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中間利息控除方法は必ずしもライプニッツに限らず?

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平成22年 8月14日(土):初稿
○交通事故損害賠償請求事件での将来の逸失利益についての中間利息控除方法として、ホフマン(単利)方式とライプニッツ(複利)方式の2通りありますが、平成11年東京・大阪・名古屋地裁各交通部のライプニッツ方式採用の共同提言がなされています。この共同提言骨子は以下の通りです。
4. 共同提言の骨子
A. 交通事故による逸失利益の算定において、原則として、幼児、生徒、学生の場合、専業主婦の場合、及び、比較的若年の被害者で生涯を通じて全年齢平均賃金又は学歴平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められる場合については、基礎収入を全年齢平均賃金又は学歴別平均賃金によることとし、それ以外の者の場合については、事故前の実収入額によることとする。
B. 交通事故による逸失利益の算定における中間利息の控除方法については、特段の事情のない限り、年5分の割合によるライプニッツ方式を採用する。
C. 上記のA及びBによる運用は、特段の事情のない限り、交通事故の発生時点や提訴時点の前後を問わず、平成12 年1 月1 日以降に口頭弁論を終結した事件ついて、同日から実施する。
5. 共同提言の運用
なお、この共同提言の内容が、各裁判官の個々の事件における判断内容を拘束するものではないことは当然のことである。
○これに対し、平成20年4月18日札幌高裁判決は、民事執行法等における中間利息控除方法は民法が前提とする単利計算(民法405)を用いたホフマン方式を採用しているので、法的安定及び統一処理の見地からすれば、損害賠償額の算定に当たり将来逸失利益の中間利息控除方法もホフマン方式によらなければならないと判示しました。この事案は、交通事故で死亡した子Aの両親Xらが、損害賠償請求での損害額算定に当たり将来逸失利益中間利息控除方法について、ホフマン方式を主張したところ、第一審平成19年7月13日札幌地裁判決は、ライプニッツ係数方式に統一化すべきとしてライプニッツ方式を採用し逸失利益約1996万円を認定し、これに不満なXらが控訴し、札幌高裁は、中間利息控除方法としてホフマン方式を採用し、2626万円の逸失利益を認めました。

○逸失利益の算定における中間利息の控除方法として、最高裁の立場は、ライプニッツ方式(昭和53 年10月20日、昭和56年10月8日)、ホフマン方式(平成2年3月23日)、いずれも不合理とはいえないとしています。上記事案についての平成22年1月26日最高裁判決は、上記ホフマン方式によるべきとした札幌高裁判決が引用した平成17年6月14日最高裁判決は、逸失利益算定に当たっての中間利息の割合について判示したもので、ライプニッツかホフマンかとの中間利息控除方法について判示したものではないと、ライプ・ホフマンいずれも可との従前の最高裁の立場を継続しました。

○但し、上記札幌高裁のホフマン方式採用については、不合理とは言えないとして逸失利益2626万円を認めています。残念ながら、一審地裁レベルの裁判官は、先の共同提言に縛られて殆どライプニッツに固まっています。しかし、「この共同提言の内容が、各裁判官の個々の事件における判断内容を拘束するものではないことは当然のこと」ですから、いわば当たれば見つけもので、逸失利益をホフマン方式で請求してみようかと思った次第です。問題は、「交通事故による逸失利益の算定における中間利息の控除方法については、特段の事情のない限り、年5分の割合によるライプニッツ方式を採用する。」の「特段の事情」をどう説明するかです。
以上:1,464文字

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