立人は,アメリカ合衆国に滞在するための有効なビザを所持しておらず,今後もビザを取得できるか疑わしい。このように,申立人がアメリカ合衆国に滞在できないおそれがあるから,申立人が同国において本件子らを監護することが困難な事情(法28条2項3号)があるといえる。

ウ これらを考慮すると,本件子らを返還することによって,その心身に害悪を及ぼすことその他本件子らを耐え難い状況に置くこととなる重大な危険(法28条1項4号)があるといえる。

(申立人の主張)
ア 申立人が本件子らに身体的暴行や虐待を加えたなどの事実はなく,その多くは日常的なきょうだいげんか等によるものであるし,申立人は,子らのけんかや皮膚の疾患等にも適宜の対応をしていた。なお,子らの生活状況については,DHS(Department of Human Services。○○州の機関であり,家庭内暴力や虐待等の報告を受けた場合,DHS所属のケースワーカーが,裁判所等他の機関と連携をとりつつ,家族の生活状況の調査,評価,虐待等の問題に対する対応及び関係機関に対する報告を行う。)の調査を経ているが,申立人の虐待は認定されていない。
 また,本件子らが返還された後も,アメリカ合衆国においては,DHS,警察,裁判所等の関与によって,本件子らの保護が図られる体制が整っている。

イ 申立人は,現在Uビザ(アメリカ合衆国内における家庭内暴力に係る犯罪被害等について,その捜査や起訴に協力する者及びその家族に対して発行されるビザ(乙15,16))を申請しており,これが承認される見込みである。また,Uビザの申請に係る審査結果が出るまでは,申立人がアメリカ合衆国外に退去させられることはない。

ウ したがって,法28条1項4号の返還拒否事由は認められない。

(2)子の異議(法28条1項5号)及び裁量による返還(法28条1項ただし書)
(相手方の主張)
 本件子らは,いずれも常居所地国に返還されることを拒んでいるから,法28条1項5号の返還拒否事由があるといえる。なお,E及びFについて,年齢及び発達の程度から,それらの子の意見が尊重されないとしても,きょうだいを引き離すことは,法28条1項4号に該当する。

(申立人の主張)
 少なくとも,E及びFについては,その意見を考慮すべき成熟度が認められない。B及びDについても,相手方が,本件連れ去り以降,申立人と本件子らとの接触を一切拒否しているとの事情に照らすと,その意見は,相手方の一方的な影響を受けたものであるといえるから,考慮すべきではない。
 仮に,B及びDにつき,法28条1項5号の返還拒否事由が認められるとしても,相手方が申立人及び本件子らに暴力や虐待を行ってきていることや,現在,申立人が本件子らの単独親権者に指定されていることなどの事情に照らすと,アメリカ合衆国にB及びDを返還することが子の利益に資すると認められるから,裁判所の裁量により両名は同国に返還されるべきである。

第3 争点に対する判断
1 重大な危険について
(1)本件記録及び上記認定事実によれば,以下の事実が認められる。

ア 本件子らの連れ去りに至る経緯等
(ア)申立人は,平成21年*月頃,相手方からの虐待等を理由として,裁判所に,相手方に対する接近禁止命令を申し立て,同命令を得た(甲28,48)。
 なお,○○州における接近禁止命令とは,相手方が申立人に接触することなどを禁止する旨の裁判所の命令であり,申立人が提出する申請書や裁判官による申立人との質疑応答により,相手方の虐待等の事実が認められることが発令の要件とされている。また,相手方は,命令に異議がある場合には,裁判所に対し,ヒアリングの手続を求めることができ,ヒアリングが求められた場合には,裁判官が申立人及び相手方双方の証言を聞いた上で,接近禁止命令の要件を満たすかを判断することとなる(甲28)。
 申立人は,平成21年*月頃,相手方に対する接近禁止命令の申立てを取り下げた。

(イ)申立人は,平成23年*月中旬頃,DHSに対し,相手方に対する身体的虐待について報告したことから,DHSが申立人らの生活状況について調査を開始した。
 この頃,相手方は,DHSの保護措置により,自宅を出て申立人及び子らと別居するようになった。
 なお,この頃の調査に係るDHSの報告書(甲24)には,DHSのケースワーカーが申立人,相手方及び子らから監護に係る事実関係や意見を聴取した内容や,それらの調査に基づき,相手方の申立人や子らに対する身体的虐待や家庭内暴力が認められたことなどが記載されている。
 また,同月,申立人は,裁判所に相手方に対する接近禁止命令(2回目)を申し立て,同命令を得た(甲28)。

 平成24年*月頃,DHSは,裁判所に対し,子らの監護が適切でないとして裁判所の管轄下に移す旨の申立てをした(甲15)。この申立てを受けて,裁判所の委託を受けたDHSが,申立人や子らに対する生活状況の調査等を行い,その結果を裁判所少年部へ報告するようになった(甲15,47)。なお,裁判所少年部が子らの監護に関与する状況は,平成25年*月頃まで継続した(乙48)。
 平成24年*月頃,DHSは,相手方が申立人や子らに対し虐待を加えまたは加えるおそれがある旨の調査結果をまとめ,申立人に報告している(甲16)。
 同年*月頃,申立人は,相手方に対する接近禁止命令の申立て(2回目)を取り下げた(甲47)。

(ウ)同年*月頃,申立人と相手方が自宅において口論になるなどし,警察やDHSが介入する事態となった。こうした事態を受けて,申立人は,同月*日,本件接近禁止命令の申立てを行い,同命令が発令された。
 相手方は,本件接近禁止命令に対して,裁判所にヒアリングの手続を求め,裁判官に対して意見を述べるなどした。なお,この頃,相手方も,申立人に対する接近禁止命令の申立てをし,申立人の子らに対する暴力があった旨主張したが,同申立ては裁判所により却下されている(甲28,47)。
 以後,相手方は,基本的には裁判所が定めた養育時間に沿って,申立人と連絡を取りながら,子らとの面会交流を継続した。なお,Gは,遅くとも平成25年*月頃,相手方との面会に行かなくなり,以降,相手方とGとの面会は,ほぼ行われていない(甲19,相手方本人)。

(エ)同年*月頃,申立人は,裁判所に対し,相手方との離婚を求める裁判を提起した。
 離婚裁判の手続においては,申立人,相手方の各代理人弁護士の間で,裁判所少年部での手続において収集された資料等の開示を踏まえて協議がされた。
 相手方は,離婚裁判手続の当初は,子らの監護権を主張する意向を有していたが,相手方の代理人であったH弁護士の助言もあり,子らの監護権者を申立人とすることに同意しつつ,子らとの面会交流を充実させるとの方針を有するに至った。そして,申立人と相手方は,平成26年*月*日,同離婚裁判の手続において,申立人が子らの単独監護権者となり,相手方は,宿泊を含む子らとの面会交流(養育時間)ができるという条件で離婚する旨の和解をした。
 なお,和解後も,申立人と相手方の代理人間で,養育時間に係る細則や金銭面に係る離婚条件についての協議が継続していた(乙49)。

(オ)
a 相手方は,平成26年*月頃以降,DHSに対し,DHSが子らに対する虐待について適切な対応をしていない,DHSの対応が差別的であるなどと苦情を申し立てる,申立人の滞在資格について調査すべきである旨上申する,DHSの相手方に対する連絡や調査に関し通訳を要求するなどした(甲50)。
 これを受けて,DHSは,申立人,相手方及び子らとの面談等により子らの生活状況を確認する,相手方との面談等の際に通訳を同席させるなどの対応をした(甲50)。
 また,相手方は,同年*月*日頃,DHSの担当者に対し,Gが本件子らを虐待していること,申立人のGに対するネグレクトがあることなど複数の事情を挙げ,本件子らの監護状況に係る問題について調査を求める旨のメールを送信した(乙53)。なお,相手方は,これに対する回答を得ないまま本件連れ去りに及んでおり,それまでの間,DHSに回答を催促したり,調査状況を問合せたりはしていない(相手方本人)。

b 相手方は,平成26年*月頃,離婚裁判においてG及び本件子らの監護権を得たいと考えるようになり,上記H弁護士に,申立人の滞在資格について確認した上で,相手方が離婚訴訟において監護権を得るための手続をするよう依頼した。同弁護士は,相手方に対し,申立人の滞在資格に関する情報を得ることが困難であることや接近禁止命令されているなどの事情を踏まえ,そうした手続は控えた方が良い旨回答した(乙50,54)。
 その後,相手方とH弁護士の関係は次第に悪化し,相手方がH弁護士を介さずに直接裁判所に連絡をすることもあった(乙51)。

c 裁判所は,平成26年*月*日,上記(エ)の和解に基づき,申立人と相手方との離婚を認めるとともに,申立人に対し,子らの単独監護権を与える旨の判決をした(甲9)。同判決は,子らの養育計画に関し,相手方に子らとの宿泊を伴う養育時間を付与するとともに,養育時間に関する雑則や子らの監護に係る申立人及び相手方の権限等についても定めるものであった。

(カ)申立人は,平成26年*月*日,本件の申立てをした。
 本件申立て後,申立人は,本件子らとのスカイプの方法による面会を求め,代理人を介するなどして相手方と協議したが,相手方は本件子らの意向に反するなどとしてこれに応じず,結局,本件連れ去り後,現在に至るまで,申立人と本件子らとの間では,何ら交流がない状況にある。

