サイト内全検索
 

[全 8399頁] 本日 昨日累計
ご訪問有り難うございます。当HPは、私の備忘録を兼ねたブログ形式で「桐と自己満足」をキーワードに各種データを上記14の大分類>中分類>テーマ>の三層構造に分類整理して私の人生データベースを構築していくものです。
なお、出典を明示頂ければ、全データの転載もご自由で、転載の連絡も無用です。しかし、データ内容は独断と偏見に満ちており、正確性は担保致しません。データは、決して鵜呑みにすることなく、あくまで参考として利用されるよう、予め、お断り申し上げます。
また、恐縮ですが、データに関するご照会は、全て投稿フォームでお願い致します。電話・FAXによるご照会には、原則として、ご回答致しかねますのでご了承お願い申し上げます。
     

R 7- 4-30(水):映画”ドクトル・ジバゴ アニバーサリーエディション”を観て-残念ながら
ホーム > 趣味 > 映画3 > 「映画”ドクトル・ジバ…」←リンクはこちらでお願いします
○令和7年4月29日(火、昭和の日)は、午後最近購入したBDソフトで映画「ドクトル・ジバゴ」アニバーサーリーエディションを鑑賞しました。映画「ドクトル・ジバゴ」劇場版は1965(昭和40)年製作で197分(3時間17分)ですが、アニバーサーリーエディション版は、220分(3時間40分)のさらなる長大作です。ゴールデンウイーク観賞用映画として、いずれも1000円少々で、映画「十戒」、映画「ベンハー」、映画「タワーリング・インフェルノ」のBD版を購入しました。いずれもLD版を所有していましたが、映画「クレオパトラ」を鑑賞して歴史大作を再鑑賞したくなったからです。

映画「ドクトル・ジバゴ」は、その小説や映画があることは知っていましたが、LDやDVDを購入したこともなく、全く初めてで殆ど予備知識もないままの鑑賞でした。映画コムでは「巨匠デビッド・リーンがロシアの作家ボリス・パステルナークの同名小説を映画化し、1966年・第38回アカデミー賞で5部門に輝いた大河ドラマ。ロシア革命に運命を翻弄された男女の愛を壮大なスケールで描く。」と解説されています。

アニバーサーリーエディション版は、220分(3時間40分)の長大作でしたが、殆ど眠気を感じることがなく最後まで鑑賞しました。しかし結果は、残念ながらの一言でした。聞き慣れた言葉の「ボリシェヴィキ」が盛んに出てきますが、世界史をスッカリ忘れていた私は、聞き慣れた言葉だけど、何だっけ程度の認識で、ロシア革命という時代背景を良く認識しないままの鑑賞だったためストーリー展開が良く理解出来ないせいもありました。さらに冒頭から次々と登場する登場人物がなかなか覚えられなかったこともあります。特に重要人物の弁護士コマロフスキーの役割が最後まで良く理解出来ずイライラしました。

○「ボリシェヴィキ」は、レーニンが率いた後のソビエト連邦共産党の前身でプロレタリア独裁体制を確立したものですが、この独裁体制を確立するまでの過程も描かれており、人民のためと称して人民を弾圧していく状況は良く判りました。1965(昭和40)年は、ソ連が強固な体制を敷いていた時代と思われますが、イタリア・アメリカ合作での反ソ・反共映画であることは理解できました。小説「ドクトル・ジバゴ」の作者パステルナークは、ソ連では出版できず、イタリアで刊行し、ノーベル文学賞を授与されるもソ連が認めず、受賞を辞退したことも納得です。

○しかし、映画「ドクトル・ジバゴ」での主人公ジバゴの人間性には殆ど共感できずに終わりました。小説「ドクトル・ジバゴ」は、「「戦争と革命の最中でも、人間は愛を失わない」内容でノーベル文学賞を授与された」とのことですが、映画ではジバゴの優柔不断さ・無責任さばかり感じて全く感動できずに終わりました。ジバゴの不貞行為に恨みがましいことを全く言わず、愛人を「立派な素晴らしい人」と評する手紙を残し、生まれたばかりの子供と共にジバゴの元を去った妻の方がズッと大人物です。

『ドクトル・ジバゴ』予告編 1965年 Trailer

以上:1,272文字
ホーム > 趣味 > 映画3 > 「映画”ドクトル・ジバ…」←リンクはこちらでお願いします
R 7- 4-29(火):令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)履行確保関係条文
ホーム > 男女問題 > その他男女問題 > 「令和6年5月17日民…」←リンクはこちらでお願いします
○「令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)共同親権関係条文」の続きで、令和8年5月24日までに施行される「改正の概要PDF」のうち「第3 養育費の履行確保に向けた見直し」関係についての民法条文の備忘録です。

第3 養育費の履行確保に向けた見直し
○養育費債権に優先権(先取特権)を付与(債務名義がなくても差押え可能に)民法306、308の2等
○法定養育費制度を導入(父母の協議等による取決めがない場合にも、養育費請求が可能に)民法766の3等
○執行手続の負担軽減策(ワンストップ化)や、収入情報の開示命令などの裁判手続の規律を整備
民執法167の17、人訴法34の3、家手法152の2等


○以下、関係条文です。

民法
第306条(一般の先取特権)

次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。
一・二(略)
三 子の監護の費用
四・五(略)

第308条の2(子の監護費用の先取特権)
 子の監護の費用の先取特権は、次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権の各期における定期金のうち子の監護に要する費用として相当な額(子の監護に要する標準的な費用その他の事情を勘案して当該定期金により扶養を受けるべき子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額)について存在する。
 一 第752条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
 二 第760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
 三 第766条及び第766条の3(これらの規定を第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
 四 第877条から第880条までの規定による扶養の義務

第766条の3(子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例)
 父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合には、父母の一方であって離婚の時から引き続きその子の監護を主として行うものは、他の一方に対し、離婚の日から、次に掲げる日のいずれか早い日までの間、毎月末に、その子の監護に要する費用の分担として、父母の扶養を受けるべき子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額の支払を請求することができる。ただし、当該他の一方は、支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部の支払を拒むことができる。
 一 父母がその協議により子の監護に要する費用の分担についての定めをした日
 二 子の監護に要する費用の分担についての審判が確定した日 三 子が成年に達した日
2 離婚の日の属する月又は前項各号に掲げる日のいずれか早い日の属する月における同項の額は、法務省令で定めるところにより日割りで計算する。
3 家庭裁判所は、第766条第2項又は第3項の規定により子の監護に要する費用の分担についての定めをし又はその定めを変更する場合には、第1項の規定による債務を負う他の一方の支払能力を考慮して、当該債務の全部若しくは一部の免除又は支払の猶予その他相当な処分を命ずることができる。

民事執行法
第167条の17(扶養義務等に係る債権に基づく財産開示手続等の申立ての特例)

 第151条の2第1項各号に掲げる義務に係る請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者が次の各号に掲げる申立てをした場合には、当該申立てと同時に、当該各号に定める申立てをしたものとみなす。ただし、当該債権者が当該各号に掲げる申立ての際に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
 一 第197条第1項の申立て 当該申立てに係る手続において債務者(債務者に法定代理人がある場合にあつては、当該法定代理人)が開示した債権(第206条第1項各号に規定する債権に限る。)又は次項の規定によりその情報が提供された債権に対する差押命令の申立て
 二 第206条第1項の申立て 当該申立てに係る手続において同項各号に掲げる者がその情報を提供した同項各号に規定する債権に対する差押命令の申立て
2 前項に規定する場合(同項第一号に掲げる申立てをした場合に限る。)において、執行裁判所の呼出しを受けた債務者(債務者に法定代理人がある場合にあつては、当該法定代理人)がその財産を開示しなかつたときは、債権者が別段の意思を表示した場合を除き、執行裁判所は、債務者の住所のある市町村(特別区を含む。第206条第1項第一号において同じ。)に対し、同号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。
3 第205条第3項から第5項までの規定は前項の規定による裁判について、第208条の規定は当該裁判により命じられた情報の提供について、それぞれ準用する。
4 財産開示事件の記録中前項において準用する第208条第1項の情報の提供に関する部分についての第17条の規定による請求は、次に掲げる者に限り、することができる。
 一 申立人
 二 債務者に対する第151条の2第1項各号に掲げる義務に係る請求権又は人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者
 三 債務者の財産について一般の先取特権(民法第306条第三号に係るものに限る。)を有することを証する文書を提出した債権者
 四 債務者
 五 当該情報の提供をした者
5 第210条第2項の規定は、前項第二号又は第三号に掲げる者であつて、財産開示事件の記録中の第三項において準用する第208条第一項の情報の提供に関する部分の情報を得たものについて準用する。
6 第1項の規定により債権に対する差押命令の申立てがされたものとみなされた場合において、執行裁判所が第197条第3項に規定する財産開示期日における手続の実施又は第2項若しくは第206条第1項の規定による裁判をしてもなお差し押さえるべき債権を特定することができないときは、執行裁判所は、債権者に対し、相当の期間を定め、その期間内に差し押さえるべき債権を特定するために必要な事項の申出をすべきことを命ずることができる。この場合において、債権者がその期間内に差し押さえるべき債権を特定するために必要な事項の申出をしないときは、差押命令の申立ては、取り下げたものとみなす。

