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H30- 7-16(月):2018年07月16日発行第225号”弁護士のパーキンソンの法則”
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横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成30年7月16日発行第225号「弁護士のパーキンソンの法則」をお届けします。

○「パーキンソンの法則」は初めて知りましたが、「時間を延ばしても、結局は納期近くにならないと本気を出してやらないなんて人、とても多い」のは正に真実で、私も耳に痛い言葉です。小中学校時代、夏休みの宿題を夏休み終わりに近くにならないとやらないのと同じです。いつも夏休み終わり近くになって、毎日コツコツやっていれば良かったと後悔しました(^^;)。

○「パーキンソンの法則」は、1時間でやった仕事も、10時間かけてやった仕事も、そのクオリティは余り変わらないと言う意味もあるそうです。確かに訴訟での準備書面を書く場合、ダラダラと長い時間をかけて書いたものが、短時間で簡潔に書いたものより質の高い準備書面になるかというと、そうは限りません。

○なぜこのような結果になるかというと、時間に余裕があると思うと、本気にならないことに尽きる気がします。時間の有無に関係なく本気を出すコントロールができるようになることが重要ですが、言うは易く行うは難しの典型です。裁判所の提出期限の10日前には提出するとの意識、自分で提出期限を前倒しする努力を続ける意識を持とうと思った次第です。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士のパーキンソンの法則


「パーキンソンの法則」というのは、今から60年前に、イギリスの歴史学者のパーキンソンさんという人が発見した法則なんですね。半分冗談のような「法則」ですが、今に至るまで人間の真理をついたものとして、高く評価されています。

全部で3つの法則があるんですが、第1法則はこんな感じです。「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨らみ続ける。」パーキンソン先生は、引退した老人が、簡単な手紙を書いて出す場合を例に挙げています。忙しい人なら、手紙なんか3分で書いて、ついでのときにポストに放り込んで終わりですよね。ところが、他にすることの無い老人の場合は、同じ仕事をするのに、まるまる1日かけるというんです。確かにこういうことありそうです。

日本のホワイトカラーの働き方は非効率だなんて、ここの所厳しく批判されていますね。私も会社員生活が長かったんですが、残業時間を含めて、常に持ち時間を目一杯使用しないと気が済まない人は確かに居ました。いつも「忙しい忙しい。少しでも休んだら、絶対に仕事が終わらない!」なんて言っているんです。ところが、そういう中に突発的な案件が入ってくると、何故かそれも含めて、同じ時間内で何とかなってしまうのです。

弁護士の仕事でもこういうことよくあります。裁判所に提出する書類の納期について、多くの弁護士がもっと時間が欲しいなどと注文を付けます。ただ、時間を延ばしても、結局は納期近くにならないと本気を出してやらないなんて人、とても多いのです。

少し前に、労働審判という制度ができました。労働問題について、原則3か月以内に裁判所が一定の判断をする必要がある制度なんですね。この制度が出来たときには、「全く時間が足りない」などと文句を言う弁護士が沢山いましたが、いざ始まってみると、3か月程度で特に問題なくできています。私の意見を言わせてもらえば、民事裁判も同じように、必ず3か月で裁判所が判断するように、法律変えちゃえば良いと思うんです。

パーキンソンの第2法則は、「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する。」というものです。役所の予算なんか特にそうです。予算で割り当てられた金額は、何故か全て使い切られます。一般家庭の収支も同じようなものです。収入が増えると何故か、それだけ支出も増えていきます。「収入が減ったらとても生活出来ないだろう?」なんて心配していても、現実にそうなると、それはそれで何とかなっちゃうんです。

パーキンソンの第3法則は、「重大かどうかではなく、人は自分の理解できることについて議論したがる」というものです。例えば、マンションの管理組合の議論でも、1億円の大修繕をどうするかなどは、あまり議論されないで決まってしまう一方、駐輪場のペンキの色をどうするかについては、白熱した議論が延々と続いたりします。国会の議論も似たようなものですね。財政問題をどうするかなんて難しい議論より、簡単に理解できる賄賂問題の方が白熱しちゃいます。

もっとも私も人のことは言えません。政策論は読まないくせに、政治家の不倫のニュースには、ついつい目を通しちゃうのです。ううう。。。弁護士は、出来るだけ話し合で紛争を解決しようと努力します。ところが、重大な点では合意できるのに、どうでもいいところで議論が起こったりします。裁判の場合でも、こういうことはよくあります。法的判断に影響を与えない周辺事実・関連事実について議論が白熱し、「裁判が前に進まない」と、弁護士が裁判官に怒られたりするのです。

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◇ 弁護士より一言

娘も私も柿ピーが好きで、あればあるだけ食べてしまうという、パーキンソンの法則みたいなことになっています。娘が「柿の種とピーナッツって本当に最強コンビだよね!パパの事務所も、お客様のパートナーになりたいっていうんなら、お茶菓子にも柿ピーを出せばいいのに。わたしは将来、なんかの事務所やるなら柿ピー事務所って名前にする!」とアドバイスしてくれました。うーん、どんだけ柿ピーが好きなんだよ!でも、さすがにそれは、嫌です。。。
以上:2,363文字
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H30- 7-15(日):”素顔の田中角栄―密着!最後の1000日間”紹介-災害に強い男
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○「”素顔の田中角栄―密着!最後の1000日間”紹介」を続けます。
この著書の中で共感した記述を紹介します。昭和59年5月、新潟で大規模な自然災害が起きた時の話です。

一報を聞くなり、午前中のスケジュールを全てキャンセルし、角さんが向かった先は、地滑り被害の現場、長岡市の蓬平であった。幅約130メートル、長さ250メートルにわたって滑落した大量の土石流は民家9戸をなぎ倒したが、幸いにも死者はでなかった。
 被害の報を聞くや否や、間髪を入れず足を伸ばして被災現場を視察した角さん。土嚢が積まれた泥濘の、道とも言えない道を平気な顔をして革靴のまま歩き回った。もちろん角さんのズボンの裾や靴は泥まみれになってしまった。早速、地元の被災住民や消防団、救助隊の人たちと突っ立ったままで対策を協議する。(中略)

 角さんの言葉は常に直截的だ。現実に合わせた対応策が次々と飛び出す。家を壊され、悲嘆の最中にいる被災者たちにとって、角さんの親身な言葉のひとつひとつが、何よりの励ましとなっただろう。

 角さんの故郷・新潟は、豪雪、豪雨、地震など自然災害の多い土地柄だ。昭和39年の新潟大地震、特に昭和42年の羽越水害(死者104名)などの被害から立ち上がる際のリーダーが角さんだった。


○この記述を読んで、畏敬して谷沢永一先生の著作「人間力」での、「この人こそ大いなる人間力ありしか、と想像できる人傑を挙げてみよう。」として紹介された「田中角栄」の項目を思い出しました。
田中角栄。
淡路阪神大震災の朝、被災者の誰もが、今カクさんが総理でいてくれたら、と口惜しがった。角栄はまず関西地方の主要道路に一般車の進入を禁止し、膨大な食料と生活資料を送りつけ、自衛隊に空からの撒水による消火作業を要請し、銀行と郵便局に通帳なしの払戻及び貸付を命じ、臨時の小屋を建てるため全国の建設業者に檄を飛ばし、ほぼ以上の措置をあの早口で官邸から息もつかず指示を続け、それが終わるや地元議員を誘い集め、最短の時間で現場へ駆けつけたであろう。時の総理村山富市は、地震のとき熟睡しており、目覚めても何もしなかった。本当に何もしなかった。翌日の正午はホテルオークラで、経済人と会食していた。


○時の村山総理、ホントに何もしなかったのかネット検索すると色々記事が出てきますが、ウィキペディアの以下の記事を引用します。正直な方でした。
村山は『初動対応については、今のような危機管理体制があれば、もっと迅速にできていたと思う。あれだけの死者を出してしまったことは、慚愧(ざんき)に堪えない。1月17日の朝は毎年、自宅で黙とうする』と語っている。また、『危機管理の対応の機能というのは全然なかったんです。初動の発動がね、遅れたということについてはね、これはもう弁明のしようがないですね。ええ。本当に申し訳ない』と述べ、言い訳や反論のしようがなく、反省しているとの考えを語っている。」
以上:1,206文字
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H30- 7-14(土):”素顔の田中角栄―密着!最後の1000日間”紹介
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○宝島社新書カラー版「素顔の田中角栄―密着!最後の1000日間」を購入しました。「田中角栄」との文字が入った書籍は見境なく購入してきましたが、この書籍の表紙に使用された田中角栄氏の表情がこれまで見たことのない表情なのが強く印象に残りました。この表情の説明は、「列車を待つ間、ホームで見せたキングメーカー角さんのしかめっ面。一抹の孤独感も漂う。」とされています。

○田中角栄氏は平成5年12月16日午後2時4分、甲状腺機能障害に肺炎を併発して死去されましたが、喪主はな夫人に代わって長女真紀子氏が「父の口癖は『お米を粗末にしないで欲しい』でした。おふくろの汗の結晶だから。天を敬い、人を愛し、感謝の念を忘れなければ、恐れることは何もない。今日はクリスマス。(合同葬という)プレゼントをありがとうございました。父は幸せ者です。」と挨拶されました。

○しかし、この著作の表紙に使われた角栄氏の表情が、角栄氏ご本人のご自分の人生に対する思いを伝えているようにも感じました。角栄氏は、普通の人の何百倍、何千倍の大活躍をされ、一国の長にも上り詰め、僅か一代で公表された分だけで100数十億円の財をなした、正に物凄いとしか言いようのない方でした。

○しかし、ご本人としては、刑事被告人の汚名をそそげず、総理大臣復活の目もなくなり、苦労して築いてきた派閥も乗っ取られ、67歳で脳梗塞で倒れた後の晩年は自ら動くことができなくなり、長女真紀子氏の意のままに秘書の早坂氏等かつての仲間との絆も断たれ、「幸せ者」どころではなく、不遇の人生だったとの思いを残しての旅立ちだったのかも知れません。

○しかし、日本の政治家でおそらく200冊を超える関係書籍が刊行され、刊行された書籍は、「田中角栄」との文字が入った書籍は見境なく購入する膨大な数のファンに支えられて一定数以上売れる人は、田中角栄氏唯一人と思います。その人気の源泉は、「人を愛し、感謝の念を忘れない」ところと確信しています。

○逆境に強いと言われた田中角栄氏ご本人の次の言葉を備忘録とします。「私は逆境に強いということはないよ。平穏無事がいいが、避けられぬさだめであれば決して逃げ出さない。吹雪は一点にわかにかき曇るからね。吹雪がガッと来た時は、しばし待つ。雪のなかでは、人間全部運命論者になる。新潟生まれは大体みなそうだよ。

以上:970文字
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H30- 7-13(金):自賠責14級が頚椎椎間板ヘルニアを理由に12級に認定された判決紹介
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○自賠責後遺障害認定等級争いの事案で、一番事例が多く、且つ、一番難しいのは神経症状14級認定を、他覚所見があることを理由に12級アップを主張する事案です。重傷事案ではなく損害賠償請求額もそれほど大きくはありませんが、保険会社は、兎に角、14級を12級にアップすることには、顧問医意見書等を証拠提出して、徹底的に阻止すべく努めます。

○特に椎間板ヘルニアが認められても、それは、外傷性ではなく、変形性であり、交通事故とは無関係であると徹底して主張しますが、この椎間板ヘルニアを理由に14級が12級に認定された珍しい例である平成10年1月29日大阪地裁判決(交民集31巻1号130頁)の後遺障害認定関連部分を紹介します。素因減額の主張も否認しました。

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二 争点3ないし5について(原告の傷病・治療経過、原告の損害額、素因減額)
1 原告の傷病・治療経過

証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
(一) 原告(昭和26年3月2日生)は、本件事故当時、主婦業の傍らパートタイムで大阪資生堂株式会社に勤務し、化粧品の荷詰の仕事に従事していた。本件事故前、右主婦業及びパート業の上で特段支障となるものはなかった。本件事故は、原告が自宅から右勤務先へ行く途中に起きたものである。

