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H29- 5-27(土):担任教諭の体罰直後自殺に学校側損害賠償責任を認めた判例紹介3
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○「担任教諭の体罰直後自殺に学校側損害賠償責任を認めた判例紹介2」の続きで、最終結論です。
末尾に主文と事案概要を記載していますが、結論として自殺した少年の損害を約6000万円と認定し、民法第722条類推適用で9割減額した約600万円と両親固有の慰謝料として各100万円の支払義務を小学校を管理する北九州市に認め、更に独立行政法人日本スポーツ振興センターに対し、独立行政法人日本スポーツ振興センター法に基づき、災害共済給付金(死亡見舞金)2800万円の支払義務を認めました。

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四 争点二(一郎の自殺は、本件懲戒行為又は本件事後行為と相当因果関係を有するものであるか。)について
(1)一郎の死が自殺であることは、当事者間に争いがない。また、上記認定のとおり、本件懲戒行為及び本件事後行為以外に、一郎が自殺の動機を有していたとはうかがわれず、一郎の自殺が本件懲戒行為及び本件事後行為から1時間前後のうちに行われていることを考慮すると、一郎は、専ら本件懲戒行為及び本件事後行為が直接的な原因となって自殺したと認められる

 この点『子どもの自殺防止のための手引書』(総理府青少年対策本部編・甲2)においては、子供の自殺の特徴のひとつが衝動性であり、特に小学生や中学の低学年等でその傾向が著しいこと、また、子供の自殺に特に見られる共通の心理として、攻撃願望であること、すなわち子供は一般に社会的立場が非常に弱く、親や先生等からしかられても、まともに抵抗することができず、抗議や反抗も普通にはなかなか表せないため、自殺という最後のかつ最強の手段によって、相手に強烈な攻撃を加えようとし、それによって復しゅうもし、処罰もしようする心理があることが指摘されている。

 一郎は、5年生になって以降、CC教諭から頻繁にしかられ、ときには有形力の行使を伴う懲戒を受けたことで、CC教諭に対する強い不満を抱えていたところに、本件懲戒行為を受け、CC教諭に対する激しい攻撃願望から、上記のような心理状態に陥り、衝動的に自殺に及んだものとみるのが相当である。

 以上によれば、一郎の自殺は、専ら本件懲戒行為及び本件事後行為が直接的な原因となって生起した事情であり、他に一郎の自殺に対する外部的な要因は見当たらない以上、一郎の自殺は、本件懲戒行為及び本件事後行為に内在する危険性が現実化したものと認めるのが相当であり、本件懲戒行為及び本件事後行為と一郎の自殺との間には、相当因果関係があるというべきである。

(2)なお、一郎の自殺は、本件懲戒行為及び本件事後行為を直接的な原因とするものであるとはいえ、上記各行為の態様や、当時一郎が置かれていた状況等を考慮すると、一郎の自殺が必然的なものであったとまではいえず、一郎が自殺したことには、一郎の心因的要因が相当程度寄与していると考えられる。すなわち、上記一で認定したところによれば、一郎は、教員に反発したり、教室を飛び出したりする等、衝動的な行動に陥りやすい児童であったことが認められ、このような一郎の心因的要因も、自殺という極端な行動につながってしまった原因のひとつと考えられる。

 しかしながら、一郎の上記心因的要因については、CC教諭においても、1年間の指導を通じて十分に認識していた事情である。また、一郎は、本件懲戒行為の後、水の入ったペットボトルをCC教諭に向かって投げつけ、教室を飛び出しているのであって、一郎が精神的に激しく動揺していることは、外部的に明らかなことであった。このことは、一郎の同級生の多くが、ふだんと違う一郎の様子を心配し、CC教諭が一郎を追いかけないのが不思議であったとの印象を本件ノートに書き込んでいることからも明らかである。

 この点、被告北九州市は、一郎が教室を飛び出したことは、過去に10回近くあったことであり、CC教諭に対してランドセルを投げつけたことも、過去に複数回あったことであるから、本件懲戒行為後の一郎の様子が、ふだんと格別異なるものであったとはいえない旨主張する。しかしながら、本件において、一郎はCC教諭から直前に体罰を受け、ペットボトルを投げつけるという行為に出た後、教室を飛び出しているのであり、それ以前の教室を飛出したときとは状況がまったく異なるものと考えられるし、CC教諭の供述によれば、過去に、CC教諭に対してランドセルを投げつけたとき、一郎はひどく興奮しており、興奮を収めるのに10分程度要したというのであるから、仮にこれと同列に見たとしても、本件懲戒行為後の一郎の様子が、放置しても問題のない状態であったということにはなり得ないところである。
 そうすると、一郎の心因的要因については、CC教諭においても認識可能な事情であり、相当因果関係が存するとの判断を左右するものではないというべきである。

五 争点三(Bf小及び市教委は、一郎の死因に関する事実を隠ぺいし、原告らの知る権利を侵害したか。)について
 原告らは、〔1〕Bf小は、原告らがマスコミの取材に応じることを妨げ、自分たちに都合のよい情報をマスコミに流したことや、〔2〕一郎の自殺翌日の学年集会や、その後のアンケートにおいて、CC教諭を糾弾する発言や記入をした児童らに対し、口封じを行ったこと、〔3〕原告らの開示要求にもかかわらず、本件の真相解明に是非とも必要な本件アンケート用紙を廃棄したことは、いずれも原告らの知る権利を侵害する違法行為であると主張する。

 しかしながら、〔1〕の点については、上記一の認定のとおり、マスコミの取材に応じることは、もとより原告花子がこれを拒んでいたのであって、Bf小が唆したこととは認められない。一方、Bf小は、マスコミの取材に応じるに当たって、原告太郎の了承を得ていることが認められる。また、その後にDFがマスコミに対して記者会見を行うに当たって、Bf小がこれを妨げた事実もない。

 また、〔2〕の点については、確かに、CfやAmの各陳述書(甲22の二及び三)には、一郎の自殺翌日の午後2時から行われた5年生の集会において、校長が一郎の自殺を告げると、児童らが「CC先生が一郎を殺した」旨叫び、校長が、「このことはしゃべってはいけない。」旨発言したとの記載がある。しかしながら、その場にいた教員らは一様に同事実を否定している上、Cbの供述からも、そのような事実の存在はうかがわれないところであり、前述のとおり、Cf及びAmの各陳述書の一致については、特別重視し得ないことを考慮すると、この点に関するCf及びAmの各陳述書は、たやすく採用できない。

 また、その後のアンケートについては、児童らが「こころの健康調査票」にCC教諭を糾弾する記入をしたと認めるべき的確な証拠は存しない。夏夫の陳述書(甲23の三)には、「こころの健康調査票」に「先生がうぜい」と記入したところ、カウンセラーから「先生のことをそんな風に言ってはいけんよ。」と言われた旨の記載があるが、このような指導は、学校として当然のことであり、これをもって事実の隠ぺいと評価するのは困難である。

 さらに、〔3〕の点についても,上記認定によれば、「こころの健康調査票」は、Bf小が、専ら児童のカウンセリングを目的として、児童らに記入させたものであり、本件懲戒行為等の事実調査の意味合いを含むものとは解されないし、上記のとおり、「こころの健康調査票」に、本件懲戒行為の内容等に関する記載があったことを認めるべき証拠もない。

 確かに、原告らは、平成18年4月ころから、Bf小に対し、本件アンケート用紙の開示を求めていたものであるし(なお、被告北九州市は、原告らが本件アンケート用紙の開示を求めたのは、同年10月以降のことであると主張するが、Bf小において、児童らがアンケート(こころの健康調査票)を記入したことについては、原告らは、遅くとも同年5月26日のCfからの開き取りによって認識していたのであり、その後10月まで、原告らが本件アンケート用紙の開示を求めなかったとは考えられない。)、原告らのいう「アンケート」が「こころの健康調査票」を意味することは、Bf小や市教委において容易に認識し得ることであったと考えられるのであって、それにもかかわらず、安易に「こころの健康調査票」を廃棄したことは、およそ配慮が足りないと非難されることもやむを得ないというべきである。しかしながら、上記で指摘した「こころの健康調査票」の目的やその記載内容に照らす限り、これを廃棄した市教委及びBf小の行為を、事実の隠ぺいと評価することはできないというべきである。
 したがって、被告北九州市が本件の事実を隠ぺいし、原告らの知る権利を侵害したとの理由に基づく原告らの請求には、理由がない。

六 争点四(損害)について
(1)慰謝料
 本件懲戒行為及び本件事後行為に至る経緯、同各行為の態様、一郎が受けた精神的衝撃の程度等、本件にあらわれた一切の事情を考慮すると、一郎の精神的苦痛を慰謝するには、2500万円をもって相当と認める。

(2)逸失利益
 上記認定によれば、一郎は、自殺当時、満11歳であり、本件懲戒行為等を原因として自殺していなければ、満18歳から67歳までの49年間、就労が可能であり、この間、少なくとも、平成16年賃金センサスの男性労働者・学歴計全年令平均の年収額である542万7000円の収入を得られたものと認められるところ、同年収を基礎とし、生活費として5割を控除し、ライプニッツ係数(18・6985から5・7864を控除した12・9121)により中間利息を控除すると、一郎の逸失利益は、542万7000円×(1-0・5)×12・9121=3503万6983円となる。
 したがって、原告らの主張する逸失利益の額3503万6712円は相当と認める。

(3)一郎の自殺には、上記四(2)で説示したとおり、一郎の心因的要因が相当程度寄与していることに加え、自殺自体が損害の拡大に寄与した程度を考慮すると、損害の公平な分担の見地から、民法722条を類推適用し、その損害額の9割を減額するのが相当であるから、上記(1)及び(2)の合計額の1割である600万3671円が、被告北九州市において賠償すべき金額となる。

(4)原告らの相続
 一郎の両親である原告らは、一郎の死亡により、一郎の被告北九州市に対する上記(3)の損害賠償請求権を2分の1(300万1836円)ずつ相続したものと認められる。

(5)原告ら固有の慰謝料
 原告らは、担任教諭の違法な懲戒行為が原因となって、弱冠11歳の子を自殺により失ったのであり、その精神的苦痛は相当なものと認められる。また、上記認定によれば、原告らは、Bf小及び市教委による事実解明が期待し難い状況下で、自ら一郎の同級生への聞き取りを行うことを余儀なくされた上、再三にわたって開示を求めていた本件アンケート用紙(こころの健康調査票)を配慮なく廃棄される等の対応を受けたものであり、その精神的苦痛は何ら慰謝されていない。一方、上記のとおり、一郎の自殺には一郎の心因的要因が寄与していることを考慮すると、このような原告らの精神的苦痛を慰謝するに足りる慰謝料のうち、本件懲戒行為及び本件事後行為と相当因果関係のある金額は、各自100万円と認めるのが相当である。

(6)弁護士費用
 本件訴訟の内容等を考慮すると、原告らが支払う弁護士費用のうち、上記認容額の約1割に相当する各自40万円は、被告北九州市において賠償すべき損害と認められる。

(7)結論
 以上によれば、原告らの被告北九州市に対する請求は、それぞれ440万1836円及びこれに対する不法行為の日である平成18年3月16日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

七 争点五(一郎の死亡は、学校の管理下において発生した事件に起因するものであるか。また、仮にそうであるとして、被告センターは、訴状送達日の翌日からの遅延損害金の支払義務を負うか。)について
(1)上記三及び四で認定・説示したところによれば、一郎の死亡が、省令24条三号所定の「学校の管理下において発生した事件に起因する死亡」に該当することは明らかであり、被告センターは、原告らに対し、センター法16条1項及び2項、施行令4条2項に基づき、施行令3条1項三号所定の死亡見舞金2800万円の支払義務を負うものである。
 そして、原告らは、センター法15条1項六号、学校教育法16条所定の保護者であるから、同見舞金の支払請求権は、各原告に2分の1ずつ帰属していることになる。

