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夫と42年間不貞関係を継続した女性への損害賠償請求例2

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平成20年 1月12日(土):初稿
「夫と42年間不貞関係を継続した女性への損害賠償請求例1」についての東京地裁平成15年8月29日平成13年(ワ)第27193号判決の裁判所の判断全文は以下の通りで、最終的に慰謝料は5000万円の請求に対し300万円しか認めませんでした。
この判示についての私なりの解説は次のコンテンツで行います。

2 以上の認定事実に基づいて、以下に検討する。
(1)前記認定事実によれば、Cは、責められる点の何もないXに対して、自分の無責任で勝手な行動により、不貞行為をはたらき、しかも、自らそれを告白することで、Xの平穏な家庭生活を一方的に破壊し、精神的に不安定な状態をもたらし、自殺未遂に至らしめ、また、Cとの別居に至らせたことになり、Yも、長年の不貞行為に加担していたと認められる。

 そうすると、Yにも、不法行為に基づく損害賠償義務が生じると謂わねばならない。
 なお、前記認定事実によれば、YとCによる平成13年2月15日からの同居は、Yにとっては、Cから泊まるところがないと言われて止むなく滞在させたものであり、その間、肉体関係はなく、それに、Cによる前日の告白で、XとCとの夫婦関係は破綻したと認められるから、平成13年2月15日以降の同居をもって、Xの平穏な夫婦生活を害する新たな不法行為を構成するとは解しがたい。

(2) ところで、同種事案、すなわち、不貞の被害者となった配偶者が不貞行為の第三者に対する損害賠償請求を認める場合の賠償金額を算定するに際しては、次のことを留意する必要がある。

 すなわち、貞操義務(民法752条)は、婚姻の基本であるが、それは、本来、夫婦間の問題であり、価値観の多様化した今日にあっては、性という勝れて私的な事柄については法の介入をできるだけ抑制して、個人の判断、決定に任せるべきであるし、その貞操義務は婚姻契約によって生じ、一方配偶者の他方配偶者に対する一種の債務不履行の問題であって、貞操請求権は対人的、相対的な性格を有し、夫婦の一方の他方に対する貞操請求権を侵害するか否かは、他方の自由意思に依存するものであるから、ここで問題となるような一方配偶者の護られるべき利益は、他方配偶者によって護られたり害されたりするものであり、法によって第三者の侵害から上記利益を護るべきであるというのは、些か筋違いと謂うべきである。そして、価値観の多様化等をふまえ、学説上も、一方配偶者から、不貞の第三者に対する賠償請求は制限すべきであるというのが多数説となっている。

 特に、本件事案においては、本件全証拠によっても、Yが、Cに対し、Xへの告白を働きかけたとは認めがたいところ、それがなければ、Xの平穏な家庭生活を破壊し、精神的に不安定な状態に至らせることはなかったと容易に推認することができるのであり、この点において、Yの責任は、Cに比して軽い。

 また、Xが、長年に亘り、Cと築き上げてきた夫婦関係を一瞬にして失い、それまで裏切られていたことに気づいた苦しみ、悔しさは察するに余りあるところではあるが、同種事案において、妻が夫の不貞行為を知りながら、その状態を長年受忍しなければならなかった場合と比較した場合には、Xが受けた精神的苦痛は低く評価せざるを得ない。

(3) そして、本件において顕れた一切の事情、これまで述べてきたことを総合して鑑みると、YがXに対して賠償すべき額は、300万円をもって相当と判断する。

3 遅延損害金の起算日について
 Xは、不貞行為が始まった後である昭和57年1月1日をもって起算日としている。
 確かに、本件不法行為は、昭和34年を始期として、平成13年を終期とする継続的不法行為であり、不法行為に基づく損害賠償請求権は、不法行為時をもって直ちに遅滞となるのだから、Xの請求にも理由がありそうである。
 しかし、不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害が発生しなければ、請求権そのものが発生しないのであり、本件においては、慰藉料請求なのだから、精神的苦痛が生じた時期、すなわち、XがCから告白された平成13年2月14日をもって起算日とするのが相当である。

 4 結論
 以上の次第により、Xの請求は、300万円及び同金員に対して平成13年2月14日から遅延損害金の支払を認める限度で理由があるから、その限りで認容することとする。

以上:1,794文字

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