イ 子らの監護状況等
(ア)申立人の監護状況等
a 平成24年*月頃,申立人は,DとEを自宅に残したまま,自動車を運転して,バス停まで他の子を迎えにいくことがあった。この件は,申立人の弁護士によりDHSに報告され,DHSにより申立人のネグレクトと評価された。
 こうした事情を踏まえ,DHSは,同年*月,裁判所少年部の手続において,申立人のネグレクトを追加した内容の修正申立書を提出し(甲47),同年*月付けの報告書に,申立人に子らに対するネグレクトのおそれがある旨記載した(乙43)。

b 平成24年*月頃,申立人は,自動車を駐車する際,他の自動車と接触する事故を起こしたが,そのまま現場を立ち去った(甲47)。この事故は,後に民事的に処理された。

c 平成24年*月頃,当時申立人と同居していたI氏が,申立人不在の折,Gの首をつねることがあり,Gの首に指先大の傷を負わせた(乙36,37)。この傷を見た相手方がDHSに通報したところ,申立人もDHSからの指摘で事情を把握するに至り,程なくしてI氏を自宅から退去させた(甲42,47)。

(イ)平成24年*月ないし*月頃撮影の写真によれば,Gの足(乙17),Eの額(乙18)及びFの額(乙19,20,21)について,若干肌の一部が変色している状態が認められ,また,Fの背中に痣様のもの(乙23)が生じている。
 これらの写真に係る子の状況については,相手方がDHSに報告し,DHSによる調査がされたが,原因は明らかになっておらず(相手方本人),また,本件全資料によっても,上記傷が相手方の主張するような申立人の行為によって生じたとは認められない。

(ウ)平成24年*月頃撮影の写真(乙29)によれば,Fの膝裏に肌荒れがあり,平成26年*月から*月頃撮影の写真(乙33,34,35)によれば,Bの腕や足に湿疹が生じており,Bは,腕や足に包帯様の布を巻くなどしている。
 申立人は,こうした肌の疾患について,医師の診察を受けさせる,処方された薬を塗布するなどの対応をしていた(甲42)。
以上:6,944文字
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H30- 9-19(水):ハーグ条約実施法により常居所地国(米国)への返還を命じた家裁決定紹介2
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○「ハーグ条約実施法で常居所地国(米国)への返還を命じた家裁決定紹介1」の続きです。


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(エ)平成25年*月頃,申立人とFがバスから降りる際,Fが左手小指を負傷したことがあり(乙30,31),申立人は,直ちに隣人に頼んでFを救急病院に連れて行き,縫合治療を受けさせている(甲42)。なお,相手方は,DHSのケースワーカーにこの負傷の件につき詳しく質問しており,報告書に記載されている(甲42,47)。

(オ)平成25年*月頃,申立人が,GとBのけんかを止めるために,Bを家の外に出そうとして,その体を床に引きずったため,Bが背中にけがを負った(甲23,乙1,24,25)。この件については,相手方からDHSに報告がされ,申立人,G及びBへの聞き取りも行われたが,特に虐待とは認定されなかった(甲23,34)。

(カ)Gは,本件子らとけんかをすることがあり,平成26年*月頃,Bの足にあざ(乙2)ができたことがあった(甲23)。
 なお,相手方は,Gが,同年*月ないし*月頃,Eの腕及び顔(乙4,5,27)並びにFの首,腕及び顔(乙6,26,28)に,痣や引っ掻き傷等のけがを負わせることがあった旨主張するが,提出された写真からは,上記傷が,他人からの行為により生じたものか,自傷(Fはアトピー性皮膚炎の症状があることが認められる(甲23)。)によるものか判明せず,他に,上記傷がGにより加えられたと認めるに足りる資料もないから,この点に関する相手方の主張は採用できない。

(キ)平成26年*月ないし*月頃,Fの足指が一部変色した状態になった(乙32)。申立人は,これについて,医者からきつい靴を避けるようにと指導された旨相手方にメールで連絡した(甲42,45)。

(ク)平成26年*月頃撮影の写真によれば,Dの左腕にけがが生じている(乙3)。申立人は,このけがに関し,Dに医師の診察を受けさせるとともにDHSに報告し,DHSの担当者が,申立人,相手方及びDから事情を聴取するなどしたが,原因は判明せず,結局,本件連れ去りによりDHSの調査は中断された(甲23,42,50)。なお,上記けがについて,相手方は,申立人がDに熱湯をかけてやけどさせた旨主張するが,診断医からDHSに対しては,子供達が虐待を受け,又は不適切な扱いを受けたという懸念はない旨報告されている上(甲50),相手方の主張を裏付ける的確な資料はない。

(ケ)平成26年*月頃,申立人は,自宅を留守にする際,知人のJ氏に子らの世話を頼んだ。その際,J氏が,飲酒の上,Bの体にのしかかるなどの行動に及んだ。申立人は,帰宅後にBからそのことを聞き,以後,J氏に子らを預けることを止め,同人との交流も控えるようになった(甲42)。

ウ 申立人の滞在資格
 申立人は,現在,有効なビザを有していないが,○○州の弁護士に依頼してUビザを申請中である。同弁護士によれば,Uビザの申請者は,審査期間中アメリカ合衆国外に退去させられることはなく,申立人については,審査を経て,Uビザを取得できる見通しであるとされている(甲29)。

(2)判断
ア 法28条1項4号に定める「重大な危険」とは,子を耐え難い状況に置くこととなる危険の内容が重大であることを意味すると解される。以下,かかる事情が認められるか検討する。


(ア)上記認定事実のとおり,申立人が子らと同居生活をする中で,本件子らが,引っ掻き傷やしばらく痣が残る程度の打撲等のけがを負うことがあり,その原因が断定できないものもあるが,少なくとも,上記認定のとおり,平成25年*月頃にBの背中に負わせた背中のけが(乙1,24,25)については,申立人の行為が原因となっており,また,平成26年*月頃,Gとのけんかにより,Bの足にあざ(乙2)が生じたことが認められる。また,申立人が幼い子を自宅に残して外出したことや,申立人の留守中に,申立人の知人が本件子らに対する不適切な行為に及んだとの事情も指摘できる。こうした事実関係に照らすと、申立人の監護状況に不適切な面がなかったとはいえない。

(イ)しかしながら,申立人がBに負わせた上記背中のけがは,Gとのけんかを止めようとしてできたもので,かかる行為を虐待と認めることはできず,また,GがBに対して負わせたけがは,通常の日常生活の中で生じ得る程度のものであり,いずれのけがも,それ自体重大なものであるとまでは評価し難い。 

 申立人は,本件子らの皮膚の疾患や,バス降車時の事故については,適宜医師の診療を受けさせるなどの対応をしており,申立人の本件子らに対するけがや病気への対応が,DHSにより,ネグレクトと評価された行為以外に,不適切だったといえない。また,申立人は,知人の不適切な行為を知るや,知人との交流を控えるなど適宜の対応をしており,さらに,DHSや裁判所少年部の関与等によって,子らの保護のための措置が採られる状況もあったが,これらの保護措置によって十分に対応がされていることがうかがえるから,本件子らの監護状況に重大な問題があったとまではいい難い。

 加えて,面会交流を通して本件子らの状況を把握していた相手方が,平成26年*月*日,離婚裁判において,申立人に子らの監護権を付与する内容の和解をしていることに照らすと,この時点においては,相手方も,申立人の監護に問題を感じていたとしても,これによって監護権を与えられないほどではないと認識していたことがうかがわれる。また,相手方は,平成26年*月頃までの間,この和解に基づいて申立人と監護権についての協議を求めていることに照らし,平成26年*月頃までの間に関しては,相手方の認識からも,申立人の監護や子らの状況に和解前と大きく変わった問題はなかったものと推認される(乙54)。

 なお,相手方は,上記和解について,DHSの差別的で不公正な手続により,離婚訴訟で監護権の主張をするのが困難な状況に陥り,不本意ながら申立人に監護権を付与する旨の和解に応じた旨主張する。しかしながら,上記認定のとおり,従前から,DHSは相手方の意見を聴取しており,また,相手方の報告を受けて,申立人に対して監護上の問題について指摘したり,申立人のネグレクトを認定して裁判所に報告したりしていることにも照らすと,DHSの手続が差別的で不公正なものであったとは認められない。

(ウ)相手方は,平成26年*月頃以降の事情について,本件子らのけがを確認するとともに,申立人やGのところに帰りたくない旨の本件子らの訴えがより切実なものとなったが,DHSの対応には期待できず,離婚訴訟における監護権の取得についても弁護士の協力を得られそうになかったことから,本件子らを守るために,やむを得ず本件連れ去りに至った旨主張する。

 確かに,同年*月頃には,申立人の知人が飲酒の上不適切な行為に及ぶなどの事情があり,申立人の監護状況に一定の不安が生じていたことは否定できない。
 しかし,従前の状況との比較で見れば,平成26年*月頃以降,本件子らが重大なけがを負うようになったとはいえず,この時期に申立人の監護状況が急激に悪化したなどの事情はうかがわれない。

