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ご訪問有り難うございます。当HPは、私の備忘録を兼ねたブログ形式で「桐と自己満足」をキーワードに各種データを上記14の大分類>中分類>テーマ>の三層構造に分類整理して私の人生データベースを構築していくものです。
なお、出典を明示頂ければ、全データの転載もご自由で、転載の連絡も無用です。しかし、データ内容は独断と偏見に満ちており、正確性は担保致しません。データは、決して鵜呑みにすることなく、あくまで参考として利用されるよう、予め、お断り申し上げます。
また、恐縮ですが、データに関するご照会は、全て投稿フォームでお願い致します。電話・FAXによるご照会には、原則として、ご回答致しかねますのでご了承お願い申し上げます。
     

R 3- 4-18(日):妻名義預金に半分について共有財産と認めた家裁判決紹介
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○離婚事件の財産分与について購入代金一部が父からの贈与金であった場合の共有不動産・特有不動産の認定割合等が問題になっている事案を扱い、参考判例を探しています。父親所有不動産に居住し、その賃料相当額を積み立てした預金について、共有財産・特有財産のいずれかが争いになり、半分を共有財産と認めた令和2年3月30日東京家裁判決(ウエストロー・ジャパン)財産分与関連部分を紹介します。

○離婚にあたり、被告夫が原告妻に対し、財産分与として約300万円の支払を求めましたが、判決は請求の1割相当額の300万円しか認めませんでした。夫が妻に財産分与を求めるのは珍しい事案です。3000万円もの財産分与請求根拠は、判決文では不明です。

○原告妻の父所有不動産に居住し、その賃料相当額を積立した預金について、被告夫は自分の給与を積立金に充てたのだから全額共有財産として財産分与対象になると主張し、原告妻は賃料積立金は父親からの自分への贈与金であり全額特有財産と主張しました。この預金について、判決は、夫婦共有財産たる側面と,原告の父の援助を受けた原告の特有財産たる側面を併せ持つというべきところ,以上認定の諸事情を勘案すると,上記預金のうち,5割は財産分与の対象となる夫婦共有財産であり,5割はその対象とならない原告の特有財産と認めるのが相当であるとしました。

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主   文
1 原告と被告とを離婚する。
2 原告と被告との間の長女A(平成18年○月○日生)及び長男B(平成19年○月○日生)の親権者をいずれも原告と定める。
3 被告は,原告に対し,前項の子らの養育費として,本判決確定の日の翌日から同人らがそれぞれ満20歳に達する日の属する月の末日まで,毎月末日限り,子一人につき1か月7万円の割合による金員を支払え。
4 原告は,被告に対し,300万円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 原告と被告との間の別紙1年金分割のための情報通知書記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を0.5と定める。
6 被告のその余の反訴請求を棄却する。
7 訴訟費用は,本訴反訴を通じてこれを3分し,その1を原告の負担とし,その2を被告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求等

1 本訴
(1) 主文第1,2,5項と同じ
(2) 被告は,原告に対し,本判決確定の日から,長女及び長男がそれぞれ満20歳に達する日の属する月まで,毎月末日限り,1か月当たり14万円を支払え。

2 反訴
(1) 主文第1項と同じ
(2) 原告は,被告に対し,500万円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3) 原告は,被告に対し,財産分与として,3036万6548円及びこれに対する本判決確定の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は,妻である原告が夫である被告に対し,被告の性行為の強要,暴言,暴行等により婚姻関係が破綻したとして,子らの親権者を原告と指定した上での民法770条1項5号に基づく離婚を求める本訴を提起するとともに,養育費の支払及び年金分割を求める附帯処分を申し立てたのに対し,被告が原告に対し,原告の性行為の拒否,被告の自尊心を傷つける言動により婚姻関係が破綻したとして,民法770条1項5号に基づく離婚並びに慰謝料500万円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める反訴を提起するとともに,財産分与として3036万6548円及びこれに対する本判決確定の日から支払済みまで前同様の遅延損害金の支払を求める附帯処分を申し立てた事案である。

         (中略)

(3) 争点③(財産分与及び年金分割)について
(被告の主張)
ア 別紙2「婚姻関係財産一覧表」(以下「本件一覧表」という。)の「被告主張額」及び「被告主張特記」欄記載のとおりである。
 財産分与の基準時は別居時とすべきであり,財産分与の割合は,原告が任意の財産開示に応じず,調査嘱託にも非協力的であり,未開示の財産の存在が推測されることなどから,原告4割,被告6割とするのが相当である。

イ 年金分割についての請求すべき按分割合は争う。

(原告の主張)
ア 別居時である平成28年10月5日時点の分与対象財産は,本件一覧表の「原告主張額」及び「原告主張特記」欄記載のとおりであるが(詳細については,「第3 当裁判所の判断」の中で説示する。),別居以降,原告が受け取っている月額10万円の婚姻費用は,従来の生活を維持するには不十分なものであり,原告は別居時の資産を取り崩して生活せざるを得ない状況にあることなどからすると,財産分与の基準時を別居時とすることは公平ではないから,離婚成立時を基準時とすべきである。

イ 年金分割についての請求すべき按分割合は,0.5が相当である。

第3 当裁判所の判断
1 認定事実


         (中略)