(2)次に、遅延損害金の始期について検討する。
 まず、センター法に基づく共済給付金の支給請求権は、被告センターの支給決定によって具体的に生じるものではなく、当該事故がセンター法及び関係諸法規に所定の要件を客観的に充足する場合に、当然に発生するものと解される。
 また、その履行期については、施行令四条四項が、「被告センターは、給付金の支払の請求があったときは、当該請求の内容が適正であるかどうかを審査して、その支払額を決定するものとする。」旨規定し、同条5項が「被告センターは、前項の規定により支払額を決定したときは、速やかに、給付金の支払を行うものとする。」旨規定していることに鑑みると、その履行期は、給付金の支払請求を受けてから、当該請求の審査をするための相当の期間を経過した日であると解される。

 本件は、被告北九州市が、原告らの主張する本件懲戒行為及び本件事後行為の態様及び違法性を強く争っている事案であり、独自の調査機関を有していない被告センターにおいて、原告らの請求の審査を行うことは、相当困難と認められるものの、一方で、被告センターは、遅くとも本件口頭弁論終結時において、原告らによる給付金支払請求の適否を審査するに当たって必要となる情報をすべて入手し得たことが認められる。

 施行令4条4項は、被告センターが、給付金支払請求の適否について、自らの審査によって決定することを予定した規定であり、同条項の趣旨に鑑みると、本件における原告らの被告センターに対する共済給付金の支給請求権の履行期は、本件口頭弁論終結時である平成21年6月4日と認めるのが相当であり、被告センターは、その翌日の同月5日から遅滞の責任を負うものと解される。

(3)以上より、原告らの被告センターに対する請求は、それぞれ1400万円及びこれに対する平成21年6月5日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

八 よって,原告らの被告北九州市に対する請求は主文一項の限り、被告センターに対する請求は主文二項の限りでそれぞれ理由があるから認容し、その余は理由がないからいずれも棄却し、訴訟費用の負担につき、原告らと被告北九州市との間では民訴法61条、64条本文、65条1項本文を、原告らと被告センターとの間では同法61条、64条ただし書、65条1項本文を、仮執行宣言及び同免脱宣言につき、同法259条1項、同条3項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 岡田健 裁判官 佐々木信俊 永井健一)


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主   文
一 甲事件被告は、甲事件及び乙事件原告らに対し、それぞれ440万1836円及びこれに対する平成18年3月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
二 乙事件被告は、甲事件及び乙事件原告らに対し、それぞれ1400万円及びこれに対する平成21年6月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
三 甲事件及び乙事件原告らの甲事件被告に対するその余の請求及び乙事件被告に対するその余の請求をいずれも棄却する。
四 訴訟費用中、甲事件及び乙事件原告らと甲事件被告との間に生じたものはこれを10分し、その1を甲事件被告の負担とし、その余は甲事件及び乙事件原告らの負担とし、甲事件及び乙事件原告らと乙事件被告との間に生じたものは乙事件被告の負担とする。
五 この判決は、一項及び二項に限り、仮に執行することができる。ただし、甲事件被告が甲事件及び乙事件原告らのために500万円の担保を供するときは、一項の仮執行を免れることができる。

事実及び理由
第一 請求

一 甲事件
 甲事件被告は、甲事件及び乙事件原告らに対し、それぞれ4051万8356円及びこれに対する平成18年3月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
二 乙事件
 乙事件被告は、甲事件及び乙事件原告らに対し、それぞれ1400万円及びこれに対する平成20年8月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要
 本件は、甲事件被告(以下「被告北九州市」という。)が設置・管理する北九州市立Bf小学校(以下「Bf小」という。)在学中に自殺したAR一郎(以下「一郎」という。)の相続人である甲事件及び乙事件原告AR太郎(以下「原告太郎」という。)及び同AR花子(以下「原告花子」といい、原告太郎と総称して「原告ら」という。)が、被告北九州市に対し、〔1〕一郎は、一郎の担任教諭であったCC松子(以下「CC教諭」という。)による違法な体罰等が原因となって自殺した、〔2〕Bf小及び北九州市教育委員会(以下「市教委」という。)は、CC教諭の体罰等の事実を隠ぺいし、原告らの知る権利を侵害した旨主張して、いずれも国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を求め(甲事件)、乙事件被告(以下「被告センター」という。)に対し、一郎の死亡は、「学校の管理下において発生した事件に起因する死亡」に該当する旨主張して、独立行政法人日本スポーツ振興センター法(以下「センター法」という。)に基づき、災害共済給付金(死亡見舞金)の支払を求めた(乙事件)事案である。

以上:7,384文字
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H29- 5-26(金):担任教諭の体罰直後自殺に学校側損害賠償責任を認めた判例紹介1
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○「担任教諭の体罰直後の自殺に学校側損害賠償責任を認めた判例要旨紹介」の続きで、平成21年10月1日福岡地裁小倉支部判決(判例タイムズ1321号119頁)判断部分を3回に分けて紹介します。太下線は私が引いたものです。

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第三 当裁判所の判断
一 認定事実
(証拠省略)によれば、以下の事実が認められる。


(1)一郎は、原告ら両親と、12歳上の長男及び4歳上の姉との5人家族であった。
 一郎は、幼いころ体が弱かったため、原告らから、体力を付けることを一番に育てられ、学外のジュニアバレーボールチームでは、小学3年生からレギュラーで活躍し、平成18年1月には、チームのキャプテンになり、市大会で優勝して県大会に出場した。友人も多く、周囲の父兄からもかわいがられていた。また、家族仲も良く、姉とは一緒にバレーボールをしていた。
 一方、一郎は、小学1年生のころから、学習面での遅れや宿題忘れ、忘れ物等が目立つ児童であり、落ち着きがなく、3年生のころには、教員が横にいないとノートをとらなかった。
 一郎は、平成18年3月(5年生)当時、身長約134cm、体重約31kgであった。

(2)CC教諭は、昭和54年に大学を卒業後、北九州市公立学校教員に任命され、4つの小学校での26年間の教員経験を経て、平成17年4月にBf小に赴任し、一郎が在籍する5年3組の担任教諭となった。また、CC教諭は、5年生の学年主任を任されており、周囲の教員からは、あまり感情を表に出さず、まじめかつ誠実に仕事をこなす人物として信頼されていた。
 CC教諭は、しかるべきはしかるということを教育方針のひとつとし、比較的細かいことにもしかることが多かった。
 CC教諭は、身長約160cmの細身の体格であった。

(3)一郎は、5年生になると、体育と図工の授業を除き、最初の5分ないし10分しか授業に集中できず、注意されないと、自分の席で漫画を読んだり、落書きをしたり、机にふせたりしていた。CC教諭が指導すると、気分のいいときは素直に聞き入れたが、気分の悪いときは、「いいやないか。」、「関係ないやないか。」と言って、反抗することも多くあった。CC教諭のしかる声や、一郎の反抗する声は、しばしば隣のクラスにも聞こえていた。
 また、一郎は、自分の筆入れや布製のバッグをはさみで切ったことがあり、CC教諭が注意をした。

(4)二学期になると、一郎は、日がたつにつれて、CC教諭の指導に反抗することが多くなり、多いときは毎時間のようにしかられては反抗していた。一郎は、指導を受けると、「うるさい。」、「関係ない。」、「くそばばあ。」などと言い、教室を飛び出すことも10回近くあった。教室を飛び出したときは、すぐに戻ってきたり、CC教諭が迎えに行くと戻ってきたりしていて、一時限の間中戻ってこないことはなかった。

(5)平成17年11月ころ、CC教諭が一郎を放課後に残して勉強させようとしたとき、一郎が拒否したので、CC教諭が「そんなんやったら家に連絡せないけんね。」と言うと、一郎が興奮して、ランドセルをCC教諭に向かって投げつけ、ランドセルがCC教諭の足下に落ちた。CC教諭は、家には連絡しないと言って、一郎の興奮を鎮めようとしたが、一郎の興奮は10分程収まらなかった。
 その他にも、一郎がCC教諭に向かってランドセルを投げつけたことが、二学期に一回あった。


(6)一郎は、5年生になってから、一緒にバレーボールをしていたBN春夫(以下「春夫」という。)や、その弟のBN夏夫(以下「夏夫」という。)に対し、CC教諭からたたかれ、つねられた、腕をひねり上げられたなどといって、CC教諭に対する不満を度々口にしていた。

(7)三学期になると、一郎は、個人指導の塾に週に2日通い始め、学校でも、CC教諭の指示に素直に応じることが多くなったが、2月中ごろ以降は、再び以前のように、CC教諭の指導に反抗することが多くなった。

(8)平成18年1月25日ころ、一郎は、ふだんよりも早い時刻に、パーカーを頭からかぶって帰宅し、原告花子及びDFに対し、「学校辞めたい。辞めれんの。CCがたたくけ、もう行きたくない。」と泣きながら訴えた。原告花子が事情を聞くと、一郎は、「友達とけんかになったけど、CC先生は俺の言うことを何も聞かんで怒るばっかしやし。」と答え、泣きながらソファーの上にひざを抱えて座り込んだ。原告花子は、Bf小に電話をかけ、CC教諭に対し、「とにかく一郎の言うことも聞いてください。そしてたたいたりしないで、学校を飛び出したりしたらすぐ連絡下さい。」と話した。CC教諭は、これを了承した。

(9)平成18年3月16日、Bf小では、翌日の卒業式を控え、三校時は卒業式のリハーサル、四校時は道徳の時間、5、6校時は学校の掃除と卒業式の準備となっていた。一郎は、午前中に歯医者に行って、昼前から登校し、5、6校時は、職員室とその前の廊下の掃除を担当することとなった。
 一郎は、給食準備中に鬼ごっこをしたり、清掃時間中にチャンバラをして遊んでいるところを、5年1組の担任教諭に見つかって注意を受けた。その後も、一郎が友人と走って職員室に入ろうとしたので、同教諭が注意をすると、一郎は、「何で僕ばっかり。」と言っていた。また、午後2時過ぎには、一郎が玄関前でほうきを振り回して遊んでいたため、事務職員が注意した。

(10)6校時の終わりころ(午後3時半ころ)、CC教諭が6年生の教室で飾り付けをしていたところ、5年3組の女子児童の一人が、Aを連れてやってきた。Aは、顔を押さえながら泣いていた。女子児童は、「AR君が振り回していた棒が、Aさんに当たった。」と説明した。Aは難聴のため、人工内耳を装着している児童であった。CC教諭がAの顔を見ると、傷はなかったが少し赤くなっていた。CC教諭は、教室で待つように2人に伝え、先に教室に帰らせた。なお、Aの顔に当たった「棒」とは、新聞紙を棒状に丸めたものであった。

(11)
ア 本件懲戒行為

 その約5分後、CC教諭が5年3組の教室に入ると、児童らは机の上にランドセルを置いて帰りの準備をしていたが、一郎の姿は見えなかった。CC教諭が、教室に落ちていたほうきを拾って掃除用具入れに入れようとすると、中から一郎が飛び出し、自分の席に横向きに着席した。
 CC教諭は、一郎の前に移動し、「謝りなさい。」としかったが、一郎が「謝ったっちゃ。」と言って反発したため、両者は大声で言い争いになった。CC教諭は、いすに座っている一郎の胸ぐらを両手でつかみ、一郎の身体をゆすったため、一郎はこれに抵抗し、いすから床に倒れ落ちた。一郎が「帰る。」と言うと、CC教諭は「勝手に帰んなさい。」と大声で言い返し、教室前方の黒板の方に向かった。他の児童らは、CC教諭がふだん以上に激しく一郎をしっ責する様子を見て、静まりかえっていた。