 また,相手方は,同年*月以降も,DHSの担当者に対し,面談や電話を通して子らに関する懸念を伝えており,同年*月*日頃には,複数の問題点を挙げて調査を求める内容のメールも送信しているところ,DHSにおいても,これを踏まえて継続的に子らの生活状況を調査するなどの対応をしており,さらに,DHSは,相手方の要求を受けて,通訳を手配するなどの対応もしている。こうした状況に照らすと,同年*月以降も,下記(エ)で指摘するとおり,DHSの関与等により子らの保護が図られる見込みがある状況があったといえるのであり,相手方においても,DHSによる対応をなお期待できる状況にあったといえる。なお,離婚訴訟に関しても,代理人であったH弁護士との関係が悪化したのであれば,他の弁護士に依頼するなどして監護権の主張を行うことも検討できたはずである。
 このような,同年*月以降における本件子らのけがの程度や,相手方においてもなおDHS等の対応を期待できる状況にあったことに照らすと,上記相手方の主張を踏まえて検討しても,この時期において,申立人による本件子らの監護状況に特段の問題が生じるに至っていたとは認め難い。

(エ)また,本件子らをアメリカ合衆国に返還した場合の危険性について検討する上では,返還後,同国において,本件子らを保護しその危険性を減ずる措置がとられるかも重要な考慮要素である。
 この点,アメリカ合衆国○○州では,DHSや裁判所等関係機関の関与を通して子らの保護が図られる制度があり,現に,本件連れ去りに至るまでの間,本件子らの監護について,これらの制度が有効に機能していたといえる。こうした事情に照らすと,本件子らがアメリカ合衆国に返還され,申立人とともに生活することになった場合においても,申立人の監護状況に問題があれば,必要に応じて,上記の制度により本件子らの保護が図られる見込みがあるといえる。こうした事情は,本件子らの監護に係る危険性を相当程度減じるものであると評価できる。

(オ)なお,相手方は,これまでに認定又は指摘した事実のほかにも,申立人の監護に関する問題点について種々主張する。しかし,その主張については,いずれも,当該事実を認めるに足りる資料がないか,又は,その主張内容のほか,上記(エ)のとおりアメリカ合衆国において保護の措置が利用できる状況があることも併せ考慮すると,返還後の本件子らの重大な危険を基礎付けるものとは評価できないものであり,本件の判断を左右するものとはいえない。

ウ 申立人の滞在資格については,上記認定事実のとおり,申立人は,現在Uビザを申請中であり,ビザの申請に係る弁護士の見解に照らすと,これを取得できる見込みがないとはいえず,現時点において,申立人がアメリカ合衆国から退去させられるおそれがあるとは認められない。
 なお,相手方は,申立人が旅行ビザの申請を拒絶されたことを指摘し(乙49),申立人のUビザ申請が認められる可能性が低い旨主張するが,もとより旅行ビザとUビザは異なるものであり,相手方の主張に合理的な根拠があるとは言い難い。

エ 以上のとおり,従前の申立人の本件子らの監護状況,裁判所少年部やDHS等による本件子らの保護が期待できること,申立人の滞在資格について直ちにアメリカ合衆国から退去させられるおそれがあるとはいえないことを考慮すると,本件子らの返還について,本件子らを耐え難い状況に置くこととなる危険の内容が重大であるという事情は認められない。
 したがって,法28条1項4号の返還拒否事由があるとはいえない。


2 子の異議について
(1)法28条1項5号は,「子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において,子が常居所地国に返還されることを拒んでいること」を子の返還拒否事由と定めているところ,〔1〕子が,その意見を考慮に入れることが適当である年齢及び成熟度に達していること及び〔2〕子の意見が,常居所地国に返還されることに対する異議であることが要件であると解されるので,以下検討する。

(2)本件記録によれば,平成27年*月*日,家庭裁判所調査官(以下「調査官」という。)により,本件子らの意向及び心情の調査が行われた。本件子らの陳述状況は,要旨次のとおりである。
ア B(調査当時11歳)
 Bは,調査官の手続にかかる説明(元々住んでいた国に戻るかどうかを決める手続であること,誰と一緒に暮らすかを決める手続きでないことなど)をおおむね理解した上で,本件の意向について,「日本にいたい。」と述べ,その理由について,「アメリカに帰ったら,Gとけんかになる。(中略)引きずられたり殴られたりする。」「ママに言っても何もしてくれなくて,それでGの部屋に入ろうとすると,出なさいと言われる。」などと述べて,Gや申立人との関係に関する懸念を示した。

イ D(調査当時8歳)
 調査官が,言いたいことを教えてほしい旨告げると,Dは,「何か・・・ママが嘘をつくとか。」「何か・・・アメリカにいるとき,ママがプリンタを買って,インクだけ使って,店に返して壊れているって言った。」などと述べた。
 続けて,調査官が手続に係る説明をすると,Dは,説明の途中で「日本にいたい。」と述べた。調査官が続けて上記アと同様の説明をしたところ,Dから再度の説明を求められたため,再度説明を行った上で理解したかを確認すると,Dは「アメリカに帰るかを決める。うーん,もう分かんない。」と述べた。

 調査官がアメリカ合衆国にいたときのことを質問した際,Dは,Gに叩かれたことなどを「虐待」という言葉を使って説明したが,虐待とはどういうことかとの問いに対しては「忘れた。」と答えた。また,Dは,左前腕を示して,申立人にお湯をかけられたと説明したが,調査官がさらに尋ねると,「ダダ(相手方)の家で寝ているときで,朝起きたらあった。」などと説明した。

 こうしたやりとりの後,Dは,本件の意向について,アメリカ合衆国に「行きたくない。」と述べ,その理由として「ダダ(相手方)といたいから。」,アメリカ合衆国の悪いところについて,「ママが嘘をついているし,お姉ちゃんが殴るとか叩くとか蹴ったりすること。」などと述べた。

ウ E(調査当時6歳)
 調査官が,本件子らをアメリカ合衆国に戻すかどうかについて父母が話合いをしていること,そのことについて子にも言いたいことがあると聞いたので来てもらったことを説明した上,説明内容について理解できたか尋ねたところ,「分かんない。」と述べた。
 Eは,アメリカ合衆国に「帰りたくない。」と述べたが,その理由については「分かんない。」と述べた。

エ F(調査当時4歳)
 調査官が意向を確認しようとしたが,本件に関する会話は成立しなかった。

(3)Bの意見について
 上記認定事実に照らすと,Bは,調査官の手続に係る説明をおおむね理解した上で,主にGや申立人との関係に係る懸念を示して,日本にいたい旨述べており,こうした発言にも照らすと,その意見を考慮すべき年齢及び成熟度に達しているといえる。
 しかし,その意見の実質は,主に,申立人及びGの下に返還された際に,Gとのけんかがあり得ることや,それについて申立人が適切な対応をしてくれるかについての懸念を示すものにすぎず,Bがアメリカ合衆国で生まれ育ち,アメリカ合衆国での生活を拒否するような客観的な事情がうかがわれないことにも照らし,常居所地国であるアメリカ合衆国に返還されること自体に対する異議を述べているものとはいえず,上記(1)の〔2〕の要件を満たしていない。

(4)Dの意見について
 上記認定事実に照らすと,Dは,調査官の手続に関する説明について,「分かんない。」などとも述べており,本件手続の意味を十分理解しているかは疑わしい。
 また,Dは,日本にいたいという意向を示し,その理由として申立人の言動やGの暴力を挙げるが,その説明について,意味をよく理解していないと思われる「虐待」という言葉を用いたり,あいまいな説明をしたりもしている。加えて,本件連れ去り以降,申立人と本件子らとの間でスカイプ等の方法による交流が絶たれた状態にあることも考慮すると,Dが,相手方から影響を受けるなどして,不正確な記憶や相手方の意向に基づいて話をしている可能性もうかがわれる。

 こうした事情に照らすと,Dがその意見を考慮に入れることが適当である年齢及び成熟度に達しているか,また,その意見がD自身の記憶や考えに基づくものであることについて疑問が残ると言わざるを得ない。また,この点を措き,Dの意見を考慮するとしても,Dの意見の実質は,Bと同様,申立人及びGとの関係についての懸念を示すものにすぎず、Dがアメリカ合衆国で生まれ育ち,アメリカ合衆国での生活を拒否するような客観的事情がうかがわれないことにも照らし,常居所地国であるアメリカ合衆国に返還されること自体に対する異議を述べているものとはいえないから,結局,上記(1)の〔2〕の要件を満たしていない。

(5)E及びFの意見について
 上記認定事実によれば,調査官による調査の際,E(調査当時6歳)は,アメリカに帰りたくないとは述べたが,その理由については分からない旨述べるだけであり,F(調査当時4歳)については,そもそも本件に係る会話が成立せず,こうした調査の状況に照らすと,E及びFについては,その意見を考慮に入れることが適当である年齢及び成熟度に達しているといえないことは明らかであり,いずれも上記(1)の〔1〕の要件を満たしていない。 

(6)したがって,本件子らについて,法28条1項5号の返還拒否事由があるとはいえない。

第4 結論
 以上によれば,本件子らのいずれについても,法27条の返還事由が認められ,かつ,法28条所定の返還拒否事由は認められないから,本件子らの返還を命じることとし,手続費用の負担につき,法55条1項を適用して,主文のとおり決定する。


