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LPガス供給契約解除に伴う違約金請求を認容した高裁判決紹介

○「LPガス供給契約解除に伴う違約金請求を棄却した地裁判決紹介」の続きで、その控訴審令和5年10月26日東京高裁判決(Westlaw Japan)関連部分を紹介します。

○LPガス供給事業者の控訴人が、被控訴人に対し、被控訴人が約定供給期間経過前の令和3年6月15日にLPガス供給契約を終了したので同契約での控訴人設置LPガスの供給設備の設置費用を被控訴人が負担する旨の合意の存在を理由に、所定の算定方式により算出した金額の支払請求ができる旨の取決めがあるとして、算出された金額17万3775円と所定の遅延損害金の支払を求めたところ、原審は、そのような合意はないとして、控訴人の請求を棄却しました。

○控訴人がこれを不服として控訴したところ東京高裁判決は、原判決を取り消し、被控訴人に17万3775円の支払を命じました。その理由概要は
・本件取決めは、本件消費設備等の設置費用について、被控訴人が、控訴人からのLPガスの供給期間である10年間を経過する前に控訴人からその供給を受けないこととなった場合には、控訴人に対し、本件契約に定める算定式により算出される金額を支払うことを約したもの
・本件消費設備等の設置費用は、本件契約所定の算定式によって算出される金額21万円(税込)は、合理的なものであり、不相当に高額とはいえず、消費者契約法に違反しない
・被控訴人は、一定の場合、本件消費設備等の費用を支払うことを認識して本件契約を締結したので本件取決めに係る意思表示について被控訴人に何らかの錯誤があったものとは認められない
というものです。

○この控訴審判決は、上告審最高裁判所で破棄されており、別コンテンツで紹介します。

************************************************

主    文
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人に対し、17万3775円及びこれに対する令和3年6月16日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。
4 この判決は、2項に限り、仮に執行することができる。
 
事実及び理由
第1 控訴の趣旨

 主文と同旨。

第2 事案の概要
1 本件は、LPガスの供給事業者である控訴人が、被控訴人に対し、被控訴人が約定の供給期間の経過前である令和3年6月15日に控訴人との間のLPガス供給契約を終了したところ、同契約においては、控訴人が設置したLPガスの供給設備の設置費用を被控訴人が負担する旨の合意があり、同契約を10年以内に終了させた場合には、同費用を基礎に所定の算定方式により算出した金額の支払請求ができる旨の取決めがあるとして、これに基づき算出された金額である17万3775円及びこれに対する弁済期日(上記LPガス供給契約の終了日)の翌日である令和3年6月16日以降の民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

2 原審が控訴人の請求を棄却したところ、控訴人が、これを不服として控訴した。

3 前提事実は、次のとおり補正するほかは、原判決「第2 事案の概要」の1(原判決2頁12行目から3頁13行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 当裁判所は、原審とは異なり、控訴人の請求は理由があるものと判断する。
 その理由は、以下のとおりである。

2 控訴人・被控訴人間で本件契約書記載のとおりの本件契約が締結されたかについて
 原判決6頁1行目から5行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。

3 本件取決めは、本件消費設備等の設置費用を被控訴人が負担し支払う旨の合意といえるか(損害賠償の予定等の性質を有するものではないか)について
(1) 認定事実
 後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
ア 控訴人は、令和元年5月31日までに、Aの承諾の下、代金24万7000円で、本物件にLPガスの供給設備及び消費設備を設置したが、その設置費用についてはAに請求しなかった(甲14)。

イ 被控訴人は、令和元年6月10日、Aから本物件を、売買代金2770万円(土地代金1513万円、建物代金1257万円)(全て税込)で購入した(乙1)。

ウ 被控訴人は、令和元年6月10日、上記イの本物件の売買契約にあたり、宅地建物取引業法35条、35条の2に基づき、Aの業務に従事する宅地建物取引士から、重要事項の説明を受けた。その説明の際に交付された重要事項説明書の「飲用水・電気・ガスの供給及び排水施設の整備の状況」欄には、本物件にはガス設備が設けられ、その整備時期は令和元年5月頃であること、ガス配管設備(供給設備及び消費設備)の所有権はプロパンガス供給業者にあること、被控訴人がプロパンガス供給業者を変更する場合には、償却残存期間に応じて費用が発生する場合があることなどの記載がされている。上記重要事項説明書には、被控訴人の署名押印がされている。(乙2)