イ 本件事後行為
 一郎は、教室後方の出入口に向かって走り、出入口付近に置いてあった、水が半分程度入った500mlのペットボトルをCC教諭に向かって投げつけた。同ペットボトルは、CC教諭の近くの壁に当たった。一郎は、泣くのを必死に堪えるような表情をして、教室を飛び出していった。
 CC教諭は、一郎を追いかけることなく、ホームルームを始めた。数分後、一郎は後方の出入口から教室に入ってきた。すると、CC教諭は、「何で戻ってきたんね。」と怒鳴り、一郎は、自分の席にあったランドセルを取って、再び教室を飛び出していった。
 数分後、CC教諭はホームルームを終え、児童らを下校させた。
 CC教諭は、上記の出来事を原告らに連絡せず、一郎の自殺を知るまで、Bf小の管理職にも報告しなかった。なお、5年3組の教室には、職員室と連絡が取れるインターホンが設置されていた。


(12)同日、原告花子は、DFと買物に出かけており、午後4時半過ぎに帰宅した。一郎の部屋に入ると、一郎がシャンデリアにかかったひもで首をつっていた。原告花子は、二階にいた一郎の姉を呼び、二人で一郎の首のひもを外してベッドに寝かせると、消防に通報し、DFに連絡した。DFは、警察に通報し、原告ら方に駆け付けた。

(13)その後、救急隊員が原告ら方に到着した。DFは、原告花子に促されて、Bf小に電話をかけ、CC教諭を呼び出した。電話に出たCC教諭は、DFを原告花子と勘違いし、「お母さん、一郎君どうしてます。」と聞き、DFが何かあったのかと尋ねると、「今日、一郎君が女の子をたたいたのできつくしかったんですよ。そしたら謝らないので、胸ぐらをつかんでゆすったら、一郎君がこけてしまって。」と答えた。これを聞き、DFは、一郎が自殺したことを伝えた。

(14)一郎は、原告花子の付添いで病院に搬送されたが、同日午後6時10分、死亡が確認された。その後、校長が病院に来たので、原告花子が事情を聞くと、校長は、一郎が耳の悪い女子児童の頭をほうきの棒でたたいたので、CC教諭が一郎をしかった旨説明した。その後、一郎の祖母が病院に来ると、同人と原告花子の間で、本件がマスコミに報道されることを嫌がる会話がなされた。これを聞いた校長が、学校もマスコミの取材には応じない方針でよいかと聞き、原告花子がこれに同意した。
 同日午後9時ころ、一郎の遺体が原告ら方に戻された。同日午後10時半ころ、校長及び教頭が原告ら方を訪れた。お参り後、校長は、学校がマスコミの取材に応じないことについて、原告太郎の了承を得た。

(15)平成18年3月17日の朝、校長は、若松警察署に電話をかけ、原告らがマスコミから取材を受けることを望んでいないことを伝えた。また、原告花子に電話をかけ、原告らからも警察に電話をかけることを促した。すると、DFから電話がかかり、原告花子は動揺のため電話の意味が分からなかったというので、DFにも同旨の話をした。DFは、若松警察署に電話をかけ、原告らの意向を伝えた。

(16)同日、Bf小の卒業式が終わると、校長は、5年生の児童を体育館に集め、一郎が亡くなったこと、原告ら家族がそっとしてほしいと望んでいることを伝えた。その後、5年生の児童を各教室に移動させ、担任教諭(5年三組は教務主任)及びカウンセラーが、「こころの健康調査票」と題する用紙を配付して児童らに記入させ、これをもとに、児童一人ずつに対してカウンセリングを行った。「こころの健康調査票」は、上段が、体調や気分に関するチェック式のアンケート、下段が「今の気持ち」に関する記入式のアンケートになっており、記名式のものであった。
 また、同日夕方、Bf小は、5年生の保護者会を開き、児童の心のケアについての資料を配付するなどした。


(17)同日夜、一郎の仮通夜が行われた。DFは、Bf小に電話をかけ、CC教諭の参列を催促した。その後、校長らが原告ら方を訪れ、DFの指示で参列者が減るのを待っていたところ、校長らに気付いたマスコミたちから、取材に応じるよう強く求められたため、校長は、原告らの了承を得てから取材に応じることを約束した。その後、校長らが原告ら方に入った。原告花子が、CC教諭に対し、一郎は本当にほうきの棒でたたいたのかと尋ねると、CC教諭は、「いいえ、紙の丸めたものが当たっただけでした。」と答えた。原告花子は、一郎の話を聞かなかったことについて、CC教諭を非難した。また、同席した原告らの親せきらも、学校を激しく非難した。
 帰り際、校長は、原告太郎に対し、マスコミが多数来ており、対応せざるを得ないため、対応してよいかと聞き、原告太郎の了承を得た。原告ら方を出た校長は、マスコミの取材に応じた。

(18)同日、原告花子は、一郎の机の中から、一郎が使っていた漢字の練習帳の表紙の裏に、「へいかわまつこしね」と書かれ、その字の上をなぞるように表紙がはさみで切られたものを見付けた。

(19)平成18年3月18日の朝刊に、校長の「しかったあとのフォローが足りなかった。学校側の責任も感じている。平成17年秋ころから担任との関係が悪化して心配した家族が学校側に相談していた。」とのコメントが掲載された。原告ら方にもマスコミが押し寄せたが、原告らは取材拒否を続けた。一方、同日夜の各局のニュースで、校長のコメントが報道された。
 同月19日にも、原告らの認識と異なる報道がなされたため、同日の一郎の葬儀後、DFが記者会見を行い、以前からCC教諭に、一郎の話を聞いてほしい、学校を飛び出したときには家族に連絡してほしいと頼んでいたということや、一郎の自殺直後のDFとCC教諭との電話の内容等を話した。

(20)平成18年3月24日、原告花子は、原告ら方を訪れた校長に対し、事実解明を申し入れた。
 このころから、原告ら方には、一郎の同級生の父兄から電話がかかってくるようになった。その内容は、一郎の自殺当日の出来事や、以前からCC教諭が一郎をよくしかっていたことについてのものであった。

(21)平成18年3月28日、原告花子及びDFは、北九州市内の弁護士に相談に訪れた。原告花子が、学校側に事実を認めて謝罪してほしいとの意向を説明すると、弁護士は、調査委員会等の設置を求めるよう助言した。そこで、原告花子らは、調査委員会の設置を求めるため、同級生らから情報を集め始めた。

(22)平成18年3月31日、CC教諭は、教員を退職した。

(23)平成18年4月1日、校長、教頭及びCC教諭が、原告らに対する事情説明のため、原告ら方を訪れた。校長は、今回の件は教育的指導の範囲内の出来事であったと説明し、CC教諭は、一郎が教室を飛び出してもすぐに帰ってくるだろうと思っていた、原告ら方に連絡するつもりはなかったと説明した。原告花子及びDFは、同級生の父兄から聞き取った内容に基づいて質問し、「こころの健康調査票」について尋ねるつもりで、「アンケート」という呼び方をしながら、その内容を明らかにするよう質問したが、校長は、教育的指導の一環であったとの認識を繰り返し、尋ねられたアンケートとは、カウンセラーの行ったものを指すと理解した上で、その内容は分からないと説明した。また、CC教諭は、一郎に対して体罰や暴力的行為をしたことはないと話し、同年1月25日ころの原告花子との電話のやり取りも、一郎の自殺当日のDFとの電話のやり取りもすべて否定した。

(24)平成18年4月4日、DFは、市教委に電話をかけ、本件に関する説明を求めたが、調査中との回答であった。DFは、市教委に対し、一郎の遺族からも事情聴取をするよう求めた。

(25)平成18年5月26日、市教委のEA及びApが原告ら方を訪れた。原告花子及びDFは、同年1月25日ころの出来事(上記(8))を話し、同年3月16日以降の学校側とのやり取りをまとめた書面を市教委に提出した。また、校長から、児童らのアンケートについて聞いたことや、一郎の同級生から聞き取った内容を伝え、Bf小が作成した事故報告書の開示を申入れたが、市教委は、現在も調査中であるとして、開示を断った。
 同日夕方、原告花子、DF及びその友人が、一郎の自殺当日の話を聞き取るため、一郎の同級生のCf秋夫(以下「Cf」という。)の自宅を訪れた。Cfの自宅には、一郎の同級生のDAも来ていた。原告花子らは、Cfの母親の許可を得て、CfとDAの話を聞き取り、ノートに記入した。

(26)平成18年6月15日、DFは、一郎の同級生のEO一江(以下「EO」という。)の母親が話していたこととして、以前からCC教諭が一郎の手の甲をつねったり、げんこつを押しつけたりしていたという話を又聞きした。

(27)平成18年7月22日、DFは、Cfの陳述書をワープロで作成して、Cfの自宅に持参し、Cfとその母親に陳述書を読んでもらい、両名の署名捺印を得た(同陳述書を始め、提訴前に作成された陳述書については、作成当時、裁判の証拠にするとの認識は、原告らにも、陳述した同級生やその保護者にもなかった。)。その後、DFは、DAの自宅も訪ねたが、DAの母親は、自分が学校教諭であるからと言って、陳述書への署名捺印を断った。
 同日、DFは、EOの自宅を訪ねた。DFは、他の同級生から聞き取った内容を、ひとつずつEOに確認した。EOの母親も、娘の話を聞いて、陳述書の作成を約束したが、後にこれを断った。

(28)平成18年8月31日、DFは、一郎の同級生のAm二江(以下「Am」という。)のところに、陳述書の署名をもらいに行った。Amとその母親は、DFが作成した陳述書に目を通し、署名捺印した。
 Amの陳述書は、以前から、DFや原告花子、バレーボール関係の父兄らが、Amから少しずつ聞き取った内容を、DFがワープロでまとめたものであった。なお、DFは、Amから聞き取りをする際には、それまで他の児童から聞いた内容をひとつずつ確認するように尋ねていた(後述する他の児童からの聞き取りについても同様であった。)。

(29)平成18年9月5日、原告花子及びDFは、福岡市の弁護士八尋八郎(以下「八尋弁護士」という。)に相談に訪れた。八尋弁護士は、原告らが用意したCfとAmの陳述書をつづり、同日付けで確定日付を取得した。

(30)平成18年9月12日、市教委のEA及びApが原告ら方を訪れ、原告花子及びDFに対し、Bf小が作成した事故報告書を見せた。原告らは事故報告書をもらいたいと申し出たが、EAらは、公文書なので渡すこともコピーをとることもできないと説明した。

以上:7,224文字
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H29- 5-26(金):担任教諭の体罰直後自殺に学校側損害賠償責任を認めた判例紹介2
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○「担任教諭の体罰直後自殺に学校側損害賠償責任を認めた判例紹介1」を続けます。

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(31)平成18年9月14日,原告らは、Bf小が作成した事故報告書について、情報公開条例に基づく行政文書開示請求を行った。
 同月28日、上記請求に対する一部開示決定がなされ、一部黒塗りされた事故報告書が開示された。

(32)平成18年10月16日、月命日のお参りのため、原告ら方を訪れた校長に対し、DFは、一郎の自殺当日にDFがCC教諭から電話で聞いた内容と、その後の話が変わっているのではないかと尋ねたが、校長は、「その電話を私はCC教諭と校長室で一郎君の報告をしているときに受けましたが、CC教諭はそんなことはひと言も言っていませんでしたよ。」と否定した。また、DFが、一郎の自殺の翌日、Bf小に電話をかけて、CC教諭の弔問を催促したのに、事故報告書では自発的に弔問に来たようになっているのはなぜかと尋ねると、校長は、そのような電話は、自分も教頭も受けていないと話し、だれに電話をしたのかとDFに聞き返した。