(3) 争点③(財産分与及び年金分割)について
ア 財産分与について
(ア) 財産分与は,夫婦が婚姻生活中に形成した財産を対象としてこれを清算するものであり,対象財産の基準時は,原則として,別居等によって経済的な共同関係が消滅した時点とすべきであるところ,以上認定の諸事情に照らすと,本件における対象財産の基準時は,被告が別居をした平成28年10月5日とするのが相当であると認められ,原告指摘の別居時の資産の取崩しについては,これをどのように取り扱うか別途考慮すれば足りるというべきである。

(イ) 平成28年10月5日その時点における分与対象財産の存否及びその評価額については,以下のとおり補足するほかは,本件一覧表の裁判所認定額欄及び認定根拠欄記載のとおりである(以下,財産一覧表記載の資産・負債については,その名義と財産一覧表記載の番号によって「原告1-1」のようにいう。)。

(ウ) 原告1-1,1-2の預金について
 原告は,原告1-1,1-2の預金について,原告の父の所有する不動産に居住する対価として同人に毎月7万円を支払うべきところ,同人の指示により,同人が通帳や銀行印を管理する上記預金に原告が入金していたものであるから,原告の父の財産であると主張するところ,確かに,原告の父は,原告及び被告と同居するため,1000万円程度の費用をかけて自宅のリフォームをしているのであるから(甲5,被告本人[21頁]),原告及び被告に一定程度の負担を求めても不合理ではなく,また,原告及び被告が婚姻した直後の平成16年11月に新規開設された原告1-2の預金には同月から平成26年10月まで,平成17年10月に新規開設されながら平成26年10月までに残高が11円となっていた原告1-1の預金には同年12月から平成28年8月まで,ほぼ毎月7万円ずつが入金されている(乙3・No.1,2)。

しかし,原告の父が真に原告及び被告から原告の父の所有する不動産に居住する対価の支払を受けるつもりであったのであれば,わざわざ原告名義の預金を新規開設させてそこに対価を入金させるのではなく,現金ないし原告の父の預金への振込等によってその支払を受けたのではないかと考えられ,さらに,上記預金の通帳の表紙に,それぞれ,手書きで「(家賃口)」と記載されているほか,原告1-1の預金の通帳の表紙には「(B)」と,原告1-2の預金の通帳の表紙には「(A)」と,原告及び被告の子らの名が記載されていること(乙3・No.1,2)や,上記の毎月7万円の入金が原告1-2の預金から原告1-1の預金に切り替わった理由の説明がないことに照らし,原告の父は,本来は,原告及び被告から原告の父の所有するリフォーム済みの不動産に居住する対価の支払を受けてもおかしくないところを,原告に対し,原告が被告と築く家庭の将来の糧とするため,対価相当額を原告名義の預金に貯蓄しておくことを求め,原告は,原告の父の求めに応じて原告1-2の預金を新規開設し,ここに被告の収入を原資として毎月7万円を入金し,長女の出生後は,長女のための貯蓄を意識して同様の入金を続け,原告1-2の預金の残高が600万円を超えた平成26年12月以降は(乙3・No.2),長男のための貯蓄を意識して原告1-1の預金に同様の入金をしたのではないかと推察される。

 いずれにしても,上記預金が原告名義のものであり,上記預金に対する入金の原資が被告の収入であるとすると,仮に,上記預金の通帳や銀行印を原告の父が管理していたとしても,それだけでは,上記預金の預金者を原告の父とみることはできず,これが同人の財産であるとする原告の主張をそのまま採用することはできない。

 もっとも,上記の推察を前提とすると,上記預金は,直接的には被告の収入によって形成されたものであるものの,間接的には原告の父が原告及び被告から原告の父の不動産に居住する対価の支払を受けずに済ませたことによって形成されたとみることもでき,後者は,原告の父の原告に対する援助と評価するのが相当である。

 そうすると,上記預金は,夫婦共有財産たる側面と,原告の父の援助を受けた原告の特有財産たる側面を併せ持つというべきところ,以上認定の諸事情を勘案すると,上記預金のうち,5割は財産分与の対象となる夫婦共有財産であり,5割はその対象とならない原告の特有財産と認めるのが相当である。

(エ) 原告1-4の預金について
 原告1-4の三菱UFJ信託銀行の定期預金口座には,基準時において876万9460円の残高が認められるところ(調査嘱託の結果),そのうち260万8181円は,原告が婚姻時に既に同口座に有していた合計260万8181円の定期預金に由来するものである(甲55,乙3・No4)。

 また,原告は,婚姻から約1年2か月後である平成17年9月30日に464万円のワリコーを有していたことが認められ(弁論の全趣旨),これについては,婚姻から約1年2か月の間に,そのような多額の資産を形成したとは想定し難いことなどからすると,原告が婚姻前に既に購入していたもの又は原告の両親がその原資を支出したものであることが推定される。