以上:7,085文字
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H30- 9-18(火):”池上彰の世界を知る学校”紹介-EUの理想と現実
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○「”池上彰の世界を知る学校”紹介-アメリカとはどのような国か」の続きで、第3時限目「EUの理想と現実」備忘録です。

・EUの目的
ヨーロッパから戦争をなくす、ヨーロッパを平和にするための試み
ヨーロッパ統合の父は、日本名青山栄次郎のリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギーがパン・ヨーロッパ(汎欧州)主義提唱-同じ文化を持つヨーロッパは一つになるべきだ
しかし、ナチスドイツから弾圧を受けアメリカに亡命し第二次世界大戦後ヨーロッパに戻り汎ヨーロッパ運動推進

・ドイツを押さえ込むためのEU
第二次世界大戦後、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)成立-ドイツが二度と戦争しないように、ドイツ・フランス間のアルザス・ロレーヌで作られて鉄鋼業が軍事産業に使われないように監視
参加国は西ドイツ・フランス・イタリア・ベルギー・ルクセンブルク・オランダの6カ国-ベーシック6
アルザス・ロレーヌ地方は、ドイツ語圏・フランス語圏を交錯してきたため住人には独語・仏語を使えるバイリンガルが多く現在は独仏反目から独仏友好の象徴
フランスの核はドイツ向け、フランスはドイツを極度に恐れていた

・イギリスがECに入れなかった理由
1952年欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)成立後1958年欧州経済共同体(EEC)に発展-石炭・鉄鋼に限らず関税を出来るだけ減らして貿易の活性化を図る
さらに欧州原子力共同体(EURATOM)発足-ヨーロッパ全体で一緒になって原子力開発目指す
欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)・欧州経済共同体(EEC)が一緒になって1967年欧州共同体(EC)成立-当初はベーシック6カ国が、1973年イギリス・デンマーク・アイルランド加盟
イギリスはEC加盟を当初から望んでいたが、フランスのド・ゴール大統領の猛反対で加盟できず、同大統領死去後の1973年ようやく加盟実現
ド・ゴール大統領は、イギリスのチャーチルとアメリカのルーズベルトのフランスに対する策略を警戒
ドイツ・フランス、イギリス・フランスは歴史的に不仲

・ヨーロッパの国境をなくすことを目指す
1980年代欧州共同体(EC)にギリシャ・スペイン・ポルトガルが加盟し12カ国
目的は関税の撤廃だったが、国家機能の統合に視野が広がり、欧州合衆国の成立を目指す
1992年マーストリヒト条約締結から1993年11月欧州連合(EU)成立、「EUの旗」青地に金の星が12個並ぶ、加盟国28カ国になっても12個変わらず-12は1ダースの基本だから

・国際警察組織の誕生

以上:1,032文字
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H30- 9-17(月):平成30年第13回新司法試験合格者発表雑感
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○司法試験合格者数の記事は、「平成27年第10回新司法試験合格者発表雑感」以来です。平成27年合格者数は1850人でしたが、平成30年は1525人と300人以上減っています。平成27年当時日弁連が主張していた1500人に近づいているようです。

○1525人中、予備試験組は336人で2割を越え、合格率も77%とダントツのトップです。我が母校東北大学法科大学院は、合格者15名で全体の19位、合格率27%で全体の13位です。合格率は、予備試験組がダントツトップのところ、第2位は60%でなんと東北学院大学法科大学院でした。同大学院は平成25年3月には募集停止しており、卒業生が頑張っているようです。

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司法試験合格者1525人 予備試験組2割超に
日経新聞社会2018/9/11 16:00


法務省は11日、2018年の司法試験に前年より18人少ない1525人が合格したと発表した。3年連続減となったが、政府が年間目標とする1500人は上回った。合格率は3.25ポイント増の29.11%と2年連続で上昇。法科大学院を修了しなくても受験資格を得られる予備試験組の合格者は過去最多を更新し、合格者全体の2割を超えた。

受験者数は前年比729人減の5238人。現行試験に一本化された11年以降で最少だった。
合格者の内訳は男性1150人、女性375人。平均年齢は28.8歳、最年長は68歳、最年少は現行試験で最も若い19歳だった。
法科大学院を修了した合格者が64人減の1189人(合格率24.75%)だったのに対し、予備試験組は46人増の336人(同77.6%)だった。

法科大学院別の合格者は多い順に京都大、東京大、慶応大、早稲田大、中央大など。合格者ゼロの大学院は9校だった。京都大でも合格率は6割を切り、予備試験組に水をあけられた。
法科大学院を中心にした現在の司法試験制度は06年に始まった。11年に現行試験に一本化するに当たり、経済的な理由などで法科大学院に通えない人のための例外措置として予備試験が導入された。

しかし費用や時間的負担をかけずに済む「法曹への近道」として、優秀な学生が予備試験ルートを選択するようになり、法科大学院離れを招く一因となった。
一方、文部科学省によると、18年度の法科大学院の志願者数は前年比102人減の8058人と底打ち感もみられ、学生の法科大学院離れに一定の歯止めがかかるとの見方もある。


平成30年法科大学院別司法試験合格者最終合格者降順


平成30年法科大学院別司法試験合格者合格率降順


以上:1,095文字
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H30- 9-16(日):2018年09月16日発行第229号”弁護士も皆さんそうしてます”
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横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成30年9月16日発行第229号「弁護士も皆さんそうしてます」をお届けします。

○様々な国の人を説得して、川に飛び込ませるにはどうしたらよいかについては、ドイツ人には「規則では海に飛び込むことになっています」、フランス人には「海に飛び込まないで下さい」、ロシア人には「最後のウオッカのビンが流されてしまいました。今追えば間に合います」、中国人には「おいしそうな魚が泳いでましたよ」、国ではありませんが大阪人には「阪神が優勝しましたよ」だそうです。

○付和雷同と言う言葉は、一般には、自分の確固たる意見を持たず、たやすく他人の意見に同調するとの悪い意味で使われますが、よく言うと多数派の意見を尊重して協調性を重視することです。私の扱っている交通事故事案は、専門医の間でも意見の分かれる厳しい争いが多く、裁判官は専門医ではありませんから、自分の確固たる意見は持てません。この場合、多くの裁判官は請求する側に厳しい見解を取ります。立証責任は請求する側にありますので、立証に少しでも疑問があれば認めないとの見解になりがちです。この「裁判官も皆さんそうしてます」になるのが、悔しいところです。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士も皆さんそうしてます


様々な国の人を説得して、川に飛び込ませるにはどうしたらよいかという笑い話があります。アメリカ人には、「飛び込めばヒーローになれるぞ!」、イギリス人には「紳士は飛び込むものだ。」、イタリア人には、「飛び込めば、女性にもてるよ。」と言えば良いそうです。

日本人の場合はどうかというと、「他の人も、皆さん飛び込んでます。」と言えば良いんですね。ことほど左様に、日本人は他人に影響され易いそうですが、これって、別に日本人だけの特徴じゃないんです。アメリカの心理学の本に、人の意見を変えさせるにはどうすれば良いのか書いてありました。「どんな状況下で、あなたは自分の意見を変えますか?」といった抽象的な質問をすると、多くのアメリカ人は、「納得のいく理由を説明してもらったとき。」と回答します。

ところが、現実にどういう場合に意見を変えたかを分析すると、理論によって説得されることはほとんどないそうです。「皆がそうしている」場合に、大多数の人は自分の意見も変えたのです。物を売る人達は、こういうことをよく分かっていますから、宣伝の文句に、「何百万人が使っています。」とか、「全米興行収益NO.1」みたいな言葉を使うんです。みんな使っているから間違いないということです。

弁護士の場合も、「皆さんそうしています」というのは、とても大切なんです。私は、20年ほど昔に、アメリカのロースクールに留学していました。アメリカは判例法の国ですから、多くの裁判例が蓄積されています。それだけに、頑張れば頑張るほど「皆さんこうしています」といえる裁判例が見つかるんです。自分の主張を有利にするために、似たような裁判例を集める方法を学びました。

最近は日本でも、過去の裁判例が整備されてきています。そうなると、紛争が生じるとすぐに、依頼者にとって有利な裁判例を沢山見つけようとするんです。「皆さんそうしています」というのが事実上、裁判官に対しても、一番効力があると信じているからです。

裁判官だけでなく、検察官にも「皆さんそうしています」は活用出来ちゃいます。多くの犯罪では、被害者と示談することがとても重要です。しかし、被害者の情報は、検察官を通してお願いし、本人の了解がないと教えて貰えません。そん中、検察官からどういう風に伝えて貰えば、被害者様が会ってくれるのかが一番大切な問題です。うちの事務所では、検察官に次のように被害者に伝えるようお願いしています。「示談するかどうかは別にして、皆さん弁護士に会うだけ会って話を聞いていますよ。」こう伝えて貰えると、会って貰える確率が高くなるのです!

