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公職選挙法実費弁償・報酬の額復習-河井克行前法務大臣辞任劇で

令和 1年11月 3日(日):初稿
○「公職選挙法に基づく寄附の禁止復習-菅原一秀前経産相辞任劇で」の続きで、今回は公職選挙法の復習というより確認です。選挙運動にかける費用について公職選挙法で厳しく規制されています。菅原一秀前経産相に続いて河井克行前法相が、妻の参議院選挙での公職選挙法違反疑惑で辞任しました。10月31日発売の週刊文春によると、参院選で案里氏陣営がウグイス嬢に法定の上限を超える日当3万円を支払っていたと報じられたからです。

○ウグイス嬢は、「選挙運動に従事する者」に該当しますので、その報酬は、公職選挙法第197条の2と同法施行令第129条で規制され、この規制を超えた金品の支払は許されず、超えた報酬部分は、同法第221条の当選を得る目的で選挙運動者に金銭を供与したことになり、買収罪に該当すると思われます。

以下、選挙でのウグイス嬢の報酬に関する説明と公職選挙法及び同法施行令確認です。

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報酬の支給(法197の2)
報酬とは、一定の役務に対する給付をいうものであって、選挙運動のために使用する労務者及び事務員等に限り支給することができる。なお、選挙運動のために使用する事務員等とは、選挙運動の為に雇い入れられた者で広く選挙運動に関する事務に従事する者(うぐいす嬢を含む)であり、親族、友人等の特別信頼関係から 選挙運動に関する事務に従事する場合は含まれない。この事務員等については、立候補の届出のあった日から選挙の期日の前日までの間に、1日につき9人の範囲内で報酬を支給することができる。但し、使用する前にあらかじめ文書によって、選挙管理委員会に届け出たものでなければ、報酬を支給することができない。


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公職選挙法第197条の2(実費弁償及び報酬の額)
 衆議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙においては、選挙運動(衆議院小選挙区選出議員の選挙において候補者届出政党が行うもの及び参議院比例代表選出議員の選挙において参議院名簿届出政党等が行うものを除く。以下この項及び次項において同じ。)に従事する者に対し支給することができる実費弁償並びに選挙運動のために使用する労務者に対し支給することができる報酬及び実費弁償の額については、政令で定める基準に従い、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(参議院比例代表選出議員の選挙については中央選挙管理会、参議院合同選挙区選挙については当該選挙に関する事務を管理する参議院合同選挙区選挙管理委員会)が定める。

2 衆議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙においては、選挙運動に従事する者(選挙運動のために使用する事務員、専ら第141条第1項の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上における選挙運動のために使用する者、専ら手話通訳のために使用する者及び専ら第142条の3第1項の規定によるウェブサイト等を利用する方法による選挙運動のために使用する文書図画の頒布又は第143条第1項の規定による選挙運動のために使用する文書図画の掲示のために口述を要約して文書図画に表示すること(次項及び第4項において「要約筆記」という。)のために使用する者に限る。)については、前項の規定による実費弁償のほか、当該選挙につき第86条第1項から第3項まで若しくは第8項、第86条の3第1項若しくは同条第2項において準用する第86条の2第9項又は第86条の4第1項、第2項、第5項、第6項若しくは第8項の規定による届出のあつた日からその選挙の期日の前日までの間に限り、公職の候補者1人について1日50人を超えない範囲内で各選挙ごとに政令で定める員数の範囲内において、1人1日につき政令で定める基準に従い当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(参議院比例代表選出議員の選挙については中央選挙管理会、参議院合同選挙区選挙については当該選挙に関する事務を管理する参議院合同選挙区選挙管理委員会)が定める額の報酬を支給することができる。

3 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙においては、候補者届出政党は、当該候補者届出政党が行う選挙運動に従事する者(当該候補者届出政党が行う選挙運動のために使用する事務員、専ら第141条第2項の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上における選挙運動のために使用する者、専ら手話通訳のために使用する者及び専ら要約筆記のために使用する者に限る。)に対し、当該選挙につき第86条第1項又は第8項の規定による届出のあつた日からその選挙の期日の前日までの間に限り、1人1日につき政令で定める額の報酬を支給することができる。


公職選挙法施行令第129条(実費弁償及び報酬の額の基準等)
 法第197条の2第1項に規定する実費弁償及び報酬の額についての政令で定める基準は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定めるところによる。
一 選挙運動に従事する者一人に対し支給することができる実費弁償の額の基準
 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める額
イ 鉄道賃 鉄道旅行について、路程に応じ旅客運賃等により算出した実費額
ロ 船賃 水路旅行について、路程に応じ旅客運賃等により算出した実費額
ハ 車賃 陸路旅行(鉄道旅行を除く。)について、路程に応じた実費額
ニ 宿泊料(食事料2食分を含む。) 1夜につき1万2000円
ホ 弁当料 1食につき1000円、1日につき3000円
ヘ 茶菓料 1日につき500円

二 選挙運動のために使用する労務者1人に対し支給することができる報酬の額の基準
 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める額
イ 基本日額 1万円以内
ロ 超過勤務手当 1日につき基本日額の5割以内


三 選挙運動のために使用する労務者1人に対し支給することができる実費弁償の額の基準 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める額
イ 鉄道賃、船賃及び車賃 それぞれ第一号イ、ロ及びハに掲げる額
ロ 宿泊料(食事料を除く。) 1夜につき1万円

第221条(買収及び利害誘導罪)
 次の各号に掲げる行為をした者は、3年以下の懲役若しくは禁錮こ 又は50万円以下の罰金に処する。
一 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。
以上:2,690文字

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