人事訴訟法
第34条の3(情報開示命令)

 裁判所は、第32条第1項の子の監護に関する処分(子の監護に要する費用の分担に関する処分に限る。)の申立てがされている場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。
2 裁判所は、第32条第1項の財産の分与に関する処分の申立てがされている場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。
3 前2項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、裁判所は、決定で、10万円以下の過料に処する。

家事事件手続法
第152条の2(情報開示命令)

 家庭裁判所は、次に掲げる審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。
 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件
 二 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件
 三 子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)
2 家庭裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。
3 前2項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、家庭裁判所は、10万円以下の過料に処する。
以上:3,387文字
ホーム > 男女問題 > その他男女問題 > 「令和6年5月17日民…」←リンクはこちらでお願いします
R 7- 4-28(月):映画”グラディエーターII 英雄を呼ぶ声”を観て-まずまずの出来映え
ホーム > 趣味 > 映画3 > 「映画”グラディエータ…」←リンクはこちらでお願いします
○令和7年4月25日(日)は、AmazonPrimeで、昼前後に映画「ビーキーパー」を、午後2時過ぎに映画「グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」を鑑賞しました。映画「ビーキーパー」は、「映画”ビーキーパー”を観て-痛快極まります」記載のとおり、令和7年1月初めに「仙台MOVIX」で鑑賞したもので、たまたまAmazonPrimeで見つけ、冒頭部分を鑑賞したら,面白く、昼食を挟みながら、最後まで鑑賞してしまいました。2回目の鑑賞で、およそ4ヵ月ぶりの鑑賞ですが、ほぼ内容は覚えていても、小気味よく痛快な映画でした。

映画「グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」は、AmazonPrimeで500円の有償版でしたが、4KUHDソフトは6000円近い高価で、3000円以下に下がるまで待っているところで、昨日24日に第一作の2000(平成12)年製作映画「グラディエーター」を鑑賞してその第二作2024(令和6)年製作とのことで鑑賞したくなり、つい息子の名前で500円支払い鑑賞しました。第一作から24年後の作品で、映画コムでは「今作の主人公となるルシアスは、ラッセル・クロウが演じた前作の主人公マキシマスの息子という設定。そのルシアス役を、「aftersun アフターサン」でアカデミー賞にノミネートされたポール・メスカルが演じた。」と解説されています。主人公のポール・メスカル氏は初めて観る俳優でした。

○今作のルシアスは、先代ローマ皇帝アウレリウスの長女で今作ルシアスの母親ルッシラ役のコニー・ニールセン氏が、24年後第二作にも同じルッシラ役で登場しますが、美しさは24年の時を経ても保っていました。今作ではデンゼル・ワシントン氏が主人公ルシアスを奴隷グラディエーター(剣闘士)として購入する奴隷商人の役で登場します。当初は、イコライザーシリーズと同様正義の人間かと思って鑑賞していたら徐々に本性を現し、邪悪な野心家に変身するのが意外でした。デンゼル・ワシントン氏はこの映画でも主人公を凌ほどの存在感を示しますが、イコライザーシリーズでの正義の人のイメージが強すぎ、ちと違和感を感じました。

○第一作でも合戦シーンや古代ローマコロッセオのシーンは大変見応えのあるものでしたが、今作も同様でした。実際、あれほどの建築物が古代ローマに存在していた故の再現と思われますが、古代ローマ人達の建築技術の凄さにあらためて驚きました。500円支払っての鑑賞も惜しいとは思えないまずまずの出来でした。

映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』日本語吹替版予告 11月15日(金)劇場公開

以上:1,079文字
ホーム > 趣味 > 映画3 > 「映画”グラディエータ…」←リンクはこちらでお願いします
R 7- 4-27(日):映画”グラディエーター”を観て-重厚感溢れる映画です
ホーム > 趣味 > 映画3 > 「映画”グラディエータ…」←リンクはこちらでお願いします
○令和7年4月26日(土)は、午後、最近購入した4KUHDソフトで2000(平成12)年製作映画「グラディエーター」を鑑賞しました。映画コムでは「巨匠リドリー・スコットが、古代ローマを舞台に復讐に燃える剣闘士の壮絶な闘いを描き、第73回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞など5部門に輝いた歴史スペクタクル。」を鑑賞しました。映画「クレオパトラ」を鑑賞してローマ帝国モノ映画を鑑賞したくなったことと、4KUHDソフトが6割引価格になっていたからです。

○110億円の製作費で2000(平成12)年のアカデミー賞作品賞を受賞した映画とのことで流石に見応えのある映画でした。YouTube動画での予告編映像は、ぼやけて観るに堪えないモノですが、4KUHDソフトでの映画「グラディエーター」の映像は大変鮮明で目に心地よいものでした。劇場公開版ではなく、エクステンデッド・エディション版でおそらく3時間近い長時間映画でしたが、全編緊迫感溢れてその長さを感じさせず一気に鑑賞できました。

○主演のマキシマムを演じたラッセル・クロウ氏は、最近どこかで見た顔と思ったら令和6年8月に鑑賞した2012(平成24)年製作映画「レ・ミゼラブル」の敵役ジャベール警視役でした。その他にも良く観る俳優さんですが、筋骨隆々の身体ではないものの強く逞しいグラディエーター(剣闘士)と素晴らしい人間性を見事に演じていました。主人公マキシマムを嫉妬する敵役ローマ皇帝コモドゥス役を演じたホアキン・フェニックス氏もその弱さと憎々しさを見事に表現していました。

○製作費110億円もかけただけあって映画「クレオパトラ」にも劣らず古代ローマの重厚感あふれる景色が堪能でき満足した映画でした。古代ローマ帝国の街並みやコロッセウム(円形闘技場)に、大昔に良くこれほどの建物を建築できたものだと、その凄さに驚きました。

映画「グラディエーター」(2000) 日本版劇場公開予告編 Gladiator Japanese Theatrical Trailer

以上:845文字
ホーム > 趣味 > 映画3 > 「映画”グラディエータ…」←リンクはこちらでお願いします
R 7- 4-26(土):岡弘祠フラメンコギター教室発表会演奏ファイル整理
ホーム > 趣味 > フラメンコ全般 > 「岡弘祠フラメンコギタ…」←リンクはこちらでお願いします

恐れ入りますが、本ページは、会員限定です。

以上:21文字
ホーム > 趣味 > フラメンコ全般 > 「岡弘祠フラメンコギタ…」←リンクはこちらでお願いします
R 7- 4-25(金):配偶者慰謝料に不貞行為者慰謝料補填を認め請求棄却した地裁判決紹介4
ホーム > 男女問題 > 不倫問題 > 「配偶者慰謝料に不貞行…」←リンクはこちらでお願いします
○原告が、原告の配偶者Cと被告が継続的に不貞行為に及んだことにより精神的苦痛を被ったとして、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求権として慰謝料等400万円の支払を求めました。

○被告は、Cが勃起不全の状態にあり、被告との間に性交渉はなく、原告は、平成31年4月1日時点で被告とCの関係を認識しており、令和4年4月1日は経過したので、予備的に、平成31年4月1日以前の被告とCの不貞行為に基づく慰謝料請求権について消滅時効を援用するとして争いました。

○これに対し、Cが勃起不全の状態にあったことを的確に認めるに足りる証拠はなく、仮に性交渉に及んでいなかったとしても、被告とCの前記交際内容が、原告の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する態様のものであることは明らかであり、不法行為が成立し、慰謝料は220万円が相当としながら、原告がCから離婚慰謝料300万円の支払を受けたことにより、慰謝料支払義務は消滅しているとして原告の請求を棄却した令和5年7月19日東京地裁判決(LEX/DB)を紹介します。

○Cは、原告との離婚調停で、原告に対し、Cが被告と平成26年から令和3年に至るまで不貞関係にあったことを認め、離婚慰謝料300万円の支払義務を認めて、一部被告から借りて全額支払っています。判決は、平成31年以前の不貞行為については時効消滅を認め、それ以降の不貞行為に限定しても、被告が、原告から再三にわたって関係を断つよう求められていたにもかかわらず、これを無視してCとの不貞関係を継続していたことは相当に悪質として慰謝料220万円と認定しました。

********************************************

主   文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、400万円及びこれに対する令和4年4月29日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要等
1 事案の概要