エ また、被控訴人は、上記イの本物件の売買契約にあたり、LPガス供給について、Aから、次のとおり説明を受け、その内容を承認して、確認書に署名押印した(甲13)。
①供給設備及び消費設備(その定義は、前提事実(2)②(本判決第2の3(5))と同旨である。)については、建物代金に含まれていない。
②消費設備(屋内ガス配管)の所有権は被控訴人に帰属しているが、費用については指定供給会社が負担しているため、費用償却期間である契約後10年間は貸与とする。
③指定供給会社は控訴人である。
④本物件の供給設備及び消費設備は、被控訴人が10年以上の期間、LPガス受給を継続することを条件に、控訴人が設備費用を負担して設置しているので、控訴人よりLPガスを供給する。
⑤LPガス供給にあたっては、控訴人と「LPガスの供給及びLPガス設備に関する契約」(本件契約)を締結する。
⑥被控訴人と控訴人との間で本件契約を締結した日から10年を経過する前に、被控訴人がLPガス供給会社を変更する場合又は競合燃料(都市ガス・電力など)に変更する場合は、消費設備については、被控訴人が本件契約書記載の算定式により算出された「残存金額」で買い上げる。

オ 本件契約書には、「LPガス設備の管理区分」が記載されており、消費設備については、供給設備であるマイコンガスメータの出口から本物件内のガスコンロ及び給湯器に接続する器具が図示され、「供給設備は供給会社の管理責任 消費設備は消費者の管理責任」と記載されている(甲1)。

カ 本件契約書記載の本件消費設備等の設置費用21万円(税込)の内訳は、次のとおりである。
 基本工事費3万9000円、ガス栓ライン工事費2万5000円、フレキコック接続2320円、付帯工事費7820円、給湯器取付工事費2万円、追い焚き配管工事費4万円、リモコン取付工事費2万8000円、試運転費等2万円、諸経費1万8214円の計20万0354円から端数処理で5909円を差し引いた19万4445円に消費税1万5555円を加えた合計が21万円となる。

キ 被控訴人は、LPガスの供給者を控訴人からニチガスに変更することにし、令和3年6月2日、ニチガスに対し、LPガス供給の切替作業を委任した(甲2、3)。

ク 控訴人は、被控訴人がLPガスの供給者を控訴人からニチガスに変更したことに伴い、令和3年6月16日付けで、被控訴人に対し、ガス供給解約に伴う残存簿価費用との件名で、17万3775円の支払を請求した(甲4)。

ケ 本件契約に基づく控訴人から被控訴人に対するLPガスの供給期間は、令和元年7月10日から令和3年6月15日までの23か月であった(甲1、3)。

(2) 検討
ア 本件契約書には、本物件のLPガスの供給設備及び消費設備(本件消費設備等)の所有権が控訴人にあり(第7条1項)、本件消費設備等を利用する被控訴人が設置費用を負担するところ、控訴人からLPガスの供給を受けている間、控訴人は被控訴人に対し本件消費設備等の費用の請求をしないこととする(第7条3項)が、10年間の供給期間(第4条)の経過前に控訴人からのLPガス供給を終了させた場合には、被控訴人において、所定の算定式によって算出される本件消費設備等の費用を支払うこと(第8条1項)が記載されている(前提事実(2))。

 証拠(乙3)及び弁論の全趣旨によれば、控訴人により本物件に設置された本件消費設備等については、その一部が本物件(建物)に付合し、その所有権は本物件を購入した被控訴人に帰属し、控訴人には帰属していないものと認められるから、本件契約書の上記文言を字義どおりに解釈することは、本件契約の解釈として相当ではない

イ この点、控訴人は、控訴人と被控訴人との間で、本件契約において、被控訴人が本来負担すべき本件消費設備等の設置費用を支払う場合があること、控訴人から被控訴人に対するLPガス供給が供給期間10年の経過前に終了したことを停止条件として支払期限が到来することを内容とする本件取決めがされたと主張する。

 前提事実及び認定事実によれば、控訴人は、Aの承諾の下、本物件に本件消費設備等を設置し(認定事実ア)、本物件を購入した被控訴人は、本物件の売買契約にあたり重要事項として被控訴人がガス供給業者を変更する場合には償却残存期間に応じて費用が発生する場合があることなどを説明され(認定事実ウ)、本物件の売主であるAから、本件消費設備等の費用が代金に含まれておらず、LPガス供給会社である控訴人と本件契約を締結し、本件契約締結後10年経過前にLPガス供給会社を変更した場合には本件契約書記載の算定式により算出された金額で本件消費設備等を買い上げることを承認し(認定事実エ)、その後、控訴人との間で本件契約を締結し、控訴人からLPガスの供給を受けることになった(前提事実(2)及び(3)・補正の上引用する原判決2頁17行目から3頁13行目まで)ことが認められる。

