仙台,弁護士,小松亀一,法律事務所,宮城県,交通事故,債務整理,離婚,相続

旧TOPホーム > 男女問題 > 離婚要件 >    

夫婦関係の強要及び拒否に対する暴行を婚姻破綻事由と認めた地裁判決紹介

   男女問題無料相談ご希望の方は、「男女問題相談フォーム」に記入してお申込み下さい。
令和 5年10月12日(木):初稿
○「異常的性行為の強要を婚姻破綻事由と認めた地裁判決紹介」の続きで、夫婦関係(性行為)の強要を離婚原因と認めた裁判例を探しています。大変古い判例ですが、昭和27年4月25日神戸地裁判決(下級裁判所民事裁判例集3巻4号580頁)を見つけたので紹介します。

○原告妻と被告夫は共に朝鮮人ですが、離婚裁判上の離婚に関する準拠法について、朝鮮民事令が適用されるところ、同令第11条、第1条によれば裁判上の離婚に関しては日本民法が適用されることは明かであり、ここにいわゆる民法とは昭和22年法律第222号による改正前の民法(以下旧民法と称する)を指すものと解せられるとしています。

○夫婦関係の強要と暴行については、証人金千洙の証言並に原告本人訊問の結果として、経費等の関係もあつていまだ健康が十分回復しないうちに同年3月1日退院したのであるが、被告は直ちに毎晩のように夫婦関係を要求し、原告が身体衰弱のため到底被告の慾望に応じられないことを告げて断るとその都度激昂して殴つたり蹴つたりし或はアイロンのコードで縛りあげる等の乱暴を働いたと認定し、婚姻関係を断続し難い重大な事由として離婚を認容し、慰謝料も5万円の請求に対し2万円を認めています。

*****************************************

一、主    文
原告と被告とを離婚する。
被告は原告に対し金2万円を支払わねばらない。
原告その余の請求を棄却する。
訴訟費用は全部被告の負担とする。

二、事    実
 原告は「原告と被告とを離婚する。原被告間の長男明及び長女洋子の親権者を被告とする。被告は原告に対し金5万円を支払わねばならない。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、その請求の原因として、

 「原告は昭和20年1月6日土工をしている被告と婚姻し、届出を終え、正式の夫婦として同棲し、昭和22年8月20日には長男明が、同24年5月18日には長女洋子が出生したが、被告の収入は月平均7千円位しかないので、原告は買出し等をして懸命に働き辛うじて家計を支えてきたのであるが、過労と子宮外姙娠のため極度に健康を害するにいたり、昭和26年2月頃入院手術をうけ漸く同年3月1日退院した。

ところが退院後も容易に回復せず身体が衰弱しているにも拘らず、被告は無理解にも連夜執拗に夫婦関係を要求し、原告が健康上到底その要求に応じられない旨を告げて断るとその都度激昂して或は原告の頭髪をもつて引きずりまわし、或は殴る蹴る等の暴行を加え、果てには昭和26年5月末頃の夜原告が右のような被告の執拗な要求を避けるため戸外に逃れでた際、たまたま隣室に住む秋田某と話を交えたことをとらえ,右秋田と関係したと言いかがりをつけて悪口雑言し又もや殴打する等暴行をほしいままにするので、原告は被告との結婚生活に耐えられなくなり、遂に昭和26年6月26日実家に立帰つたのである。以上の事情はまさに婚姻関係を継続し難い重大な事由に該当するので、原告はさきに神戸家庭裁判所へ離婚の調停申立をしたが不調に終つた。

そこで右の事由を理由としてここに被告との離婚を求め、また原告の経済的能力を以つては前記被告との間の明及び洋子の二児を監護教育することはできないから、その親権者を被告と指定せられるように望むものである。尚原告は前叙被告の所行により現在の破局に陥つたのであるから、その受けた精神的打撃に対する慰藉料として金5万円の支払を求めるものである。」と述べた。

(立証省略)
 被告は「原告の請求を棄却する」との判決を求め、答弁として「原告主張事実中原被告が正式に婚姻し二児を儲けたこと、土工としての被告の収入を補うため原告が買出し等をして働いていたこと及び子宮外姙娠のため入院手術をうけたこと並に調停が不調に終つたことは認めるがその余の事実は否認する。」と述べた。