刑事事件で、起訴するか否かについて、検察官には非常に広い裁量権があります。同じような事件でも、検察官によって、起訴か不起訴か分かれることはよくあるのです。うちの事務所では、依頼者を不起訴にするために、検察官を何とか説得するよう全力で当たります。しかし説得にあたり、どんなに理屈で攻めても駄目なんですね。「はいはい。ご意見はお伺いいたしました。」なんて感じで対応されちゃいます。

そこで、うちの事務所では類似事案について、他の検察官がどういう処分をしたかの一覧表を作成しています。それを持参して、「この検察官も、この検察官も、似たような事件で不起訴にしてますよ。」というと、「皆そうしているならまあいいか。」と、不起訴にしてもらえる場合がとても多いのです。もっとも、先日これをしたところ、相手の検事さんも、自分で沢山の先例を調べて、「多くの検察官が起訴しています!」と言われちゃいました。

け、検事さん、止めてください。皆さんがどうとかではなく、り、理屈で考えてください。ううう。。。

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◇ 弁護士より一言

うちの子供たちが、親に対して何かおねだりするときの決まり文句が、「他の子もみんな持っているよ!」なんですね。「みんなって、誰だよ!」なんて言いながらも、本当にみんなが持っているなら、ついつい買ってしまいます。

考えてみますと、私も自分の親におねだりするときは、同じように言ってました。この親にしてこの子ありなんですね
以上:2,346文字
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H30- 9-15(土):離婚後の再婚と養子縁組により養育費の減額を認めた家裁審判紹介
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○「離婚後の再婚と養子縁組により養育費の減額を認めた高裁決定紹介」の続きで、その第一審である平成29年10月20日旭川家裁審判(判時2373号49頁)を紹介します。

○事案は、
・申立人と相手方は、平成24年×月に婚姻し、平成25年×月、長女A(未成年者)をもうけたが、平成27年×月、未成年者の親権者を相手方として、養育料月額金4万円をする公正証書を作成して協議離婚、
・申立人は、平成29年×月、再婚し、同月再婚相手の長男及び長女と養子縁組
・申立人は、相手方に対し、平成29年×月、旭川家庭裁判所に養育費減額調停を申し立てたが不成立




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主   文
一 当事者間の旭川地方法務局所属公証人小鹿愼作成の平成27年××月××日付け子の監護に関する契約公正証書(平成27年第×××号)第二条に定められた未成年者の養育費の支払義務のうち平成29年××月分以降について、次のとおり変更する。
 「甲(本件申立人)は乙(本件相手方)に対し、丙(本件未成年者)の養育費(学費に要する養育費を含む。)として、平成29年××月から丙(本件未成年者)が満20歳に達する日の属する月まで、一か月金3万3000円ずつを毎月5日限り、持参又は乙(本件相手方)の指定する金融機関の乙(本件相手方)名義の預貯金口座に振り込んで支払う。
 振込手数料は甲(本件申立人)の負担とする。」
二 手続費用は、各自の負担とする。

理   由
第一 申立ての要旨

 申立人は、相手方に対し、未成年者の養育費を月額6616円に減額することを求めている。

第二 当裁判所の判断
一 認定事実

(1)本件記録によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 申立人と相手方は、平成24年××月××日に婚姻し、平成25年××月××日に長女A(未成年者)をもうけたが、平成27年××月××日に未成年者の親権者を相手方と定めて協議離婚した。

イ 申立人と相手方は、平成27年××月××日付け子の監護に関する契約公正証書(平成27年第×××号。以下「本件公正証書」という。)第二条において、未成年者の養育費について次のとおり合意した。
 「甲(本件申立人)は乙(本件相手方)に対し、丙(本件未成年者)の養育費(学費に要する養育費を含む。)として、平成27年××月から丙(本件未成年者)が満20歳に達する日の属する月まで、1か月金4万円ずつを毎月5日限り、持参又は乙(本件相手方)の指定する金融機関の乙(本件相手方)名義の預貯金口座に振り込んで支払う。
 振込手数料は甲(本件申立人)の負担とする。」

ウ 申立人と相手方は、上記イの養育費についての合意をする前に相手方の両親を交えて協議をし、相手方の両親が、調査した金額として養育費の平均が月額2万円から4万円であると述べたことから、一旦養育費の金額を月額3万円とすることで合意をしたが、公正証書を作成した当日、相手方の提案に基づき、月額4万円とすることで合意をした。

エ 申立人は、平成29年××月××日に再婚し、同月××日に再婚相手の長男及び長女と養子縁組をした。

オ 申立人は、平成27年に272万円の給与を得たが、平成28年××月に退職した後、平成29年××月に再就職し、月額20万円の給与を得ている。

カ 相手方は、平成27年に316万8000円の給与を得たが、平成29年××月から現在の職場に勤務するようになり、同年××月に従前の職場を退職した。相手方は、平成29年××月分から××月分までの給与として、それぞれ18万2910円、17万4603円、20万1320円、21万5125円、21万5740円の支給を受け、これらを年額に換算すると237万5275円(円未満四捨五入。以下同じ。)となる。
キ 申立人は、相手方に対し、平成29年××月××日に旭川家庭裁判所において養育費減額調停を申し立てたが(同裁判所平成29年(家イ)第×××号)、同調停は同年××月××日に不成立となり、審判手続に移行した。

(2)申立人は、相手方が平成29年××月以降も、自らが従前の職場に所属するものとして名簿に掲載されている一般社団法人Bの活動に参加し、平成29年××月号のフリーペーパーに従前の職場に所属するものとして掲載されているとして、これらのことを示すウェブサイトやソーシャルネットワーキングサービスの投稿記事を提出するが、これらをもって相手方が現在も従前の職場に勤務していると認めることはできない。

二 前記認定事実によれば、本件公正証書が作成された後、申立人が再婚相手の子らに対する扶養義務を負うに至ったことや当事者双方の収入が変動したことにより、本件公正証書において未成年者の養育費を決める際に前提とされた事情は変更されている。そこで、本件公正証書が作成された後の事情を考慮して未成年者の養育費を算定するのが相当である。
(1)まず、本件公正証書が作成された平成27年××月当時の双方の収入や扶養家族の状況を前提として、東京・大阪養育費等研究会による標準算定方式(判例タイムズ1111号285頁以下参照)を参考に養育費の額を試算する。
ア 平成27年に申立人は272万円、相手方は316万8000円の給与収入を得ていることから、申立人の基礎収入を総収入の38パーセントに相当する103万3600円、相手方の基礎収入を総収入の38パーセントに相当する120万3840円とするのが相当である。

イ 本件では、義務者である申立人の基礎収入よりも権利者である相手方の基礎収入の方が高額となることから、双方とも申立人の収入と同額である場合に申立人が支払うべき費用を上限としつつ、未成年者が相手方と同居している場合の未成年者の生活費を基準とすべきである(判例タイムズ1111号291頁参照)。また、成人である申立人及び相手方の生活費割合を100とすると、未成年者の生活費割合は55となる。
 そうすると、未成年者が相手方と同居している場合に未成年者に割り振られるべき生活費は、次の計算式のとおり、42万7169円となる。
120万3840円×55÷(100+55)=42万7169円
 これを申立人と相手方の基礎収入に応じて按分すると、申立人が負担すべき未成年者の養育費は、次の計算式のとおり、19万7334円となる。
42万7169円×103万3600円÷(103万3600円+120万3840円)=19万7334円

ウ 他方、当事者双方とも申立人の収入と同額の103万3600円であるとした場合、未成年者に割り振られるべき生活費は、次の計算式のとおり、36万6761円となり、これを双方の収入で按分(いずれの収入も同額であるから、上記金額に二分の一を乗じることとなる。)すると、申立人が負担すべき未成年者の養育費は、18万3381円となる。
103万3600円×55÷(100+55)=36万6761円

エ 上記イの金額と比較して、上限となるべき上記ウの金額の方が低額となることから、未成年者の養育費の試算額は、上記ウの金額により、年額18万3381円(月額1万5282円)となる。

(2)次に、現在の双方の収入や扶養家族の状況を前提として、前記標準算定方式を参考に養育費の額を試算する。
ア 現在、申立人は月額20万円(年額240万円。なお、相手方は、申立人の現在の収入につき、残業代が全くなく、月収が一律である点が極めて不自然であるとし、現在も平成27年当時と同等の収入があるものとみるべきであると主張するが、申立人が実際に上記金額を上回る収入を得ていると認めることはできないことから、上記金額により算定するのが相当である。)、相手方は年額237万5275円の給与を得ていることから、申立人の基礎収入を総収入の39パーセントに相当する93万6000円、相手方の基礎収入を総収入の39パーセントに相当する92万6357円とするのが相当である。

イ また、成人である申立人及び相手方の生活費割合を100とすると、未成年者、申立人が養子縁組をした養子及び養女の生活費割合はいずれも55となるから、申立人の収入のうち未成年者の生活費に割り振られるべき金額は、次の計算式のとおり、19万4264円となる。
93万6000円×55÷(100+55+55+55)=19万4264円

ウ これを申立人と相手方の基礎収入に応じて按分すると、申立人が負担すべき未成年者の養育費の試算額は、次の計算式のとおり、年額9万7635円(月額8136円)となる。
19万4264円×93万6000円÷(93万6000円+92万6357円)=9万7635円

(3)上記(1)の養育費の試算額は月額1万5282円となるのに対し、当事者双方は、本件公正証書において、これを2万4718円上回る月額4万円の養育費とすることで合意しており、このことは、上記の養育費の金額が標準算定方式による試算額を上回る場合、その試算額に差額分(本件では2万4718円)を加算する趣旨であったと解することができる。
 そして、その後の事情の変更を考慮した上記(2)の養育費の試算額は月額8136円となるところ、現在における養育費の金額を決定するに当たっても上記の合意の趣旨を踏まえて同様の加算を行うのが相当であるから、加算後の金額は、月額3万2854円となる。