 原告は、本件事故当日の平成4年2月17日、医誠会病院にて受診し、頭部外傷I型、顔面打撲、背部打撲、骨盤打撲、右肘打撲、右足関節打撲、左下肢・右大腿打撲、頸椎捻挫の傷病名で、診療が開始されたが、初診時の頭部、骨盤、仙骨、右肘、左足関節のX線写真ではいずれも異常は認められず、翌日の頸椎のX線写真でも異常は認められず、頸部痛があるが、上肢のしびれはなく、指の微細運動は良好であった。その後も、原告は、頭痛、頸部痛、右肩痛、腰痛等を訴え、同年2月28日、脳外科を受診したが、神経学的所見としては、運動神経脱落症状なく、CT上も異常なく、脳に心配はないであろうと診断された。同日から理学療法が開始され、同年3月12日からは頸椎牽引も開始されたが、同月19日のジャクソンテストはマイナスであり、同月23日に実施されたMRI検査の結果は、第5、第6頸椎間、第6、第7頸椎間に変形性脊椎症性変化及び椎間板ヘルニアの印象ありと報告された。同年4月9日のジャクソンテスト、スパーリングテストはいずれもマイナスであったが、同月15日のスパーリングテストは右がプラスであった。その後も、頭痛、右頸部痛、腰痛等を繰り返し訴え、同年7月4日からは腰椎牽引も開始されたが、同年9月5月には症状固定に近いと診断され、同月10日まで通院した(実通院日数160日)。

(二) その後、原告は、平成4年9月2日から行岡病院に転医し、外傷性頸腕症候群、腰部捻挫の傷病名で通院を開始し、右手のしびれ感を訴え始め、その外、右前腕から肩のしびれ感、放散痛を訴え、右第6、第7頸神経根障害と診断された。翌日から理学療法(簡単)が開始されたが、同年12月25日には左手から前腕尺側しびれ感を訴え、平成5年1月8日にはしびれ感は左手のみであるとされ、同年2月16日に大野記念病院にて実施されたMRI検査の結果は、第5、第6頸椎間左側に椎間板突出がみられ、脊髄をやや圧迫していると報告された。

 同月19日における上腕二頭筋反射、上腕三頭筋反射は右左ともに異常はなく、ワルテンベルグ反射はマイナスであり、その後もこれらの反射は概ね正常であり、同年9月6日には、再度大野記念病院にてMRI検査が実施されたが、第5、第6頸椎間及び第6、第7頸椎間に椎間板突出がみられると報告された。同年9月13日から同月16日まで4日間、筋電図、脊髄造影検査等のため検査入院となった。同年10月14日の徒手筋力テスト(上肢、下肢)に関し、担当者から、テストを進行していくにつれて上下肢ともに痛みが増強し、運動不可となり、力を入れさせるとのどがつまると言われる、テスト以外の動作を見ていると可能な運動でもテストになると不可能となることもあり、今回のテストの信頼性もわからない旨の報告がされている。後記症状固定日までの実通院日数は292日である。

(三) この間、原告は、行岡病院で頸椎椎間板ヘルニアを指摘され、手術を念頭に大阪厚生年金病院を紹介されたため、平成5年2月26日、同病院の診察を受け、同年3月25日から同月30日まで6日間入院した(実通院日数2日)。主訴は、両手のしびれと痛み、喉の圧迫感、咳、腰痛であった。同病院の医師によると、原告の症状は多彩で身体検査ではよくわからないが、ただ、右梼骨筋反射の低下は認められるとされた。同月6日実施の脊髄造影検査で、第6、第7頸椎間に不完全ブロックが認められたが、脊髄の圧迫軽度であり、また、CT脊髄造影検査で、第5、第6頸椎間の左に椎間板髄核ヘルニアが認められ、両上肢のしびれと痛みはこのヘルニアによるものと思われるが、前頭部の違和感、咳などはヘルニアによるものではないとされた。そして、神経学的所見と脊髄造影の所見とが一致しないと思われるから、当該時点では手術適応なしと診断され、退院となった。

(四) また、原告は、行岡病院から紹介され、関西労災病院にも、平成5年10月18日と同年11月18日に通院し(実通院日数2日)、さらに、行岡病院から頭部硬膜外ブロック目的で紹介された大阪大学医学部附属病院にも、同年12月8日から平成6年2月9日まで通院したが(後記症状固定日までの実通院日数6日)、頸部硬膜外ブロックの効果はあまりなかった。

(五) 右の外、原告は、佐々木整骨院に、平成4年6月17日から同年8月26日まで通院した。

(六) 行岡病院の速水医師は、平成6年3月31日をもって原告の症状が固定した旨の診断書を作成した。同診断書によれば、自覚的には、頸部痛、腰部痛があり、他覚症状及び検査結果としては、神経学的には右第6、第7頸椎神経領域の知覚鈍麻あり、MRIにて第5、第6頸椎間の椎間板ヘルニア軽度あり、X-P上第5、第6頸椎に後方骨棘ありとされている。

(七) 自算会調査事務所は、原告の後遺障害につき、14級10号に該当する旨の認定を行った。

 以上のとおり認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

2 症状固定時期、後遺障害等級
 右事実を総合すれば、本件事故を原因とする外傷によって生じた原告の症状は、平成6年3月31日に固定し、その後遺障害は、自賠責保険に用いられる後遺障害別等級表上、12級12号(局部に頑固な神経症状を残すもの)に該当するものというべきである。

 この点、被告らは、頸椎椎間板ヘルニアは本件事故によって生じたものではなく、本件事故による原告の症状は平成4年9月10日頃には固定していると主張する。

 しかしながら、本件事故前には原告は特に支障を感ずることなく化粧品の荷詰の仕事に従事していたこと、原告は本件事故により転倒して路面に頭部等を打ったものであること等前認定事実に照らすと、原告の症状は経年性の頸椎椎間板変性に本件事故の影響が加わって生じたものとみるべきであるし、原告の症状の推移及び治療経過に照らすと、その症状固定時期は前認定のとおり認めるのが相当であるから、被告らの右主張を採用することはできない。

 また、被告らは、原告の後遺障害は14級10号(局部に神経症状を残すもの)を越えるものではないと主張するが、原告には椎間板ヘルニアが認められること、両上肢のしびれと痛みはこれを原因とするものであること、両上肢のしびれと痛みが長期にわたって持続していることに照らすと、被告らの右主張も採用することはできない。

3 素因減額
 被告らは、原告の後遺障害は経年性の頸椎椎間板変性に本件事故が作用して生じたものであるとして素因減額を主張するが、前認定事実によれば、右変性は加齢に伴って当然にその存在が予定されている程度のものであると認められるから、これを損害賠償の額を定めるにつき斟酌することは相当ではない。したがって、被告らの右主張を採用することはできない。
以上:3,357文字
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H30- 7-12(木):遺骨所有権は慣習に従って祭祀主宰者に帰属するとした判例紹介
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○「遺骨の所有権は慣習に従って祭祀を主宰すべき者に帰属1」以下で紹介した平成元年7月18日最高裁判決(家庭裁判月報41巻10号128頁)の第一審で、遺骨の所有権は、慣習に従って祭祀を主宰すべき者に帰属したとして、祭祀を主宰すべき者への遺骨の引渡しを命じた昭和62年5月27日千葉地裁判決(家庭裁判月報41巻10号131頁)全文を紹介します。

○この第一審判決は、控訴審昭和63年4月18日東京高裁判決(家庭裁判月報41巻10号129頁)、平成元年7月18日最高裁判決(家庭裁判月報41巻10号128頁)でも維持されて確定しました。

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主   文
一 被告らは原告に対し,別紙物件目録記載の物件を引渡せ。
二 訴訟費用は被告らの負担とする。

事   実
第一 当事者の求める裁判

一 原告
 主文第1,2項同旨の判決ならびに仮執行の宣言
二 被告ら
 請求棄却,訴訟費用原告負担の判決

第二 当事者の主張
(請求の原因)
一 別紙物件目録(略)記載の各物件(以下両者を合わせて本件遺骨という。)は原告の所有に属する。即ち,
1 原告は訴外亡長嶋A(以下亡Aという。)およびその妻訴外亡長嶋B(以下亡Bという。)と昭和38年2月25日に原告を養子として養子縁組をした。

2 原告は昭和47年結婚するまで亡Aがその敷地とともに所有する千葉市○○町××番地×所在の建物(以下本件建物という。),(なお本件建物の現況は,別紙建物見取図(略)のとおりである。)で養父母と同居していたが,結婚を機に世帯を別にすることとなり,以来別居のままであつた。

3 亡Bは昭和57年7月13日死亡したが,その遺骨(本件遺骨のうち別紙物件目録2に記載のそれ)については,亡Aが,その死亡後共に埋葬されることを希望し,本件建物内の仏壇に安置していた。

4 亡Aは昭和59年11月26日死亡した。

5 亡Aの相続人は養子である原告1人であり,原告は本件建物をその敷地とともに相続により所有権を取得して(但し,後記のとおり亡Aから被告らに贈与された部分を除く。),その旨の登記手続を経由したが,さらに亡Aの遺骨を含む本件遺骨も相続により原告に帰属するにいたつたものである。


1 被告らは夫婦であるが,原告が結婚する以前から原告と養父母の家族と本件建物内に同居して,養父母の身の廻りの世話を行つており,後には本件建物の一部をその敷地とともに亡父Aから贈与され(右贈与された部分は別紙建物見取図の赤線の北西側部分である。),住まいとして使用していた。右の被告らの住居と亡A所有の本件建物とは明確に区分されておらず,また身の廻りの世話のためには本件建物内に自由に出入りすることが必要であつた結果,亡Aの死亡時には被告らが本件建物の全部を占有することとなつた。

2 亡Aは生前○○クラブの名称で宗教研究クラブを主宰していて、被告らもその構成員であるが,被告らは前記のとおり本件建物が被告らの占有下に入つてからは,本件遺骨を○○クラブが守るのだと主張し,本件建物内の仏壇に金庫を据えてその中に本件遺骨を入れてこれを占有している。

3 被告らはその答弁において,亡Aが被告らを民法897条1項但書にいう祖先の祭祀を主宰すべきものとして指定したから本件遺骨の占有権原がある旨主張するが,右主張は否認する。 
 亡Aは,生前菩提寺たる銚子市の○○寺に長嶋家の墓を建立するなどして右墓に埋葬されることを希望しており,また原告らにもその旨申し述べていたものである。
 また亡Aが死亡後は,同人が主宰した○○クラブも,同人に代る主宰者は現われておらず,今後も存続し得るかは疑問であり,この点からも被告らが本件遺骨のみについて祭祀の主宰者に指定されることなど客観的にあり得ない。

三 原告は,慣習に従い,長嶋家の菩提寺たる銚子市所在の○○寺の墓に,亡父母の本件遺骨を埋葬すべく,被告らにその引渡を求めたが,被告らは前記の理由でこれを拒んでいるので,本訴請求に及ぶものである。
(請求原因に対する答弁)
一 請求原因事実中,被告夫婦が昭和38年ごろから亡A夫婦と本件建物内に同居してその身辺の世話をしてきたこと,昭和47年4月ころ,本件建物中,原告が主張する部分をその敷地とともに亡Aから贈与されたこと,原告と亡Aとが養子縁組をしたこと,亡Aと亡Bの夫婦が原告主張の日時に死亡したことおよび本件遺骨を被告らが占有していることの各事実は認めるが,その余は否認し,争う。

二 被告両名は,原告が亡A夫婦と別居した直後の昭和49年3月ころ,亡Aから祭祀承継者として指定されたものであり,これにもとづき本件遺骨を占有しているものである。
 被告らが右のとおり亡Aから祭祀承継者として指定された事情は次のとおりである。即ち,
1 原告は前記のとおり昭和49年ころ亡Aと別居するにいたつたが,その直前の昭和48年12月10日,原告と亡Aとはその間の養子縁組を解消することを合意したものである。しかしその手続がなされないまま亡Aは昭和59年11月26日死亡したものであり,右の手続がなされなかつたのは原告の怠慢によるものである。
 原告において,亡Aの養子であり,相続人であると主張するならば,養子としての義務を尽くすべきであるのに,原告は右別居以来病気療養中の養親の看病も,仕送りもせず,住居所も明らかにせず無音にうち過ぎたものであり,あまつさえ養親の通夜,告別式にも出席しないなど,その尽くすべき義務を果たさなかつた。

2 亡Aは生前○○クラブとの名称で宗教研究会を主宰して本件建物をその活動の本拠としていたが,妻である亡Bの死後その遺骨を右自宅内に安置していた。このことは自らの遺骨も同様本件建物内に共に安置されることを希望していたことを示すものであり,また生前被告らにもそうしてくれるよう話してもいた。