そして,原告は,平成19年3月6日,当該ワリコーを解約して463万3653円を取得し(甲14),同月14日,そのうち400万円を原告1-5の三菱UFJ信託銀行の普通預金口座に入金し,同月29日に,原告1-5の口座から600万円を引き出し,同日原告1-4の口座に600万円の定期預金を作成したのであるから(甲55),ワリコーを解約して取得した金銭の一部である400万円が,原告1-4の口座の600万円の定期預金の原資となっているといえ,原告1-4の定期預金のうち,400万円は原告の特有財産であると認められるが,それ以外の200万円が原告又は被告の特有財産であることの裏付けはない(なお,被告は,原告1-9に婚姻後入金された300万円は被告の特有財産であり,そのうち200万円が原告1-4の定期預金の原資となっていると主張するが,そのことを認めるに足りる証拠もない。)。

 したがって,原告1-4の口座のうち,上記の260万8181円及び400万円の合計である660万8181円は原告の特有財産であるから,基準時の残高である876万9460円から,これを控除した残額である216万1279円が財産分与の対象財産であると認められる。

(オ) 原告が基準時後に被告名義の預金口座から取得した金銭について
 原告は,基準時以降通帳を被告に返却するまでに管理していた被告名義の預金から,9万5807円(被告1-7),180万0427円(被告1-9),27万9573円(被告1-11),13万6255円(被告1-12)の合計231万2062円を取得している(乙3No8,10,12,13,弁論の全趣旨)ことについて,これを子らの学費等として費消したなどと主張する。

 被告は,年間約848万円の給与所得があり(乙5の10),長女の私立中学校への進学希望について特段の反対をしていなかったのに(被告本人[18頁],月額10万円という,標準より低額な婚姻費用を支払うのみであったから(上記1(10)),原告が上記の各金銭を取得したのは,被告からの婚姻費用の支払が子らの学費等を賄うには不十分であることからやむを得ずしたものであり,その取得金額は必要最低限のものというべきであるから,原告が基準時以降に被告名義の預金から取得したこれらの金銭を,原告名義の資産として財産分与の対象とすることは相当ではない。

(カ) 分与額について
 原告名義の資産の合計は約2186万円,被告名義の資産の合計は約1587万円と認められるところ,夫婦の共有財産形成に対する原告と被告の寄与の割合を等しいものとみて(なお,被告は,分与割合を被告6割,原告4割とすべきと主張するところ,夫婦の財産形成に関する寄与度については,特段の事情のない限り双方の寄与度は等しいものと考えられ,本件において,夫婦の財産形成に関する寄与度を5対5としない特段の事情があるとは認められない。),原告名義の資産と被告名義の資産の合計額約3773万円の5割に当たる約1886万円から,基準時の被告名義の資産約1587万円を控除すると約299万円となるところ,本件に現れた一切の事情を総合考慮すると,原告から被告に対し,財産分与として,300万円の支払を命ずるのが相当と認められる(なお,財産分与に対する遅延損害金の起算日は,判決確定日の翌日からとするのが相当である。)。

イ 年金分割について
 年金分割についての請求すべき按分割合は,特段の事情がない限り,0.5と定めることが相当であるところ,本件において,上記特段の事情を認めるに足りる証拠は存在しない。

3 結論
 よって,主文のとおり判決する。
 東京家庭裁判所家事第6部  (裁判長裁判官 石橋俊一 裁判官 堂英洋 裁判官 山田将之)
 〈以下省略〉
以上:5,795文字
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R 3- 4-17(土):2021年04月16日発行第291号”弁護士のちはやふる”
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横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和3年4月16日発行第291号「弁護士のちはやふる」をお届けします。

○小倉百人一首の中にある在原業平作「ちはやふる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」と言う和歌は、大山先生が言うように「山を彩る紅葉が竜田川の川面に映り、唐紅のくくり染めのようである。このようなことは神代にも無かっただろう」といった意味とのことです。

○弁護士は法律のことは何でも知っていると勘違いして、多種多様なことを質問をするお客様もいます。時に全く考えたこともない質問を受けることもあり、そのようなとき法律専門家のくせに全然知らないと言うわけにも行かず、おそらくこうでしょうと推測の説明をすることもあります。

○事務所内相談でも自治体等の出張相談でも、常にネットと繋がるようにしていますので、判らない質問を受けた時は、お客様の前で直ぐにネット検索をします。大変便利な時代になりましたが、最近は、お客様もネット検索で予習してくる方も多く、その上でそれでも判らない難しい質問をしてきます。

○よく知らないのに知ったかぶりでいい加減なことを言うと見抜かれる可能性も高くなっており、知らないことは知らないとハッキリ言って、後日調べてシッカリ回答致しますと、言える弁護士になろうと思っています(^^;)。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士のちはやふる


アメリカに住んでいたとき、焼鳥屋さんによく行ってました。カウンターの隣に、米国人の二人連れが座ったんです。焼鳥の意味を聞かれた人が、得意げに説明し始めた。「YAKIというのはチキンのこと。TORIというのはスティックのこと。ヤキトリとは、sticked chickenのことだよ!」 知ったかぶりして適当に話すのは問題だなと思う一方、その説明を私も楽しく聞けたのです。

昔読んだ狂歌に、「世の中は 左様でござる ごもっとも 何とござるか しかと存ぜぬ」なんてありました。こんな風に回答しない人よりは、知ったかぶりでも説明する人はサービス精神旺盛なんでしょうね。