 本件は、原告が、原告の配偶者と被告が継続的に不貞行為に及んだことにより精神的苦痛を被ったとして、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求権により、400万円(慰謝料370万円及び弁護士費用30万円)及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

2 前提事実(争いのない事実並びに括弧内に掲げた証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 認定事実
(前提事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。)
(1)原告は、平成30年5月30日、Cの不貞行為を疑って探偵事務所に調査を依頼し、同月31日に調査報酬86万4000円を支払った。
 原告は、同年6月7日頃、上記探偵事務所から調査結果の報告を受けた。(甲12)

(2)Cは、原告から不貞関係を追及され、平成30年7月15日、Cの両親及び原告の母親が同席する場で、被告と不貞関係にあった事実を認めて家族を傷つけたことを深く謝罪するとともに、直ちに当該関係を解消し、今後、被告とは接触しないことを約束する旨の本件誓約書に署名押印した(甲2、前記前提事実(2))。

(3)原告は、平成30年8月、当時の代理人弁護士を通じて、被告に対し、不貞行為に対する慰謝料を請求する旨の内容証明郵便を送付したが、被告はCと不貞関係にないとの回答をした。
 原告は、被告に対し、被告がCと関係を持ったため、家族の生活が経済的にも困窮していること、子ども達も両親の離婚を心配し精神的にかなり不安定になっていることなどを記載した手紙を送付したが、被告は再度、Cとの不貞関係を否定する旨の回答をした。(甲18)

(4)被告は、平成30年9月7日、Cに対し「Cさん、こんにちは。9/20、熱海のホテルを予約しました。15時からチェックインできます。」などと記載したメールを送信した(甲5)。

(5)被告は、平成30年10月2日、Cに対し「土曜日、Cさんは会社で寝ちゃったんですね。私が朝早く起こしたから・・。ごめんなさい・・。でも、あの横浜町田インターのホテルは、落ち着くし気に入りました。」などと記載したメールを送信した(甲6)。

(6)原告とCとの間で、令和2年10月7日、以下の内容を含む本件夫婦関係調整調停が成立した。
ア 当事者双方は、今後、互いに協力しあって円満な家庭を築くよう努力する。
イ Cは、原告に対し、不貞相手すべてとの関係を直ちに解消し、今後、一切会わず、連絡を取らないことを約束する。(甲3、前記前提事実(3))

(7)Cは、令和2年10月17日、被告に対し「本当に、久しぶりの箱根旅行、海賊船に、大涌谷に、ロープウェイ、Bさんと一緒の時間は、本当に楽しくて、夢のような時間の連続でした。そして、Bさんが選んでくれた佳松、Bさんと二人だけで頂いた夜と朝の素敵なお料理とお酒・・・・Bさんと一緒にするお食事は、私には最高の贅沢に思えました。」などと記載したメールを送信した(甲7の1)。

(8)被告は、令和2年11月4日、Cに対し、「ソラノホテル、私が予約しておきますから、心配しないでください・」、「広いので、普通のお部屋にしました。」などと記載したメールを送信し、同月15日、Cに対し、「昨日と今日、とっても楽しかったです。」、「Cさんと一緒にテニスをして、イタリアンでランチをして、見晴らしの良い温泉プールで夕焼けの名残を眺めて、美味しいお寿司を食べてお散歩しながらイルミネーションを見ました・」などと記載したメールを送信した(甲8の1、8の2、8の5)。

(9)Cは、令和3年1月18日、被告に対し、「今週の金曜日、湯沢の四季と言うところを予約してみました・・・。」などと記載したメールを送信し、被告は、同月24日、Cに対し、「昨日の昼過ぎまで、とっても楽しい時間を過ごせました。」、「素敵な宿で温泉三昧、美味しいお酒とお料理でお腹いっぱいになりました。Cさんとずっと一緒に起きてられれば、もっと良かったなあ・・。」などと記載したメールを送信した(甲10の1、10の6)。

(10)原告は、令和3年4月頃、Cの携帯電話に保存されていた被告とのメールを発見し、同年11月12日、原告とCとの間で、以下の内容を含む本件離婚調停が成立した。
ア 原告とCは、本日、調停離婚する。
イ 長男、長女の親権者をいずれも原告と定める。
ウ Cは、原告に対し、財産分与として240万円を分与し、これを令和3年11月から令和8年10月まで、4万円ずつに分割して支払う。
エ Cは、原告に対し、離婚に基づく慰謝料として300万円の支払義務があることを認め、これを令和3年11月から令和8年10月まで、5万円ずつに分割して支払う。
オ Cは、原告に対し、Cが被告と平成26年から令和3年に至るまで、不貞関係にあったことを認める。
カ 当事者双方は、以上をもって本件離婚に関する紛争が解決したことを確認し、今後は名義のいかんを問わず、互いに財産上の請求をしない。(甲4、18、前記前提事実(4))

(11)原告は、原告代理人に対し、令和3年7月26日に離婚事件の着手金として22万円を、同年11月25日に離婚事件の報酬金として41万1800円を支払った(甲13、14)。

(12)被告は、令和4年9月5日付で、東京地方裁判所に対し、原告及び原告代理人を被告として、同人らが、弁護士が受任しているにもかかわらず、本件に関する郵便物を被告の自宅に郵送したことがプライバシー侵害に当たるなどとして、不法行為に基づく損害賠償請求権により、50万円(慰謝料45万4546円及び弁護士費用4万5454円)及びこれに対する遅延損害金の支払を求める旨の訴訟を提起した(以下「別件訴訟」という。)(甲15)。

(13)Cは、原告に対し、本件離婚調停に基づく離婚慰謝料を分割して支払っていたが、被告から100万円を借入れて、令和4年12月23日、残額230万円を支払った。
 また、Cは、本件口頭弁論終結時までに、原告に対し、本件離婚調停に基づく財産分与として72万円を支払った。
(乙3、5)

2 争点〔1〕(不法行為の成否)について
(1)前記認定事実のとおり、被告とCが令和2年10月頃から令和3年1月頃にかけて、複数回、旅行先等で同宿し、互いに好意を抱いている旨のメールをやり取りしていること、Cが被告と平成26年頃から不貞関係にあった事実を認めていることに照らせば、被告は遅くとも同年頃からCと不貞行為に及んでいたものと認められる。

(2)被告は、Cが勃起不全の状態にあり、被告との間に性交渉はなかった旨を主張するが、Cが勃起不全の状態にあったことを的確に認めるに足りる証拠はなく、仮に性交渉に及んでいなかったとしても、被告とCの前記交際内容が、原告の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する態様のものであることは明らかであり、不法行為が成立するというべきである。

(3)なお、被告は、原告作成の陳述書(甲18)について作成の真正を否認するが、弁論の全趣旨によれば、上記陳述書は、原告がその内容を確認した上で、原告の了承のもと、その面前で原告代理人が押印をしたものであり、原告により真正に作成されたものと認められる。

3 争点〔2〕(消滅時効)について
 前記認定事実によれば、原告は、探偵事務所の調査報告書及びCが作成した本件誓約書を踏まえて、平成30年8月に、当時の代理人弁護士を通じて、被告に対して不貞行為に基づく慰謝料を支払うよう求めていることから、遅くとも平成31年4月1日の時点で被告とCの不貞行為を認識していたと認められる。
 そうすると、同日から3年が経過し、被告が消滅時効を援用する旨の意思表示を行ったことにより、原告の被告に対する、同日以前の不貞行為に基づく慰謝料請求権は消滅したと認められる。

4 争点〔3〕(損害額)について
(1)前記3のとおり、平成31年4月1日以前の不貞行為に基づく慰謝料請求権は時効により消滅しているから、これらの不貞行為を原因とする精神的苦痛を慰謝料の事由として斟酌することはできないものと解される。

 他方で、それ以降の不貞行為に限定しても、被告が、原告から再三にわたって関係を断つよう求められていたにもかかわらず、これを無視してCとの不貞関係を継続していたことは相当に悪質であると評価でき、原告とCの婚姻期間が16年余りと長期にわたっていたことや、原告とCとの間に未成熟子が2人いること、不貞行為の結果、原告とCが離婚に至ったことなど、本件に顕れた一切の事情を考慮すれば、原告の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益は相応に侵害されたものと認められる。

 なお、原告は、被告が別件訴訟を提起した事実を慰謝料増額事由として考慮すべきであると主張するが、本件全証拠によっても、被告において、別件訴訟における主張が事実的、法律的根拠を欠くものであることを認識し、または容易に認識できたにもかかわらずあえて訴えを提起したとまでは認めることができず、被告が別件訴訟を提起したことをもって、直ちに、本件の慰謝料増額事由として考慮することはできないというべきである。

 上記事情に加えて、本件に現れた一切の事情を考慮すれば、原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料は220万円とするのが相当である。