(33)平成18年10月18日、市教委のEA及びApが原告ら方を訪れた。原告花子及びDFは、事故報告書の内容がおかしいと思う点や、同級生から新たに聞き取った内容等を伝え、学校側との認識が異なる点については、その日の出来事を子供たちは見ているのだから、アンケートの内容を調査すれば分かるのではないかと訴えた。しかし、EAらは、アンケートはスクールカウンセラーが保管しており、市教委は関与していないと説明し、DFがスクールカウンセラーとの面会を求めても、これを断った。

(34)平成18年10月25日、原告花子及びDFは、一郎の同級生のBb冬夫(以下「Bb」という。)の自宅を訪れ、卒業式の日のアンケートやカウンセリングのことを聞き取った。

(35)平成18年10月30日、原告花子及びDFは、一郎の同級生のCpの自宅を訪れた。Cpは本件のショックのせいであまり話ができないというので、代わりにCpの母親から、Cpが話していた内容を聞き取った。

(36)同月31日、DFは、Cpの母親から、DFが作成した陳述書への署名捺印を得た。
 同日、DFは、CC教諭が前任校で担任していたDv二郎(以下「Dv」という。)とその母親の話を聞き取った。Dvは、CC教諭は前任校でもよく児童を怒鳴っていたこと、Dv、EU三郎(以下「EU」という。)、Ah四郎の三人が特によく怒られていたことなどを話した。
 DFは、同日、Dvとその母親から、同年11月1日、EUから、それぞれ陳述書に署名捺印を得た。

(37)平成18年11月16日、月命日のお参りのため、原告ら方を訪れた校長及びCC教諭に対し、原告花子は、「形ばかりのお参りはもう結構です。事実を認めて、一郎に謝る気持ちがあるなら焼香してください。」と言って、原告ら方に入ることを拒んだ。すると、校長は、「一郎君が学校の時間内に飛び出し、追いかけもせず、自宅に連絡もしなかった責任は、すべて学校にあります。そのことについては、私が責任をもって謝罪します。」と答え、CC教諭は、「AR君には言いやすかった、AR君の話を聞いてやらなくてすみません。」と頭を下げた。DFは、市教委のApに電話をかけ、校長やCC教諭の発言内容を伝えた。

(38)平成18年11月22日、原告花子、DF及び友人二名がBf小を訪れ、校長やCC教諭との間で、一郎の自殺当日のことについて言い合いになった。DFは、本件アンケート用紙の所在を尋ねたが、校長は、アンケートは無記名で実施され、カウンセラーが持っているので分からないと答えた。

(39)平成18年12月27日、市教委のEA及びApが原告ら方を訪れた。DFは、カウンセラーとの面会や本件アンケート用紙の開示を求めたが、EAらは、カウンセリング以外の要件では面会はできないこと、カウンセラーが実施したのは再発防止のための意識調査であり、カウンセラーが持っているため見せられないことを説明した。

(40)平成19年1月15日、原告らは、八尋弁護士の助言に基づき、市教委のBl教育長にあてて、北九州市の第三者調査委員会の設置を求める要求書を提出した。

(41)平成19年1月22日、原告花子は、春夫及び夏夫から、二人が一郎から聞いた話等を聞き取って陳述書を作成し、同月23日、二人とその母親から署名捺印を得た。

(42)平成19年1月23日、原告らが、本件アンケート用紙について、情報公開条例に基づく行政文書開示請求を行ったところ、同年2月6日付けで、不開示決定がなされた。その理由は、文書は破棄してあり、該当文書を保有していないというものだった。
 原告らが不開示決定通知を受取に行くと、市教委から事情説明の申入れがあり、文書が破棄された経緯について、「こころの健康調査票は、スクールカウンセラーが児童の心の状態を把握するために実施したものであり、市教委が児童の心の状況を把握した後、破棄した。」、「昨年の7月ころ、市教委の指示で、教頭がシュレッダーにかけて処分した。」との説明がなされた。また、原告らが要望した第三者調査委員会の設置についても、平成18年3月29日に市教委が組織した再発防止討論会がその意味を兼ねるものであるとの説明があった。


(43)平成19年2月8日、原告花子及びDFは、平成18年10月25日にBbから聞き取った内容を陳述書にしたものをBbの自宅に持参し、Bb及びその母親の署名捺印を得た。

(44)平成19年3月15日、原告らは、本件訴えを提起した。新聞やテレビで提訴のニュースが流れると、陳述書の署名捺印を約束していた一郎の同級生の母親のうち数名が、原告らに対し、陳述書の作成を断ってきた。

(45)平成19年5月12日、一郎の同級生のCb三江(以下「Cb」という。)が友人に連れられて原告ら方を訪れた。Cbは、原告花子及びDFに一郎の自殺当日の出来事を話し、直筆で陳述書を作成した。

(46)平成19年12月12日、原告らは、Cbが作成した陳述書をCbの自宅に持参し、Cbの母親から署名を得た。また、Cbの母親から、Cbから聞いた話や一郎の自殺後の学校の対応を聞き取った。

(47)平成20年3月16日、一郎の三回忌が行われ、一郎の同級生の女子児童らが原告ら方を訪れた。原告花子が一郎の自殺当日の様子を尋ねると、女子児童らがその日の出来事を話した。その場には、以前に陳述書の作成を断られたEOもいたため、原告花子は、女子児童らにノート(甲29。以下「本件ノート」という。)を渡し、同級生の児童らで、一郎の自殺当日の出来事や一郎の様子などを書いて持ってきてくれるように頼んだ。

 平成20年3月31日、DAが、原告らのもとに本件ノートを届けた。本件ノートの最初のページには、平成18年3月16日当時のBf小5年3組の座席表が書かれてあり、次のページには、「2006年3月16日のことについて自分が見たこと、聞いたことなどをこのノートに書いてください。同じ内容の文でもよいです。自分の名前と書いた日付を必ず書いてください。」と書かれていた。また、次のページ以降、一郎の同級生16名の文章が書かれていた。

(48)平成20年4月、DFは、陳述書の作成のため、弁護士迫田学の同伴のもと、一郎の同級生の自宅を回ったが、学校関係者であることや、裁判は困るといった理由で、陳述書の作成を断られた。

二 上記一(11)の事実認定の補足説明
(1)当裁判所が証拠により認定した本件懲戒行為及び本件事後行為の態様は、上記一(11)ア、イのとおりである(以下、「本件懲戒行為」、「本件事後行為」というときは、その内容は、いずれも同各認定に係るものである。)。

(2)これに対し、原告らは、「CC教諭は一郎の胸ぐらを両手でつかんで上に持ち上げ、そのまま床に押し倒した」、「起き上がろうとした一郎の左腕を右手でつかみ、外側に向かってねじり上げ、そのまま押さえつけた」と主張し、これに沿うCf及びAmの各陳述書(甲22の二及び三)を提出している。

 しかしながら、CC教諭の体格等を考慮すると、「一郎を上に持ち上げた」とする部分については、事実であるとはいささか考えにくいところである(Cfの陳述書の内容は、「CC教諭は…一郎の胸ぐらの洋服のところを両手でつかんだと思ったら、そのまま上に持ち上げた。一郎は足が浮いた感じになって足をバタバタさせていた。」というものであるが、座った姿勢で抵抗する一郎を胸ぐらをつかんで持ち上げるには、相当な腕力が必要であり、CC教諭には困難なことと考えられる。)。

 また、CC教諭が一郎の腕をねじり上げたとする部分は、他の児童らがこれを目撃していれば、強く印象に残りそうな事実であるが、同旨の内容は、Cbの尋問時の供述及び陳述書(甲24、甲26)にも、同級生16名による本件ノートの書き込みにも見当たらない。特に、一郎のひとつ後ろの席であったDj四江(以下「Dj」という。)の書き込みにも、同旨の内容が記載されていないことに鑑みると、かかる事実の存否については、疑問が残るといわざるを得ない。

 原告らの上記主張部分につき、CfとAmの各陳述書の内容が一致していることについても、上記一(11)で認定のとおり、DFは、Amから聞き取りを行う際、既に聞き取りを終えていたCfらの話の内容をひとつずつ確認するように尋ねていったというのであるから、Amに対し、一定の誘導が働いた可能性は否定し難く、現に、CfとAmの陳述書には、共通の間違い(すなわち、「こころの健康調査票」を作成したのは、一郎の葬儀の後であったとする部分。)が見受けられることからすると、両名の供述の一致について、特別重視することはできない。
 以上によれば、Cf及びAmの各陳述書のうち、上記一(11)の認定と異なる部分については、たやすく採用できない。

(3)
ア 一方、被告北九州市は、児童の記憶の特性(大人と比較して、〔1〕時間の経過によって不正確さの増す度合いが大きい、〔2〕情報源を検討する能力が低いこと等により、被暗示性が高い、〔3〕精神的な不安感による影響を受ける可能性が高い、〔4〕大人から質問されるということだけでも影響を受けやすく、さらに質問者の質問の仕方によって影響を受ける。)や、一郎の同級生らに対するDFの聞き取り方法の問題点等を指摘し、原告ら提出証拠の信用性を争っている。

 しかしながら、上記一(11)で認定した事実は、Cf、Am、Cb及びDjの供述ないし本件ノートへの書き込みがおおむね一致する部分であり、かつ、一郎の自殺当日にDFがCC教諭から電話で聞いた内容や、その翌日以降にCbが母親に対して話していた内容とも整合するものであり、信用するに足りるものというべきである。

イ やや細かく付言すると、被告北九州市は、一郎が床に倒れたことについて、本件ノートには全く記載がないと指摘するが、Djの「CC先生が、AR君の胸ぐらをつかんで押し倒していた」との書き込みは、一郎が床に倒れたことを意味していると考えるのが自然である。

ウ また、被告北九州市は、Cbが、尋問において、CC教諭の一郎に対する「何で戻ってきたんね。」との発言を「覚えていない」と供述していることや、本件ノートにも、上記発言を聞いた旨の記載がないこと等を指摘して、CC教諭による上記発言は存在しない旨主張する。

 しかし、Cbは、尋問の約1年三か月前に作成した平成19年5月12日付けの直筆の陳述書(甲24)において、CC教諭の上記発言を記載しており、Cbの母親も、CbからCC教諭が上記発言をした旨の話を聞いていたと供述している。また、Cbの上記陳述書は、その内容や作成方法に照らし、聞き取りを行った原告花子の誘導が影響しているものともうかがわれない。本件ノートについても、そもそも本件ノートには、Cbの書き込みを除けば、一郎が教室を飛び出した後、一度教室に戻り、再び教室を飛び出していった経緯(この経緯自体は、被告北九州市も争っていない。)自体が記載されていないのであり、本件ノートにCC教諭の上記発言が記載されていないことが、直ちに同事実の不存在につながるものでもない。
 したがって、上記一(11)イの認定は左右されないというべきである。

(4)他方、CC教諭の供述及び陳述書(乙23)は、被告北九州市の主張ア(イ)に沿うものであるが、これによると、本件懲戒行為に際し、CC教諭は、何の区切りもなく一郎に対するしっ責を終えたことになり、甚だ不自然であるし、上記供述及び陳述書にあらわれるCC教諭の一郎に対する有形力の行使は、全体的にいたって平穏なものとなっているが、これではその後の一郎の反応とは整合しないというべきである。
 したがって、CC教諭の供述及び陳述書のうち、上記一の認定と異なる部分については、にわかに措信できない。