こういう知ったかぶりの話は、落語にもよくありますね。「ちはやふる」なんて有名です。百人一首にも入っている歌の意味を説明する話です。本当の意味は、「竜田川の流れに舞う紅葉がこんなにキレイなのは、神代の昔にもなかったな」というだけのものです。「ちはやふる 神代も聞かず 竜田川」というのが上の句です。ところが、歌の意味を聞かれたご隠居が、とんでもない話を作り上げて説明します。「竜田川という名前の相撲取りが、ちはや大夫という花魁に振られた。ちはやの妹の神代にとりなしを頼んだが聞いてくれない」というのが、上の句の意味なんだそうです。

なんか、本当の意味より面白く、分かり易いだけに可笑しいんですね。弁護士の仕事でも、こんな感じの知ったかぶり、よくあります。法律相談に来る人の中には、「弁護士に負けていられるか」と、色々と勉強してくる人も居ます。弁護士も教えて貰うこともまれにありますが、多くの場合ちょっとズレてます。ネットなど見ていても、素人の人が法律についてコメントしていることがよくあります。こういう回答は、なかなかもっともらしいんですが、間違ったものが沢山あります。

ネットの世界には、落語のご隠居みたいな人が結構いるみたいです。うっかりと信じてしまう人もいるのではと少し心配になります。とまあ、人の悪口みたいなこと言っていますけど、弁護士だって知ったかぶりで話すことはよくあります。依頼者と話していて、知らないテクニカルタームが出てきても、何となく分かった振りをして話を合わせちゃうのです。す、済みません。

もっとも、こういうときには後から頑張って調べます。落語のちはやふるに戻ります。ご隠居による、歌の下の句、「からくれないに 水くぐるとは」の解説です。相撲を引退した竜田川が豆腐屋になったところに、落ちぶれた、ちはや太夫がきて物乞いする。

しかし竜田川は、おからさえくれなかった。最後に、ちはや大夫は井戸に落ちて水くぐることになったということです。落語の落ちは、それなら歌の最後にある「とは」というのはどういう意味か質問されたご隠居が、苦し紛れに、「『とは』はちはや大夫の本名だ」と答えて終わります。知ったかぶりでも、こんなに凄い話になると、たとえ嘘でも楽しませてもらったという満足感があります。。。 

考えてみますと、確かに知ったかぶりで、間違った知識を人に話すのは褒められたことではないでしょう。
しかし、落語のご隠居も、せっかく聞いてきた人に精一杯教えて楽しんでもらおうという気持ちがあったはずです。
一方、弁護士が「ちはやふる」の説明をしたなら、正しいけどつまらない。歌の正確な説明をしたうえに、脚注なんか付けちゃって、ちはやふる」は「神代」の枕詞でありみたいに、退屈な学術的解説なんかしてしまいそうで心配です。弁護士が知ったかぶりで間違ったことを教えるなんてことは論外です。

しかし、知ったかぶりの解説に負けないように、サービス精神をもって、正しいけど面白い説明をできればと思うのです。

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◇ 弁護士より一言

娘が友達に、魔笛の「夜の女王のアリア」を面白おかしく歌ってあげたら大好評だったそうです。何の歌か聞かれて、「夜の女王アリア。女王アリアの歌だよ!」と説明したんですね。「聖母マリア」のノリです。友達は感心して、納得してくれたそうです。「ちはやふる」の「とは」と同じじゃないかと、我が娘ながら呆れました。もっとも、私も子供のころ、「G線上のアリア」は、人の名前だと思っていたのです。皆から「夜の女王アリアを歌って!」とリクエストされる娘は「今更、アリアは名前じゃないなんて言えないね!」と、そのまま押し通すことにしたそうです。。。
以上:2,502文字
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R 3- 4-16(金):”70歳の今もY字バランスが得意!”奇跡の肉体を形作る呼吸法紹介
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○由美かおる氏といえば、映画「同棲時代」で魅せた見事なプロポーションですが、1973年の映画ですから、令和3年2021年からは、50年近く前になります。その由美かおる氏、70歳でY字バランスを披露している由美かおる「70歳の今もY字バランスが得意! 奇跡の肉体を形作る呼吸法とは?」と言う記事を見つけました。

Y字バランスを披露!70代になっても驚きのしなやかさ(撮影:小林洋)(婦人公論.jp)
○呼吸法部分を紹介します。写真が表示されていないのが残念なところです。

◆由美かおるさんの習慣!足芯呼吸(天遊)のポイント

呼吸法のポイントを簡略化して紹介します
(1) 両足は肩幅の広さに開く。丹田(下腹部)に意識をおいてゆったりと立つ

(2) 口から息を吐きながら、手の甲が床につくまでゆっくりと上体を前に倒す。膝はゆるめて、意識を足の裏に下ろす

(3) 足芯(足裏)から呼吸を吸い上げるイメージで、鼻から息を吸いながら、上体を起こし、両手も上げていく

(4) 両手を頭の上まであげて、頭頂まで息を吸い上げる。息を軽く止めて、丹田におさめる

(5) 軽く息を止めたまま、両手を左右に大きく、肩の高さまで開く。足芯に向かって口から息を吐きながら、ゆっくりと両手を下ろしていく。(1)の最初の姿勢に戻る。(1)から(5)の動作を2分くらいで行う