(2)本件事案の内容、上記認容額等に照らし、被告とCの不貞行為と相当因果関係のある弁護士費用相当額の損害として22万円とするのが相当である。

5 争点〔4〕(弁済)について
(1)前記認定事実によれば、原告とCの婚姻関係が破綻した主たる原因は、被告とCの不貞行為にあるといえ、本件離婚調停に基づいてCが原告に支払った離婚慰謝料300万円には、上記不貞行為による原告の精神的苦痛を慰謝する趣旨も当然に含まれているといえる。そして、被告とCの不貞行為は原告に対する共同不法行為に当たり、それぞれの損害賠償債務はいわゆる不真正連帯債務の関係になると解されることから、被告の原告に対する損害賠償債務も、これを上回る上記弁済によって消滅したといえる。

(2)この点、原告は、本件離婚調停で合意した離婚慰謝料300万円は、原告が支出した探偵の調査費用86万4000円及び弁護士費用63万1800円を考慮したものであり、実質的な慰謝料額はそのうち150万4200円にとどまり、被告の原告に対する損害賠償債務も同額に限って弁済を認めるべきであると主張する。

 しかし、探偵の調査費用が離婚ないし不貞行為と相当因果関係のある損害であるといえるかについては疑問があることに加え、本件離婚調停において離婚慰謝料の額を決めるに当たり、原告とCの間で、原告が支出した探偵の調査費用や弁護士費用の額を考慮したことを窺わせる証拠は見当たらない。
 原告の上記主張は採用することができない。

(3)以上によれば、被告の原告に対する損害賠償債務は、原告がCから300万円の離婚慰謝料の支払を受けたことにより消滅しているというべきである。

第4 以上によれば、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第16部 裁判官 松山美樹

以上:5,485文字
ホーム > 男女問題 > 不倫問題 > 「配偶者慰謝料に不貞行…」←リンクはこちらでお願いします
R 7- 4-24(木):婚約不当破棄に100万円の慰謝料支払を命じた地裁判決紹介
ホーム > 男女問題 > 男女付合・婚約・内縁 > 「婚約不当破棄に100…」←リンクはこちらでお願いします
○原告女性が、原告と被告男性は婚約ないし内縁関係にあったにもかかわらず、被告がこれを不当に破棄したと主張し、被告に対し、不法行為に基づき慰謝料1000万円と弁護士費用の賠償などを求めました。

○被告は、内縁関係を否認し、婚約破棄についても、結婚できなかった原因は、結婚後の居住地について、双方が折り合えなかったことによるものであり、被告が不当に婚約を破棄したものではないと争いました。

○これに対し、原告と被告の内縁関係は否認するも、被告は、原告に婚約前に、将来の希望として海外に居住することを話していたことは認められ、海外に居住することについて、原告からの明確な同意を得ないままに、原告と婚約し、その後、原告らの居住地の問題や子供らの教育方針について、双方の意見が対立し、意見の調整がつかないまま、被告が、原告に対し、入籍できないことを告知したもので、被告としては、結婚後の居住地等の問題が、結婚の際の障害となり得ることを容易に認識し得たにもかかわらず、その点を原告との間で明確にしないまま、原告と婚約していることからすると、被告が、これらの問題を契機として、原告に婚約を破棄したことについては正当な理由があるということはできず被告の婚約破棄は不法行為に当たるとして慰謝料100万円と弁護士費用の支払を命じた令和5年12月22日東京地裁判決(LEX/DB)関連部分を紹介します。

○婚約期間が4年半以上に及びその間、2人の間に子供Dが生まれ、養育費額を月額19万6000円とする審判も出ていることが考慮されたと思われますが、このケースで慰謝料100万円の認定は評価の分かれるところです。

*********************************************

主   文
1 被告は、原告に対し、110万円及びこれに対する令和元年6月1日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを10分し、その1を被告の、その余を原告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、1100万円及びこれに対する令和元年6月1日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は、原告が被告に対し、原告と被告が婚約ないし内縁関係にあったにもかかわらず、被告がこれを不当に破棄したとして、不法行為に基づく損害賠償として合計1100万円(慰謝料1000万円及び弁護士費用100万円)及びこれに対する不法行為日後の日である令和元年6月1日から支払済みまでの民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の遅延損害金の支払いを求める事案である。

1 前提事実(掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)原告は、昭和53年生まれの女性であり、前夫との間に平成22年○○月にC(以下「C」という。)を出産したが、その後、平成27年6月、前夫と離婚した。
 原告は、平成30年○月、被告との間の子であるD(以下「D」という。)を出産し、現在、上記二人を養育監護している。

(2)被告は、昭和57年生まれの男性である。

(3)原告と被告は、同じ職場に勤めていたところ、平成24年2月頃から親しくなり、その後、交際に発展し、平成26年10月、被告は、原告に婚約指輪を渡した。

(4)令和元年5月31日、被告は、原告から入籍の予定について問われた際、原告に対して、被告と入籍できないことを明確に伝えた。

2 争点
(1)原告と被告が内縁関係にあったか(争点1)。
 なお、原告と被告が婚約関係にあったことは、当事者間に争いはない。
(2)内縁ないし婚約の不当破棄の有無(争点2)
(3)損害額(争点3)

     (中略)

第3 争点に対する判断
1 認定事実

 前記前提事実に加え、証拠(掲記の証拠のほか、甲25、乙13、14、原告本人、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(1)原告と被告は、同じ職場に勤務しており、平成24年2月頃から親しくなり、交際を始めた。平成26年10月には、被告は、原告に対し、婚約指輪を渡し、婚姻の約束をした。この時点までに、被告は、原告に対し、将来的には海外で勤務したい希望があることは話していたものの、海外で勤務する際に、原告が同行してくれることが結婚の前提となること等、入籍の際の具体的な条件を伝えることはなかった(甲19の1~19の3)。

(2)その後、原告は、平成28年1月から海外のビジネススクールに留学したが、その間も、原告と被告は交際を継続し、同年の夏には、被告が原告の父親に会って会食するなどしており、被告が、一時帰国した際には、被告が原告の自宅に宿泊する等していた(甲16、17(枝番を含む。))。

(3)被告は、海外留学中にシンガポールで就職することを決め、平成29年7月に海外留学から帰国後は、原告の自宅に居住していた。被告は、帰国後、原告に対し、シンガポールに一緒についてくることを求めていたが、原告と被告が同居中、原告と被告との間で、被告や子供の居住地について明確な合意が形成されることはなかった(乙1、2)。

(4)被告は、同年8月中旬頃、原告から妊娠したことを告げられたが、被告にとっては予期せぬ懐妊であったことから、被告は原告への不信感を募らせるとともに、被告の友人に対し、原告がシンガポールに長期間居住することに抵抗感を示していることを相談するなどしていた(乙1)。

(5)その後、原告と被告は、被告の前夫との間の子(C)をインターナショナルスクールに入れるか、その場合の費用負担をどうするかについて意見が対立するなどし、被告は、同年10月12日頃には、原告に対し、原告と結婚する意思がないことを伝えたが、原告はこれに同意せず、被告は、自らの実家に戻った。その後も、原告と被告との間で話合いが継続されたが、同年10月31日、被告は、原告に対し、再度、結婚する意思がないことを伝えたものの、原告の同意は得られなかった。(乙4から7)

(6)被告は、同年11月には原告とCと安産祈願に一緒に行く等していたが、同年12月からシンガポールでの勤務を開始し、同月中旬に一時帰国した際に、再度、原告に対し、原告との関係を終了させる意思を伝えた(甲19の6)。

(7)平成30年1月以降も、原告と被告は連絡をとっており、同年2月21日には、被告は、胎児認知の手続を行い、同年4月には、日本に一時帰国し、Dの出産に立ち会い、その後は、毎月15万円の養育費を送金する等していた。被告は、Dが誕生したことにより、子供のために、再度、原告と結婚する余地はないかを考えるようになり、同年8月には、原告、C及びDがシンガポールを訪問する等していたが、被告は、これまでの原告との諍い等を踏まえて、最終的に、原告と結婚することはできないと考え、令和元年5月、被告は原告に対し、現時点で入籍できないことを伝えた(甲13)。

(8)原告は、同年7月、被告を相手方として、東京家庭裁判所にDの養育費の調停を申し立て、令和2年8月、同裁判所は、養育費の額を月額19万6000円とする審判をした(乙3)。

2 争点1(原告と被告が内縁関係にあったか。)について
 前記認定事実によれば、原告と被告は、婚約関係にあったことは認められるものの、内縁関係にあったとまでは認められない。
 確かに、前記認定事実によれば、原告と被告が、被告の留学からの帰国後、数か月間同居していたこと、被告が子供の養育費として一定額を原告に送金していたことや子供らの行事に参加していたことは認められるものの、送金していた額は、被告の収入を踏まえるとDの養育費の範囲内にあるものであり(前記1(8))、同居していたことについても、その期間等に鑑みると、婚約関係中の同棲の範囲にとどまるものといえ、その後、原告と被告が、日本とシンガポールで別々に居住し、今後の関係について、継続的に話し合いがされていたことをも踏まえると、上記の各事情をもって、原告と被告との関係が内縁関係にあったということはできず、その他、原告の主張を認めるに足りる証拠はない。