(4)以上を参考にしつつ、その他本件にあらわれた一切の事情を考慮すると、申立人の負担すべき未成年者の養育費の額を月額3万3000円とし、同金額による養育費の支払の始期は、本件に先立つ調停が申し立てられた平成29年××月とするのが相当である(なお、上記金額は本件公正証書において定められた当初の養育費の金額を7000円下回るものであるところ、この差異は当初の養育費の金額の17・5パーセントに相当し、決して軽視することができず、当事者が当初の合意内容に拘束されることは著しく不当であるというべきであるから、上記のとおり減額をすることが相当である。)。

三 以上に対し、相手方は、
〔1〕本件公正証書において未成年者の養育費を定めるに当たり、申立人に再婚相手がいるか否か、扶養すべき子が何人いるかは合意の客観的基礎事情に含まれていないため、これらの事情の変更が客観的基礎事情の変更に該当しないこと、
〔2〕申立人の再婚及び養子縁組は、本件公正証書の作成当時において、容易に予見可能であったこと、
〔3〕申立人は、未成年者の養育費を減額させる意図で再婚及び養子縁組をしたものであり、婚姻制度及び養子縁組制度を濫用していること、
〔4〕仮に事情の変更により養育費を再度算定する場合であっても、申立人の再婚相手の収入を申立人の収入に加算する方法によるべきであること
等を主張する。

 まず,上記〔1〕の点については、義務者及び権利者の収入の多寡や扶養すべき子の人数は、子の養育費を定める際に考慮の対象となる基本的な事情であって、仮に当事者双方が本件公正証書の作成当時に標準算定方式による試算を行っていなかったとしても、上記各事情を当然の前提としていたものと考えられるから、上記各事情の変更が客観的基礎事情の変更に該当しないということはできない。

 また、上記〔2〕の点については、本件公正証書の作成当時、申立人が再婚相手から好意を持たれていることを認識していたことは認められても、同時点において申立人と再婚相手が恋愛関係にあったと認めることはできない上、申立人が自身と再婚相手の子らとが養子縁組をすることを予見し得るような事情があったということもできないから、申立人の再婚及び養子縁組は、当時予見し得なかった事情の変更に該当するというべきである。

 そして、上記〔3〕の点については、申立人がそのような意図により再婚及び養子縁組をしたと認めることはできない。
 さらに、上記〔4〕の点については、相手方が主張するような計算方法による場合、申立人の再婚相手の収入が、同人が何らの扶養義務も負わない未成年者の生活費として割り当てられる結果を生じることとなり、相当ということはできない。
 したがって、相手方の上記主張は、いずれも採用することができない。

四 よって、主文のとおり審判する。
(裁判官 高橋祐喜)

以上:5,034文字
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H30- 9-14(金):離婚後の再婚と養子縁組により養育費の減額を認めた高裁決定紹介
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○離婚後に再婚し、再婚相手の子らと養子縁組をした場合、事情の変更があったとして、離婚の際に合意した養育費の減額を認め、右合意の趣旨を考慮して養育費の額を算定した平成30年1月30日札幌高裁決定(判時2373号49頁)全文を紹介します。


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主   文
一 原審申立人の本件抗告に基づき、原審判主文第一項を次のとおり変更する。
当事者間の旭川地方法務局所属公証人小鹿愼作成の平成27年××月××日付け子の監護に関する契約公正証書(平成27年第×××号)第二条第一項に定められた未成年者の養育費の支払義務のうち平成29年××月分以降について、次のとおり変更する。
「甲(原審申立人)は乙(原審相手方)に対し、丙(未成年者)の養育費(学費に要する養育費を含む。)として、平成29年××月から丙(未成年者)が満20歳に達する日の属する月まで、一か月金2万円ずつを毎月5日限り、持参又は乙(原審相手方)の指定する金融機関の乙(原審相手方)名義の預貯金口座に振り込んで支払う。
振込手数料は甲(原審申立人)の負担とする。
二 原審相手方の本件抗告を棄却する。
三 手続費用は、原審及び当審とも各自の負担とする。

理   由
第一 抗告の趣旨及び理由
一 原審申立人

 別紙抗告状《略》、同抗告理由書《略》及び同意見書《略》(いずれも写し)のとおり

二 原審相手方
 別紙抗告状《略》、同抗告理由書《略》及び同抗告審意見書《略》(いずれも写し)のとおり

第二 事案の概要
 本件は、原審申立人が、旭川地方法務局所属公証人小鹿愼作成の平成27年××月××日付け子の監護に関する契約公正証書(平成27年第×××号)第二条第一項に定められた未成年者の養育費月額4万円の支払義務のうち平成29年××月分以降について、原審申立人の収入が減少し、また、原審申立人が再婚し、再婚相手の子らと養子縁組をしたことにより事情変更があったとして、上記養育費を月額6616円に減額することを求める事案である。
 原審は、平成29年××月分以降の上記養育費の額を月額3万3000円に減額する旨の審判をしたところ、原審申立人及び原審相手方において、いずれもこれを不服として本件抗告をした。

第三 当裁判所の判断
一 認定事実

 本件において認定することができる事実は、次のとおり補正するほかは、原審判の「理由」中の「第二 当裁判所の判断」の一記載のとおりであるから、これを引用する。
(1)原審判二頁12行目「第二条」の後に「第一項」を加える。
(2)同二頁25行目「再婚し、」の後に「再婚相手並びにその長男(平成19年××月××日生)及び長女(平成24年××月××日生)と同居し、」を加える。
(3)同二頁26行目「養子縁組をした」の後に「(以下、この子らを「再婚相手の子ら」という。)」を加える。
(4)同三頁17行目末尾に改行の上、次のとおり加える。
 「(3)原審申立人の再婚相手の収入について、原審申立人は、原審の平成29年9月28日付け主張書面においては、月額14万円程度である旨主張し、審問においては、月額7、8万円である旨述べており、少なくとも月額8万円、年額96万円程度の収入を得ているものと認められる。」

二 判断
 前記認定事実によれば、本件公正証書が作成された後、原審申立人が再婚相手の子らに対する扶養義務を負うに至ったこと、当事者双方の収入が変動したことなどにより、本件公正証書において未成年者の養育費を決める際に前提とされた事情は変更されている。そこで、本件公正証書が作成された後の事情を考慮して未成年者の養育費を算定するのが相当である。

(1)まず、本件公正証書が作成された平成27年××月当時の双方の収入や扶養家族の状況を前提とした未成年者の養育費の試算額については、補正して引用する原審判の「理由」中の「第二 当裁判所の判断」の二(1)記載のとおりであるから、これを引用する。これによると、同試算額は月額1万5282円である。

(2)次に、現在の双方の収入や扶養家族の状況を前提として、標準的算定方式を参考に養育費を試算する。
ア 現在、原審申立人は月額20万円(年額240万円。なお、原審相手方は、原審申立人の現在の収入につき,残業代が全くなく、月収が一律である点が極めて不自然であるとし、現在も平成27年当時と同等の収入があるものとみるべきであると主張するが、原審申立人が実際に上記金額を上回る収入を得ていると認めることはできないことから、上記金額により算定するのが相当である。)、原審相手方は年額237万5275円の給与を得ていることから、原審申立人の基礎収入を総収入の39パーセントに相当する93万6000円、原審相手方の基礎収入を総収入の39パーセントに相当する92万6357円とするのが相当である。

 また、原審申立人が再婚相手の子らの生活費指数については、再婚相手も上記子らの扶養義務を有しているから、その生活費指数を原審申立人と再婚相手の収入比によって按分するのが相当であるところ、再婚相手の収入は年額96万円と認められ、基礎収入はその39パーセントに相当する37万4400円とするのが相当である。

イ そして、成人である原審申立人及び原審相手方の生活費指数を100とすると、未成年者、原審申立人が再婚相手の子らの生活費指数はいずれも55となるが、上記子らの生活費指数については、上記アのとおり原審申立人と再婚相手の基礎収入比によって按分するのが相当であるから、いずれも次の計算式のとおり、39とする。
55×93万6000円÷(93万6000円+37万4000円)=39(小数点以下四捨五入)
 これを前提に、原審申立人の収入のうち未成年者の生活費に割り振られるべき金額は、次の計算式のとおり、22万0944円となる。
93万6000円×55÷(100+55+39+39)=22万0944円

ウ これを原審申立人と原審相手方の基礎収入に応じて按分すると、原審申立人が負担すべき未成年者の養育費の試算額は、次の計算式のとおり、年額11万1044円(月額9254円)となる。
22万0944円×93万6000円÷(93万6000円+92万6357円)=11万1044円

(3)上記(1)の養育費の試算額は月額1万5282円となるのに対し、当事者双方は、本件公正証書において、これを2万4718円上回る月額4万円の養育費とすることで合意している。
 本件において、当事者双方が同合意に際し、標準的算定方式による試算をしたことを認めるに足りる資料はないが、上記のとおり、客観的に見て標準的算定方式による試算額を大きく上回る養育費の合意をしていることからすると、同合意における当事者の意思としては、標準算定方式による試算額を上回る場合であっても、その試算額に差額分(本件では2万4718円)を加算する趣旨であったと解するのが合理的である。