 このように、被控訴人は、本件消費設備等の設置費用が本物件の売買代金には含まれておらず、被控訴人が10年経過前にLPガス供給会社を変更し控訴人からLPガスの供給を受けないこととなった場合には、被控訴人が本件消費設備等の設置費用を一定限度で負担することとなることを十分認識していたものと認められるから、本件取決めは、控訴人が負担した本件消費設備等の設置費用について、被控訴人が、控訴人からのLPガスの供給期間である10年間を経過する前に控訴人からその供給を受けないこととなった場合には、控訴人に対し、本件契約に定める算定式により算出される金額を支払うことを約したものと解するのが相当である。

ウ 被控訴人は、本件取決めは本件契約を解約したときに当然かつ一方的に被控訴人に金銭の支払義務を発生させるものであり、解約に伴う損害賠償額の予定ないし違約金の定めというべきものであり、何ら損害も発生しない控訴人について契約解消により業者に生ずべき平均的な損害を超えて定められたものとして、消費者契約法9条1号により無効であると主張する。

 しかしながら、上記イに説示したところに照らせば、本件取決めは、控訴人が負担した本件消費設備等の設置費用について、控訴人が本件契約に基づくLPガスの継続な供給(期間10年)によって得る利益をもってその回収に充てることとし、本件契約が所定の供給期間の経過前に解約された場合には、その未回収相当分を、本来設置費用を負担すべき被控訴人において支払うことを定めたものと解され、また、本件取決めにより被控訴人が支払うこととなる本件消費設備等の設置費用は、本件契約所定の算定式によって算出される金額(前提事実(2)④、本件契約第8条1項)における基準となる費用の額が21万円(税込)(前提事実(2)③、本件契約第7条2項)であり、内訳は認定事実カのとおりであることに照らすと、合理的なものであり、不相当に高額とはいえない。

また、被控訴人は、本件取決めにより本件契約を継続すべき義務を負うものではなく、本来負担すべき本件消費設備等の設置費用の一切を負担して10年以内に本件契約を終了させるかどうかは、被控訴人の自由な選択に委ねられているから、本件取決めが損害賠償額の予定又は違約金の定めを合意したものと解することはできず、被控訴人の上記主張は採用することができない。

4 本件取決めは錯誤(ただし、平成29年法律第44号による改正前民法95条によるもの)により無効となるものか。
 被控訴人は、本件取決めが本件消費設備等の設置費用を被控訴人が負担するとの合意であったとしても、被控訴人は控訴人が本件消費設備等を所有しているとは思わず、その費用が本物件の売買代金に含まれ、また、付合により被控訴人が所有権を取得したと認識しており、被控訴人がその費用を負担する義務を負っていないのに、これがあるものと誤信して合意したから、本件取決めは錯誤により無効であると主張する。

 しかしながら、本物件の売買代金に含まれていない本件消費設備等の設置費用の負担をどのようにするかは、本件売買に伴う重要事項の説明(認定事実ウ)及び売主であるAの説明(認定事実エ)からも、控訴人と被控訴人との間で自由に定めることができる事項であり、本件消費設備等が付合しているとしても、このことによって当然に本物件の所有者である被控訴人が控訴人に対して本件消費設備等の設置費用を負担しないこととなるものではない(民法248条、242条参照)。被控訴人の上記主張は、その前提を欠くものであり、理由がない。

 そして、本件取決めについての上記3(2)イに説示したとおり、被控訴人は、一定の場合、本件消費設備等の費用を支払うことを認識して、控訴人との間で、本件取決めを内容とする本件契約を締結したのであるから、本件取決めに係る意思表示について、被控訴人に何らかの錯誤があったものとは認められない。
 よって、被控訴人の上記主張は採用することができない。

5 以上から、控訴人は、被控訴人に対し、本件取決めに基づき、本件契約8条1項に定める算定式により算出される17万3775円(【計算式】210,000-{210,000×0.9×(23/120)})及びこれに対する本件契約によるLPガス供給終了日の翌日である令和3年6月16日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求めることができるというべきである。

第4 結論
 以上の次第で、控訴人の請求は理由があり、これを棄却した原判決は相当ではなく、本件控訴は理由があるから、原判決を取り消した上、控訴人の請求を認容することとして、主文のとおり判決する
 東京高等裁判所第19民事部
 (裁判長裁判官 脇博人 裁判官 山城司 裁判官 天川博義)
以上:6,096文字

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