3 被告ら夫婦は昭和38年3月ころから本件建物内で亡A夫婦と同居して,同夫婦が死亡するまでその看病をし,奉公してきたものであり,原告らが別居する直前の昭和47年4月ころまでには前記のとおり本件建物の一部をその敷地とともに贈与も受けている。
 また原告らが別居した昭和49年3月以降は亡Aの名代として,親類縁者,○○クラブの会員の冠婚葬祭その他一切の諸行事にたずさわり,また○○クラブの活動の本拠である本件建物の維持管理も委ねられて,亡Aの死後もその責めを果たしている。

三 右のとおり被告らは亡Aの遺志に従つて本件遺骨を本件建物内に護持管理しているものであるから,原告の引渡の要求には応じられない。

第三 証拠
 本件記録中の証拠関係目録のとおりである。

理   由
一 原告,被告両名各本人尋問の結果と成立について争いのない甲第1号証とによれば,原告は昭和38年2月25日亡Aおよび亡Bの夫婦と養子縁組をしたが,亡Bは昭和57年7月13日に死亡し,次いで亡Aは昭和59年11月26日に死亡したこと,亡Aおよび亡Bの夫婦には原告のほかに子はなく,従つて亡Bの死亡に伴つての相続人は亡Aと原告とであり,次いで亡Aの死亡に伴つての相続人は原告のみであつて,他に相続人はいないことおよび被告両名が本件建物内において本件遺骨を占有していること等の各事実が明らかである(右のうち,原告と亡Aとの養子縁組の点,亡Aと亡Bとの死亡の点および本件遺骨を被告らが占有していることは当事者間に争いがない。)。
 従つて亡Aの死亡した時以降,亡Aおよび亡Bの遺産は原告において全て承継取得したものであり,被告らの占有している本件遺骨もまた同様と解される。

二 そこで被告らが主張する亡Aからの祭祀承継者としての指定について判断する。
1 前項に認定した各事実と原告,被告両名各本人尋問の結果,証人井原徳念,林田厚太郎,田中文子,山下義夫の各証言,および前記甲第1号証,成立について争いのない甲第2,第3号証,第4号証の1,2,乙第1号証の1,2,第2ないし第16号証,第17号証の1,2,第18号証ならびに弁論の全趣旨とを総合すると,

(一)亡A(明治39年5月1日生)は,若年のころから日蓮上人の教義に帰依し,昭和24年ころまで東京都亀戸に所在した訴外亡河合和弥が主宰していた宗教法人○○会に住み込んで学び,その間の昭和16年7月28日亡B(明治44年11月27日生)と婚姻したこと,その後亡A夫婦は昭和31年ころ千葉市○○町所在の本件建物に転居して,ここを本拠として布教活動を始めたが,亡Aの人柄に惹かれその教義を信奉する信者は多数に及び,これら信者は翌昭和32年ころ亡Aを支援し,かつ信者間の親睦を目的として,○○クラブの名称の会を作るに至り,以後亡Aは本件建物において同クラブの名称で布教活動をしていたものであること,

(二)原告(昭和11年12月29日生)は,その兄とともに亡Aのもとに集る信者の一人であつたが,亡A夫婦はその間に実子がなかつたため,原告が高校生であつた昭和38年2月25日これを養子とする縁組をなし,以後原告を手元に引取つてその養育監護をしてきたこと,原告は以後本件建物において亡A夫婦と同居し,大学卒業後は横浜市に所在する○○女学院に教師として勤務するようになつたが,昭和47年4月14日その妻祐子と婚姻するに至つたこと,原告夫婦は結婚後しばらくの間は本件建物において亡A夫婦および後記のとおり昭和38年ころから同居するにいたつた被告夫婦と共に生活していたが,原告夫婦と被告夫婦の折合は必ずしも良くなく,むしろ悪かつたことおよび原告が横浜市までの通勤で健康を損ね勝ちであつたこと等からこれを心配した亡A夫婦からの勧めで昭和49年初めごろ横浜市内に転居して以後別居するようになつたこと,別居して後以降原告夫婦と被告夫婦との間はもとより往来はなくなつたが,原告夫婦と亡A夫婦との間のそれは続いていたこと,

(三)被告多田典子は亡A夫婦とは何ら血縁関係はないが,亡A夫婦が本件建物に転居する前から家族ともどもその熱心な信者であつたものであり,右転居の2年後位に被告多田健治と婚姻し,同被告もそのころから亡Aの人柄に惹かれてその熱心な信者となつたものであること,亡A夫婦は昭和38年3月ころ本件建物の西側車庫のうえに増築(別紙建物見取図の赤線の北西側部分である)し,そこに被告夫婦を居住せしめてこれと同居するようになつたこと,なお右増築部分については昭和47年ころ亡Aから被告夫婦に対しその敷地部分約48平方メートルとともに贈与がなされていること,被告夫婦は右同居して以来,原告夫婦が別居した以降も亡A夫婦の身辺の世話をし,右夫婦がその晩年病気勝ちになつてからは手厚い看護をするなど同夫婦に献身奉公するかたわら,亡A主宰の○○クラブの活動の本拠である本件建物の維持管理をなし,同クラブの諸行事にたづさわつてきたものであること,

(四)そして亡Bは昭和57年7月13日に死亡したが,亡Aはその遺骨については埋葬せず,本件建物内の仏壇に安置していたが,亡Aも昭和59年11月26日死亡し,その遺骨も含めた本件遺骨については,被告夫婦が亡Aの遺命によるものとして本件建物内の仏壇に安置して現在に至つているものであること,

 ところで亡Aが主宰していた○○クラブは,亡Aが健在のころは年に1回の会員の親睦旅行会のほか,月に1度位の割合で亡Aの自宅の本件建物に集会して亡Aの法話を聞くのが例であつたが,昭和51年ころ亡Aが脳血栓で倒れて声がでなくなつて以降は,従前の亡Aの法話の録音テープを聞くという形で続けられ,右のような○○クラブの活動は亡Aの死後,現在も続けられていること,また右のようにして毎月集まる会員の数は多いときで100名以上もいたが,亡Aの三回忌が行なわれた昭和61年11月26日以降は,漸次減つて現在は4,50名程度になつていること,右○○クラブの会員は被告夫婦が昭和38年に同居して以来,原告夫婦が別居後も,亡A夫婦に仕えてきた状況を直接見聞していることから,本件遺骨に関する本件訴訟についてもおしなべて被告夫婦に同情的であり,被告夫婦とともに本件遺骨を本件建物内に安置しておきたいと考えていること,

(五)ところで銚子市に所在する目蓮宗の○○寺は亡Aの長嶋家にとつて明治初年ころからの菩提寺であるが,同寺には昭和15年ころ亡Aとその兄弟が作つた墓があり,亡Aは家族を伴つて少なくとも年に1回は同寺を訪れて墓参等をしていたこと,同寺の現在の住職である井原徳念は父住職のもとで副住職の立場にあつた昭和32年ころ亡Aと知合い,以後は右のように亡Aが訪れた際には宗教上の問題について互いに教え合う親密な交際をしてきたものであり,亡Aが脳血栓で身体が不自由になつた昭和51年ころ以降は逆に右井原が年に1回お盆の折に亡A方を訪れていたこと,亡Aは右井原に対し,家庭内の問題についても話をし,原告を養子にしたころには,原告には信仰の面も継承させたいし,長嶋家の養子として一切委せていきたい旨を,原告が大学を卒業後前記○○女学院に教師として勤務するようになり,亡Aと別居するようになつたころには,原告には学問の道を進ませたい,多田典子は一寸病気があり心配だから手離せない,身の廻りの世話もしてもらえるから自分の手元におく旨を,話したりもしていたこと,また○○クラブのことについては,自分は○○クラブという会をもつているが,いわゆる宗教法人とすることは遠慮している,在家にあつて日蓮上人の教えを一人でも多くの人に分かち与えることができればそれで満足である旨も話していて,右井原は亡Aの右の話を聞くにつれ,同人の通常の生活ぶりと合わせ世俗の利を求めることをしない極めて謙虚な人柄として受けとめていたこと,

 なおその後同寺にある長嶋家の墓については原告がその費用で新しく作り,原告は慣習に従つて右墓に亡A夫婦の本件遺骨を埋葬したいと考えているが,被告らの拒絶により果たせないでいること,
 以上のような事実関係を認めることができ,これらを左右するに足りる証拠はない。

2 被告らは,右のような状況下において,亡Aが昭和49年3月ころ,被告らを祭祀主宰者として指定し,本件遺骨を被告らが本件建物内で護持するように申し向けた旨を主張するものであり,各被告本人尋問においても同旨を供述するほか,これに添う証拠として証人田中文子,同山下義夫の各証言および前記乙第3ないし第16号証と第17号証の1(被告らおよび○○クラブの会員の各陳述書)とが存するものである。

 しかしながら他方前記のとおり亡Aの長嶋家の菩提寺の住職であり,宗教上の知己としても親しく亡Aと交際していた証人井原徳念の証言によれば,亡Aは原告との別居後,何度か右井原に対し,自分と妻とのどちらが先に死んでも一緒の墓に入りたい,多田という婦人に身辺を見てもらうが,自分が先に死んでも骨は家に置いておき,家内が死んだら一緒に○○寺の墓に埋葬するようにしてもらいたい旨を申し向けていたこと,またもし亡Aが真実本件建物において本件遺骨を守つてほしいとの気持を有していたのであれば,当然菩提寺である○○寺の住職の井原にその旨告げているはづであるのに,そのような申し出は亡Aからは何らなされてはいなかつたし,籍だけを,右寺に置き遺骨は別の宗教団体で祭るという発想は亡Aの法華教の理解ではあり得ないと考えられることおよび亡Aは極めて謙虚な人柄であつてその遺骨を特別に祭つてほしいというようなことを考えるとは到底考えられないこと等の各事実が認められるのであつて,同証言に照らし,前記被告らの主張に添う各証拠はたやすく措信し得ないものというべきである。
 ほかに被告らの主張を認めるに足りる証拠は本件記録上存しない。

三 以上の次第であつて,慣習に従つて長嶋家の菩提寺である前記○○寺の墓に埋葬すべく,本件遺骨の引渡を求める原告の本訴請求は認容せざるを得ないのであるが,前記でみた,被告両名が,昭和38年以降,昭和49年の原告の別居後も,亡Aおよび亡Bの夫婦と本件建物内で同居して同夫婦が死亡するまでその看病をし,奉仕をしてきたことおよび被告夫婦もその一員である前記○○クラブの会員が現在にいたるも亡A夫婦の遺徳を偲び本件遺骨を守る考えであり,その道場でもある本件建物での研究活動を継続している状況に鑑み,更新前の裁判所も,更新後の当裁判所も和解による円満な解決を模索した(当初は分骨の方向での説得を試みたが,双方の容れるところとはならず,亡Aの三回忌(昭和61年11月26日)の前後ころからは,亡Aの七回忌後原告に引渡し,それまでは被告ら保管,および被告に対する相当な財産の贈与を骨子とする説得を試み,原告からはほぼ了解を得られたが,被告両名からはこれも峻拒された。)が,いずれも失敗に帰したものであり,本判決のやむなきにいたつたものである。

四 そこで原告の本訴請求を認容し,訴訟費用の負担につき民訴法89条,93条を適用し,仮執行の宣言は不相当であるからその申立を却下して主文のとおり判決することとする。

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平成元年7月18日最高裁判決

主   文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

理   由
上告人らの上告理由第1点について
 所論の点に関する原審の認定判断は,原判決挙示の証拠関係に照らし,正当として是認することができ,その過程に所論の違法はない。論旨は,ひつきよう,原審の専権に属する証拠の取捨判断,事実の認定を非難するものにすぎず,採用することができない。

同第2点について
 原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて,本件遺骨は慣習に従つて祭祀を主宰すべき者である被上告人に帰属したものとした原審の判断は,正当として是認することができ,その過程に所論の違法はない。論旨は,採用することができない。
 よつて,民訴法401条,95条,89条,93条に従い,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 安岡満彦 裁判官 伊藤正己 坂上寿夫 貞家克己
以上:7,402文字
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H30- 7-11(水):面会交流条件-面会時間第三者立会い等を一部変更した高裁決定紹介
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○別居前と同様に親子の交流を継続することは子の健全な成長に資するものとして意義がある反面、別居に至った経緯等から子の福祉に反する場合があることからすると、その実施がかえって子の福祉を害することがないよう、事案における諸般の事情に応じて面会交流を否定したり実施要領の策定に必要な配慮をしたりするのが相当であり、いわゆる原則実施論を論難する抗告人の主張は前記考え方と矛盾するものではないとして、面会時間、第三者立会い等につき、原審判の内容を一部変更した平成29年11月24日東京高裁決定(判時2365号76頁)を紹介します。