3 争点2(内縁ないし婚約の不当破棄の有無)について
 前記認定事実によれば、被告は、原告に対し、婚約前に、将来の希望として海外に居住することを話していたことは認められるものの、海外に居住することについて,原告からの明確な同意を得ないままに、原告と婚約した上で、その後、原告らの居住地の問題や子供らの教育方針について、双方の意見が対立し、意見の調整がつかないまま、被告が、原告に対し、入籍できないことを告知したものであり、被告としては、結婚後の居住地等の問題が、結婚の際の障害となり得ることを容易に認識し得たにもかかわらず、その点を原告との間で明確にしないまま、原告と婚約していることからすると、被告が、これらの問題を契機として、原告に対し、婚約を破棄したことについては正当な理由があるということはできず、被告の婚約破棄は、不法行為に当たると認められる。

4 争点3(損害額)について
 原告と被告は、平成26年10月当時から令和元年5月末日に、最終的に被告により婚約が破棄されるまで4年半以上にわたって婚約関係にあったこと、この間、原告と被告は一定の同棲期間もあり、被告が子供の出産に立ち会い、子供らの各種行事に参加していたこと等本件における諸般の事情に鑑みると、被告の婚約不履行により原告に生じた精神的苦痛に対する慰謝料としては100万円が相当であり、被告の行為と相当因果関係にある本件訴訟に要する弁護士費用としては10万円が相当である。 

第4 結論
 以上によれば、原告の請求は、主文記載の範囲で理由があり、その余は理由がないから、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第32部 裁判官 島崎邦彦

以上:4,082文字
ホーム > 男女問題 > 男女付合・婚約・内縁 > 「婚約不当破棄に100…」←リンクはこちらでお願いします
R 7- 4-23(水):間接交流を認めた原審判を取り消し直接交流検討を指示した高裁決定紹介
ホーム > 男女問題 > 面会交流・監護等 > 「間接交流を認めた原審…」←リンクはこちらでお願いします
○「別居夫に対し成長記録写真送付等の間接交流を認めた家裁審判紹介」の続きで、その抗告審令和5年11月30日東京高裁決定(判タイムズ1524号87頁、判時2617号9頁)全文を紹介します。

○原審さいたま家裁川越支部審判では、未成年者が相手に対し不安が喚起されやすい特徴があるとして、成長記録写真や生活状況報告書面の送付と、代理人を通じてのプレゼントの送付と妨げないことを命じ、父親である申立人と未成年者の直接交流は認めませんでした。そこで父親が抗告していました。

○抗告審東京高裁は、原審は審理不尽として取り消し、さいたま家裁への差し戻しを決定しました。その理由概要は以下の通りです。
・父親が未成年者の成長を知ることは,父親にとって重要であるばかりでなく,未成年者にとっても,父親が自分に関心を示してくれていることを実感させることは,未成年者の健全な成長につながる
・抗告人が利用を希望する第三者機関より支援が可能である旨の回答を得て、面会交流を行うための具体的なルールに関する説明を受けていること
・未成年者の人見知りや、新規の刺激から影響を受け易いといった傾向は、令和3年7月以降現在に至るまで保育園に通園状況から,周囲の配慮により克服し、成長に伴い自然と収まる
・相手方母には,抗告人父と未成年者が第三者機関を利用して直接の面会交流をすることに協力することが直ちに困難であると断じる客観的かつ具体的な事情があると認めることはできない

○離婚した父と母の精神的確執が大きい場合、直接交流を求める父に対し、未成年者が嫌がっていると称して、母がこれを拒否する事案は相当ありますが、未成年者が嫌がっていると言うより、母が嫌がっている実態が多いと思われ、この東京高裁の決定は、父と未成年者の交流の必要性を強調したもので極めて妥当な決定と思います。

**********************************************

主   文
1 原審判を取り消す。
2 本件をさいたま家庭裁判所に差し戻す。

理   由
第1 事案の概要
(以下,略称は原審判の例による。)
1 本件は,平成31年に婚姻し,令和2年*月*日に未成年者をもうけた夫婦間において,夫である抗告人(原審申立人)が,妻である相手方(原審相手方)に対し,抗告人と未成年者が面会交流する時期,方法などにつき審判を求める事案である。

2 原審は,抗告人と未成年者との面会交流は,間接交流とするのが相当であるとして,相手方に対し,〔1〕当分の間,年に2回(毎年7月及び12月頃),未成年者の成長の過程を記録した写真及び生活の状況を記した書面を抗告人に送付すること,〔2〕抗告人が,相手方の指定する代理人を経由して,プレゼント等を送付することを妨げないことを命じる審判(原審判)をした。
 そこで,抗告人は,原審判を不服として即時抗告した。

3 抗告の趣旨及び理由は,別紙即時抗告申立書及び同主張書面に記載のとおりであり,相手方の反論は別紙相手方反論書面(1)に記載のとおりである。

第2 当裁判所の判断
1 当裁判所は,原審は審理不尽であるので,原審判を取り消して,本件をさいたま家庭裁判所に差し戻すのが相当であると判断する。その理由は,以下のとおりである。

2 認定事実
 以下のとおり補正するほかは,原審判「理由」第2の1に記載のとおりであるので,これを引用する。
(1)原審判2頁3行目の「同居でよいということになり」を「同居について明確に拒絶することなく」に改める。

(2)原審判2頁8行目冒頭から10行目末尾までを次のとおり改める。
 「相手方は,抗告人が家事に協力的でないことに不満を持っていたが,抗告人も,相手方の非難に反発して感情的になり,声が大きくなることがあった。」

(3)原審判2頁12行目から同13行目にかけての「申立人に家事を頼むと,申立人がいやそうな顔をするために互いのためと思い」を「抗告人が,家事に協力的でないことや,家事を頼んだときに嫌そうな態度を取ることに不満を有していたことから、」に,同21行目から同22行目にかけての「相手方に対して怒鳴り,持っていたふきんを投げつけて」を「これに反発して感情的になり,時折大きな声を出すなどして,」に,いずれも改める。

(4)原審判3頁4行目冒頭から同10行目末尾までを以下のとおり改める。 
 「抗告人も,未成年者のおむつ替えや沐浴をしたり,授乳をしたりするなどしたが,相手方は,抗告人が,おむつ替えの際に未成年者におしっこをかけられて苛立っている様子や,未成年者をあやしても未成年者が泣きやまない様子,授乳の度に相手方に対し,未成年者に与えるミルクの量や時間を確認する様子などを見て,抗告人に未成年者の育児を任せることに煩わしさを感じた。」

(5)原審判3頁17行目から同18行目にかけての「申立人が激高し,怒鳴ったり,急ににやにやしたりを繰り返していたため,相手方は,恐怖を覚え,身の危険を感じたため,」を,「抗告人は,未成年者の面前であるにもかかわらず強く反発して感情的になり,相手方と喧嘩状態となったことから,相手方又は相手方の母は」に改める。

(6)原審判4頁2行目の「令和2年8月13日の件は,」の後に「当事者双方が未成年者の面前で喧嘩したものであり,」を加え,同4行目から同5行目にかけての「相談したころ」から同7行目の「勧められた。」までを「相談したところ,担当者から,相手方の説明を前提とした助言を受け,これまでの抗告人の言動が抗告人の自覚のないDVに該当するとの認識を強め,抗告人と別居することを決意した。」に改める。

(7)原審判5頁13行目の「当庁」を「さいたま家庭裁判所川越支部」に改める。

(8)原審判6頁3行目の「ところあった」を「ところであった」に改める。

(9)原審判6頁26行目冒頭から同7頁1行目末尾までを以下のとおり改める。
 「抗告人は,第三者機関を利用して未成年者と直接の面会交流を行うことを希望しており,既に第三者機関に相談し,当該第三者機関より支援が可能である旨の回答を得ているほか,第三者機関から面会交流を行うための具体的なルールに関する説明を受けている。」

3 検討
(1)前記認定事実によれば,
〔1〕未成年者は,保育園に入園当初は,表情が硬く,集団生活に戸惑う様子が見られたこと,
〔2〕家裁調査官による家庭訪問調査においても,未成年者は,初対面の家裁調査官に対して人見知りをして,短時間の滞在では十分に慣れることが難しく,母である相手方から離れようとしない様子が認められたこと,
〔3〕未成年者は,日常的に夜中に泣いて目を覚まし,一度も目を覚まさずに寝ていることの方が少ない状況であり,相手方は,精神的にも体力的にも余裕があるとは言えないこと,
〔4〕抗告人は,相手方の非難に強く反発して感情的になり,声が大きくなることがあったため,相手方の抗告人に対する不信感は根強いこと,
〔5〕抗告人は,未成年者が出生してから未成年者に接触した期間は短く,別居後,抗告人と未成年者の交流は行われていない
ことなどが認められる。

