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法律相談センターの危機-法テラスが最大の競争相手

平成23年 2月17日(木):初稿
ボ2ネタ経由で、福岡の家電弁護士なにわ電気商会さんの平成22年11月1日記事「法律相談センターの危機」を読みました。その記事の前半部分を後記します。
弁護士会館有料相談激減-弁護士も淘汰時代突入実感」に「ここ数年、会館1階法律相談センターを訪れる相談申込者の数がめっきり減り始め、特にここ1,2年は、その待合室部分は,ガラガラで閑古鳥が鳴いているとった状況が続いているように感じています。(中略)仙台弁護士会法律相談センターを訪れる相談者数、更にその中から弁護士の事件になる数が減った最大の原因は、弁護士会館の3軒隣にある法テラス宮城の存在と思われます。」と記載していますが、福岡弁護士会法律相談センターも似たような状況であり、おそらく日本全国の法律相談センターも同様と思われます。

○法テラスを官業とすれば、正に官業の民業圧迫現象となっています。法テラスは、SEO対策も充実しています。例えば「離婚 弁護士」とのキーワードでGoogle検索をかけると、右側の広告スペースの上部に「離婚相談」との表題での法テラスコンテンツが出て来ます。それをクリックすると
夫婦・男女トラブル
離婚についての話し合いがうまくいかない、浮気相手に慰謝料を請求できるのか聞きたいなどということはありませんか。
男女関係の法的なトラブルについて、周りに相談できず、1人で悩んでいませんか。
→法テラスでは、そんな皆様からのお問い合わせをお待ちしております。
との法テラス離婚相談案内ページが出て来て、「夫婦・男女トラブルでよくある問い合わせ一覧」として、良くある相談に対し、図解入りで判りやすい回答を掲載し、最後に
・今回の問題についてはもちろん、その他にも各種法制度をご案内。
・豊富な相談窓口の中からお一人お一人に最適な窓口をご紹介。
・オペレーターが分かりやすく丁寧にお答えします。
なんて素晴らしい勧誘文言が記載され、正に至れり尽くせりです。
「交通事故 弁護士」でのGoogle検索でも同様に法テラスの「交通事故相談」が出て来ます。

○法テラスは、官業ですから,その大変充実したHP作り費用もSEO対策費用も問題なく出せるはずで、これだけHPも充実させ、且つ、そのSEO対策もシッカリやっており、且つ、経済的困窮状態にあるとの法テラス利用要件も緩和・解除するとの情報もあります。となると、民業である弁護士個人の最大の競争相手は法テラスと言うことになります。

○法テラスを利用者は殆どが法律扶助を利用することになり、法律扶助での弁護士費用はかつての日弁連報酬基準の半額以下になっていますので、弁護士費用価格破壊が進行します。私は、「平成17年度定期総会-日本司法支援センター問題」記載の通り、法テラス構想を聞いた時、「市場を同センターに奪われ益々弁護士業務が大変になることを心配」し、且つ、弁護士費用も値切られる状況になると合格者数増加よりも更に強い危機感を感じましたが、正に現実のものになりました。

○合格者増による弁護士間競争の激化に加えて、法テラスという巨大な官業による民業圧迫、価格破壊の進行。独占・寡占・競争排除という特権に保護されたぬるま湯時代は完全に過ぎ去りました。これからの弁護士は、正に大競争時代であり、淘汰の時代は確実です。淘汰されないように如何にお客様にサービスを強化して、法テラスより小松事務所の方がサービスが良くて頼りがいがあると思われるよう真摯な努力をするしかないと覚悟しております。

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2010-11-01 15:53:20
(前提として知っていただきたい事実)
1 福岡県弁護士会が運営する法律相談センターが、法テラス福岡事務所と同じビルに所在します。
2 弁護士会の法律相談は、多重債務以外は有料です。
3 弁護士会の法律相談は、相談に入る若手の意見(私の意見も含む)によると、閑古鳥が泣いていることが多い。(ちなみに私は土曜日に別のセンターに出張したのですが、3時間待機して、相談自体がゼロ件でした)

このような中、下記のような通知が弁護士会から出回りました。
・法テラスの法律相談予約が2週間待ちになっている。
・よって同じビルの福岡県弁護士会運営の法律相談センターに相談者を案内したい。
・その際の扱いは、扶助相談(つまり法テラスで受けているのと同じ)。
・日当は、福岡県弁護士会の相談に入る日当(が支払われている)とは別に、法テラスからも日当を出す。

弁護士にすれば、日当が二重にもらえること+相談者にすれば相談予約を待たなくてよいこと、から、一挙両得なように思えます。

しかし、こうなると、弁護士会の法律相談(有料)を利用する人はまったくいなくなるように思われます。
そして、ほぼすべての相談が法テラス経由となる可能性がありえます。
このことによってどうなるか。
弁護士は、法律相談で受けていた事件のほとんどを、要件を満たす限り、すべて法テラスの持ち込み事件として受けることを余儀なくされる。法テラスの着手・報酬金は、通常受任の半額程度になることも多く、しかも被告事件だと請求棄却させた場合でも低廉な報酬しか出ない。被告事件受任のインセンティブは働きにくくなる。要するに、激しい価格破壊現象が生じることになる。
と見ています。
以上:2,185文字

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※大変恐縮ながら具体的事件のメール相談は実施しておりません。

 


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