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主   文
一 原審判を次のとおり変更する。
「抗告人は、相手方に対し、本決定別紙面会交流実施要領記載のとおり、未成年者らと面会交流をさせなければならない。」
二 手続費用は、第1、2審を通じ、各自の負担とする。

理   由
第一 抗告の趣旨及び理由

 本件抗告の趣旨は、原審判を取消し、相手方と未成年者らとが面会交流をする時期、方法等を適切に定めることを求めるというものであり、抗告の理由は、別紙抗告理由書写し記載のとおりである。

第二 事案の概要
一 本件は、相手方が、別居中の妻である抗告人との間に生まれた長男A(平成22年××月××日生。以下「長男」という。)及びB(平成25年××月××日生。以下「二男」といい、長男と併せて「未成年者ら」という。)と面会交流をする時期、方法等について定めることを求めた事案である。

二 原審が、抗告人に対し、原審判別紙面会交流要領記載のとおり、相手方に未成年者らとの面会交流をさせるよう命ずる原審判をしたところ、抗告人がこれを不服として即時抗告をした。

第三 当裁判所の判断
 当裁判所は、抗告人に対し、本決定別紙面会交流実施要領記載のとおり、相手方に未成年者らとの面会交流をさせるよう命ずるのが相当であると判断する。
 その理由は、以下のとおり原審判を補正するほかは、原審判「理由」欄の第二並びに第三の一及び二に記載のとおりであるから、これを引用する。
一 原審判2頁2行目の「当庁」を「前橋家庭裁判所」に改める。

(中略)

九 同3頁22行目の「本件」を「本件調停」に改め、22行目から23行目にかけてのかっこ書を削る。
10 同4頁7行目の「未成年者らに」から8行目の「伝えた。」までを次のとおり改める。
 「AトBニアワセテ」(同年4月28日)、「ABヲモウキズツケナイデ」(同年5月31日)、「AトBノココロヲミツメテアゲテ」(同年6月30日)及び「AトBハイズレキヅクヨ」(同年7月29日)の各メッセージを付し、これらのメッセージは抗告人の通帳に記帳された。」

11 同4頁11行目の「「Z」」を「面会交流の支援を手掛ける「特定非営利活動法人Z」の」に、13行目の「できた。」を「でき、上記面会交流は円満に終了した。」に、14行目の「その意味が」から15行目から16行目にかけての「そこで、」までを「長男は、相手方が怒っていて未成年者らに会いたくないのだと思っていたという趣旨の応答をした。それに対して、」に、16行目の「怒っていないことを」を「怒っていないと」にそれぞれ改める。

12 同5頁11行目の「相手方は、」の次に「抗告人との別居後、H医院を受診するようになり、同医院のP1医師により、」を加え、12行目の「その診断をした同一医師により、」を「同医師により、」に改める。

13 同5頁末行冒頭から同6頁4行目末尾までを次のとおり改める。
 「一 父母が別居し、一方の親が子を監護するようになった場合においても、子にとっては他方の親(以下「非監護親」という。)も親であることに変わりはなく、別居等に伴う非監護親との離別が否定的な感情体験となることからすると、子が非監護親との交流を継続することは、非監護親からの愛情を感ずる機会となり、精神的な健康を保ち、心理的・社会的な適応の維持・改善を図り、もってその健全な成長に資するものとして意義があるということができる。

 他方、面会交流は、子の福祉の観点から考えられるべきものであり、父母が別居に至った経緯、子と非監護親との関係等の諸般の事情からみて、子と非監護親との面会交流を実施することが子の福祉に反する場合がある。
 そうすると、面会交流を実施することがかえって子の福祉を害することがないよう、事案における諸般の事情に応じて面会交流を否定したり、その実施要領の策定に必要な配慮をしたりするのが相当である。
 抗告人は、いわゆる面会交流原則実施論を論難するが、抗告人の主張の趣旨とするところは、上述した考え方と必ずしも矛盾するものではない。


14 同6頁6行目冒頭から7頁23行目末尾までを次のとおり改める。
 「(1)相手方による未成年者らに対する暴力、虐待等の未成年者らの福祉を害する行為の有無について検討する。

(ア)まず、相手方の未成年者らに対する暴力に関し、抗告人は、相手方は、長男が相手方の言うことを聞かないなどすると、長男を押さえつけ、時には馬乗りになって長時間怒鳴ることがあり、抗告人の制止も聞かなかったと主張する。
 しかしながら、一件記録によれば、相手方が自分の言うことを聞かなかった長男を厳しく叱責し続けたことがあったとは認められるが、相手方がしつけの程度を超えた暴力や虐待を行ったと認めるに足りる資料は見いだせない。

 この点に関し、抗告人は、平成28年11月23日に行われた試行的面会交流の際の相手方の発言を契機に、後日、抗告人が長男に問うたところ、長男自身が「昔、パパがAくんの手を押さえて上に乗っかって怒ったでしょ。あれが恐くて、」と述べているなどと主張するが、前記認定(引用に係る補正後の原審判「理由」欄の第二の四(2)、(4)及び(5))のとおり、試行的面会交流の場面で、長男には相手方を避けたり、怖がったりする態度は見られず、過去に相手方から暴行や虐待を受けた経験があるとは認められないものであったことからも、上記の主張を採用することはできない。

(イ)次に、前記認定(引用に係る補正後の原審判「理由」欄の第二の三(3))のとおり、長男は、平成26年8月9日頃、抗告人の勤務時間の短縮、パートタイム労働への転換等をめぐって抗告人と相手方とが諍いになった際、相手方が抗告人に対して暴力を振るい、怒鳴った状況を目撃し、相手方を制止しようとしたが、相手方が直ちには上記の行動を止めようとはしなかったことがあったものであり、このときの経験が長男に一定の精神的ダメージを与えたことは否定し難い。
 しかし、前記認定に係る未成年者らと相手方との試行的面会交流の状況に照らすと、長男が上記の経験によって根深い精神的ダメージを受け、現在もその状況から回復していないとか、相手方と接触すること自体で長男が再び精神的ダメージを受けるおそれがあるとかいった状態までは認められない。

(ウ)さらに、前記認定(引用に係る補正後の原審判「理由」欄の第二の三(2))のとおり、相手方は、長男が生後一か月に満たない時期に抗告人が反対したのに長男をマラソン大会に連れ出すなどしたが、たしかに、このことは新生児に対する配慮を欠いた行為ではあるものの、それ自体が長男の生命・身体に対する侵襲としての暴力行為に当たるとまでは認められない。

(エ)くわえて、抗告人は、相手方が同居中当事者双方の収入を管理し、未成年者らを含む家族四人の食費として月額3万5000円しか渡さなかったり、未成年者らの教育資金とする目的で蓄えた預金を使い込んだりした点も主張するが、それらによって未成年者らが窮乏したり栄養不足に陥ったりしたとは一件記録によっても認められず、これらの点が遺棄に類する虐待に当たるともいえない。

イ 以上のように、相手方による未成年者らに対する暴力行為、虐待行為等があったとは認められず、他方、前記認定(引用に係る補正後の原審判「理由」欄の第二の四(2)、(4)及び(5))のとおり、長男も、試行的面会交流を重ねるに従い相手方との親和度を増していて、未成年者らは相手方に一定程度の親和性を有していると認められる。未成年者らと相手方との直接的面会交流を禁止すべきとはいえない。

(2)
ア もっとも、相手方が長男が生後1か月に満たない時期に長男をマラソン大会に連れ出すなどしたこと(引用に係る補正後の原審判「理由」欄の第二の三(2))、抗告人が育児のために勤務時間の短縮等を希望したのにこれをはねつけたこと(同三(3))、長男の面前で抗告人に対して暴力を振るったこと(同)、長男をきつく叱責したこと(前記(1)ア(ア))など、相手方には、抗告人及び未成年者らとの同居中から、未成年者ら及び抗告人の心身の状態、立場、心情等に対する理解・配慮を欠く点があったことも認められるところである。

イ また、相手方は、抗告人及び未成年者らとの別居後も、自分の声を録音したぬいぐるみをそうと告げずに未成年者らにプレゼントとして贈ろうとしたり(引用に係る補正後の原審判「理由」欄の第二の四(1))、抗告人への婚姻費用分担金の送金に際し、未成年者らとの面会交流を求めるメッセージや抗告人が未成年者らの心情を理解せず傷つけたり、未成年者らもいずれそれに気付くはずであるといった趣旨のメッセージを直接抗告人本人に送ったり(同(3))したことも、その時点では既に当事者双方に手続代理人が就いて本件調停手続が行われていたことに照らすと、客観的な状況や抗告人の心情を踏まえない独善的な行いであるというべきである。

ウ さらに、相手方は、原審の手続においても激しく抗告人を非難し、当審で提出した答弁書でも、抗告人に対して「排他的な選民思想」、「虚偽を繰り返す人間性」といった人格否定的な言葉を用いて非難し、いたずらに対立を助長しかねない主張をしている。

エ 上記のような相手方の行動・態度は、相手方の自己中心的で他者への配慮に欠けるところがあることを示しているといわざるを得ない。面会交流を円滑かつ継続的に行うには、相手方において、面会交流の要領(ルール)の遵守に加えて、面会時の未成年者らの状況への適切な対応、未成年者ら及び抗告人への心情等の配慮が求められるところ、相手方が自制心を持って、それらを行うことができるかについては懸念がないとはいえず、この点、面会交流の在り方を検討する上で留意すべきものと考える。

(3)進んで、抗告人の現在の心身の状況等についてみるに、前記認定(引用に係る補正後の原審判「理由」欄の第二の3、7)のとおり、抗告人は、相手方との婚姻共同生活において相手方の言動によって精神的負荷を受け、別居後も未成年者らとの面会交流をめぐる相手方との言動から同様に負荷を受け、抗告人には、ストレス、不安を強く感じ、頭痛、不眠等の症状が起こっている。現在は、それらの症状があっても未成年者らの育児・養育及び監護に特段の支障は生じていないものの、場合により育児等に支障が生ずるおそれを否定することはできない。そして、抗告人は、これまでの経緯から、相手方に対して信頼感を持てなくなっていることも認められる。

 そうすると、今後、未成年者らと相手方との面会交流が円滑かつ継続的に実施されるためには、抗告人が安心して未成年者らを面会交流に送り出すことができる環境を整えることも必要と考えられる。

(4)以上の検討結果を総合すると、未成年者らと相手方との直接的面会交流を認めるのが相当であるが、未成年者らは、平成26年12月の相手方との別居後、これまで相手方と3度の試行的面会交流をしたのみであるから、短時間の面会交流から始めて段階的に実施時間を増やすこととし、頻度は1か月に1回とし、実施時間は半年間は1時間、半年後からは2時間とするのが相当である。

 そして、前示のとおり、相手方に自己中心的で他者への配慮に欠けるところがあり、抗告人の相手方に対する信頼が失われていることを踏まえれば、面会交流を円滑かつ継続的に実施していくためには、1年6か月(18回分)の間は、面会交流の支援を手掛ける第三者機関にその支援を依頼し、同機関の職員等が未成年者らと相手方との面会交流に立ち会うこととし、時間をかけて未成年者らと相手方との面会交流の充実を図っていくのが相当である。


(5)以上の諸点に鑑み、また、当事者間の衡平を図る見地から、未成年者らと相手方との面会交流の実施要領は、本決定別紙のとおり定めることとする。」

第四 結論
 よって、原審判を変更することとして、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 垣内正 裁判官 内堀宏達 廣澤諭)

別紙 面会交流実施要領
一 第三者機関の関与

(1)下記第二項以下による未成年者らと相手方との面会交流(以下「本件面会交流」という。)のうち第一回目から第18回までの分は、「特定非営利活動法人Z」(E市《番地等略》所在。理事長P2。以下「Z」という。)の職員又は同法人の指名する担当者(以下「Z担当者」という。)の立会いその他の支援を得て行う。

(2)当事者双方は、本件面会交流に関し、Z担当者の指示に従う。

(3)Zに支払うべき費用は、当事者双方が折半して負担するものとする。

(4)一方の当事者は、Z以外の第三者機関から本件面会交流の立会いその他の支援を得ることを希望するときは、他方の当事者に対し、第三者機関の変更について協議を申し入れることができる。

