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後遺障害認定後減収がない場合の逸失利益に関する判例2

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平成23年 1月29日(土):初稿
○「後遺障害認定後減収がない場合の逸失利益に関する判例1」を続けます。

平成6年4月22日東京地裁判決(交民27巻2号503頁)
 交通事故の被害者である清掃作業員の逸失利益につき、事故後明らかな減収はないが、特別手当が得られなくなったり、通院の必要から欠勤等が多く分限免職処分のおそれがあることなどから、症状固定の際の45歳から稼働可能であると見込まれる67歳まで、60パーセントの労働能力を喪失したものと認められ、60歳の定年退職時までは事故前年の年収を、61歳から67歳までは男子労働者の平均賃金を基礎として、ライプニッツ方式により中間利息を控除して算定することが妥当であるとされました。
 逸失利益部分の判決全文は以下の通りです。

7 後遺症による逸失利益 5262万9304円(請求金額1億2443万6797円)
 証拠(略)によれば、原告は、本件事故当時、43歳で東京都清掃局でごみ収集作業に従事する公務員で、本件事故に遭わなければ60歳まで右勤務を継続できたこと、本件事故により前記のとおりの傷害を負い、右大腿部を切断し、自賠責保険においても右下肢を膝関節以上で失つたものと評価され、右症状は、平成4年1月30日に固定したこと、また、原告は、現在も右足に断端痛、幻肢痛、義足不適応などがあること、この結果、ごみ収集作業に従事することが不可能になり、慣れない事務職に転向することを余儀なくされたこと、通勤に多大な時間と苦痛を伴うようになつたこと、収入は、本件事故の前年である平成元年の年収が730万6036円で、本件事故後も目立つた減収はないものの、事務職に転向したため、従前支給されていた特別手当が得られなくなつたこと、さらに、痛みや通院のために勤務時間も短く、病気欠勤も多いことから、有給だけでは賄いきれないおそれがあること、このため今後分限免職の処分を受けるおそれもあることなどが認められる。 

 以上、原告の後遺障害の内容・程度、現在の稼働状況、原告の年齢等を総合すると、明らかな減収がないことのみをもつて被告主張のように60歳までは逸失利益がないということはできず、原告は、少なくとも症状固定の際の年齢である四五歳から稼働可能であつたと見込まれる67歳まで、60パーセントの労働能力を喪失したものと認められ、右に相当する逸失利益を算定するに際しては、45歳から東京都清掃局の定年退職年齢である60歳までは、本件事故の前年である平成元年の年収730万6036円(原告は、平成2年の推定年収を基礎とすべきである旨主張するけれども、蓋然性が認めることはできないので、採用しない。)、61歳から67歳までは、426万8800円(平成4年賃金センサス・男子労働者・学歴計・60歳ないし64歳の平均年収額)をそれぞれ年収の基礎とすべきである。そこで、中間利息をライプニツツ方式(45歳から67歳までの22年間に相当する係数は13・1630、45歳から60歳までの15年間に相当する係数は10・3796であるから、61歳から67歳までの係数は13・1630から10・3796を控除した2・7834である。)により控除して本件事故当時の逸失利益の現価を計算すると、次のとおりとなる(円未満切捨て)。 
 7,306,036×0.6×10.3796=45,500,238 
 4,268,800×0.6×2.7834=7,129,066 
 45,500,238+7,129,066=52,629,304
 
以上:1,445文字

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