これらの事情に鑑みると,未成年者は慣れない相手に対して不安を感じやすいといった特徴がうかがわれ,未成年者の負担を最小限に留めつつ面会交流を実施するためには,相手方の協力を得ながら,未成年者が抗告人に徐々に慣れるようにする手順を踏むことが必要であると考えられる。そうであるとすれば,相手方が,こうした手順を踏まないまま,抗告人と未成年者との直接の面会交流に協力することにつき,消極的な態度を示していることについては,一定程度理解できるところである。

(2)しかしながら,父親が未成年者の成長を知ることは,父親にとって重要であるばかりでなく,未成年者にとっても,父親が自分に関心を示してくれていることを実感させることは,未成年者の健全な成長につながるというべきである。

そして,抗告人は,第三者機関を利用して未成年者と直接の面会交流を行うことを希望し,既に第三者機関に相談し,当該第三者機関より支援が可能である旨の回答を得ているほか,第三者機関から面会交流を行うための具体的なルールに関する説明を受けていることが認められ,抗告人と未成年者が第三者機関を利用して直接の面会交流をする際,必要となる相手方の協力は,一定程度限定されたものになると考えられる。


 また,未成年者には,人見知りの傾向があり,新規の刺激から影響を受け易いといった傾向があるが,未成年者が令和3年7月以降現在に至るまで保育園に通園していることに照らせば,上記の傾向は,周囲の配慮により克服でき,あるいは成長に伴い自然と収まるものと考えられる。

 さらに,前記認定事実及び一件記録によれば,相手方は,抗告人に家事や育児に関する配慮が足りないと不満を持ち,抗告人も,相手方の非難に反発して感情的になり,声が大きくなることがあったことが認められるものの,抗告人が相手方に対し,直接の暴力に及んだとか,合理的な理由のない暴言ないし継続的ないし支配的な精神的暴力があったと認めることはできない。

 そうすると,相手方には,抗告人と未成年者が第三者機関を利用して直接の面会交流をすることに協力することが直ちに困難であると断じるに足りるだけの客観的かつ具体的な事情があると認めることはできない。仮に,直接の面会交流を実施することにより相手方の負担が主観的には増すとしても,相手方には監護補助者がいることをも考慮すれば,直接の面会交流の実施により,未成年者の福祉を害する程度にまで相手方の監護力が低下すると認めることはできない。

(3)したがって,抗告人と未成年者の直接の面会交流については,前記(1)のような事情があることは認められるものの,前記(2)のとおり,これが直ちに困難であると断じるに足りるだけの客観的かつ具体的な事情があるとはいえないというべきであって,未成年者の年齢及び特性等に照らせば,なお,未成年者において,相手方と離れて抗告人と直接の面会交流を行うことができるかどうかについて,子の福祉の観点から,慎重に検討判断する必要があるというべきである。

 そうすると,本件においては,抗告人と未成年者との試行的面会交流の実施を積極的に検討し,その結果をも踏まえて,直接の面会交流の可否や,直接又は間接の面会交流の具体的方法,頻度,内容等を検討して定める必要があるというべきである。

(4)よって,原審判は前記(2)の事情を適切に考慮していない点において取消しを免れない上,本件については,特に前記(3)に関して審理を尽くす必要があるので,原審判を取消して,本件をさいたま家庭裁判所に差し戻すのが相当である。

第3 結論
 以上の次第で,原審判を取り消して本件をさいたま家庭裁判所に差し戻すこととし,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 大竹昭彦 裁判官 下馬場直志 裁判官 渡邊英夫)

別紙 即時抗告申立書〈省略〉
主張書面〈省略〉
相手方反論書面(1)〈省略〉

以上:4,518文字
ホーム > 男女問題 > 面会交流・監護等 > 「間接交流を認めた原審…」←リンクはこちらでお願いします
R 7- 4-22(火):別居夫に対し成長記録写真送付等の間接交流を認めた家裁審判紹介
ホーム > 男女問題 > 面会交流・監護等 > 「別居夫に対し成長記録…」←リンクはこちらでお願いします
○平成31年2月に婚姻し、令和2年に未成年者(審判当時2歳)をもうけた夫婦間において、夫である申立人が、令和2年9月から未成年者を連れて別居している妻である相手方に対し、申立人と未成年者が面会交流する時期、方法など直接交流を希望する審判を求めました。

○これに対し、未成年者には慣れない相手に対して不安が喚起されやすい特徴が認められるところ、申立人は、未成年者が出生してから未成年者に接触した期間が短く、未成年者の負担を減じて交流を実施するためには、未成年者が申立人に徐々に慣れるようにすることが必要であり、申立人と未成年者との面会交流は、間接交流とするのが相当であるとして、相手方に対し、
〔1〕当分の間、年に2回、未成年者の成長の過程を記録した写真及び生活の状況を記した書面を抗告人に送付すること、
〔2〕申立人が、相手方の指定する代理人を経由して、プレゼント等を送付することを妨げないこと
を命じた令和4年4月28日さいたま家庭裁判所川越支部審判(判タ1524号90頁)関連部分を紹介します。

○これに対し申立人夫が抗告し、抗告審東京高裁は、原審審判を取り消し、試行的面会交流の実施を積極的に検討し、その結果をも踏まえて直接交流の可否等を検討させるべく、さいたま家裁に差し戻しており、別コンテンツで紹介します。

*********************************************

主   文
1 相手方は,申立人に対し,当分の間,年に2回(毎年7月及び12月頃),未成年者の成長の過程を記録した写真及び生活の状況を記した書面を送付せよ。
2 相手方は,申立人が,相手方の指定する代理人を経由して,プレゼント等を送付することを妨げない。
3 手続費用は,各自の負担とする。

理   由
第1 申立ての要旨

 第三者機関を利用した面会交流を希望する。

第2 当裁判所の判断
1 一件記録によれば,以下の事実を認めることができる。
(1)申立人(昭和52年*月*日生)と相手方(昭和62年*月*日生)とは,平成28年ころ知合い,交際を続けてきた。相手方は,相手方母○○(以下「相手方の母」という。)との同居を前提に結婚の話を進めてきた。申立人は,相手方の母との同居について申立人父母も反対していると難色を示したが,最終的には申立人は同居でよいということになり,平成31年2月13日婚姻した。

(2)入籍後,別居を続けていたが,令和元年12月に相手方の妊娠がわかり,令和2年2月18日,申立人が相手方と相手方の母が暮らすマンションに転居して同居を開始した。

 相手方の目から見ると,申立人は,家事に協力的ではなかった。家事をめぐって言い争いになると,申立人は,相手方に対して怒って声を荒げることもあり,相手方は驚きと恐怖を覚えた。

     (中略)

(7)令和2年9月3日,相手方が申立人に対し,別居を申し出た。しかし,申立人から返事がなかったため,令和2年9月8日,再度,相手方は,一緒に暮らしたくないので出て行ってほしいこと,未成年者に触らせたくないので部屋に入ってこないでほしいことをメモ書きして申立人に伝えたところトラブルになり,相手方が警察に通報した。

(8)令和2年9月中旬に,相手方は自宅を出て別居することに決め,申立人が,令和2年9月27日からマンスリーマンションを契約して,一時的に別居を開始した後,相手方は,未成年者及び相手方の母とともに別居した。

(9)未成年者は,現在,相手方及び相手方の母と暮らしている。
 未成年者は,現在,主に平日に保育園に登園し,相手方が,土曜日に仕事があるときは,土曜日も登園している。
 平日は,午前5時30分から午前6時頃に,相手方が起床して家事をしていると未成年者が目を覚ます。午前6時30分から午前7時30分にかけて相手方が用意した朝食をとり,相手方や相手方の母に歯磨きや着替えなどをさせてもらい,相手方の車で登園する。午後6時30分頃,相手方が保育園に迎えに行き,帰宅する。帰宅後,相手方が用意した夕食を取り,相手方が入浴させて,午後8時頃には,布団に入り,相手方が寝かしつけている。


 休日は,相手方は,なるべく平日と同じリズムになるように心がけている。
 未成年者は,日常的に夜中に泣いて目を覚ます。一度も目を覚まさずに寝ていることのほうが少ない。相手方によれば,原因は,鼻水などの不快感や,保育園でいつもと違う公園へ行くなど,普段と違う刺激があったことなどが考えられる。未成年者のこれまでの発育及び発達は順調であり,乳幼児健診等で特段の指摘もない。予防接種も予定通り済ませている。