二 本件面会交流の実施日、時間等
(1)実施日
 本決定が確定する日の属する月の翌月以降、毎月第1日曜日。

(2)実施時間
ア 第1回目から第6回目まで
 午前10時から午前11時まで(1時間)
イ 第七回目以降
 午前10時から正午まで(2時間)
ウ 第13回目以降についての協議
 第13回目以降については、一方の当事者は、他方の当事者に対し、実施時間の変更についての協議を申し入れることができ、他方の当事者は、これに応じて本件面会交流の実施時間の変更について誠実に協議するものとする。

(3)実施日及び実施時間(開始時刻を含む。以下、本項において同じ。)の変更
ア 未成年者らの病気その他やむを得ない事情により、上記(1)及び(2)の実施日又は実施時間を変更する必要があるときは、当該事情が生じた当事者は、第一回目から第18回目までの本件面会交流については、Zに速やかに連絡し、当事者双方は、Zを介して協議し、代替日又は変更後の実施時間を定めるものとする。
イ 第19回目以降の本件面会交流に関し、上記アの必要があるときは、当該事情が生じた当事者は、他方の当事者に速やかに連絡し、当事者双方は、協議して代替日又は変更後の実施時間を定めるものとする。
ウ 上記ア又はイによる本件面会交流の実施日の変更に係る代替日は、第2日曜日、第3日曜日、第4日曜日、その他の日の順とする。

三 実施方法
(1)第1回目から第12回目まで
ア 場所
 E市《番地等略》所在の「D」内
イ 未成年者らの相手方への引渡方法
(ア)抗告人は、本件面会交流の開始時刻にZ担当者が相手方に未成年者らを引き渡すことができるよう、開始時刻に先んじてZ担当者に未成年者らを引き渡す。
(イ)上記(ア)により未成年者らの引渡しを受けたZ担当者は、本件面会交流の開始時刻に、「D」内の「プレイルーム」入口付近において、相手方に未成年者らを引き渡すものとする。
ウ 交流方法
 未成年者らと相手方とは、「D」内で三名で交流する。Z担当者は、これに立ち会うものとする。
エ 未成年者らの抗告人への引渡し
 相手方は、本件面会交流の終了時刻に、「D」内「プレイルーム」入口付近において、未成年者らをZ担当者に引き渡す。
 未成年者らの引渡しを受けたZ担当者は、速やかに未成年者らを抗告人に引き渡すものとする。

(2)第13回目以降
ア 場所
 実施時間終了時に、下記エの相手方が未成年者らを引き渡すべき場所に確実に戻ることができる範囲内
イ 未成年者らの相手方への引渡方法
(ア)第13回目から第18回目まで
a 抗告人は、本件面会交流の開始時刻にZ担当者が相手方に未成年者らを引き渡すことができるよう、開始時刻に先んじてZ担当者に未成年者らを引き渡す。
b 上記aにより未成年者らの引渡しを受けたZ担当者は、本件面会交流の開始時刻に、E駅(E市《番地等略》所在)北口ロータリー又はその付近において、相手方に対し、未成年者らを引き渡すものとする。
(イ)第19回目以降
 抗告人は、本件面会交流の開始時刻に、E駅北口ロータリー又はその付近において、相手方に対し、未成年者らを引き渡す。
ウ 交流方法
 未成年者らと相手方とは、上記アの場所で三名で交流する。第13回目から第18回目までは、Z担当者は、これに立ち会うものとする。
エ 未成年者らの抗告人への引渡し
(ア)第13回目から第18回目まで
 相手方は,本件面会交流の終了時刻に、開始時刻に未成年者らの引渡しを受けた場所において、未成年者らをZ担当者に引き渡す。
 未成年者らの引渡しを受けたZ担当者は、速やかに未成年者らを抗告人に引き渡すものとする。
(イ)第19回目以降
 相手方は、本件面会交流の終了時刻に、開始時刻に未成年者らの引渡しを受けた場所において、抗告人に対し、未成年者らを引き渡す。
以上
以上:7,113文字
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H30- 7-10(火):子の福祉に反するとして父と子の面会交流禁止変更高裁決定紹介1
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○審判で認められた父親の子との面会交流が子の福祉に反するとして、面会交流禁止に変更された平成29年3月17日名古屋高裁決定(判時2367号58頁)全文を2回に分けて紹介します。


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主   文
一 原審判を次項及び第三項のとおり変更する。
二 当事者間の名古屋家庭裁判所一宮支部平成26年(家)第138号面会交流申立事件に係る平成26年9月24日付け審判において定められた未成年者と原審相手方との面会交流につき、平成28年12月1日以降、次項のとおり変更する。
三(1)原審相手方は、未成年者との面会交流につき、原審申立人との間でこれを許す新たな協議が成立するか、これを許す家庭裁判所の審判が確定し又は調停が成立するまでの間、未成年者と面会交流してはならない。
(2)原審申立人は、原審相手方から未成年者のために来た手紙や品物を未成年者に渡さなければならない。
四 本件手続費用は、原審及び当審とも各自の負担とする。

理   由
第一 事案の概要

一 本件は、未成年者の監護親(母親)である原審申立人(昭和46年××月××日生)が、名古屋家庭裁判所一宮支部平成26年(家)第138号面会交流申立事件に係る平成26年9月24日付け審判(以下「前件審判」という。)の主文により定められた、未成年者と非監護親(父親)である原審相手方(昭和39年××月××日生)との面会交流につき、新たな協議の成立等までの間、禁止することを求めている事案である。

 原審判は、原審申立人の求めた面会交流の禁止は認めず、前件審判が、平成29年4月以降、原審相手方から原審申立人に面会交流場所を知らせるよう命じた部分(前件審判主文一項(4))につき、同月以降とあるのを平成30年8月以降と変更し、また、面会交流における原審申立人の同席を平成29年3月末日まで認めることを命じた部分(前件審判主文一項(5))につき、同日までとあるのを平成30年7月末日までと変更したところ、双方とも即時抗告した。

二 原審申立人の本件抗告の趣旨は、原審判を取り消した上、原審相手方は、未成年者との面会交流につき、原審申立人との間でこれを許す新たな協議が成立するか、又は、これを許す家庭裁判所の調停審判があるまでの間、未成年者と面会交流してはならない、と変更する旨の裁判を求めるものと解され、その理由は、別紙「即時抗告理由書」《略》(写し)及び別紙「主張書面」《略》(写し)に記載のとおりである。

三 原審相手方の本件抗告の趣旨は、原審判を取消した上、原審申立人は原審相手方の示した「子の養育フォーム2」に基づき、未成年者を原審相手方と面会交流させなければならない、との裁判を求めるものであり、その理由は、別紙「抗告理由書」《略》(写し)、別紙「反論書六」《略》(写し)、別紙「上申書七」《略》(写し)及び別紙「反論書七」《略》(写し)に記載のとおりである。

第二 当裁判所の判断
一 当裁判所は、未成年者らと原審相手方との面会交流のうち、遅くとも平成28年12月分以降については、本決定書主文第3項に記載のとおり、当分の間、直接的な面会交流は取り止め、間接的なものにとどめるのが相当であると判断するが、その理由は以下のとおりである。


二 認定できる事実
 以下のとおり付加訂正するほか、原審判「理由」の「第二 当裁判所の判断」の一に記載のとおりであるから、これを引用する(略称については、特に断りのない限り原審判の表記に従う。ただし、原審判中の「当庁」を「名古屋家庭裁判所一宮支部」と読み替える。また、原審判中に摘示されている事件番号は、特に断りのない限り同支部のものである。)。

(1)原審判三頁三行目末尾の次に、次のとおり付加する。
 「そして、少なくとも原審申立人が主張する原審相手方による上記暴行は、具体的かつ詳細で迫真性に富む後記ウの審判時の調査報告書に添付の原審申立人作成にかかる手書きのメモや《証拠略》の陳述書により事実であると認められ、後記ウ、エの審判及び抗告審の決定でも認定されているところであって、信用性の認められる上記メモ書き及び陳述書によれば、産前産後の原審申立人に対する原審相手方の暴力暴言は、その程度に止まるものではなかったことが認められる。」

(2)原審判三頁16行目、5頁7行目、11頁21行目、14頁11行目、15行目、23行目の各「裁判官」をいずれも削除する。

(3)原審判三頁26行目末尾を改行した次に、次のとおり付加する。
 「原審相手方は、上記審判に対して即時抗告したが(名古屋高等裁判所平成20年(ラ)第235号)、平成20年10月6日、同抗告は棄却された。抗告審の決定書では、原審判の認定説示をそのまま引用した上、未成年者にとって原審相手方との面会交流が楽しい時間であれば、たとえ短い時間であっても試行の回を追うごとに原審相手方に懐くと思われるが、四回の試行面会では回を追うごとに逆の反応となっており、原審相手方との面会交流自体が未成年者の負担となっている旨の説示が付加されている。」

(4)原審判11頁7行目の「施行」を「試行」と改める。

(5)原審判13頁6行目の「主張するが、」の次に「確かに、原審相手方は、原審申立人を面会交流に非協力的であると非難し続けており、面会交流を実施していく上で原審申立人との信頼関係・協力関係を築いていく意識に乏しい面が窺われる。しかし、面会交流における信頼関係は、連れ去りの危険がないことや取り決めたルールを守って実施すること、子の前で相手の悪口を言わないことなど、面会交流を行う上で必要な範囲で確保されていれば足り、これまでに実施された試行面会や原審申立人が面会交流の具体的方法を提案していたこと等に照らすと、本件において、」を付加する。

(6)原審判13頁8行目の「相手方は、」の次に「原審相手方との面会交流が未成年者にとって心理的負担となっていることが明らかな状況を踏まえても、これを原審申立人による悪影響によるものとして、原審申立人に対する批判的態度を崩さず、原審申立人の悪影響を弱めるために頻繁な面会交流を行うべきである旨主張している。しかし、原審申立人が未成年者に対して片親疎外を招くような悪影響を及ぼしているとはいえず、原審相手方は、同性の監護親の影響を受けやすいという」を付加する。

(7)原審判13頁9行目から10行目にかけての「相手方」を「原審申立人」と改め、13行目及び18行目の各「申立人」をいずれも「原審相手方」と改める。

(8)原審判14頁21行目末尾を改行した次に、次のとおり付加する。
「上記各決定が繰り返されたのは、未成年者がその強固な意思で原審相手方との面会交流を拒絶していることによるものであるが、これら決定書のうちには、原審相手方が未成年者を面会交流の指定場所に連れて行った様子がないこと(上記平成27年4月30日付け決定)、身体症状が出たのであれば医師を受診させて相談したり、面会交流変更の申立てをしたりすべきであるのにしていないこと(上記同年9月8日付け決定)を指摘したものがある。」

(9)原審判14頁26行目末尾を改行した次に、次のとおり付加する。
「この決定では、末尾の付言として、原審申立人に向けて、未成年者が面会交流を嫌がり履行が困難であるというのであれば、原審申立人において未成年者を強く説得して引渡場所まで連れて行き、その反応を原審相手方に目の当たりにして理解してもらう必要がある旨説示し、他方、原審相手方に向けては、裁判所で決定された事項であるとはいえ、未成年者との面会交流は、監護者の理解を得て行うことが未成年者や当事者双方の心身の安定と利益にもっとも適うから、原審相手方としても、より良い面会交流実現に向けて、原審申立人代人理人と十分に協議し、監護親である原審申立人の理解を得るような柔軟な振舞いが求められる旨説示している。その上で、「当裁判所は、いたずらに間接強制の増額の紛争を繰り返すことなく、当事者双方の相互理解の努力の上に、面会交流が実現できるように期待するところである。」と結んでいる。

 しかるに、原審相手方は、この決定に執行抗告し、平成28年8月23日、上記抗告は棄却された(名古屋高等裁判所平成28年(ラ)第197号)。
 抗告審の決定では、「一件記録によれば、これまでにも再三にわたり、抗告人(原審相手方)と未成年者との面会交流が試行されてきたこと、相手方(原審申立人)も、本件審判で定められた面会交流の実施に応じるよう未成年者に対する働きかけを行ったことが認められ、未成年者と非監護親との面会交流を実施することの意義については、相手方(原審申立人)も、一般的な知識理解を有していることがうかがわれる。」と判示されている。