三 争点一(本件懲戒行為及び本件事後行為の違法性)について
 上記認定のとおり、一郎は、わざとではないにせよ、新聞紙を棒状に丸めたものを振り回して、聴覚障害のあるAの顔に当てた上、CC教諭が教室に戻った際には、恐らくは、Aが一郎のことをCC教諭に言いつけたことを知っていて、面白半分に掃除用具入れに隠れていたのであり、仮に、一郎がAに対し、既に謝っていたとしても、CC教諭において、改めて一郎の行動を戒める必要性があったことは明らかである。

 また、CC教諭が一郎の胸ぐらをつかんだのも、一郎に肉体的苦痛を与えることを目的としたものではなく、自分のいうことを言い聞かせるためであったと考えられるし、一郎が床に倒れ落ちたことについても、CC教諭が故意に一郎を押し倒したとまでは認め難いところである。

 しかしながら、CC教諭が一郎と大声で言い争いをしたことは、教員の児童に対する指導方法としては相当性を欠くものであるし、言い聞かせのためであれば、肩に手をかける等するのが普通であり、胸ぐらを両手でつかむという不穏当な方法を用いる必然性はない。

 また、CC教諭が一郎を故意に押し倒したことは認められなくとも、一郎が床に倒れたのは、CC教諭が一郎の胸ぐらをつかんでゆすったことに起因するものであるし、一郎にとって、級友が居並ぶ教室内で、CC教諭に胸ぐらをつかまれ、床に倒されたということは、肉体的な痛みはもちろん、精神的にも大きなショックを覚えるものであったと考えられる。しかるに、CC教諭は、一郎が床に倒れたことについて、何ら配慮することなく、一郎の「帰る。」との言葉を聞いて、「勝手に帰んなさい。」と感情的に言い返し、そのまま一郎に背を向けている。

 このように、CC教諭による本件懲戒行為が、非常に感情的に行われていることや、胸ぐらを両手でつかんでゆするという行為の態様、上記転倒の結果やその後のCC教諭の対応等を考慮すると、本件懲戒行為(とりわけCC教諭が一郎の胸ぐらを両手でつかんでゆすった行為)は、社会通念に照らして許容される範囲を逸脱した有形力の行使であり、学校教育法11条ただし書により禁止されている「体罰」に該当する違法行為というべきである。

 また、本件事後行為の内容をみても、CC教諭は、一郎が水の入ったペットボトルをCC教諭に向かって投げつけ、教室を飛び出していったにもかかわらず、そのまま一郎を放置してホームルームを開始し、数分後、ランドセルを取りにいったん戻ってきた一郎に対し、「何で戻ってきたんね。」と怒鳴りつけている。一郎の上記行為(とりわけペットボトルを投げつけた行為)は、本件懲戒行為により、一郎が精神的に激しく動揺していたことを顕著に示すものであり、このまま放置することに一定の危惧を覚えてしかるべき状況であったにもかかわらず、そのような状況下にある一郎に対し、「何で戻ってきたんね。」と怒鳴りつけたことは、一郎に対し、徒に精神的苦痛を与えるものでしかありえず、自殺を含めた一郎の衝動的行動を誘発しかねない危険性を有するものであって、かかる言動は、教員に許容される懲戒権の範囲を明らかに逸脱したものとして、違法行為であるといわざるを得ない。

 また、上記で認定・説示したところに加え、後述のとおり、一郎は衝動的な行動に陥りやすい児童であり、そのことはCC教諭も十分に認識していたことを考慮すると、CC教諭が当時置かれた立場に立ち、教員に求められる通常の観察義務を尽くしていれば、一郎が衝動的に自殺を含めた何らかの極端な行動に出る可能性は、認識し得たというべきである。

 したがって、CC教諭は、信義則上の安全配慮義務として、教室を飛び出した一郎を追いかけ、又は教室内のインターホンを用いて他の教員の応援を求めるなどして、一郎を制止し、同人の精神的衝動を和らげる措置を講ずるべき義務を負っていたというべきであり、これをせずに一郎を放置した点で、CC教諭には少なくとも過失がある。


 被告北九州市は、CC教諭が、一郎の興奮が収まるのを待ち、翌日改めて話を聞こうとしたことは、教員に与えられた裁量の範囲内の対応であると主張するが、CC教諭の一連の対応は、感情にまかせて一郎を精神的に突き放し、一郎に対する教育的指導を尽くさなかった行為であったと評価せざるを得ず、被告北九州市の上記主張は採用できない。

 そして、CC教諭による上記一連の本件懲戒行為及び本件事後行為は、被告北九州市の公務員であるCC教諭が、その職務を行うについて行ったものであるから、被告北九州市は、国家賠償法1条1項に基づき、CC教諭の上記行為により原告らが被った損害を賠償する義務がある。
以上:7,277文字
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H29- 5-25(木):担任教諭の体罰直後の自殺に学校側損害賠償責任を認めた判例要旨紹介
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○「いじめ自殺について-統計的には随分減っていますが-雑感1」に関連した「体罰についての胸のすく最高裁判例登場3」の続きです。
体罰についての胸のすく最高裁判例登場3」で、以下のニュースを紹介していました。

小5自殺は体罰が原因 北九州市に賠償命令
< 2009年10月1日 21:05 >

06年に北九州市若松区で小学5年・Aくん(当時11)が自殺したのは担任の教諭の体罰が原因だったとして両親が北九州市などを訴えていた裁判で、福岡地裁小倉支部は1日、教諭の体罰を認定し、計約3600万円の賠償を命じた。

Aくんの両親は「自殺は担任の教諭の体罰が原因」として、北九州市などに約1億円の損害賠償などを求めていた。判決で岡田健裁判長は、担任の教諭から怒鳴られたり胸ぐらをつかまれたりした体罰が自殺の原因だと認定。北九州市などに計約3600万円の支払いを命じた。

これに対し、北九州市は「主張が認められず、厳しい判決だと受け止めています」とコメントしている。


○このニュースについて、私は、自殺に追い込んだと認定された「怒鳴られたり胸ぐらをつかまれたりした体罰」とは、具体的にはどのようなものだったのか、この判例が公刊されたら是非勉強したいと思いました。北九州市はおそらく控訴するものと思われますが、経緯を見守りたいと思っておりますと感想を述べていました。

○この判例は、平成21年10月1日福岡地裁小倉支部判決(判例タイムズ1321号119頁)として公刊されていました。要旨は以下の通りです。
1. 市立小学校5年生の児童に対して教諭が行った、胸ぐらを両手でつかんでゆする懲戒行為は、体罰に該当する違法行為であり、その後、動揺した児童がペットボトルを教諭に投げつけて、教室を飛び出したあと、いったん戻ってきた際に怒鳴りつけた教諭の言動は、懲戒権の範囲を明らかに逸脱した違法行為であり、また、当該児童は衝動的な行動に陥りやすく、教諭もそのことを十分に認識していたことから、当時児童が衝動的に自殺を含めた極端な行動に出る可能性は認識しえたものであり、教諭は、信義則上の安全配慮義務として、教室を飛び出した児童を追いかけるなどして、児童を静止し、児童の精神的衝動を和らげる措置を講ずるべき義務を負っていたものであり、これをせずに児童を放置した点で、教諭には過失がある。

2. 市立小学校5年生の児童の自宅における自殺行為が、教諭の懲戒行為及び事後行為から1時間前後のうちに行われており、他に自殺の外部的要因がないことから、本件懲戒行為と本件事後行為と児童の自殺との間には、相当因果関係があり、自殺には当該児童が衝動的な行動に陥りやすいという心因的要因が相当程度寄与しているが、その心因的要因については、教諭も認識可能な事情であり、相当因果関係が存するとの判断を左右するものではない。
以上:1,156文字
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H29- 5-24(水):いじめ自殺について-統計的には随分減っていますが-雑感1
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○平成29年4月末頃から5月に入って連日のように仙台市の私立中2年の男子生徒(当時14歳)が平成28年2月にいじめを苦に自殺をした問題のニュースが、いじめに教師2名まで加わっていたとのことまで判明したとのことで、文部科学省まで巻き込み、センセーショナルに報じられています。

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<仙台中2自殺>仙台市長、再調査実施へ
河北新報2017年05月24日水曜日


 仙台市泉区の南中山中2年の男子生徒=当時(14)=が2016年2月に自殺した問題で、奥山恵美子市長がいじめ防止対策推進法に基づく再調査を実施する方向で最終調整していることが23日、分かった。13年9月の同法施行後、首長による再調査は宮城県内で初めて。

 男子生徒の自殺を巡り、市教委の第三者委員会「いじめ問題専門委員会」は今年3月、「いじめによる精神的苦痛が一因」とする答申を市教委に提出。市教委から報告を受けた奥山市長が、再調査の可否を検討していた。
 奥山市長は、答申でいじめの具体的な態様や加害生徒が特定されず、男子生徒の遺族が答申内容や専門委の公平・中立性に強い疑問を示している点を考慮。答申内容の検証が必要と判断したとみられる。再調査は専門委とは別の構成で行われる見通し。

 いじめ防止法は学校や教委が実施した調査に対し、首長が同種の重大ないじめの発生防止などのために必要と判断すれば、再調査できると定める。
 文部科学省は重大ないじめの調査に関する指針で、(1)市教委や学校の調査時に知り得なかった重要な事実が判明した(2)十分な調査が尽くされなかった(3)調査委員の人選の公平・中立性に疑義がある-場合は、首長が再調査を検討するよう求めている。奥山市長は指針の趣旨も踏まえたもようだ。
 同法施行後、市内では14年9月に泉区館中1年の男子生徒=当時(12)=がいじめを苦に自殺したが、奥山市長は専門委が追加調査までした点や遺族の意向を受け、再調査を見送った。


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○いじめ自殺と言えば最も有名な事件は、昭和61年に発生した「中野・富士見中学いじめ自殺事件(=葬式ごっこ事件、鹿川裕史君いじめ自殺事件)」です。その後も、ことある毎にいじめ自殺事件が報道され続け、一体、いじめ自殺の件数はどうなっているかネットで調べると「文科省HP」「いじめの発生件数の推移、児童生徒の自殺の状況「平成17年度生徒指導上の諸問題の現状について」(文部科学省調べ)より」グラフ付きでシッカリ紹介されています。

○いじめの発生件数は、昭和60年度15万5066件が平成17年2万0143件と32年間で7分の1以下に大激減しています。但し、「(注1)平成6年度からは調査方法を改めたため、それ以前との単純な比較はできない。(注2)平成6年度以降の計には、特殊教育諸学校の発生件数も含む。」との但書からは、単純比較はできないようです。

○児童生徒の自殺の状況ですが、以下のグラフの通り、昭和52年321人が、平成17年105人と3分の1以下に減っています。

以上:1,325文字
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H29- 5-23(火):平成29年KSS第4回定期総会開催報告-一部写真報告
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○「平成29年KSS第4回定期総会開催報告」の続きです。
一次会場銀座ライオン一番町店ビヤフロアーには41名の同年生が集まって、大変、盛り上がり、大喧噪状態が続きましたが、女性幹事が、場を盛り上げるため色々企画をして面白い写真撮影がありました。以下、掲載します。

写真は、映っている方のプライバシー保護のため、全て人物が特定出来ないようにモザイクをかけています(^^)。このモザイクかけに疲れてしまいました(^^;)。

先ずいち早く66歳に達した方々の「66歳になっちゃいました」写真です。みなさん、66歳にはみえません


次に相変わらず美しい「今も昔もめんこいっちゃ!」写真です。口元から美しさを偲んで下さい(^^)。1人めんこくないのが紛れ込んでいましたので、モザイクで完全消去。


最後に全員集合写真です。一部映っていない方もおり、私も二次会会場準備のため映っていません


以上:380文字
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H29- 5-22(月):平成29年KSS第4回定期総会開催報告
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○○平成29年5月21日(日)、午後0時30分から銀座ライオン一番町店ビヤフロアーで、KSS42(昭和42年中学卒業気仙沼・仙台三陸会)第4回定期総会が開催されました。このKSS定期総会参加者は、第1回平成25年10月全体懇親会49名、第2回平成26年定期総会参加者33名、第2回平成27年45名、第3回平成28年34名、第4回平成29年41名でした。