○上記呼吸法について、記事では次のように説明されています。

テレビや舞台の仕事で寝る暇もないハードな時期が続いても、病気もせずに過ごしてきました。心身をしなやかに保てている理由のひとつは、35年ほど前から続けている西野流呼吸法が生活のベースにあることだと思っています。

この呼吸法は、西野バレエ団の主宰である西野皓三先生が創始されたもの。先生は、大阪市立大学医学部で医学を学んだ後、バレエの世界へ。そして合気道・中国拳法の師範になられました。これら西洋医学、バレエ、東洋の武道から新たなインスピレーションを得た呼吸法なのです。

《呼吸》という、樹木が根から水を吸い上げるイメージで行う呼吸が基本になっています。西野流呼吸法には、写真でご紹介している「天遊」の他にも、さまざまな動きがあります。

この呼吸法を実践すると、全身にエネルギーが巡り、細胞が活性化するのを感じますし、代謝が良くなって、食べても太らない身体になるのです。15歳からスリーサイズは変わらず、冷えや不眠の悩みもありません。何歳になっても、自分の足でしっかり立ち、歩くことは人間の基本ですし、さらに心の中にストレスをためないためにも、私にとってはこの呼吸法が欠かせない毎日の習慣なのです。
以上:1,082文字
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R 3- 4-15(木):家事事件手続法の基礎の基礎-審判等の裁判・不服申立等備忘録
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○「家事事件手続法の基礎の基礎-審判前の保全処分備忘録」の続きで、審判等の裁判についての備忘録です。
家事審判とは、家庭裁判所がする本案についての終局的な判断をする裁判で、民事訴訟手続の終局判決に相当

○審判の効力発生時期等
第74条(審判の告知及び効力の発生等)
 審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。
2 審判(申立てを却下する審判を除く。)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。
3 申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。
4 審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。
5 審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。

第75条(審判の執行力)
 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。

第76条(審判の方式及び審判書)
 審判は、審判書を作成してしなければならない。ただし、即時抗告をすることができない審判については、家事審判の申立書又は調書に主文を記載することをもって、審判書の作成に代えることができる。
2 審判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 主文
二 理由の要旨
三 当事者及び法定代理人
四 裁判所


夫婦の同居を命ずる審判には強制執行は認められない
子の引渡を命ずる審判については、意思能力の無い幼児については直接強制(民事執行法169条)を認める余地があるが一般的には間接強制(民執172条)の方法による
面会交流を命ずる審判については、給付が特定されていれば間接強制を認める

○審判の取消・変更
第78条(審判の取消し又は変更)
 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。
一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判
二 即時抗告をすることができる審判
2 審判が確定した日から5年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。
3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。
4 第一項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。

即時抗告ができる審判の是正は即時抗告のみによって行うべきであり、審判の変更・取消はできない

○審判に対する不服申立
第85条(即時抗告をすることができる審判)
 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。
2 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。

(即時抗告期間)
第86条 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、二週間の不変期間内にしなければならない。ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
2 即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。

第87条(即時抗告の提起の方式等)
 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。
2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当事者及び法定代理人
二 原審判の表示及びその審判に対して即時抗告をする旨
3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。
4 前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。
5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
6 第49条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。

第88条(抗告状の写しの送付等)
 審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。
2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。

第89条(陳述の聴取)
 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない。
2 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。


第93条により以下の規定を準用
第68条(陳述の聴取)
 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。
2 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。

第69条(審問の期日)
 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。


家事事件手続規則第55条(原審判の取消事由等を記載した書面)
 審判に対する即時抗告をする場合において、抗告状に原審判の取消し又は変更を求める事由の具体的な記載がないときは、抗告人は、即時抗告の提起後14日以内に、これらを記載した書面を原裁判所に提出しなければならない。
2 前条の規定は、前項の書面について準用する。

同第56条(抗告裁判所への事件送付)
 審判に対する即時抗告があった場合には、原裁判所は、抗告却下の審判をしたときを除き、遅滞なく、事件を抗告裁判所に送付しなければならない。
2 前項の規定による事件の送付は、原裁判所の裁判所書記官が、抗告裁判所の裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録を送付してしなければならない。


即時抗告審の裁判
第91条(抗告裁判所による裁判)
 抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。
2 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。ただし、第93条第三項において準用する民事訴訟法第307条又は第308条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。


○特別抗告-最高裁判所への不服申立
第94条(特別抗告をすることができる裁判等)
 家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。

第95条(原裁判の執行停止)
 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。
2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。
3 民事訴訟法第76条、第77条、第79条及び第80条の規定は、前項の担保について準用する。


特別抗告がなされても、原裁判の確定は遮断されず、この点は即時抗告の場合と異なる
以上:3,750文字
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R 3- 4-14(水):死亡退職金を受給者固有の権利とした高裁判決紹介
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○「死亡退職金を受給者固有の権利とした最高裁判決紹介」の続きでその原審昭和54年9月28日大阪高裁判決(判例時報951号70頁、判例タイムズ404号100頁)全文を紹介します。