 原審相手方は、上記各間接強制の決定に基づき、実際に何度も間接強制の手続を踏んでおり、その度に、原審申立人に対し、その所属する県教育委員会や勤務校の校長から電話がかかってくるが(給与等の差押えに関してのことと思われる。)、間接強制のことを原審申立人が未成年者には極力隠そうとしても、聡明な未成年者はそのことを鋭く察知し、「嫌がったのは自分なんだ。母親は関係ない。自分のせいだ。」と叫んだり、「絶対にお金は払わせないから。」と言って車の中に立てこもったり、間接強制のお金は自分が支払うと言って、布団の上にお金を並べ「足りない!足りない!」と取り乱したりしたことがある。

 原審申立人に科せられた間接強制金は、少なくとも平成27年3月から平成28年7月まで累増する5回分の合計172万円にのぼるが、原審申立人は、これらを親族から借りるなどして支払っており、これにより母子の経済生活は逼迫している。

(10)原審判16頁8行目の「実施すれば、」の次に「未成年者を更に追い詰めることとなり、家出を誘発したり、更に重い身体症状や疾患を生じさせ、これらが常態化、深刻化しかねないこと、未成年者は「自分のために、自分がいるから母が苦しめられる」と悩んでいるが、これは過酷な現状をそのまま受け入れられず、自分を悪者にすることで現状を受け止めざるを得ないためであり、被虐待児やいじめの被害児の心の動きと同様であって、自信喪失や自己否定などが高じて抑うつなどを引き起こしやすいなどともいわれ、子の健康な自己肯定感の形成が疎外されることに加え、」を付加する。

(11)原審判18頁1行目の「写真」の次に「(原審申立人によれば、そもそもそのような写真は存在しないとのこと)」を付加する。

(12)原審判20頁3行目末尾を改行した次に、次のとおり付加する。
 「なお、調査官は、この時点では間接強制にまつわる未成年者の尋常でない反応が記載された原審申立人提出の平成27年8月20日付けの陳述書を読んでいるはずであるが、未成年者が自ら敢えて「嫌がらせ」の語を用いたにもかかわらず、上記の点を念頭に置いた上での質問を行った形跡はない。」


以上:4,529文字
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H30- 7-10(火):子の福祉に反するとして父と子の面会交流禁止変更高裁決定紹介2
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○「子の福祉に反するとして父と子の面会交流禁止変更高裁決定紹介1」の続きです。

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(13)原審判21頁21行目末尾を改行した次に、次のとおり付加する。
「(6)本件の原審判後の状況

ア 平成28年9月16日付けでなされた原審判に対し、双方が抗告した。

イ 原審申立人は、これまで未成年者に面会交流を働きかけるだけで心情が不安定となり、発疹が生じるなどの身体症状を呈する経験から、依然として面会交流には消極的であったが、前記のとおり、間接強制の各決定において、原審申立人が未成年者を引渡場所に連れて行ってすらいないことを再三指摘され、現実に面会交流をさせて身体症状が出たら医師を受診させればよいといった示唆もなされていることを踏まえ、代理人とも協議の上、未成年者を全力で説得して同年12月18日の面会交流に臨んだ。

 未成年者は、面会交流に向かう途中で、「頭が痛い。気持ち悪い。」と訴え、泣き出したりし、面会交流場所近くの駐車場に到着しても、車から降りようとせず、降りた後にも態度や行動で抵抗したため、決められた時間に約10分遅刻した。原審申立人と同代理人は、原審相手方と未成年者が何とか円滑に会話できるように双方に促すなどしたが、原審相手方は、久々の面会に際しても、未成年者に対し直接声をかけることはなく、話しかけを促した原審申立人代理人に対して反発し、長い間面会交流がなされなかったとの不満をぶつけた。

 未成年者は、原審相手方に対し、拒否的な態度を終始貫き、フードコートの席についてアイスクリームを一緒に食べることになっても、原審相手方と口をきこうとせずに席を離れて居なくなり、双方で探し回るところとなった。原審相手方が未成年者を見つけ、元の席に戻るよう声をかけて上腕をつまんだところ、未成年者は泣き出した。

 その後、原審相手方と未成年者は、元の席で15分ほど向かい合ったが、未成年者は、アイスを食べ続けるのみで声を発することはなく、原審相手方は、「Aちゃん、お父さんにご挨拶は?」、「できないの?」、「学校で習ってないの?」などと詰問口調で話しかけたので、未成年者は押し黙ったまま泣き、やがて「トイレ」と言って席を離れ、またもや居なくなった。

 未成年者は、トイレ内に籠って、面会交流が終わるまでここにいる旨を泣きながら訴えたので、原審申立人は、これ以上の継続は無理だと判断し、原審相手方に対し、面会交流の終了を申し入れ、挨拶をして帰宅した。この日、未成年者と原審相手方が再会してから面会交流を終了するまでの時間は、約1時間強であった。

ウ 未成年者は、同日(平成28年12月18日)の帰宅後、感想を聞いた原審申立人に対し、「前代未聞だ。」、「会ったこともない変な人だ。私の周りにはあんなのはいない。」、「気持悪い。腕をもみもみした。」などと述べた。また、両手足の甲に湿疹ができ、痒みからなかなか寝付かれず、就寝後もうなされ、目が覚めては泣き、翌19日の朝には37・9度の発熱も生じた。食欲もなく、朝食は食べられなかったが、解熱したので登校はしたものの、下校後、のどの痛みを訴え、依然、両手足の甲の痒みからボリボリ掻くので、かかりつけの小児科医を受診し、痰などの薬や湿疹の塗り薬の処方を受けた。

 未成年者は、同月19日の後も食欲がなく、就寝中うなされることが続いた。


エ 原審申立人は、平成28年12月24日、かつて乳幼児精神医学を専門とする大学教授として診断書(P2診断書)を作成してもらったことのあるP2医師のいるB病院へ未成年者を連れて行き、P2医師の診察を受けさせた。P2医師は、同月18日の面会交流の状況を聞いた上、1時間ほど未成年者を診察し、診断書(以下「P2診断書二」という。)を作成した。

 P2診断書二には、「診断名」として「ストレス反応・退行状態」と記載され、「附記」として「1.拒否する能力は育ってきている。2.しかし、意に反することが行われることで、自律神経を巻き込んだ反応を起こし、身体症状を引き起こしている。3.それに対して、抱っこ要求等退行反応を起こすことで身を守ろうとする反応を起こした状態である。4.自分を守ってもらえない体験を繰り返すことになっていて、この影響がこの後に一番心配される。5.夢では、まだうまくいかない体験にとどめることができているが、それでも悪夢で眠りを中断されている。6.このまま、自分の意思が尊重されない体験を繰り返すことは社会に対する不信感を増大させていくと考えられる。その結果が、身体反応になるのか、情緒的反応になるのかはわからないが、より大きな反応を起こす可能性が大きくて、精神保健的には、明らかに危険な状況である。」と記載されている。

オ 他方、原審相手方は、平成28年12月19日、その前日にもうけられた場における状況は、未成年者を引き渡したとはいえない状態であり、時間が守られない、挨拶や会話がない、未成年者の同席が1~2分しかないなど、面会交流が実現したとはいえない状況であったので、予備日に面会交流をやり直してもらいたい、として、名古屋家庭裁判所一宮支部に履行勧告の申立てを行った。

 なお、原審相手方が当審において提出した「上申書七」において、10年にも及び父子関係断絶をさせた末、挨拶させない、会話させない、1~2分しか同席させないといった原審申立人の態度は、面会交流がさも困難であるかの演出であって誠意を欠くものであること、父親と挨拶も会話もしようとしない子の対応は、しつけの問題であり、原審申立人の監護親としての適性を疑うものであること等、縷々原審申立人を非難する内容の記載がなされている。」

三 面会交流実施についての検討
 以上の認定事実を基に検討するに、未成年者が当初から原審相手方を頑なに拒否し続けていることは明らかであり、前件審判より以前においては、そのような未成年者の状況や、度重なる試行面会によってもこれが実際上改善されないこと、原審相手方には、面会交流を実施することの困難さや、原審申立人が産前産後の事情に対するわだかまりを超えて面会交流実施のために努力していることに対する理解が不足していることを指摘するなどして、将来における未成年者の成長発達段階に応じた直接的面会交流実施の余地を残しながらも、再三にわたる原審相手方の面会交流申立ては家庭裁判所において認められてこなかったものである。

 そして、前件審判においては、片親疎外を作出しているわけでもなく、むしろ具体的に面会交流の方法を提案し、試行面会にも協力してきた原審申立人に対する理解を欠き、同人に対する非難を止めないなどの原審相手方の問題点を指摘しつつも、原審相手方には未成年者の心身を害する対応はなく、未成年者の心理的負担の程度は面会交流を禁止しなければならないほどのものではなく、未成年者の年齢が8歳に達する段階にあって、ストレス耐性能力や環境適応能力により克服可能な状況になってきているとして、直接的な面会交流を認めるに至ったものである。

 しかしながら、現実の問題として、従前から通算して10回にわたる試行面会を経ても、未成年者の原審相手方に対する拒否的態度が緩解することはなかったものである上、その後も、未成年者の原審相手方に対する拒否的態度はより一層強固なものとなっており、原審申立人が未成年者に対し、原審相手方との面会交流の話をしたり、これを促したりするだけで、心身の状況に異変を生じてきたことは前記認定のとおりである上、法的に認められている措置であるとはいえ、原審相手方によりなされている間接強制の措置につき、いかに原審申立人がこれを隠しても、学業が顕著に優秀で聡明な未成年者がこれを鋭く察知し、原審相手方が金目当てで面会交流を求めているなどと敵意を抱き、そのような事態に及んでいるのは自分のせいであるとして自らを強く責め、原審相手方を拒否する心情を一層深めるに至っていることが認められる。

 しかるに、原審相手方は、上記のとおり、原審申立人の原審相手方に対する過去のわだかまりや、未成年者の頑なな態度にもかかわらず、原審申立人の努力により通算10回にもわたり試行面会が実施されてきていることに対し,何ら感謝の念すら示すことなく、現在に至るまで、原審申立人が父子断絶をもたらした旨非難する偏狭な態度を改めず、前記認定のとおり、原審相手方が1回につき50万円の間接強制金を90万円に増額することを求めたのを却下した間接強制の決定書において、裁判所が原審相手方に対し、監護親である原審申立人との協議と、その理解を得られるような柔軟な対応をするよう勧告したにもかかわらず、これに敢えて抗告し、かかる裁判所の勧告を一顧だにしない態度を示した挙げ句、その抗告も棄却されており、その後、原審申立人が未成年者の心身に異常が生じて未成年者との信頼関係に支障を来す懸念を押してまで、やむにやまれぬ心境で平成28年12月18日の面会交流に臨んだ努力に対しても、何ら感謝の念をも示さないどころか、自らを嫌悪していることが明らかな未成年者に対し挨拶をしないなどと詰問するといった不適切な対応をして、一層未成年者からの顰蹙を買った末、原審申立人が挨拶のしつけもできず、監護親として不適格であるなどと、一方的に非難している。

 そして、未成年者は、実際、上記面会交流後、発疹、不眠、食欲不振、発熱等の身体症状を生じて、医師の診察と薬の処方を受けた上、乳幼児精神医学の専門家であるP2医師の直接的な診察により、ストレス反応、退行状態と診断され(P2診断書二)、未成年者にこのまま原審相手方との面会交流を続けさせることは、精神保健的に明らかに危険であるとされており、これら医学的措置や診断を疑うべき事情は存しない。

 なお、未成年者と原審相手方との面会交流実施につき、既に平成27年12月の時点で、臨床心理学的立場から子の福祉に反するとしたP1意見書の内容や、乳幼児精神医学の立場からその実施をやめるべきとしたP2診断書の内容は、その後、現に実施したことによる弊害状況によく合致しており、そのような事態を的確に予見したものというべきであって信用性が高いものと認められる。これらを否定するP3意見書は、原審相手方との面談は経ているが、未成年者とは面談しておらず、また、判断の基礎とすべき事実関係に偏りないし誤りがあり、抽象的かつ観念的に面会交流の必要性を言うものにすぎないから、採用し難い。

 以上述べたところによれば、遅くとも平成28年12月に一部実施した面会交流において、未成年者と原審相手方との面会交流をこれ以上実施させることの心理学的、医学的弊害が明らかとなったものと認められ、それが子の福祉に反することが明白になったというべきであるから、同月以降の直接的面会交流をさせるべきでないことが明らかとなったものということができる。