○平成29年は全体会を始めて4回目ですが、参加申込は45名でした。しかし、体調不調等で急遽欠席が4名で最終的に41名の参加となりましたが、これだけ会を重ねても45名も参加申込頂けるのは、ホントに有り難い限りです。気仙沼から11名、関東圏から5名、盛岡から1名と仙台圏以外から17名も参加してくれたからで、遠いところわざわざ参加頂いたことに改めて感謝申し上げます。

○そのプログラムは以下の通りです。イラストレーター平野秀明氏のデザインです。



○一次会は恒例となっている銀座ライオン一番町店ビヤフロアーでしたが、何しろ、昔懐かしい同年生ですので、開始前から話しが弾み、忽ち、大喧噪となります。定期総会では、参加者のどなたかに感謝状を差し上げることがありますが、平成29年は東京から参加頂いた有限会社ちばき屋創業者「千葉憲二さん」に以下の感謝状を贈呈しました。これもイラストレーター平野秀明氏のデザインです。なお平成28年は、幹事会打ち合わせ場所提供を理由に私に感謝状を頂き、恐縮の限りでした。






以上:614文字
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H29- 5-21(日):交通事故被害者受領保険金を不法行為として返還を認めた判決紹介2
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○「交通事故被害者受領保険金を不法行為として返還を認めた判決紹介1」の続きで、平成29年2月28日広島地裁判決の判断部分です。
原告は、平成26年11月2日発生事故の傷害について同年同月4日から平成27年5月7日までほぼ6ヶ月間にA病院3回、B接骨院125回通院し、A病院分約3万円、B接骨院分約80万円の治療費を被告側保険会社に支払って貰いました。

○ところが、原告は、本件事故により,腰椎捻挫,左膝打撲,左足関節捻挫,左殿部打撲の傷害を負ったにも拘わらず、以下の事実が判明しました。

・事故翌日11月3日には軟式野球試合に出場し、「投手,4番打者(上衣が紺色のユニフォームの背番号11番の選手。以下同じ。)としてフル出場し,打者としては3回打席に立ち,うち1回はセーフティバントでダッシュして出塁し,左足で1塁ベースを踏んで駆け抜け,他の1回では会心のヒットを放ち,守備では右投げ投手(投球の際に左足や左殿部に強い負荷がかかると推認される。)として6回を投げ抜き(被安打2,四球3,自責点1),ピッチャーゴロの処理も問題なくこなす活躍をし」、

・11月16日の試合では「三塁手,3番打者としてフル出場し,4安打(うち1本は本塁打)の活躍をし」、平成27年2月15日の軟式野球の試合では,「投手,5番打者としてフル出場し,投手としては5回を完投し,2安打した。同年2月22日の軟式野球の試合では,投手,5番打者としてフル出場し,7イニングを完投し」たことが判明しました。


○これらの事実がどうして判明したかは、「乙6ないし12(枝番を含む。)」と証拠を挙げていますが、目撃者の陳述書でも提出されたのかも知れません。また、「原告はフェイスブック(乙8の2・3)に投稿していたところ,平成27年2月5日にランニングをしていることを載せている。」なんて記載もあり、原告自身が、得意げに自分のフェイスブックに掲載したのかも知れません。

○いずれにしても、腰椎捻挫,左膝打撲,左足関節捻挫,左殿部打撲の傷害があったとしても、翌日に野球の試合で「セーフティバントでダッシュして出塁し,左足で1塁ベースを踏んで駆け抜け,他の1回では会心のヒットを放ち,守備では右投げ投手(投球の際に左足や左殿部に強い負荷がかかると推認される。)として6回を投げ抜」く大活躍をするようでは、傷害の程度は大したことはないと認定されて当然でしょう。この判決は、被害者側として大変厳しい判決ですが、事実関係を見る限り、やむを得ないと評価できます。

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第3 当裁判所の判断
1 本件事故の過失割合

(1)甲1,11の1・2,乙2,原告本人並びに弁論の全趣旨によれば,本件事故現場は被告車の進行車線の突き当たりの丁字路交差点であるところ,被告車進行車線の交差点手前には一時停止線があり,交差道路が優先道路となっていること,原告車は自転車横断帯を通行していたこと,被告車から見て,原告車が来る方向(右方)の見通しが良好であったことが認められる。
 以上の事実によれば,本件事故の過失割合は,原告が5%,被告が95%であると認められる。

(2)この点,被告は,本件事故現場が信号機による交通整理の行われていない横断歩道であること,原告車が被告車の直前を横断したことを挙げ,原告の過失割合は30%であると主張する。しかし,上記で掲出した証拠によれば,本件事故現場では信号機による交通整理が行われていないことは認められるものの,被告車進行車線よりも交差道路(原告車が進行していた方向の車線)の方が優先道路になっているのであるから,被告車はより慎重に横断歩道を通過すべき注意義務を負っていたといえるのであり,信号機による交通整理が行われていないことをもって原告の過失割合が5%を超えるとは認められない。また,原告車が被告車の直前で横断を開始したとの事実を認めるに足る証拠はない。よって,被告の上記主張はいずれも当裁判所の判断を左右しない。

 他方,原告は,被告に右方の安全確認義務違反が著しい過失にあたると主張するが,上記認定事実をもって直ちに被告に著しい過失があるとまでは認められないから,原告の上記主張は採用できない。

2 本件事故と相当因果関係のある原告の損害
(1)治療費等 13万1186円

ア 原告は,本件事故により,被告側から填補済みの治療費・施術費部分に加え,平成26年11月4日から平成27年5月7日までの間,A病院での治療等で4万4134円,B整骨院での施術で10万1560円を要したと主張する。これらの費用が本件事故と相当因果関係を有することの根拠として,原告は,〔1〕原告が平成27年4月14日にA病院を受診した際,同病院医師P1(以下「P1医師」という。)は,もう1か月程度の加療が望ましいとの治療計画を立てており,同年5月中旬まで原告が治療を続けるのを了解していたこと,〔2〕P1医師が,B整骨院への通院を容認するとともに,B整骨院での施術により,相当程度以上の症状が軽減,回復しており,その施術は医学的に有効かつ相当であったこと,以上の点を挙げて,平成26年11月16日以降の治療・施術費も,本件事故と相当困果関係を有する損害に当たると主張する。また,〔3〕被告の付保する東京海上日動及び被告代理人は,平成27年3月末まで原告が施術を続けることを認めていながら,後になって態度を翻すのは信義則に反するとも主張する。
 上記〔1〕の主張については,甲3,4,7の6・7,17,乙1中に,上記〔2〕の主張については,甲12,13,17,証人P2,証人P3及び原告本人中に,上記〔3〕の主張については,甲14ないし16中に,それぞれ沿う部分がある。

イ しかし,以下の理由で,A病院での治療費及びB整骨院での施術費のうち,平成26年11月15日までの治療・施術分に関する費用,すなわち,A病院の治療費等のうち,同年11月5日分の3万0175円(甲5),及び,コピー代等(甲10)の中で同年11月15日までの治療に関する部分(情報開示手数料540円,診療録コピー代(甲4の16枚のうち11枚分)×21円,画像CD-R作成1枚1080円)の1851円,並びに,B整骨院の施術費のうち9万9160円の,合計13万1186円は,本件事故との相当因果関係が認められるものの,同年11月16日以降については,本件事故との相当因果関係が認められない。

(ア)上記〔1〕の点について
a 原告がA病院に通院したのは,本件事故の3日後である平成26年11月5日,平成27年4月8日及び同月14日の3回であるが,甲4ないし6,8ないし10によれば,これらの通院のうち,治療を受けたのは平成26年11月5日の1回だけで,同日の治療内容も,湿布及びロキソニン(7日分)を処方されるにとどまっており,その後,原告は,A病院では,問診,検査を受けるのみであったことが認められる。原告は,2回目及び3回目の受診で左膝の不安定感や痛み等を訴えていたが,それらの自覚症状を裏付ける他覚的・神経学的所見は見当たらない。

b かえって,乙6ないし12(枝番を含む。)によれば,本件事故の翌日である平成26年11月3日以降,原告が軟式野球に積極的に打ち込んでいることが認められる。すなわち,同日の軟式野球の試合では,原告は,投手,4番打者(上衣が紺色のユニフォームの背番号11番の選手。以下同じ。)としてフル出場し,打者としては3回打席に立ち,うち1回はセーフティバントでダッシュして出塁し,左足で1塁ベースを踏んで駆け抜け,他の1回では会心のヒットを放ち,守備では右投げ投手(投球の際に左足や左殿部に強い負荷がかかると推認される。)として6回を投げ抜き(被安打2,四球3,自責点1),ピッチャーゴロの処理も問題なくこなす活躍をした。同年11月16日の軟式野球の試合では,三塁手,3番打者としてフル出場し,4安打(うち1本は本塁打)の活躍をした。平成27年2月15日の軟式野球の試合では,投手,5番打者としてフル出場し,投手としては5回を完投し,2安打した。同年2月22日の軟式野球の試合では,投手,5番打者としてフル出場し,7イニングを完投した。また,原告はフェイスブック(乙8の2・3)に投稿していたところ,平成27年2月5日にランニングをしていることを載せている。

c 以上のような病院外での原告の活動状況に照らせば,原告には,被告が認める平成26年11月15日までの期間を超えて,本件事故での傷害による痛み等の症状が持続していたとは認められない。


 この点,原告は,これらの試合が草野球で本格的なものではないし,チームの人数が9名しかおらず,人数がそろわなければ棄権することになり,参加費1万7000円が無駄になるし,チーム関係者には勤務先であるB整骨院の顧客らがおり,負けてもいいから来てほしいとの依頼を断るのが困難であったため,痛みを我慢して出場したなどと主張し,甲17,原告本人中にはその主張に沿う部分があるが,乙6,7(枝番を含む。)からは,原告が痛みを我慢して出場していたとは認められず,その主張は採用できない。

(イ)上記〔2〕の点について
a 甲3,4,乙1(14,15頁)によれば,A病院のP1医師は,診療録の平成27年4月14日の欄に「B接骨院に通院している。電気とマッサージ,超音波を当てる」と記載したのに加え(正確には「B接骨院」は「B整骨院」である。),「左足関節痛が強く,もう1か月程度の加療が望ましい」と記載し,診断書(甲3)にも同趣旨の記載をしたことが認められる。

 しかし,上記診療録の平成27年4月14日の欄は,平成26年11月5日の受診経過の記載があるのに続けて,「その後,B接骨院に通院している。電気とマッサージ,超音波を当てる。ジョギングをすると痛みが出る。」との記載があるにとどまることからすれば,B整骨院への通院を事実経過として記録したものにすぎず,P1医師がB整骨院への通院の必要性,相当性を認めた記述とは認められない。