○亡Aが死亡し、同人に相続人があることが明らかでないため成立した被控訴人相続財産法人が、亡Aが勤務していた控訴人に対して、控訴人退職規程にしたがった退職金は相続財産であるとして退職金相当の金員を請求し、これに対して控訴人が亡Aが死亡したことによる退職金は控訴人死亡退職金規程にしたがえば遺族固有の権利として取得すると主張しました。

○第一審昭和53年6月30日大阪地裁判決では、被控訴人の請求が認容されたためこれに対して控訴しました。大阪高裁判決は、控訴人の退職手当規程では死亡退職金の支給を受けるものについて、第一順位が内縁を含む配偶者であり、配偶者があるときは子は全く支給を受けないこと、直系血族間でも親等の近い父母が孫よりも先順位となることなど民法の規定する相続人の順位決定の原則とは著しく異なって定められていることからは、この規程は、もっぱら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とし、民法とは別の立場で受給権者を定めたもので、受給権者たる遺族は、上記規程の定めにより直接これを事故固有の権利として取得するとして、原判決中控訴人敗訴の部分を取消し、被控訴人の請求を棄却しました。

**********************************************

主   文
原判決中控訴人(附帯被控訴人)敗訴の部分を取消す。
被控訴人(附帯控訴人)の請求を棄却する。
被控訴人(附帯控訴人)の附帯控訴を棄却する。
訴訟費用は、第1、2審を通じ、補助参加によって生じた部分は補助参加人の、その余は被控訴人(附帯控訴人)の負担とする。

事   実
 控訴人(附帯被控訴人、以下単に控訴人という)は、主文第1、2項同旨及び「訴訟費用は、第1、2審を通じ被控訴人(附帯控訴人、以下単に被控訴人という)の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求め、附帯控訴について「原判決中被控訴人敗訴部分を取消す。(第一次請求)控訴人は被控訴人に対し金1027万1333円及びこれに対する昭和50年3月1日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。(第二次請求)控訴人は被控訴人に対し金829万0433円及びこれに対する昭和50年2月28日から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第1、2審を通じ控訴人の負担とする。」との判決を求め、控訴人は、主文第三項同旨の判決を求めた。
 当事者双方の事実上の主張及び証拠関係は次のとおり付加、訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

一 主張
1 (被控訴人)
 原判決四枚目表1行目の「第一次請求原因」とあるのを「第二次請求原因」と、同8枚目裏2行目の「第二次請求原因」とあるのを「第一次請求原因」と、同8枚目裏6行目及び同9枚目表3行目の各「第一次請求原因」とあるのを各「第二次請求原因」とそれぞれ訂正し、同9枚目表5行目に続けて「そして、Aについては、本俸月額の100分の500の割合により後記退職手当の増額(加算)がなされる場合に該当する。」と付加する。

2(控訴人)
(一)原判決12枚目表末行の「第一次請求原因」とあるのを「第二次請求原因」と、同裏4行目の「第二次請求原因」とあるのを「第一次請求原因」と、同4行目の「1は認める」の次に「(但し退職手当の増額(加算)に関する主張を除く)」と付加し、同14枚目表4行目に「前掲」とあるのを「前号」とそれぞれ訂正する。

(二)本件の死亡退職金は相続財産ではない。
 国家公務員等退職手当法に定める死亡退職金は、一般に受給権者の固有の権利で相続財産ではないと解されているが,控訴人の職員に関する死亡退職金についても同様に解すべきである。すなわち、控訴人は、通産省の業務のうち貿易振興に関する事業を総合的かつ効果的に実施することを目的とする特殊法人であって、その業務はすべて通産大臣の認可ないし監督のもとにおかれ、控訴人の資本は全額政府の出資にかゝり、事業予算、給与の大部分が政府資金によって賄われることに鑑み、職員の給与の制定についても通産大臣が大蔵大臣と協議のうえ認可することになっており、職員の給与のうち死亡退職金に関する内容は国家公務員等退職手当法と同一の支給基準となっている。以上のような経緯からみて控訴人の職員の死亡退職金については国家公務員と同様に考えるべきである。
 また本件の弔慰金も相続財産ではない。弔慰金は死者の葬儀費用の一部と遺族に対し金銭的な形で哀悼の意を表し遺族を慰藉するためのもので、その交付額も社会通念上相当の範囲内のものであるから、これは遺族に直接贈与するもので、死者の相続財産となることはない。

3(被控訴人)
 控訴人の前記2(二)の主張は争う。

二 証拠《略》

理   由
一 被控訴人の第一次請求について

1 被控訴人は、Aが昭和50年2月28日死亡し、その相続人のあることが明かでないため成立した亡A相続財産法人であること、控訴人は昭和33年7月25日日本貿易振興会法により昭和26年2月28日設立の財団法人海外貿易振興会の一切の権利、義務を承継して設立された特殊法人であること、Aは昭和26年5月18日から右財団法人海外貿易振興会及び控訴人に雇われ、その従業員として控訴人の従たる事務所である大阪本部に勤務しており、右勤務中に死亡したが、死亡当時における本俸は3等級15号(月額22万0100円)で、勤続年数は23年10ケ月であったこと、控訴人には内部規程として「職員の退職手当に関する規程」(以下、本件規程と略称する)がありその内容が被控訴人主張のとおりであること、はいずれも当事者間に争いがない。