 そうすると、現在における養育費の金額を決定するに当たっても上記の合意の趣旨は尊重されるべきものではあるが、同合意は義務者である原審申立人が養育すべき子が未成年者一人であることを前提とするものであって、原審申立人が再婚相手の子らに対する扶養義務を負うことになったことにより、その前提とした事情に変更が生じている。

 このような場合、標準算定方式による試算額に上記差額分を加算するとしても、原審申立人が同じく扶養義務を負う未成年者と再婚相手の子らを不平等に扱うことが相当であるとはいえないから、上記加算額については、未成年者と上記子らに、生活費指数に応じて按分するのが相当である。
 そうすると、上記加算額のうち未成年者に分配すべき額は、次の計算式のとおり、1万0222円となる。
2万4718円×55÷(55+39+39)=1万0222円
 しかるに、上記合意後の事情の変更を考慮した上記(2)の養育費の試算額は、月額9254円となるところ、加算後の金額は、1万9476円となる。

(4)以上を参考に、本件にあらわれた一切の事情を考慮すると、原審申立人の負担すべき未成年者の養育費の額を月額2万円とし、同金額による養育費の支払の始期は、本件に先立つ調停が申し立てられた平成29年××月とするのが相当である。

三 抗告理由に対する判断
(1)原審相手方の抗告理由に対する判断

ア 原審相手方は、本件公正証書における養育費の合意に際し、原審申立人に扶養すべき子らがいるかどうかを基礎事情にしていないから、再婚相手の子らに対して扶養義務を負うに至ったことは客観的基礎事情の変更に該当しない旨主張する。
 しかしながら、義務者及び権利者の収入の多寡や扶養すべき子の人数は、子の養育費を定める際に考慮の対象となる基本的な事情であるから、当事者双方が本件公正証書の作成当時に標準算定方式による試算を行っていなかったとしても、これらの事情の変更が客観的基礎事情の変更に該当しないということはできない。
 したがって、原審相手方の上記主張は採用できない。

イ 原審相手方は、上記合意に際し、「慰謝料を請求しないから」と言及しており、当事者双方において、原審申立人が再婚すること及び養子縁組することを当然に予測して合意されていたのであるから、これらは事情変更に当たらない旨主張する。
 しかしながら、本件公正証書における合意当時、原審申立人が再婚し、再婚相手の子らと養子縁組をすることを前提にしていたと認めることはできないし、原審相手方が原審申立人に対し、慰謝料を請求しない旨述べたからといって、原審申立人の再婚や養子縁組が当然予測されたものであったとも認められないのであって、原審相手方の上記主張は採用できない。

ウ 原審相手方は、原審申立人が未成年者の養育費を減額させる意図で再婚及び養子縁組をしたものであり、婚姻制度及び養子縁組制度を濫用しており、その点からも事情の変更は認められない旨主張する。
 しかしながら、原審申立人は、前記認定事実のとおり、再婚相手及びその子らと同居した上、その子らと養子縁組をしたものであり、上記意図で再婚し養子縁組をしたと認めることはできないから、原審相手方の上記主張は採用できない。

エ 原審相手方は、原審申立人の再婚及び養子縁組を前提として、養育費を4万円と合意したのであるから、少なくとも標準的算定方式を上回る加算分については、再婚相手の子らとの養子縁組を考慮すべきではない旨主張する。
 しかしながら、そもそも上記前提が採れない上、加算した合意の趣旨を尊重するとしても、原審申立人に扶養義務を負う子が生じた場合に、その子らと未成年者とを不平等に扱うことが相当とはいえないことは、前記二(3)のとおりであるから、原審申立人の上記主張は採用できない。

オ その他、原審申立人の主張するところをもっても前記認定判断を左右しない。

(2)原審申立人の抗告理由に対する判断
ア 原審申立人は、本件公正証書作成に際し、原審相手方の両親から養育費の額の平均が2万円から4万円であると説明されたことで養育費の相場を誤信して合意したにすぎず、標準的算定方式による試算額を上回る額を加算する趣旨はなく、加算のない養育費にするべきである旨主張する。
 たしかに、原審申立人において、標準的算定方式による試算額を上回る額を加算するということについて具体的な認識を有していたとまでは認められないが、前記認定事実のとおり、原審申立人においては、原審相手方の両親から養育費の平均が月額2万円から4万円であるという説明を踏まえ、一旦3万円とすることに合意したものの、最終的には月額4万円とすることで合意したものであり、原審申立人としても少なくとも一般的な養育費の相場の上限との認識は有していたものと認められる。

 このような認識を有した上で上記合意をした以上、それが標準的算定方式による試算額を上回るものであったとしても、その試算額との差額を加算する趣旨であったと解するのが相当であることは、前記二(3)のとおりである。
 したがって、原審申立人の上記主張は採用できない。

イ 原審申立人は、再婚相手の収入を考慮すべきではない旨主張する。
 しかしながら、再婚相手においても、その子らの扶養義務を負っているのであるから、その生活費指数を原審申立人と再婚相手の収入比によって按分するのが相当であることは前記二(2)アのとおりであるから、その範囲において再婚相手の収入を考慮すべきであって、原審申立人の上記主張はその範囲において採用できない。

ウ その他、原審申立人の主張するところをもっても前記認定判断を左右しない。

第四 結論
 以上によれば、原審申立人は、原審相手方に対し、未成年者の養育費として、平成29年××月から未成年者が満20歳に達する日の属する月まで毎月2万円の養育費を支払うよう本件公正証書の第二条第一項を変更する旨命ずるべきであるところ、これと異なる原審判は相当ではないから、原審申立人の本件抗告に基づき、原審判第一項を本決定主文第一項のとおり変更するとともに、原審相手方の本件抗告を棄却することとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 竹内純一 裁判官 小原一人 吉田光寿)

別紙 抗告状(原審申立人)《略》
別紙 抗告理由書(原審申立人)《略》
別紙 意見書(原審申立人)《略》
別紙 抗告状(原審相手方)《略》
別紙 抗告理由書(原審相手方)《略》
別紙 抗告審意見書(原審相手方)《略》

以上:5,544文字
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H30- 9-13(木):初のプレステージ・プラチナ席での平成30年楽天-ソフトバンク戦観戦
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○平成30年9月12日は、東京出張から帰ると直ぐにいつもの顧問先の招待で平成30年最後となる楽天生命パーク宮城での楽天-ソフトバンク戦の観戦でした。初のプレステージ・プラチナ席でした。プレステージ・プラチナ席は、至近距離からゲームが愉しめる最上級の観戦ゾーンという触れ込みですが、正にその通りでした。このような機会を与えてくれた顧問先には心より感謝申し上げます。





○以下、写真集です。

1.楽天生命パーク宮城に向かいます、試合開始1時間前ですが、既に相当の人が入っています  
    


2.VIPシート入り口へ、手首にテープの輪をかけて貰います  
    


3.初のプレステージ・プラチナ席入場、PP-2列-84番と85番席でした  
    


4.ニッカ・プレステージバー宮城峡でビュッフェ形式の夕食食べ放題、ビール等アルコール飲み放題です  
    


5.至近距離からゲームが愉しめる最上級の観戦ゾーンです  
    


6.以下、最上級観戦ゾーンからの眺め  
    


7.金網のせいで、時々、カメラのピントが合わなくなります  
    


8.至近距離からの眺めは迫力があります  
    


9.プラチナ席内部、席は、半分も埋まっていません  
    


10. 試合開始、しかし、一方的試合展開にだんだん気持が沈んできます 
    


11.9回、とうとう、12対2、10点差がつきました  
    


12.広告看板を写します  
    


13.9回表ソフトバンクの攻撃でとうとう13対2、11点差です  
    


14.本日5打数5安打、内ホームラン1本と大活躍、ソフトバン4番打者柳田選手ヒーローインタビュー、楽天にもこんな選手が欲しいところです  
    



以上:714文字
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H30- 9-12(水):貸金庫規定の一例紹介-みずほ銀行の場合
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○遺産分割未了のまま被相続人名義貸金庫が長期間そのままになっている事例を扱っています。相続の場合の銀行の貸金庫解約規定を探しているのですがなかなか見つかりません。相続人全員の同意がない場合でも保存行為を理由に貸金庫の内容確認手続をする方法を探るためです。公証人に依頼して行う方法があるようです。
先ず貸金庫規定の一例を株式会社みずほ銀行がネットに公表しているものを紹介します。

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1 (格納品の範囲)
(1)貸金庫には、次に掲げるものを格納することができます。ただし、破損しやすいものおよび変質するものは格納できません。
①公社債券、株券その他の有価証券
②預金通帳・証書、契約証書、権利書その他の重要書類
③貴金属、宝石その他の貴重品
④前各号に掲げるものに準ずると認められるもの
(2)当行は前項各号に掲げるものについても、相当の理由があるときは格納をおことわりすることがあります。

2 (契約期間等)
この契約の当初契約期間は、契約日から最初に到来する当行所定月の末日までとし、契約期間満了日までに借主または当行から解約の申出をしないかぎり、この契約は期間満了日の翌日から1年間継続されるものとします。継続後も同様とします。