 相手方は,令和3年7月中旬から仕事についている。健康状態に問題はない。
 相手方の母は,無職であるが健康状態に問題はない。

 相手方は,未成年者は,順調に成長しているが,新しい刺激に反応して寝つきが悪くなったり,体調を崩して保育園を休んだりすることもある,こうした状況で,突然,申立人と会うというのは,未成年者にとって負担であり,未成年者の心身がもう少し丈夫になるまで待ってほしい,面会交流は相手方にとっても大きな負担であると考えている。

(10)別居後,申立人と未成年者の交流はない。

(11)令和4年1月14日,当庁家庭裁判所調査官(以下「家裁調査官」という。)が,相手方宅の家庭訪問調査をした。
 家裁調査官が訪問すると,玄関先で相手方の母が出迎え,相手方の母の後ろに付いてきていた未成年者が珍しそうに家裁調査官をのぞいた。家裁調査官が,視線の高さを合わせて未成年者にあいさつすると,未成年者は,その場で一瞬固まり室内に入っていった。リビングの方から相手方が出てきて,未成年者は相手方に抱っこを求め,相手方は未成年者を抱っこした。

 家裁調査官が,ダイニングテーブルを囲んで,当日の流れを説明していると,未成年者は,眠り始めた。家裁調査官が,相手方の母の面接を始めると,未成年者は,目を覚まし,隣室のドアの側に立ち,家裁調査官が「もうお目め覚めたの?」と声を掛けると,途端に相手方のほうに向き直り,座っている相手方にくっついた。「何して遊んでたの?」と声を掛けても相手方にくっついたまま動かなかった。相手方が,家裁調査官の質問に答えながら,普段の遊びの様子を話していると,未成年者も家裁調査官に視線を向けるが,家裁調査官と目が合うと再び目をそらせた。

 相手方の母からの聴取が終わり,相手方の母が,隣室の未成年者に声を掛けると,未成年者は車の図鑑を広げているところあった。家裁調査官が相手方と未成年者の側に腰を下ろすと,未成年者は表情をこわばらせ,図鑑を閉じて相手方に抱っこを求めた。相手方は,穏やかな口調で「何見たか教えてあげれば?」と未成年者に声をかけたが,未成年者は,相手方の膝の上から動かなかった。家裁調査官が図鑑に手を伸ばして身を乗り出すと,未成年者は,わっと一瞬泣き,相手方にしがみついた。

 ダイニングに戻り,相手方から補足事項を聴取している間,未成年者は固い表情をしたまま相手方に抱かれていたが,笑顔を見せるようになった。家裁調査官が未成年者が笑っているというと,相手方は未成年者の顔を覗き込んだ。未成年者は相手方に満面の笑顔を返し,相手方も笑顔になった。未成年者は,相手方の母にも笑顔を向けた。しかし,家裁調査官が笑いかけると,途端に相手方に向き直り,またしがみついた。家裁調査官が謝意を述べて辞去を伝え,未成年者は,相手方と相手方の母と玄関先まできて,家裁調査官が「驚かせてごめんね。バイバイ。」と声を掛けると,未成年者は突然泣き出した。

(12)保育園においては,健診において特段の指摘はなく,健康状態に問題はない。発育や発達は順調である。
 未成年者は,入園当初は,表情が硬く,あまり笑わなかった。しかし,徐々に表情が柔らかくなり,今ではよく笑っている。活発でよく動き回っている。
 相手方は,保育園に必要なものをきちんと用意して持ってきている。保育園への提出物も遺漏はない。欠席の際は必ず事前に相手方から連絡がきている。相手方は,とても丁寧に子育てをしている。また,保育士の話を素直に聞き入れてくれている。

(13)申立人は,単身で生活し,健康状態に問題はない。
 面会交流は,直接交流を希望する。写真の送付などの間接交流で合意できない。


(14)令和2年10月12日,相手方が,本件夫婦関係調整(離婚)調停事件を申立て,令和3年3月8日,申立人が,本件面会交流調停事件を申し立てた。令和3年8月23日,本件夫婦関係調整(離婚)調停事件及び本件面会交流調停事件は,不成立となり,審判手続に移行した。

2 前記認定事実によれば,未成年者は,保育園に入園当初は,表情が硬く,集団生活に戸惑う様子が見られ,当庁家裁調査官による家庭訪問調査においては,初対面の当庁家裁調査官に対して人見知りをして1時間半程度の滞在では十分に慣れることが難しく,母である相手方から離れられなかった様子が認められた。このことは、未成年者が慣れない相手に対して不安が喚起されやすい特徴が認められたものである。申立人は,未成年者が出生してから未成年者に接触した期間が短く,別居後,申立人と未成年者の交流は行われておらず,未成年者の上記負担を減じて交流を実施するためには,相手方の協力をえながら,未成年者が申立人に徐々に慣れるようにすることが必要である。

 他方,相手方は,申立人に対する不信感が根強く,未成年者が日常的に夜中に泣いて目を覚ます。一度も目を覚まさずに寝ていることのほうが少ない状況で,相手方は,精神的にも体力的にも余裕があるとは言えない。かかる状況において,未成年者と申立人との直接的な面会交流を実施した場合,相手方の養育状況の低下が生じる恐れがある。したがって,現状において直接交流を実施することは相当とは言えない。 


 もっとも,父親が未成年者の成長を知ることは,父親にとって重要であり,未成年者に父親が自分に関心を示してくれててることを感じ取らせることは,未成年者の健全な成長につながるものというべきである。したがって,相手方から写真や子の状況を記した手紙を定期的に申立人に送付するとともに,申立人から未成年者に対してプレゼント等を送ったりする間接交流が相当である。

 また,申立人から,未成年者に対してプレゼント等を送るについては,相手方は,現在,住所を明らかにしていないが,申立人からの贈り物を代理人を通じて受け取ることを否定していないのであるから,今後,できるだけ早い時期に代理人を指定することが望ましいというべきである。
 よって,主文のとおり審判する。
以上:4,377文字
ホーム > 男女問題 > 面会交流・監護等 > 「別居夫に対し成長記録…」←リンクはこちらでお願いします
R 7- 4-21(月):映画”クレオパトラ”を観て-エリザベス・テーラー氏美貌堪能
ホーム > 趣味 > 映画3 > 「映画”クレオパトラ”…」←リンクはこちらでお願いします
○令和7年4月20日(日)は、最近購入したばかりのBDソフトで1963(昭和38)年製作映画「クレオパトラ」全245分(4時間5分)を午後いっぱいかけて鑑賞しました。「2025年04月16日発行第387号”弁護士のレトリック ”」を読んで、アントニーのシーザー追悼演説が気になったからです。この映画は、昭和63年旧宅AVルームを完成させて夜な夜な映画鑑賞に励んでいたときにLDを購入して鑑賞済みでしたが、当時のLDは192分版でした。アントニーのシーザー追悼演説シーンは記憶に無く、シーザーの火葬シーンだけはどういう訳か強烈に記憶に残っていました。

○ウィキペディアでの「クレオパトラ (1963年の映画)」によると、「1958年10月の企画決定より公開までの足かけ4年半にわたり、世界的なゴシップ騒動と映画会社の複雑な内紛劇を巻き起こし」、「製作開始から4年を経た1963年6月にようやくプレミア上映にこぎつけた。この際の上映時間は4時間5分だったが、一般公開版はさらに3時間14分に短縮された。」とのことです。私が、前回購入したLD版は一般公開版で、今回購入したBD版はプレミア上映版です。

○今回購入したBD4時間5分版はディスクが2枚に別れて価格は1500円でしたが、4時間5分全く睡魔に襲われること無く、全編シッカリ鑑賞できました。残念ながらアントニーの追悼演説シーンは無く、クレオパトラがアントニーにシーザー追悼演説をしたそうですねと告げるシーンしかありませんでした。4時間5分全く睡魔に襲われること無く鑑賞できた最大の理由は、主演クレオパトラ役エリザベス・テーラー氏の美貌に尽きます。

○ウィキペディア解説では、「クレオパトラ役の選定に際し、国内の映画館主にエリザベス・テイラー(1932年生まれ)かオードリー・ヘプバーン(1929年生まれ)のどちらがふさわしいか、という調査が行なわれた。結果はテイラーの圧勝だった。」とのことです。両者の美貌に遜色はありませんが、この映画を観て、クレオパトラ役としては、エリザベス・テーラー氏の方が適役であることは間違いないと感じました。4時間ぶっ続けて鑑賞してもその美貌にただただ見惚れていたからです。

○前回鑑賞したのは、昨日鑑賞した映画「グーニーズ」と同じ37,8年前ですが、映画「グーニーズ」は完全に忘却の彼方で記憶に残っていたシーンは全くなかったのに対し、映画「クレオパトラは」シーザー火葬シーンを初め、その暗殺シーン等ところどころで観た記憶が甦ってきました。その差は、映画による感動・印象の強さの違いと思われます。前回観たのは192分版で、今回の鑑賞は1時間近く長いもので全く初めて観るシーンもあるはずですが、兎に角、重厚でお金をたっぷりつぎ込んだことが良く判りました。ウィキペディア解説では、「1963年の世界興行収入では1位となったものの」、「事業的には社運を傾けるほどの大失敗作となった」とのことです。