2 被控訴人は、Aの前示本俸、勤続年数を基準として本件規程により算出される死亡退職金及び弔慰金が同人の相続財産に属することを理由にその支払を求めるので検討する。
 およそ企業がその従業員や職員が死亡した場合に支払う死亡退職金の法的性質は、相続財産に属するか受給権者の固有の権利であり相続財産でないかは一律に決することはできないのであって、当該企業の労働協約、就業規則あるいは本件におけるような規程の内容からこれを考えるべきである。

本件につきこれをみるに、《証拠略》によれば、控訴人の職員に関する死亡退職金の支給につき、被控訴人の主張する規定のほか、控訴人の主張するとおりの規定の存することが認められ、本件規程第2条で「この規程の規定による退職手当は、本会の職員で常時勤務に服することを要するものが退職した場合に、その者(死亡による退職の場合には、その遺族)に支給する。」と規定し、本件規程第8条で、右第2条の遺族の範囲及び順位を規定しているが、その要旨は、(1)第2条に規定する遺族の範囲は、
(一)配偶者(内縁の配偶者を含む)、
(二)子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で職員の死亡当時主としてその収入によって生計を維持していたもの、
(三)右(二)に掲げる者の外、職員の死亡当時主としてその収入によって生計を維持していた親族、
(四)子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で(二)に該当しないもの、
とし、(2)前項に掲げる者が退職手当を受ける順位は、前項各号の順位により、第(二)号及び第(四)号に掲げる者のうちにあっては、同号に掲げる順位による。

この場合において、父母については養父母を先にし実父母を後にし、祖父母については養父母の父母を先にし実父母の父母を後にし、父母の養父母を先にし父母の実父母を後にする、(3)退職手当の支給を受けるべき同順位の者が2人以上ある場合には、その人数によって等分して支給する、というものである。

以上のように本件規程によると、死亡退職金の支給を受ける者の第一順位は配偶者であって、配偶者がいれば子はまったく支給を受けないし、配偶者には内縁を含むこと、直系血族間でも親等の近い父母が孫より先順位となり、嫡出子と非嫡出子が平等に扱われ、父母や養父母については養方が実方に優先すること、死亡した者の収入によって生計を維持していたかどうかによって順位に著るしい差異を生ずること、受給権者が給付を受けずに死亡した場合には、受給権者の相続人でなく、同順位または次順位の者が給付を受け、給付を受ける権利は相続の対象とされていないことなどからみると、右規程の中心的機能は遺族自体の扶養にあって遺族が右規程に基づき直接死亡退職金を受給できるとみられるので、本件規程による死亡退職金は相続財産に属せず、受給権者である遺族の固有の権利と解するのが相当である。

 また、本件規程による弔慰金については、その受給権者を特に定めていないが、本件規程により算出される弔慰金の額からみて喪主の主宰する死者の葬式費用ないし遺族に対する金銭をもってする慰藉のための贈与と解するのが相当であるから、その性質からみて相続財産に該当しないことは明らかである。

 以上のとおりであるから、本件規程による死亡退職金及び弔慰金が亡Aの相続財産であることを前提とする被控訴人の第一次請求は理由がない。

二 被控訴人の第二次請求について
 被控訴人は、Aが昭和50年2月27日控訴人を退職したと主張するけれども、右主張事実を認めるに足る証拠はないので、同人の生前退職を前提とする第二次請求はその余の点を判断するまでもなく理由がない。

三 よって、以上と結論を異にする原判決を取消し、被控訴人の請求を棄却し、被控訴人の附帯控訴を棄却し、民訴法89条、96条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 首藤武兵 裁判官 丹宗朝子 西田美昭)

以上:4,036文字
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R 3- 4-13(火):死亡退職金を受給者固有の権利とした最高裁判決紹介
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○「支給規程なき死亡退職金を妻個人に属するとした最高裁判決紹介」の続きで、死亡退職金の受給権者ないし相続財産性については、死亡退職金の支給基準、受給権者の範囲、順序が法令や就業規則等で定められている場合について、受給権者の固有の権利とした昭和55年11月27日最高裁判決(民集34巻6号815頁、判タ434号169頁)を紹介します。

○亡Aが死亡し、同人に相続人があることが明らかでないため成立した上告人相続財産法人が、亡Aが勤務していた被上告人に対して、被上告人退職規程にしたがった退職金は相続財産であるとして退職金相当の金員を請求し、これに対して被上告人が亡Aが死亡したことによる退職金は被上告人死亡退職金規程にしたがえば遺族固有の権利として取得すると主張しました。

○原判決が上告人の請求を棄却したため、これに対して上告しましたが、最高裁は被上告人の退職手当規程では死亡退職金の支給を受けるものについて、第一順位が内縁を含む配偶者であり、配偶者があるときは子は全く支給を受けないこと、直系血族間でも親等の近い父母が孫よりも先順位となることなど民法の規定する相続人の順位決定の原則とは著しく異なって定められていることからは、上記規程は、もっぱら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とし、民法とは別の立場で受給権者を定めたもので、受給権者たる遺族は、上記規程の定めにより直接これを事故固有の権利として取得すると解するのが相当であるとして上告を棄却しました。