3 (手数料)
(1)貸金庫の手数料は、料金表記載の料率により以下のいずれかの方法で支払うものとし、借主が指定した預金口座から払戻しのうえ手数料に充当します。預金口座からの払戻しは、普通預金規定(総合口座規定を含みます)・当座勘定規定またはカードローン規定にかかわらず、通帳・カードおよび払戻請求書、または当座小切手の提出は不要とし、当行所定の方法により取扱います。なお、当初契約期間の手数料は、契約時に契約日の属する月を1か月としてその月から月割計算により支払ってください。
①年払い(毎年当行所定の日に1年分の手数料を前払いする。)
②月払い(毎月当行所定の日に1か月分の手数料を後払いする。)
(2)手数料は諸般の情勢により変更することがあります。変更後の手数料は変更日以後最初に継続される契約期間から適用します。
(3)年払いの方法で手数料を支払い、契約期間中に解約があった場合は、解約日の属する月の翌月から期間満了日までの手数料を月割計算により返戻します。

4 (鍵の保管)
貸金庫に付属する鍵正副2個のうち正鍵は借主が保管し、副鍵は当行立会いのうえ借主が届出の印章または署名により封印し、当行が保管します。

5 (貸金庫の開閉等)
(1)貸金庫の開閉は、借主または借主があらかじめ届出た代理人が正鍵を使用して行ってください。
(2)開庫にあたっては、当行所定の貸金庫開庫依頼書に届出の印章または署名により記名押印または署名して提出してください。なお、開庫後は貸金庫の施錠を確認してください。
(3)格納品の出し入れは、当行所定の場所で行ってください。

6-1(届出事項の変更等)
(1)印章を失ったとき、または印章、名称、代表者、代理人、住所その他の届出事項に変更があったときは、直ちに書面によって当店に届け出てください。この届出の前に生じた損害については、当行は責任を負いません。正鍵を失ったときもしくはき損したときも同様とします。
(2)届出のあった名称、住所にあてて当行が通知または送付書類を発送した場合には、延着しまたは到達しなかったときでも通常到達すべき時に到達したものとみなします。
(3)貸金庫の契約の際には、当行は法令で定める本人確認等の確認を行います。貸金庫の契約後も、貸金庫の取引にあたり、当行は法令で定める本人確認等の確認を行う場合があります。本項により当行が借主について確認した事項に変更があったときには、直ちに当行所定の方法により届け出てください。

6-2(成年後見人等の届出)
(1)家庭裁判所の審判により、補助・保佐・後見が開始された場合には、直ちに成年後見人等の氏名その他必要な事項を書面によって当店に届け出てください。
(2)家庭裁判所の審判により、任意後見監督人の選任がされた場合には、直ちに任意後見人の氏名その他必要な事項を書面によって当店に届け出てください。
(3)すでに補助・保佐・後見開始の審判を受けている場合、または任意後見監督人の選任がされている場合にも、前2項と同様に当店に届け出てください。
(4)前3項の届出事項に取消または変更等が生じた場合にも同様に当店に届け出てください。
(5)前4項の届出の前に生じた損害については、当行は責任を負いません。

7 (印章、鍵の喪失時等の取扱い)
(1)印章もしくは正鍵を失った場合の貸金庫の開閉は、当行所定の手続をした後に行なってください。この場合、相当の期間をおき、また、保証人を求めることがあります。
(2)正鍵を失った場合またはき損した場合は、錠前等の取替えに要する費用を支払ってください。なお、当行が貸金庫の変更を求めたときは、直ちにこれに応じてください。

8 (印鑑照合等)
貸金庫開庫依頼書、諸届その他の貸金庫取引に関する書類に使用された印影または署名を届出の印鑑または署名鑑と相当の注意をもって照合し、相違ないものと認めて開庫その他の取扱いをしましたうえは、それらの書類につき偽造、変造その他の事故があってもそのために生じた損害については、当行は責任を負いません。なお、使用される鍵について当行は確認する義務を負いません。

9 (損害の負担等)
(1)災害、事変その他の不可抗力の事由または当行の責めによらない事由により、貸金庫設備の故障等が発生した場合には、貸金庫の開庫に応じられないことがあります。このために生じた損害については当行は責任を負いません。
(2)前項の事由による格納品の紛失、滅失、き損、変質等の損害についても当行は責任を負いません。
(3)借主もしくは代理人の責めに帰すべき事由または格納品の変質等により、当行または第三者が損害を受けたときは、その損害を賠償してください。

10 (解約等)
(1)この契約は、借主の申出によりいつでも解約することができます。この場合、正鍵および届出の印章を持参し当行所定の手続をしたうえ貸金庫を直ちに明渡してください。なお、正鍵または届出の印章を失った場合に解約するときは、このほか第7条に準じて取扱います。
(2)次の各号の一にでも該当する場合には、当行はいつでもこの契約を解約することができるものとします。この場合、当行から解約の通知があったときは、直ちに前項と同様の手続をしたうえ貸金庫を明渡してください。第2条により契約期間が満了し、契約が更新されないときも同様とします。
①借主が手数料を支払わないとき
②借主について相続の開始があったとき
③借主もしくは代理人の責めに帰すべき事由または格納品の変質等により、当行もしくは第三者に損害を与えまたはそのおそれが出ると認められる相当の事由が生じたとき
④店舗の改築、閉鎖その他相当の事由があるとき
⑤実在しない名義による契約であること、または契約名義人本人の意思によらず開設されたことが明らかになったとき
⑥借主が当行との取引を公序良俗に反する行為に利用した場合または、重大な規定違反があったとき
⑦借主または代理人がこの規定に違反したとき
⑧当行が法令で定める本人確認等の確認を行うにあたって借主について確認した事項に関し、偽りがあることが明らかになった場合
⑨上記①から⑧までの疑いがあるにもかかわらず、正当な理由なく当行からの確認の要請に応じない場合
(3) 前2項の明渡しが遅延したときは、遅延損害金として解約日または契約期間の満了日の属する月の翌月から明渡しの日の属する月までの手数料相当額を月割計算により支払ってください。この場合、第3条第3項にもとづく返戻金は、遅延損害金に充当します。不足額が生じたときは直ちに支払ってください。なお、当行はこの不足額を明渡しの日に第3条第1項の方法に準じて自動引落しすることができるものとします。
(4) 第1項または第2項の明渡しが3か月以上遅延したときは、当行は副鍵を使用して貸金庫を開庫のうえ、格納品を別途管理しもしくは一般に適当と認められる方法、時期、価格等により処分し、または処分が困難な場合には廃棄することができるものとします。なお、当行は貸金庫の開庫に際して公証人等に立会いを求めることができるものとします。これらに要する費用は借主の負担とします。
(5) 手数料、遅延損害金その他借主が負担すべき費用が支払われないときは、前項の処分代金をこれに充当することができるものとします。この場合、不足額が生じたときは、当行からの請求がありしだい支払ってください。

11 (貸金庫の修繕、移転等)
貸金庫の修繕または移転その他やむを得ない事情により、当行が格納品の一時引取りまたは貸金庫の変更を求めたときは、直ちにこれに応じてください。

12 (緊急措置)
法令の定めるところにより貸金庫の開庫を求められたとき、または店舗の火災、格納品の異変等緊急を要するときは、当行は副鍵を使用して貸金庫を開庫し臨機の処置をすることができるものとします。このために生じた損害については当行は責任を負いません。

13 (譲渡、転貸等の禁止)
貸金庫の使用権は譲渡、転貸または質入れすることはできません。

14 (保証人)
保証人は、この契約から生ずるすべての債務について借主と連帯して履行の責めに任ずるものとします。この契約が継続された場合も同様とします。

反社会的勢力の排除に係る規定
1 (反社会的勢力との取引拒絶)
当行との各種預金取引その他の取引や当行が提供する各種サービス等(以下、これらの取引やサービスを総称して「取引」といい、取引に係る契約・約定・規定を「原契約」といいます。)は、第2 条第1 号、第2 号A からF および第3 号A からE のいずれにも該当しない場合に利用することができ、第2 条第1 号、第2 号A からF および第3 号AからEの一にでも該当すると当行が判断する場合には、当行は取引の開始をお断りするものとします。

2 (取引の停止、口座の解約)
次の各号の一にでも該当すると当行が判断し、お客さま(この規定においては取引にかかる代理人及び保証人を含みます、以下同じ)との取引を継続することが不適切であると当行が判断する場合には、当行はお客さまに通知することなく取引を停止し、またはお客さまに通知することにより原契約を解約することができるものとします。
①お客さまが取引の申込時にした表明・確約に関して虚偽の申告をしたことが判明した場合
②お客さまが、次のいずれかに該当したことが判明した場合
A.暴力団
B.暴力団員
C.暴力団準構成員
D.暴力団関係企業
E.総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等
F.その他A~E に準ずる者
③お客さまが、自らまたは第三者を利用して次のいずれかに該当する行為をした場合
A.暴力的な要求行為
B.法的な責任を超えた不当な要求行為
C.取引に関して、脅迫的な言動をし、または暴力を用いる行為
D.風説を流布し、偽計を用いまたは威力を用いて当行の信用を毀損し、または当行の業務を妨害する行為
E.その他A~D に準ずる行為

3.本規定は、原契約に基づく当行の権利行使を何ら妨げるものではなく、本規定と抵触しない原契約の各条項の効力を変更するものではありません。また、本規定は、原契約と一体をなすものとして取扱われるものとします。
以 上
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