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第9章著作権法-著作権 小松

平成17年 1月15日(土):初稿 平成17年 1月18日(火):更新
第3節の1 著作権
著作権は複製権を始めとする多数の権利(支分権)により構成されている。
多数の支分権は、利用技術の進歩に伴い著作物の利用形態の多様化に合わせて著作権が改正されてきたため発生してきた。

1.複製権
2条1項15号 複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。
 イ 脚本その他これに類する演劇用の著作物 当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。
 ロ 建築の著作物 建築に関する図面に従つて建築物を完成すること。

「有形的に再製」とは具体的に存在する物(媒体)に著作物を収録することで、固定される媒体や固定方法は何でも良い。ex筆写、コピー、テープへの録音、録画

2.無形的利用(複製)権-複製(有形的複製)以外の方法で著作物の公衆への伝達に関する権利
「公衆」とは、不特定多数を言うが、特定かつ多数の者を含むものとする(2条5項)。
①上演権及び演奏権
22条 著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。
2条7項 この法律において、「上演」、「演奏」又は「口述」には、著作物の上演、演奏又は口述で録音され、又は録画されたものを再生すること(公衆送信又は上映に該当するものを除く。)及び著作物の上演、演奏又は口述を電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く。)を含むものとする。

②上映権
2条1項17号 上映 著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。
※平成11年改正前は映画の著作物に限定されていたが,DVD等の発展により限定を外した。

③公衆送信権
2条1項7号の2 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(有線電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
※平成9年著作権法改正で規定された、教科書420頁図表9-2公衆送信権の変遷参照

23条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

2条1項9号の5 九の五 送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。
イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体(webサーバーのことか?)に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。
webサーバーにデータを置いてダウンロードできるようにすることか?

④口述権
2条1項18号 口述 朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達すること(実演に該当するものを除く。)をいう。

⑤展示権
25条 著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。
但し自由権利用権規定(45条、46条等)で広範な適用除外が認められている。

3.著作物の流通・利用に関する権利
媒体と一体化した有体物としての流通・利用に関する権利
①映画の著作物の頒布権
26条 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。
2条1項19号 頒布 有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあつては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含むものとする。

この頒布権の対象は当初は配給用映画フィルムを前提としていたが、現在は、劇場用映画以外のビデオフィルムやゲームソフトなど広く映画の著作物に該当すると解すべき。

最高裁h14.4.25判決
当該著作物の複製物を公衆に譲渡する権利は、いったん適法に譲渡されたことにより、その目的を達成したものとして「消尽」(用尽とも言う、用い尽くすこと)し、もはや著作権の効力は、当該複製物を公衆に再譲渡する行為には及ばないものと解すべきである。

この判決によって中古ゲームソフト販売差し止め問題は決着を見た。
この判決は、ビデオグラムについてもいったん適法に譲渡されたものについては頒布権は及ばないことも認めている。
※ビデオグラムとは、ビデオテープ、ビデオディスク、DVDなどに影像を連続して固定したものであって、映画フィルム以外のものをいう。

頒布権のうち消尽の対象となるのは「譲渡」に関する権利であり、「貸与」に関する権利は消尽の対象にならない。

②譲渡権
26条の2 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。

26条の2の2項 いったん譲渡された後は、譲渡権は及ばなくなる。

③貸与権
26条の3 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。

昭和58年制定貸しレコードの貸与に関する暫定措置法から始まり、レンタル商売の普及により、映画以外の著作物の複製物一般について貸与権を認めたものである。映画については頒布権で貸与権も認めているので除外した。

④改作利用権・二次的著作物の利用に関する権利
27条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
2条1項11号 二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。
28条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。

Aの小説をBが脚色して作成した脚本に基づきCが映画を作成する場合、BだけでなくAの許諾も必要。

以上:2,773文字

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