○「2025年04月16日発行第387号”弁護士のレトリック ”」でのアントニーの「お前はジュリアス・シーザーの食べ残しの残飯だった!」との名セリフは、残念ながらありませんでしたが、見応えのある荘厳・重厚なシーンに溢れる映画でした。

4Cleopatra (1963) Trailer #1 | Movieclips Classic Trailers

以上:1,399文字
ホーム > 趣味 > 映画3 > 「映画”クレオパトラ”…」←リンクはこちらでお願いします
R 7- 4-20(日):映画”グーニーズ”を観て-4KUHDの映像綺麗でしたが
ホーム > 趣味 > 映画3 > 「映画”グーニーズ”を…」←リンクはこちらでお願いします
○令和7年4月19日(土)は、ツルカメフラメンコアンサンブルの練習日で、パコ・デ・ルシア氏演奏瀬田彰氏採譜編曲のティコ・ティコを30年以上前に演奏していたという辻英明氏がファーストギター、私がセカンドギターで練習しました。何とか合うようになりましたが、セカンドは、楽を実感しました。この曲をパコ・デ・ルシア氏のようは速さで演奏するのは大変です。

○練習後は、夕食を取りながら、映画鑑賞会となり、最近、4KUHDソフトを購入した1985(昭和60)年製作映画「グーニーズ」を鑑賞しました。この映画は、映画館では観ませんでしたが、LDを購入して昭和63年頃に何回か鑑賞して、スティーヴン・スピルバーグ氏プロデュースと言うことで、大変、面白かった印象でした。しかし、映画冒頭刑務所の脱走シーンから始まりますが、全く、過去に鑑賞した記憶がありません。良く観る俳優さんが、脱走囚人役ですが、全く記憶が無く、初めて観る感覚で鑑賞が始まりました。

○子供達が集まりガヤガヤ騒ぎが始まっても、過去に観た記憶のあるシーンが、いつまで経っても全く出てきません。途中で、インディージョーンズシリーズで出てきた中国人の子役も出てきましたが、これも全く記憶がありません。その後のストーリー展開も、最後に至るまで,過去に観た記憶のあるシーンは全く出てきませんでした。37,8年前に何回か繰り返し観たはずなのですが、完全に記憶を失い、忘却の彼方に飛んでいました。

○その理由は、最後まで観て感じましたが、面白くなかった、つまらなかったからと思われます。子供達が、ガヤガヤ騒ぎながら、主人公の屋根裏部屋で宝の地図を発見し、宝探しに向かうストーリーが、まるで、ちぐはぐ、不自然に感じ、その後の展開も、余りにバカバカしく感情移入が全くできないまま結末を迎え、おそらく最後に感動を与えようとして出てきたものも、これからどうなるのよ、このままでいいのかよと、最後まで疑問を感じるものでした。

○一緒に観たアンサンブル仲間は、鑑賞後、面白かったとの感想でしたが、私自身は、こんなつまらない映画だったのか、わざわざ4KUHDソフトまで購入する価値は無かったと残念な感想に終わりました。この映画の後に制作されたスピルバーグ氏のインディージョーンズシリーズには遠く及ばない映画でした。但し、4KUHD化された映像は大変綺麗でした。

4KUHD/BD【予告編】『グーニーズ』

以上:1,002文字
ホーム > 趣味 > 映画3 > 「映画”グーニーズ”を…」←リンクはこちらでお願いします
R 7- 4-19(土):令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)共同親権関係条文
ホーム > 男女問題 > その他男女問題 > 「令和6年5月17日民…」←リンクはこちらでお願いします
○「令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)親の責務関係条文」の続きで、令和8年5月24日までには施行される「改正の概要PDF」のうち「第2 親権・監護等に関する規律の見直し」の共同親権関係についての民法条文の備忘録です。

先ず現行民法での親権についての規定です。
第819条(離婚又は認知の場合の親権者)
 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5 第1項、第3項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。


改正後民法親権に関する規定は次のとおりです。改正民法の変更・追加箇所に下線を引いています。共同親権に関する規定を理解するためには、以下の、下線部分をシッカリ読み込む必要があります。

第819条(離婚又は認知の場合の親権者)
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定める
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の双方又は一方を親権者と定める。
3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父母の双方又は父を親権者と定めることができる。
4 父が認知した子に対する親権は、が行う。ただし、父母の協議で、父母の双方又は父を親権者と定めることができる。
5 第1項、第3項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子又はその親族の請求によって、親権者を変更することができる。

7 裁判所は、第2項又は前2項の裁判において、父母の双方を親権者と定めるかその一方を親権者と定めるかを判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならない。この場合において、次の各号のいずれかに該当するときその他の父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、父母の一方を親権者と定めなければならない。
 一 父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき。
 二 父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(次項において「暴力等」という。)を受けるおそれの有無、第一項、第三項又は第四項の協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき。

8 第6項の場合において、家庭裁判所は、父母の協議により定められた親権者を変更することが子の利益のため必要であるか否かを判断するに当たっては、当該協議の経過、その後の事情の変更その他の事情を考慮するものとする。この場合において、当該協議の経過を考慮するに当たっては、父母の一方から他の一方への暴力等の有無、家事事件手続法による調停の有無又は裁判外紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成16年法律第151号)第1条に規定する裁判外紛争解決手続をいう。)の利用の有無、協議の結果についての公正証書の作成の有無その他の事情をも勘案するものとする。

第824条の2(親権の行使方法等)
 親権は、父母が共同して行う。ただし、次に掲げるときは、その一方が行う。
 一 その一方のみが親権者であるとき。
 二 他の一方が親権を行うことができないとき。
 三 子の利益のため急迫の事情があるとき。
2 父母は、その双方が親権者であるときであっても、前項本文の規定にかかわらず、監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使を単独ですることができる。
3 特定の事項に係る親権の行使(第1項ただし書又は前項の規定により父母の一方が単独で行うことができるものを除く。)について、父母間に協議が調わない場合であって、子の利益ため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、父又は母の請求により、当該事項に係る親権の行使を父母の一方が単独ですることができる旨を定めることができる。

第824条の3(監護者の権利義務)
 第766条(第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定により定められた子の監護をすべき者は、第820条から第823条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。この場合において、子の監護をすべき者は、単独で、子の監護及び教育、居所の指定及び変更並びに営業の許可、その許可の取消し及びその制限をすることができる。
2 前項の場合には、親権を行う者(子の監護をすべき者を除く。)は、子の監護をすべき者が同項後段の規定による行為をすることを妨げてはならない。

第833条(子に代わる親権の行使)
 父又は母が成年に達しない子であるときは、当該子について親権を行う者が当該子
に代わって親権を行う。

第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者又は子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監 護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前2項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前3項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

第766条の2 (審判による父母以外の親族と子との交流の定め)
 家庭裁判所は、前条第2項又は第3項の場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときは、同条第1項に規定する子の監護について必要な事項として父母以外の親族と子との交流を実施する旨を定めることができる。
2 前項の定めについての前条第二項又は第三項の規定による審判の請求は、次に掲げる者(第二号に掲げる者にあっては、その者と子との交流についての定めをするため他に適当な方法がないときに限る。)がすることができる。
 一 父母
 二 父母以外の子の親族(子の直系尊属及び兄弟姉妹以外の者にあっては、過去に当該子を監護していた者に限る。)

第766条の3(子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例)
 父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合には、父母の一方であって離婚の時から引き続きその子の監護を主として行うものは、他の一方に対し、離婚の日から、次に掲げる日のいずれか早い日までの間、毎月末に、その子の監護に要する費用の分担として、父母の扶養を受けるべき子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額の支払を請求することができる。ただし、当該他の一方は、支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部の支払を拒むことができる。
 一 父母がその協議により子の監護に要する費用の分担についての定めをした日
 二 子の監護に要する費用の分担についての審判が確定した日
 三 子が成年に達した日
2 離婚の日の属する月又は前項各号に掲げる日のいずれか早い日の属する月における同項の額は、法務省令で定めるところにより日割りで計算する。
3 家庭裁判所は、第766条第2項又は第3項の規定により子の監護に要する費用の分担についての定めをし又はその定めを変更する場合には、第1項の規定による債務を負う他の一方の支払能力を考慮して、当該債務の全部若しくは一部の免除又は支払の猶予その他相当な処分を命ずることができる。

 
以上:3,518文字
ホーム > 男女問題 > その他男女問題 > 「令和6年5月17日民…」←リンクはこちらでお願いします