三、理    由
 真正に成立したと認められる甲第1、2号証(外国人登録証明書及び同証明)に証人金千洙の証言及び原告本人訊問の結果を綜合すれば、原告と被告は朝鮮人であるが昭和20年1月6日結婚式を挙げて同棲し、約1年後婚姻届出をなし従つて当事者間に有効な婚姻関係が存在することが認められる。

そして昭和20年9月2日以降引続き日本に居住する朝鮮人の国籍は平和会議並にそれについで締結せらるべき日本と韓国間の条約において最後決定がされるまでは未決定であつて、それまでは依然として日本の国籍を保有し日本の法律に服するのであるから、これに関する親族相続事件については共通法第2条及び法例により朝鮮民事令が適用されるところ、同令第11条、第1条によれば裁判上の離婚に関しては日本民法が適用されることは明かであり、ここにいわゆる民法とは昭和22年法律第222号による改正前の民法(以下旧民法と称する)を指すものと解せられる。

そこで原告主張の離婚原因事実について考えるに、前記証人金千洙の証言並に原告本人訊問の結果を綜合すれば、原被告間には婚姻後長男明及び長女洋子の二児が出生したのであるが、土工である被告は仕事に励まぬため原告が買出し等をして働き漸く生計をたてていたが、子宮外姙娠のため昭和26年2月頃入院手術をしたこと。経費等の関係もあつていまだ健康が十分回復しないうちに同年3月1日退院したのであるが、被告は直ちに毎晩のように夫婦関係を要求し、原告が身体衰弱のため到底被告の慾望に応じられないことを告げて断るとその都度激昂して殴つたり蹴つたりし或はアイロンのコードで縛りあげる等の乱暴を働いたこと。

あまりの暴行に見兼ねた隣室に間借りしている男のすすめるままその部屋を借りて休ませてもらつたこともあること。ところが今度はそのことをとらえ被告の嫂が原告はその男と情交関係があるため夫の要求がうけられないのだ等と言つて責めるので、原告も居たたまれず実家に逃げ帰つたことも再三であるが、そのたび周囲のすすめもあり又子供への愛情にひかれて被告のもとに戻つていたが、前述のような被告等の態度は一向改まらないので遂に被告との婚姻継続に望を断つて昭和26年6月頃実家に立帰つたことが認められるのであつて、以上はまさに旧民法第813条第5項にいわゆる「配偶者ヨリ同居ニ堪エザル虐待又ハ重大ナル侮辱ヲ受ケタルトキ」に該当するものといわねばらない。

そして原告が本訴において離婚原因として主張するところは結局被告から同居に堪えないような暴行虐待をうけたことを以つて婚姻関係を断続し難い重大な事由であるというのであるから、離婚を求める原告の請求は結局正当でありこれを認容すべきである。

 次に親権者指定の申立について考える。朝鮮民事令第11条、第1条によれば親権に関しても裁判上の離婚の場合と同様民法が適用されることは明かであり、ここにいわゆる民法とは前述のように旧民法を指すものと解せられるところ、同法によれば親権は当然父が行うものであつて、現行民法第819条第1項のような規定はないのであるから、従つて裁判所が原被告の一方を親権者と定めることはできない。

 よつて進んで原告の慰藉料の請求について判断する。さきに認定したように原被告間の婚姻は被告の原告に対する虐待又は侮辱のために破綻するにいたつたもので原告はそのため精神上多大の苦痛を蒙つたことは明かであるから、被告は原告に対し右苦痛を慰藉するに足る金員を支払う義務あるものといわねばならない。

そこでその数額について考えるに、証人金千洙の証言並に原告本人訊問の結果を綜合すれば原被告の同棲期間は6年余に及びその間に一男一女を儲けたこと、原告は何らの資産も技能もなく、被告亦一介の粗野蒙昧な肉体労働者であることが認められ、右事実に本件弁論にあらわれた諸般の事情を考えあわせるとその慰藉料は金2万円が相当であると認める。従つて被告は原告に対し右金員を支払う義務あるものといわねばならない。
 よつて原告の本訴請求を右各認定の限度において認容し、その余を失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第89条、第92条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 石井末一 西川正世 黒川正昭)
以上:3,342文字

タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック

(注)このフォームはホームページ感想用です。
男女問題無料相談ご希望の方は、「男女問題相談フォーム」に記入してお申込み下さい。


 


旧TOPホーム > 男女問題 > 離婚要件 > 夫婦関係の強要及び拒否に対する暴行を婚姻破綻事由と認めた地裁判決紹介