 また,「左足関節痛が強く,もう1か月程度の加療が望ましい」との記述は,原告がP1医師に対して,左足関節痛の痛みが強い旨申述したことを受けて記載したものと認められるところ,そもそも,上記のとおり原告が本件事故の翌日から野球に興じていることからすれば,左足関節痛の痛みが強い旨の原告からP1医師への訴え自体が信用できないのであり,ひいては,この訴えに依拠するP1医師の上記診療見込みも信用できない。この点,原告本人中には,P1医師が示した診療見込みは,P1医師が行ったレントゲン検査等も踏まえた所見である旨の部分があるが,レントゲン検査で捻挫の有無・程度が判別できるとは認められないから,上記供述部分は当裁判所の判断を左右しない。

b P1医師が作成した平成28年5月17日付意見書(甲13)には,「平成27年4月14日の診察時に左足関節捻挫及び左殿部打撲傷と診断し,その際まだ加療を続けるのが望ましい旨記載したが,原告の症状からすると,この程度の期間延長はやむを得ないし,平成26年11月4日から平成27年5月7日までの間B整骨院への通院をしているようであるが,医学的には,有効かつ相当であったと判断できる」旨の記述がある。しかし,この所見は,原告の左足関節痛が強いことを前提としているところ,その痛みの存在が認められない以上,この所見の裏付けはない。また,この所見には,「(原告の受傷に関する)施術を受けることを目的とし,かつ,効果があったということであれば」との留保が付されているのであり,B整骨院における施術に効果があったことを医学的に認めたものではなく,効果があったと仮定した場合の一般論を示したに過ぎない。
 よって,甲13によっても,原告に対する平成26年11月16日以降の治療及び施術が原告の傷害に必要であったとは認められない。

以上:4,932文字
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H29- 5-21(日):交通事故被害者受領保険金を不法行為として返還を認めた判決紹介3
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○「交通事故被害者受領保険金を不法行為として返還を認めた判決紹介2」の続きです。

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c 甲12(B整骨院の診療録)には,B整骨院の施術により,症状が軽減,回復する経過が記述されている。しかし,そもそもB整骨院は原告の勤務先であり,原告の自覚症状の訴えに基づいて施術が続けられたものであるところ,証人P2,証人P3によれば,原告が本件事故の翌日から軟式野球に興じていたことをB整骨院に申告していなかったことが認められるから,この診療録をもって原告の症状の経過を認めるには足りない。
 なお,証人P2,証人P3中には,本件事故後しばらくの間,原告がB整骨院で仕事を終えたときなどに痛みが出ているような様子を見せていた旨の部分があるが,仮にそのような事実が認められるとしても,少なくとも平成26年11月16日以降については,本件事故に起因するものとは認められない。

(ウ)上記〔3〕の点について
 弁論の全趣旨によれば,被告において,原告が本件事故の翌日に軟式野球をするなどできる身体状態であることを知ったのは,被告が付保する東京海上日動が保険金を支払った後と認められるから,東京海上日動ないし被告訴訟代理人が,原告の施術を容認する姿勢からこれを拒否する姿勢に転じたとしても,信義則に反するとは認められない。

ウ 以上によれば,本件事故と相当因果関係を有する治療費は,A病院における平成26年11月5日の受診分3万0175円,及び,コピー代等(甲10)の中で同年11月15日までの治療に関する部分(情報開示手数料540円,診療録コピー代(甲4の16枚のうち11枚分)×21円,画像CD-R作成1枚1080円)の1851円,並びに,B整骨院における平成26年11月15日までの施術分9万9160円(甲7の1記載の18万9900円から,反訴に係る上記第2の2(4)ア(ア)の9万0740円,すなわち同月16日以降の施術費を控除した額)の合計13万1186円と認められ,それを超えては認められない。

(2)傷害慰謝料 8万8000円
 原告は,6か月の治療期間を要したことを前提に,116万円の慰謝料が生じた旨主張する。しかし,本件事故による傷害が,腰椎捻挫,左膝打撲,左足関節捻挫,左殿部打撲という,他覚的所見を伴わない軽傷であること,原告の本件事故翌日からの野球等の活動状況に照らせば,被告が認める平成26年11月15日までの治療期間を超えて,傷害による痛みが継続したと認めるに足りない。
 被告が認める相当な治療期間である平成26年11月2日から同月15日までの14日間を前提とすれば,傷害慰謝料は8万8000円が相当である。

(3)過失相殺の処理
 本件事故の原告の過失割合は5%と認められるから,過失相殺の処理をすると,上記(1)(2)で認められる損害合計21万9186円のうち原告が被告に請求できるのは,20万8226円と認められる。
(計算式)219,186×0.95=208,226(1円未満切捨て)

(4)損害の填補
 被告は,原告に支払ったうち,上記第2の1(5)のA病院への既払分3万0175円及びB整骨院への既払分9万9160円(被告が平成26年11月15日までの施術費に充てるものとして支払ったもの)の合計12万9335円を本訴請求に係る損害に充当したから,残額は7万8891円になる。

(5)弁護士費用
 原告は,弁護士を訴訟代理人に選任した上で本件訴訟を追行しているところ,本件事故と相当因果関係を有する弁護士費用は,上記7万8891円の約1割である7800円と認められる。
 以上の合計は8万6691円になる。

3 原告の損害拡大防止義務違反の存否(反訴関係)
 上記2(1)で認定・判断したところによれば,原告は,平成26年11月16日以降,本件事故による受傷につき治療を受ける必要がなく,そのことを認識しながら,B整骨院で施術を受け,B整骨院をして,被告を被保険者とする加入保険会社に施術費を請求させ,被告をして,支払義務のない自動車保険金による賠償をさせたものであると認められる。

 交通事故被害者は,当該交通事故による傷害の治療費を,加害者に対して損害賠償請求によって受けようとする場合,当該加害者に対し,当該傷害の症状の存否,内容及び程度並びに日常生活への支障の程度等をありのままに申告すべき信義則上の義務を負っており,殊更に不実の申告をすることにより当該加害者から当該交通事故と相当因果関係のない損害の賠償を受ける行為は,不法行為を構成するというべきところ,上記2(1)で認定・判断したとおり,原告は,明らかに加療の必要がなくなった平成26年11月16日以降も,B整骨院で施術を受け続け,B整骨院をして,被告の付保する東京海上日動に施術費を請求させ,被告に対し,賠償義務を負わない施術費を,自動車保険金をもって支払わせたのであるから,原告は,上記の信義則上の義務に違反し,被告に賠償させたことについて不法行為責任を負うというべきである。

 この点,原告は,東京海上日動が支払ったのであれば,被告に損害はない旨主張する。しかし,原告の信義則上の義務違反による不法行為は,究極的には被告に向けられたものであるし,原告は,本件事故の被害者として被告に対する損害賠償請求権を有することを前提に,施術費もその損害賠償義務の範囲に含まれるものとして,その支払を被告ないし被告の付保する東京海上日動に支払わせようとしたものであること,東京海上日動は、被告が原告に対して損害賠償義務を負うことを前提に,被告を被保険者とする保険者の地位に基づき,保険金(施術費)を支払ったに過ぎないこと,以上を考慮すれば,被告は,原告による信義則上の義務違反の不法行為の相手方として,原告に対し,原告が施術を受けることで生じた施術費を,被告の被った損害として賠償請求することができるというべきである(被告が原告から損害賠償を受けた後で,東京海上日動が被告に対しどのように求償するかは,被告と東京海上日動の間で処理すれば足りる。)。よって,原告の上記主張は採用できない。

4 被告が受けた損害又は損失(原告の利得)の額(反訴関係)
 甲7ないし9によれば,原告の損害拡大防止義務違反により,B整骨院に対して支払われた平成26年11月16日分から平成27年3月31日までの既払いの施術費が70万5320円と認められる(初検料,再検料及び施術証明書・施術費明細書料については,平成26年11月15日までに生じたものとし,その他の施術費及び指導管理料については,同月の22日分のうち同月16日以降の11日分を積算したものとする。)。 

5 結論
 以上によれば,原告の本訴請求は,被告に対し8万6691円及びこれに対する本件事故日である平成26年11月2日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の本訴請求は理由がないからこれを棄却し,被告の反訴請求は理由があるからこれを認容し,訴訟費用の負担につき民訴法61条,64条本文,仮執行宣言につき同法259条1項を適用して,主文のとおり判決する。
広島地方裁判所民事第1部 裁判官 梅本幸作
以上:3,014文字
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H29- 5-20(土):交通事故被害者受領保険金を不法行為として返還を認めた判決紹介1
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○原告が、被告に対し、被告運転の自動車による交通事故にについて不法行為による損害賠償金等の支払を求め(本訴請求)たところ、被告が、原告に対し、同事故から2週間程度後以降に原告が負ったとする治療費、施術費は、不要な支出であり、原告が損害拡大防止義務に違反して被告に損害賠償させたものであって、不法行為による損害賠償請求権又は不当利得返還請求権に基づき(選択的請求)既払額の一部金の支払等を求めました(反訴請求)。

○この事案について、過失割合は、原告が5%、被告が95%であるとし、原告の本訴請求は、被告に対し、請求額を減額したうえで一部認容しましたが、原告が被告側保険会社から損害賠償として受領した保険金の一部は、原告が信義則上の義務に違反し、被告に賠償させたので不法行為責任を負うとして、被告の反訴請求全額を認容した平成29年2月28日広島地裁判決全文を3回に分けて紹介します。

○この争いは、加害者と保険会社の争いの形式を取っていますが、実質、保険金を支払った保険会社と交通事故被害者の争いです。加害者の代理人は保険会社の顧問弁護士のはずで、保険会社は特に支払済み整骨院施術費について損害拡大防止義務違反を理由に返還を求め、裁判所も認めました。特に整骨院にとっては厳しい判決であり、被害者側としては注意すべき判例です。

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主   文

(1)被告は,原告に対し,8万6691円及びこれに対する平成26年11月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)原告のその余の本訴請求を棄却する。
2 原告は,被告に対し,70万5320円及びこれに対する平成28年4月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は,本訴反訴ともこれを20分し,その19を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4 この判決は,第1項(1),第2項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求
1 本訴

 被告は,原告に対し,143万5694円及びこれに対する平成26年11月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 反訴
 主文2項と同旨

第2 事案の概要
 本件の本訴は,原告が,被告に対し,被告運転の自動車によって交通事故に遭ったとの理由で,不法行為による損害賠償請求権に基づき,143万5694円及びこれに対する事故日である平成26年11月2日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

 本件の反訴は,被告が,原告に対し,同事故から2週間程度後(平成26年11月15日ごろ)以降に原告が負ったとする治療費,施術費は,不要な支出であり,原告が損害拡大防止義務に違反して被告に損害賠償させたものであって,不法行為又は不当利得に当たるとの理由で,不法行為による損害賠償請求権又は不当利得返還請求権に基づき(選択的請求),既払額の一部である70万5320円及びこれに対する反訴状送達日の翌日である平成28年4月29日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

1 前提事実
(1)交通事故の発生

 原告と被告の間では,次のような交通事故が発生した(以下「本件事故」という。争いがない)。
日時 平成26年11月2日午後5時15分頃
場所 広島市○○区β△番△△号○○先路上
車両 被告運転 普通乗用自動車(広島○○○あ○○○○。以下「被告車」という。)
   原告運転 自転車(以下「原告車」という。)
態様 被告車が直進して,信号機による交通整理の行われていない交差点にさしかかったとき,被告車の前方の交差点手前の自転車横断帯を被告から見て右方から左方に向けて横断中の原告車に衝突。衝突部位は,原告車の左後部及び被告車の前部(争いがない)

(2)被告の不法行為責任
 本件事故は,被告が,本件事故現場の道路を走行するに際し,前方左右を注視して,横断歩道及び自転車横断帯上を通行する歩行者等の有無に留意し,安全を確認して進行すべき注意義務があるのに,これを怠り,見通しがよいにもかかわらず,左方しか確認せず,原告車への注意を怠るという前方不注視をしたことが原因で生じた。よって,被告は不法行為責任を負う(争いがない)。