 他方、原審相手方が父親として未成年者のために手紙や品物を送ることまでを否定する理由はないから、この点については従前の取り扱いを変更する必要がない。

第三 結論
 よって、以上と異なる原審判を変更することとし、主文のとおり決定する。(裁判長裁判官 藤山雅行 裁判官 上杉英司 丹下将克)
以上:4,651文字
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H30- 7- 9(月):預金使い込み-被相続人預金の一部相続人による使途不明金問題
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○遺産分割で良く問題になるのが、被相続人と同居し、或いは、最も頻繁に連絡を取っていた相続人の一人が被相続人生前に被相続人名義預金の払い戻しをして自分のものにしていたので、その相続人の取得分から控除できないかということです。被相続人名義預金の払戻による使途不明金問題で、その払戻した現金を贈与されたのであれば特別受益の問題になり、その払戻しが被相続人に無断でなされたのであれば横領であり不法行為乃至不当利得として被相続人がその払戻をした相続人に返還請求権を有することになります。

○この被相続人名義預金の使途不明金がある場合の遺産分割事件では、払戻をした相続人に対し、使途不明払戻金の説明を求めると、自分は払戻をしていない、或いは払戻をしたが払戻後被相続人に渡しておりその後は判らない、或いは、被相続人から贈与された・お世話をしたことの対価として受け取った等の弁解をします。

○最後の贈与されたとの弁解に対しては、他の相続人もそれを認めるのであれば特別受益の問題になり、遺産分割の調停或いは審判も可能です。しかし、他の相続人が贈与なんてないはずだ或いは対価の約束などないはずと否認し贈与の有無が争いになる場合、或いは払戻後被相続人に渡した、或いは払戻自体を否認し、他の相続人との見解が異なる場合は、遺産分割でこの問題を解決することはできません。

○払戻をした相続人と他の相続人の見解が異なる場合は、他の相続人は払戻をした相続人に対し、被相続人名義預金の横領があったと不法行為に基づく損害賠償請求をするか、不当利得返還請求を家庭裁判所ではなく地方裁判所に訴訟提起しなければなりません。損害賠償請求或いは不当利得返還請求は訴訟事件であり、非訟事件の遺産分割とは手続が異なるからです。

○遺産分割調停申立事件で、この預金使い込み-被相続人預金の一部相続人による使途不明金問題があり、この点について合意ができない場合、この問題の解決は先ず地方裁判所に訴訟を提起して解決しなければなりません。そのため家裁からは、遺産分割調停はいったん取り下げて使途不明金問題を解決してから再度遺産分割調停を申立して下さいと勧告されるのが普通です。但し、この問題は訴訟に移行し、現存する他の不動産等の遺産分割だけを行うことは可能です。

○問題は、払い戻した相続人に対する被相続人からの贈与を認めて特別受益としてその相続人の取得分から控除すべきと主張する場合です。特別受益とは、「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与」を受けた場合であり、通常、払戻を受けた相続人は、自分が特別に被相続人を世話した対価として贈与を受けた等の贈与を受けるべき特別の事情があったので「生計の資本」ではなく特別受益には当たらないと主張することが多くあります。

○払戻を受け他の相続人より多くの預金を受領しながら、「特別受益」には当たらないと判断され、それがその相続人の取得分から控除されないと判断された場合、他の相続人としては到底納得できません。従って一部相続人が払戻をうけて使途不明金となっている場合は、他の相続人は、この問題については地裁で訴訟を提起して徹底審理して貰った方が、納得を得るためには得策です。中途半端に贈与を認め、「特別受益」非該当として控除されない場合、いったん贈与を認めているため不法行為にも不当利得にも該当しないと判断される可能性があるからです。

○この問題については、「預金の使い込み(不当利得返還請求・損害賠償請求)」「生前に引き出された預貯金をめぐる訴訟の問題(引出の権限)」が参考になります。
以上:1,479文字
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H30- 7- 8(日):嫡出否認の訴え提起期間制限後父子関係不存在確認認容家裁判決紹介
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○「DNA鑑定99.999998%父子でなくても法律上は父子とした最高裁判決紹介1」で民法の嫡出否認の訴えに関する以下の条文を紹介していました。
民法
第772条(嫡出の推定)
 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
第774条(嫡出の否認)
 第772条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。
第777条(嫡出否認の訴えの出訴期間)
 嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から1年以内に提起しなければならない。


○民法第772条で夫の子と推定されても、DNA鑑定でその子が自分の子ではないと判った場合、夫は嫡出否認の訴えを提起できますが、子の出生を知ったときから1年以内に提起しないと、嫡出否認の訴えはできなくなり、生物学的には父子でなくても、法律的には父子関係が永遠に続きます。

○ただし、「嫡出推定の及ばない子」という考え方があり、例えば、妊娠時期に夫が長期海外滞在中、刑務所収監中等の外形的に明らかに夫の子を懐胎する可能性がない場合、父は、嫡出と推定された子に対し、「嫡出推定の及ばない子」として「親子関係不存在確認の訴え」を期間制限なく、提起できます。この「親子関係不存在確認の訴え」は依頼されたことがありますが、嫡出否認の訴えは相談は受けても、実際訴え提起の依頼を受けたことはありませんでした。

○今般、あと数ヶ月で子の出生を知った時から1年を経過する嫡出否認の訴えについての相談を受け、上記条文を見直しました。民法第777条で「嫡出否認の訴え」とされていますが、これも人事訴訟事件ですので調停前置主義に服し、先ず嫡出否認の調停を申し立てることになります。家裁実務では、嫡出否認の調停で当事者間に合意が成立する場合には、当該合意に相当する審判に回して合意審判によって解決する例が殆どとのことです。

○嫡出推定を受けた子が、実は自分の子ではないと知った時、既に嫡出否認の訴え提起期間1年を遙かに過ぎていた場合は、上記夫の長期海外滞在中等「嫡出推定の及ばない子」に該当しない場合は、親子関係を否認する手続はありません。そこで、「DNA鑑定99.999998%父子でない」とされた場合も「嫡出推定の及ばない子」として親か関係不存在確認の訴えを認めても良いのではと訴えを提起し、親子関係不存在を認めたのが平成24年4月10日大阪家裁判決(金融・商事判例1453号31頁)でした。その全文を紹介します。

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主   文
1 原告と被告との間に,原告を子,被告を親とする関係が存在しないことを確認する。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

 主文と同旨

第2 事案の概要
 本件は,法律上の婚姻関係にある被告と原告法定代理人親権者母(以下「甲」という。)の間の嫡出子として出生した原告が,原告の生物学上の父は被告ではなく訴外乙(以下「乙」という。)であると主張して,原告と被告との間に親子関係が存在しないことの確認を求めたのに対し,被告が,原告が被告の嫡出子であることについて民法772条1項による推定が及ぶ上,嫡出否認の出訴期間を経過している以上,原告の訴えは不適法であり(本案前の答弁),また請求は理由がない(本案の答弁)と主張して争った事案である。

1 前提となる事実(記録中の戸籍謄本による認定)
(1)甲(昭和●年●月●日生)と被告(昭和■年■月■日生)は,平成16年●月●日に婚姻の届出をした夫婦であり,未だ婚姻継続中である。
(2)甲は,平成21年●月●日,原告を分娩した。

2 当事者の主張の概要
(原告)
(1)被告は原告の生物学上の父親ではない。原告の生物学上の父親は乙であり,このことは,原告,乙及び甲のDNAを被検対象とするDNA鑑定の結果から明らかである。
 すなわち,被告は●●県●●市に単身赴任し,月に2,3回程度自宅に帰る程度であったために次第に甲との性関係もなくなったところ,甲は,平成19年ころから乙と肉体関係を含む親密な交際を開始し,乙の子を懐妊したものである。
 以上のとおり,被告と原告との間に生物学上の親子関係は存在しない。

(2)甲と被告は,平成20年夏ころから性関係が途絶えていたから,被告主張のいわゆる外観説を前提としても,原告が被告の子である蓋然性が高いという経験則は働かないし,外観説によって嫡出推定が働かない場合とされる事実上の離婚,夫の長期の在監や外国滞在等はあくまで例示に過ぎず,科学的根拠によって客観的かつ明白に親子関係の不存在が証明される場合には嫡出推定が働かないというべきであり,本件では近時の極めて精度の高いDNA鑑定の結果によって原告と被告との生物学上の父子関係が否定されるのであるから,民法772条1項の嫡出推定は及ばないというべきである。
 よって,原告の本件申立ては適法である。

(3)甲としても,被告に対して許される行為をしたとは考えていないし,謝罪の意思を有している。しかし,これは本件とは別途に解決される問題である。
 真実の親子関係を明らかにすることは原告にとって重要であり,これに蓋をして永久に隠し通すことはできない。
 被告が援用する外観説は,提訴権が夫に限定される嫡出否認制度から生じる矛盾を回避するために考えられた理論であるが,本件では実質的に夫の利益のための理論となり,子の視点が全く考慮されておらず失当である。仮に親子関係を否定しない現在の状況が将来的に継続すれば,原告を含む夫婦・親子生活は、極めて不自然・不安定で異常となろうことは明らかである。被告は,DNA鑑定の結果を受入れずに原告の引渡を求める審判前の仮処分等を申し立てるなどしており,原告に安定した生活環境を与えるためには,早期に親子関係の不存在を確認して無意味な紛争を終了すべきである。

(被告)
(1)原告が民法772条1項により被告の嫡出子と推定されることは明らかである。 
 そうすると,原告について被告の嫡出子であることを否認するためには専ら嫡出否認の訴えによるべきところ,当該訴えは夫が子の出生を知ったときから1年以内に提起しなければならず,被告は原告出生時に原告の出生を知っていたから上記出訴期間は経過しており,本件親子関係不存在確認訴訟によって父子関係の存否を争うのは不適法である。
 よって,本件訴えは却下されるべきである。

(2)原告が民法772条1項の嫡出推定が及ばない子とはいえない。
 すなわち,被告が●●市に単身赴任していたこと及び月に2,3回程度自宅に帰っていたことは認めるが,被告と甲との間で性交渉は継続しており,原告妊娠中及び出産後にも被告と甲が夫婦としての実体を有していたことは明らかであるから,原告の懐胎時期に被告と甲の夫婦関係が破綻していなかったことは明らかである。

(3)子の福祉の観点からも嫡出推定を排除する理由はない。
 嫡出否認制度が厳格な制限を設けていることは,血縁上の親子関係よりも法律上の親子関係及びその早期安定を法が優先している顕れであり,これが子の福祉に沿う所以である。
 被告はこれまで原告の父として愛情面,経済面,健康面から何ら問題なく原告を育んでおり,これは今後も変動がない。甲こそ自身の身勝手な欲望に基づいて被告に離婚を迫り,また本訴を提起するなど上記法の趣旨に反しているものである。
 よって,仮に本案の判断に及ぶとしても原告の請求は棄却されるべきである。

3 争点
(1)本件訴えが不適法であるか
(2)原告と被告との間の親子関係の存否

第3 争点についての判断
1 争点(1)について

(1)証拠(枝番を含む乙1ないし7)及び弁論の全趣旨によれば,被告は が原告を懐胎したころに当該懐胎の事実を知ったこと,被告は原告出生後原告の父親として振る舞っていること等の事実が認められる。そうすると,被告が原告出生のころに当該出生の事実を知ったことは明らかである。したがって,原告出生から2年以上が経過した本訴提起日(訴状の受理年月日が平成23年12月●●日であることは記録上明らかである。)が,嫡出否認の訴えの提起期間を経過した後であることも明らかである。

(2)証拠(甲2及び前掲証拠)及び弁論の全趣旨によれば,被告は甲と婚姻後,●●県●●市に単身赴任し,甲が暮らす自宅にはおおむね月に2,3回帰宅していたほか,甲は,原告出生後,原告の様子を知らせるメールを被告に適宜送信していたほか,甲と被告は,お宮参りや保育園の行事等に夫婦として参加し,遅くとも平成23年4月まではこのような通常の夫婦・親子としての家族生活を送っていたこと(原告作成の甲2の陳述書には,同年6月に甲と乙の交際が被告に知れた旨の記載があり,上記認定と矛盾しない。)等の事実が認められ,これらの事実によれば,少なくとも甲は被告を原告の父として振る舞い,被告は原告が自らの子であることを疑っていなかったことが認められ,そうすると,被告と甲の間に,原告懐胎のころ,性交渉があったと推認できる。