(3)傷害
 原告は,本件事故により,腰椎捻挫,左膝打撲,左足関節捻挫,左殿部打撲の傷害を負った(争いがない)。

(4)本件事故後の原告の治療経過
 原告は,本件事故による傷害の治療との理由で,次のとおり通院した(通院した事実は争いがない)。
ア A病院
〔1〕平成26年11月5日(甲4),〔2〕平成27年4月8日(甲5)及び〔3〕同月14日(甲6)の3日。
イ B整骨院
 平成26年11月4日から平成27年5月7日まで(実通院日数125日。甲7の1ないし7)。
 なお,B整骨院は,原告の勤務先である。

(5)被告側から原告への既払額
 被告側から原告へ,本件事故後の原告の平松病院における平成26年11月5日受診分の治療費として3万0175円,B整骨院における施術費(平成26年11月分から平成27年3月分まで)として80万4480円の,各支払がされている(甲5,7の1ないし5,弁論の全趣旨)。

2 争点及び争点に対する当事者の主張
(1)本件事故の過失割合(本訴関係)

ア 被告の主張
 本件事故は,被告車が,薄暮の中を直進中,信号機による交通整理の行われていない交差点の横断歩道上において,被告車の直前で横断してきた原告車に衝突したものであるから,過失割合は,原告30%,被告70%が相当である。

イ 原告の主張
 原告は,本件事故現場の自転車横断帯を走行する前,一時停止した上,時速わずか1kmで横断していた。他方,被告は,右方の見通しがよいにもかかわらず,左方しか確認せず原告車を見落としたのであり,著しい前方不注視がある。以上によれば,過失割合は,原告0%,被告100%が相当である。

(2)本件事故と相当因果関係のある原告の損害(本訴関係)
ア 原告の主張
 本件事故により,原告は次のとおり損害を被った。
(ア)治療費・施術費等(原告が自己負担したもののみ。)
a A病院 4万4134円(甲8ないし10)
平成27年4月8日分    3521円
平成27年4月14日分 3万8657円
平成27年7月6日分    1956円
b B整骨院 10万1560円(甲7の6・7)
 平成27年4月,同年5月分の施術料である。
(イ)通院慰謝料 116万円(通院期間6か月)
(ウ)弁護士費用 13万円
(エ)請求額合計 143万5694円

イ 被告の主張
(ア)治療費等
 平成26年11月5日に原告がA病院に受診したところ,本件事故による原告の受傷の程度は,鎮痛剤・湿布での安静加療の処置をすれば足りるものであったから,加療期間は長くとも本件事故から2週間程度(同月15日頃まで)にとどまるというべきである。よって,同月16日以降に支払がされた治療費・施術費は,本件事故と相当因果関係を有する損害には当たらない。
(イ)傷害慰謝料,弁護士費用は,争う。
(ウ)損害の填補に関し,被告は,原告に対し,B整骨院の施術費として支払ったもののうち,平成26年11月15日までの施術分9万9160円(甲7の1記載の18万9900円から,反訴に係る次の(4)ア(ア)の9万0740円,すなわち同月16日以降の施術費を控除した額)は,本件事故と相当因果関係を有する損害のうち過失相殺をした後の損害額(傷害慰謝料を含む。)に充当する。


(3)原告の損害拡大防止義務違反の存否(反訴関係)
ア 被告の主張
(ア)原告は,平成26年11月16日以降,本件事故による受傷につき治療を受ける必要がなく,そのことを認識しながら,施術を受け,B整骨院をして,被告を被保険者とする加入保険会社である東京海上日動火災保険株式会社(以下「東京海上日動」という。)に施術費を請求させ,被告に対し,賠償義務のない自動車保険金による賠償をさせた。
 このような原告の行為は,交通事故当事者として原告が負うべき損害拡大防止義務に違反し,被告をして,義務のない自動車保険金による賠償金の支払をさせたものであり,不法行為に当たる。

(イ)上記のように原告が損害拡大防止義務に違反して,B整骨院をして,被告に対して施術費を請求させ続け,被告にその支払をさせるのは,法律上の原因のないものである。被告は,これらの支払金額相当の損失を被り,原告は,B整骨院に対して自らの負担で支払うべき費用を免れる利得を得た。

(ウ)なお,上記の支払は,本件事故における被告の原告に対する賠償義務の範囲を外れているから,本来的には被告が損害保険会社である東京海上日動から受ける賠償保険金の支払対象でないものへの支払である。被告は,東京海上日動からの賠償保険金を保持する理由がなく,自動車保険契約に基づき賠償保険金として支払われる必要のなかった金員については,東京海上日動に対して当然に返還する義務を負っている。
 そのため、不法行為による損害賠償請求でも,不当利得返還請求でも,債権者は原告である。 

イ 原告の主張
(ア)被告の主張は争う。平成26年11月16日以降の治療費・施術費も,本件事故と相当因果関係を有するから,これを被告に支払わせても不法行為に当たらないし,法律上の原因のない利得にも当たらない。
(イ)被告と東京海上日動との間の保険契約に基づいて東京海上日動が支払をしたのであれば,被告には何ら損害又は損失はないのであり,反訴の当事者適格を有するのは東京海上日動であって,被告ではない。

(4)被告が受けた損害又は損失(原告の利得)の額(反訴関係)
ア 被告の主張
 平成26年11月16日以降,被告が保険金により原告に支払ったB整骨院の施術費は,次のとおり,合計70万5320円である。同額が被告の損害又は損失額であり,原告の利得額である。
(ア)平成26年11月分 9万0740円(甲7の1)
 初検料,再検料及び施術証明書・施術費明細書料については,平成26年11月15日までに生じたものと考え,その他の施術費及び指導管理料については,22日分のうち平成26年11月16日以降の11日分を積算したもの。
(イ)平成26年12月分から平成27年3月分まで 合計61万4580円(甲7の2ないし5)

イ 原告の主張
 平成26年11月16日以降の治療,施術は原告の本件事故における受傷に対して有効かつ相当なものであった。
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H29- 5-19(金):別居2年未成熟子2名の有責配偶者離婚を認めた東京高裁判決全文紹介3
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○「別居2年未成熟子2名の有責配偶者離婚を認めた東京高裁判決全文紹介1」を読んだ方から、
①事案概要では、被控訴人Yが最高裁に上告受理申立で終わっていますが、最高裁で受理された後、差し戻しされることなく、判決は出ているのでしょうか。
②もし、出ているのであれば、判決の日付、番号を教えてください。
③できれば、判決概要をコメントしていただければ、大変助かります。また、
④最近の判例で、類似したものがあれば、日付番号等を教えてください

とのご質問を頂きました。

○私が加入している3件の判例データベースで調べるもいずれも上告受理申立まで記載していますが、その結果についての記載はありませんでした。しかし、私の推測としては上告受理申立は「受理しない」との決定で終局していると思われます。有責配偶者の離婚請求を別居僅か2年で認容する例は、他になく、珍しい事案であり、その結果は多くの関心を集めているところ、もし、上告受理して高裁判決を覆す最高裁判決が出れば、これも話題となり多くの判例集に登載されるはずだからです。

○「上告審手続の経験とその備忘録」に記載したとおり、平成22年統計では、最高裁で覆される確率は、概要、上告事件で100件の内1件、上告受理申立事件で100件の内3件しかありません。「菅元首相の敗訴確定=安倍首相メルマガ訴訟-最高裁審理期間3ヶ月以内」に記載したとおり、高裁判決に対し14日以内に上告・上告受理申立書を先ず高裁に提出すると、高裁は数日後に「上告提起通知書」乃至「上告受理申立て通知書」を上告当事者に送付し、上告当事者はその通知書を受領した日から50日以内に,上告・上告受理申立理由書を高裁に提出しますので、この間60~70日です。

○高裁は、これらの書類を受領後、不備がないかどうかを審理して不備がないと判断した後に最高裁に書類を送付し、最高裁は、高裁からの書類受領後速やかに当事者に「記録到着通知書」を送付し、ここから最高裁の審理が始まり、ほぼ8割近い事件が3ヶ月以内に上告却下・棄却または上告不受理決定が出されます。従って上告してから8割近い事件はトータル5ヶ月程度で、上告却下・棄却または上告不受理決定の通知を受けます。

○私自身扱った事件でも相当数の上告受理申立をし、また、上告受理申立をされていますが、殆どが控訴審判決後6ヶ月程度で結論が出されており、上告受理を最も期待した事件があったのですが、10ヶ月経過しても結論が出ず、大いに期待したのですが、11ヶ月目に不受理決定を受けて、ガッカリしたこともあります。

○「別居2年未成熟子2名の有責配偶者離婚を認めた東京高裁判決全文紹介1」の判決で公表された原告(控訴人)代理人弁護士名は木下・大石法律事務所(〒104-0061 東京都 中央区 銀座7-10-8 第五太陽ビル4階 電話03-6228-5385)の木下淳博弁護士です。こちらに連絡すれば結論を教えてくれるかも知れません。

○最近の判例で、類似したものがあれば、日付番号等を教えてくださいとのご質問については、2年程度の別居で離婚を認める判例はなかなか見つかりません。「別居期間2年2年3ヶ月で婚姻破綻を認めた裁判例紹介(一審仙台地裁)」がありますが、高裁で覆されました。
以上:1,341文字
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H29- 5-18(木):久しぶりに九士会平成29年5月例会報告
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○「久しぶりに九士会平成26年7月例会開催報告」以来、3年ぶりに九士会例会の開催報告です。
九士会は、平成7年に七士会としてスタートして、翌平成8年に九士会となり、以降、途中の平成20年、21年は「休止会」となるも、平成22年から「九士会」として復活して、毎年、奇数月の第二水曜日開催を原則として、当事務所のツルカメ第一スタジオを会場として開催しています。途中休みはありましたが、殆ど変わらぬメンバーで22年継続しています。

○会員は11名居ますが、入れ替わりで毎回7,8名で開催されるのが通例になっており、平成29年5月17日開催例会はやや少なく6名の参加でした。ここ数年、例会は、2名の報告担当者だけを事前に決めておいて、報告者が自分が興味あるテーマで報告します。

○平成29年5月例会の報告者は、嶋津重建築士、佐々木清市司法書士の担当で、嶋津氏は「日本の住宅環境とマンションに関する考察」、佐々木司法書士は「無戸籍者」の各テーマで報告頂きました。

○先ず佐々木司法書士報告「無戸籍者」、概要、以下の通りです。
・戸籍とは人の出生から死亡に至るまでの親族関係を登録公証するもので、人が特定の国の構成員であるための資格である国籍とは異なります。戸籍制度を実質機能させているのは日本だけとのこと
・無戸籍者は法務省調査では665人だけだが、民間調査では1万人以上との報告もある
・無戸籍者が生じる最大の原因は民法第772条嫡出の推定規定で前夫の子と戸籍に記載されるのを嫌って出生届をしないこと
・その他の原因としては、貧困・DV、親の無戸籍、出生証明書未入手、親の信条・宗教観等
・無戸籍の不利益は、日本人としての行政サービスを受けられないこと
・無戸籍者を有戸籍者にする方法
 今後の課題


○次に嶋津建築士の「日本の住宅環境とマンションに関する考察」概要です。
平成27年国勢調査で大正9年調査以来初の人口減少が確認、平成22年に比較して約95万人減少
・日本の人口は世界で10番目だが、平成22~27年の人口増減率は、上位20カ国の中で唯一減少、中国2.6%増、インド6.5%増、アメリカ3.8%増、日本0.7%減
・日本の地域別では、平成22年以降東京圏・沖縄は増加しているが、その他は殆どが減少中
・新築マンション着工数推移は平成21年激減、26年微減、超高層マンション(36階以上)割合は首都圏で激増中



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