 そうすると,長期在監の事実等,原告懐胎のころ甲と被告との間で被告が原告の生物学上の父である蓋然性が否定されるような例示的・定型的事情が存したとはいい難い。
 よって,原告が講学上いわゆる「推定の及ばない子」ということはできず,民法772条1項の嫡出推定を受けることも明らかである。

(3)ところで,証拠(甲1)によれば,原告,乙及び甲の各DNAを被検対象とするDNA鑑定の結果,原告と乙との間に生物学上の父子関係が認められる確率は99.99%であることが認められ,加えて,上記証拠(鑑定書)自体の外形的証明力及びこれによって導かれる今日のDNA鑑定の信用力を併せ考慮すると,原告が被告の生物学上の子でないことは明白である。

(4)上記(1)及び(2)に認定・説示のところからすれば,もはや誰も原告と被告との間の嫡出親子関係を否定することは許されない,すなわち本件訴えは不適法であって却下すべきという結論を導くことも十分に可能である。
 しかしながら,上記(3)の認定・説示に照らすと,本訴を却下し,その結果,原告及び被告に偽りの嫡出親子関係を強制する結果を裁判所が肯認することが,果たして原告及び被告の利益に合致するかという点からして,疑問なしとしない。

(5)もっとも,生物学上の親子関係よりも長年に亘って形成されて社会的に認知された親子関係を尊重してこれを法的に追認する事例も,本件のようなケース以外にもあるといえ(例えば,血縁的親子関係はないが戸籍上の嫡出子とされて長年実の子として扱われてきた場合に,当該親子関係の不存在確認請求訴訟を権利濫用として許さない事例など),本件においても,上記(2)に認定の事実に照らせば,遅くとも平成23年4月ころまでは,原告,被告及び甲は,社会的にも心情的にも夫婦・親子としての生活を形成し,被告が原告を既に3年近くに亘って嫡出子として愛情をもって養育してきた事実が容易に推認でき,このような社会的事実を不貞行為を行った甲とその相手である乙が,被告の関与する余地のないDNA鑑定の結果を突き付けて否定することが許されるかという問題も存し,権利濫用的要素も考慮に値する。

(6)しかしながら,既に原告と被告との間に生物学上の親子関係がないことは原告を巡る者の間の知るところであり,早晩原告もこれを知ることは火を見るよりも明らかであるところ,原告が知るに至った場合のその心身への悪影響は,このまま被告との間の嫡出親子関係を維持する方がこれを否定するよりも大であることは否定できない。また,実の子として変わりない愛情をもって父親としてのつとめを果たすと誓う被告の心情を現時点で疑うことはしないけれども,既に被告も,原告が血を分けた子どもではなく,妻とその不貞行為の相手方の血を分けた子どもであるという事実を突き付けられているのであり,今後原告が成長するに従って,おそらく乙と甲の外形上の特徴を徐々に顕してくるであろう原告に対して,なお父として振る舞うことを被告に強要するのは酷であり,また,原告にとっても,被告に父として振る舞われることは酷といわざるを得ない。

(7)以上に認定・説示のところからすると,上記DNA鑑定の結果は究極の嫡出推定を覆す事実であり,このように嫡出推定が及ばない原告については,なお,親子関係不存在確認の訴えを提起する利益があると解するのが相当である。

2 争点(2)について
 既に争点(1)に認定したとおり,原告と被告との間に,原告を子,被告を父とする生物学上の関係がないことは明らかである。

第4 結論
 以上の次第で,原告の本件請求を認容することとして,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
大阪家庭裁判所家事第4部 裁判官 黒田豊

以上:5,331文字
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H30- 7- 7(土):40年ぶり改正相続法-遺留分侵害額請求権等に関する見直し部分法律案紹介
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○「40年ぶり改正相続法-遺留分侵害額請求権等に関する見直し部分法律案紹介」の続きで、遺留分侵害額請求権等に関する見直し部分法律案紹介です。
PDFファイルは漢数字による縦書きで見にくいので、算数字横書きに修正しました。どこかに修正ミスが残っているかも知れませんのでご注意下さい。

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四 遺留分制度の見直し
1 遺留分の帰属及びその割合

(一)兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、2(一) に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の(1)又は(2)に掲げる区分に応じてそれぞれ当該(1)又は(2)に定める割合を乗じた額を受けるものとすること。(第1042条第1項関係)
(1)直系尊属のみが相続人である場合3分の1
(2)(1)に掲げる場合以外の場合2分の1
(二)相続人が数人ある場合には、(一)(1)又は(2)に定める割合は、これらにその各自の法定相続分を乗じた割合とするものとすること。(第1042条第2項関係)

2 遺留分を算定するための財産の価額
(一)遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とするものとすること。(第1043条第1項関係)
(二)条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定めるものとすること。(第1043条第2項関係)

3 遺留分を算定するための財産の価額に算入する贈与の範囲
(一)贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、2 の規定によりその価額を算入するものとすること。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とするものとすること。(第1044条第1項関係)
(二)民法第904条の規定は、(一)に規定する贈与の価額について準用するものとすること。(第1044条第2項関係)
(三)相続人に対する贈与についての(一)の規定の適用については、(一)中「1年」とあるのは「10年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とするものとすること。(第1044条第3項関係)

4 負担付贈与がされた場合における遺留分を算定するための財産の価額に算入する贈与の価額等
(一)負担付贈与がされた場合における2(一)に規定する贈与した財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とするものとすること。( 第1045条第1項関係)
(二)不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなすものとすること。(第1045条第2項関係)

5 遺留分侵害額の請求
(一)遺留分権利者及びその承継人は、受遺者( 特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下四において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができるものとすること。(第1046条第1項関係)
(二)遺留分侵害額は、1の規定による遺留分から次の(1)及び(2)に掲げる額を控除し、これに(3)に掲げる額を加算して算定するものとすること。(第1046条第2項関係)
(1)遺留分権利者が受けた遺贈又は民法第903条第1項に規定する贈与の価額
(2) 民法第900条から第902条まで、第903条及び第904条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額
(3)被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、民法第899条の規定により遺留分権利者が承継する債務(6(三)において「遺留分権利者承継債務」という。)の額

6 受遺者又は受贈者の負担額
(一)受遺者又は受贈者は、次の(1)から(3)までの定めるところに従い、遺贈(特定財産承継遺言による財産の承継又は相続分の指定による遺産の取得を含む。以下四において同じ。)又は贈与(遺留分を算定するための財産の価額に算入されるものに限る。以下四において同じ。)の目的の価額(受遺者又は受贈者が相続人である場合にあっては、当該価額から1の規定による遺留分として当該相続人が受けるべき額を控除した額) を限度として、遺留分侵害額を負担するものとすること。(第1047条第1項関係)
(1)受遺者と受贈者とがあるときは、受遺者が先に負担する。
(2)受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたものであるときは、受遺者又は受贈者がその目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
(3)受贈者が複数あるとき(?に規定する場合を除く。) は、後の贈与に係る受贈者から順次前の
贈与に係る受贈者が負担する。
(二)民法第904条、2(二)及び4の規定は、(一)に規定する遺贈又は贈与の目的の価額について準用するものとすること。(第1047条第2項関係)
(三)5(一)の請求を受けた受遺者又は受贈者は、遺留分権利者承継債務について弁済その他の債務を消滅させる行為をしたときは、消滅した債務の額の限度において、遺留分権利者に対する意思表示によって(一)の規定により負担する債務を消滅させることができるものとすること。この場合において、当該行為によって遺留分権利者に対して取得した求償権は、消滅した当該債務の額の限度において消滅するものとすること。( 第1047条第3項関係)
(四)受遺者又は受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰するものとすること。(第1047条第4項関係)
(五)裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、(一)の規定により負担する債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができるものとすること。(第1047条第5項関係)

7 遺留分侵害額請求権の期間の制限
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅するものとすること。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とするものとすること。(第1048条関係)

8 その他
民法第1044条を削るものとすること。

六 特別の寄与
1 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び民法第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下六において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下六において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができるものとすること。(第1050条第1項関係)
2 1の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができるものとすること。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、この限りでないものとすること。(第1050条第2項関係)
3 2本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定めるものとすること。(第1050条第3項関係)
4 特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができないものとすること。(第1050条第4項関係)
5 相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に当該相続人の法定相続分(相続分の指定がある場合は指定相続分)を乗じた額を負担するものとすること。(第1050条第5項関係)

七 その他
その他所要の規定の整備をするものとすること。


以上:3,358文字
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H30- 7- 6(金):40年ぶり改正相続法-遺留分侵害額請求権等に関する見直し部分条文紹介
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○「40年ぶり改正相続法-相続の効力等に関する見直し部分の条文紹介」の続きで、「遺留分侵害額請求権」と「特別の寄与」に関する条文の紹介です。PDFファイルは漢数字による縦書きで見にくいので、算数字横書きに修正しました。どこかに修正ミスが残っているかも知れませんのでご注意下さい。


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第五編第八章中第1044条を削り、第1043条を第1049条とする。
第1042条の見出し中「減殺請求権」を「遺留分侵害額請求権」に改め、同条中「減殺の」を「遺留分侵害額の」に、「減殺すべき」を「遺留分を侵害する」に改め、同条を第1048条とする。

第1040条及び第1041条を削る。

第1039条の見出しを削り、同条中「これを贈与」を「当該対価を負担の価額とする負担付贈与」に改め、同条後段を削り、同条を同条第2項とし、同条に第1項として次の1項を加える。
負担付贈与がされた場合における第1043条第1項に規定する贈与した財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とする。

第1039条を第1045条とし、同条の次に次の2条を加える。

第1046条(遺留分侵害額の請求)
遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
2 遺留分侵害額は、第1042条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を控除し、これに第三号に掲げる額を加算して算定する。
一遺留分権利者が受けた遺贈又は第903条第1項に規定する贈与の価額
二第900条から第902条まで、第903条及び第904条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額
三被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第899条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額

第1047条(受遺者又は受贈者の負担額)
受遺者又は受贈者は、次の各号の定めるところに従い、遺贈(特定財産承継遺言による財産の承継又は相続分の指定による遺産の取得を含む。以下この章において同じ。)又は贈与(遺留分を算定するための財産の価額に算入されるものに限る。以下この章において同じ。)の目的の価額(受遺者又は受贈者が相続人である場合にあっては、当該価額から第1042条の規定による遺留分として当該相続人が受けるべき額を控除した額)を限度として、遺留分侵害額を負担する。
一受遺者と受贈者とがあるときは、受遺者が先に負担する。
二受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたものであるときは、受遺者又は受贈者がその目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
三受贈者が複数あるとき(前号に規定する場合を除く。)は、後の贈与に係る受贈者から順次前の贈与に係る受贈者が負担する。
2 第904条、第1043条第2項及び第1045条の規定は、前項に規定する遺贈又は贈与の目的の価額について準用する。
3 前条第1項の請求を受けた受遺者又は受贈者は、遺留分権利者承継債務について弁済その他の債務を消滅させる行為をしたときは、消滅した債務の額の限度において、遺留分権利者に対する意思表示によって第1項の規定により負担する債務を消滅させることができる。この場合において、当該行為によっ
て遺留分権利者に対して取得した求償権は、消滅した当該債務の額の限度において消滅する。
4 受遺者又は受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。
5 裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、第1項の規定により負担する債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。

第1031条から第1038条までを削る。

第1030条に次の2項を加える。
2 第904条の規定は、前項に規定する贈与の価額について準用する。
3 相続人に対する贈与についての第1項の規定の適用については、同項中「1年」とあるのは「10年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。

第1030条を第1044条とする。

第1029条の前の見出しを削り、同条第1項中「遺留分」を「遺留分を算定するための財産の価額」に、「控除して、これを算定する」を「控除した額とする」に改め、同条を第1043条とし、同条の前に見出しとして「(遺留分を算定するための財産の価額)」を付する。

第1028条中「として」の下に「、次条第1項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に」を加え、「に相当する」を「を乗じた」に改め、同条各号中「被相続人の財産の」を削り、同条に次の1項を加える。
2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第900条及び第901条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

第1028条を第1042条とし、第五編第七章第五節中第1027条の次に次の14条を加える。

第1028条から第1041条まで削除

本則に次の一章を加える。

第九章特別の寄与

第1050条

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。
2 前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6箇月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、この限りでない。
3 前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。
4 特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
5 相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第900条から第902条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。
以上:2,775文字
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