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主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理   由
 上告人及び上告補助参加人代理人○○○○の各上告理由について
 原審の適法に確定したところによれば、被上告人の「職員の退職手当に関する規程」2条・8条は被上告人の職員に関する死亡退職金の支給、受給権者の範囲及び順位を定めているのであるが、右規程によると、死亡退職金の支給を受ける者の第一順位は内縁の配偶者を含む配偶者であつて、配偶者があるときは子は全く支給を受けないこと、直系血族間でも親等の近い父母が孫より先順位となり、嫡出子と非嫡出子が平等に扱われ、父母や養父母については養方が実方に優先すること、死亡した者の収入によつて生計を維持していたか否かにより順位に差異を生ずることなど、受給権者の範囲及び順位につき民法の規定する相続人の順位決定の原則とは著しく異なつた定め方がされているというのであり、これによつてみれば、右規程は、専ら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とし、民法とは別の立場で受給権者を定めたもので、受給権者たる遺族は、相続人としてではなく、右規程の定めにより直接これを自己固有の権利として取得するものと解するのが相当であり、そうすると、右死亡退職金の受給権は相続財産に属さず、受給権者である遺族が存在しない場合に相続財産として他の相続人による相続の対象となるものではないというべきである。これと同趣旨の原審の判断は正当として是認すべきであり、原判決に所論の違法はない。論旨は、いずれも採用することができない。
 よつて、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 谷口正孝 裁判官 団藤重光 裁判官 藤崎万里 裁判官 本山亨 裁判官 中村治朗)

上告人の上告理由
第一点 原判決は「職員の退職手当に関する規程」(以下本件規程という。)の解釈を誤つた法令違背がある。
一,上告人代表者相続財産管理人(以下上告人という。)が、本訴を提起したのは、退職金(又は退職手当)が賃金の後払的性格をも持つと考えるので、本件規程第8に規定する遺族が存在しない以上支給先がないのであるから支払う必要がないとの考えに疑問を持つたからである。

二 第一審判決は、死亡退職金は本来的には相続財産を構成すべきものと解し、その従業員や職員が企業との労働協約、就業規則又は本件のような規程により死亡退職金の受給権者が指定されているときはその人に支給するが、受給権者も死亡職員の相続人も存在しないときは、本来に戻つて相続財産を構成するものと解している。受給権者の存在するときはその人に、受給権者不存在且つ相続人不存在のときは相続財産法人に支給するとする第一審判決の考え方は、最も、死亡職員の意思に沿うものと考えられるからだろうと思料する。
(尤も、受給権者が不存在で相続人の存在するときー別表A部分の人々ーについて、第一審判決がどう考えているのか明らかでないが、支給すべきであるとする趣旨であろう。)
文理的も、本件規程第二条の規定を、生前退職の場合は「その者」に支給し、死亡退職の場合には第8条に規定する遺族が存在する場合に「その遺族」に支給すると解することができる。

三、原判決(第二審判決)は、相続財産か受給権者の固有の権利かどちらか二者択一する考え方であつて、死亡遺族の意思に合わないばかりか不当に企業(被上告人)を利する結果となつて合理的でないと思う。
原判決は本件規程第二条、第8条の規定を分析、整理して解釈し、本件規程の中心的機能は遺族自体の扶養にあり、従つて遺族が右規程によつて直接死亡退職金を受給できるとみられるから、遺族の固有の権利であり、従つて、死亡退職金は相続財産ではないと結論づけている。
しかし、
(一)『笑つている相続人』の存在することもあるが、相続も有限家族における生活保障の機能即ち扶養の機能をも有すること

(二)本件規程第8条の四号に規定されている受給権者(子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹)には「主としてその収入によつて生計を維持していた者」という要件が欠けており、
(なお、同条一号の配偶者についても右要件が欠けているが、配偶者の場合は当然右要件が擬制されていると思われる。)順位等で相続法にいう法定相続人とは異なるものの、遺族自体の扶養ということが貫徹されていないこと

(三)又、遺族の固有の権利だから相続財産ではないと直線的に結論づけずに、遺族の存在するときはその固有の権利であるが、存在しないときは相続財産を構成し、別表のA部分の人々が存在するときはその人に、不存在のときは相続財産法人に帰属すると解することもできること
から考えると原判決の不当は明らかである。

四、弔慰金については、本件規程の規定の位置から、退職手当の増額又は減額の一事由と考えるべきで遺族の存在するときは右規程第8条に規定により支給すべきものと考える。(被上告人の支給の実際もそのようになされている。松井純の証言第17項。)
(別表)

上告補助参加人代理人○○○○の上告理由
第一、原判決は、判決に影響を及ぼすこと明らかな法令の解釈の違背、理由不備の違法がある。
一、原判決は要するに、退職手当規程の中心的機能は、遺族自体の扶養にあつて、遺族が右規程に基づき直接死亡退職金を受給できるとみられるから、右規程による死亡退職金は相続財産に属せず、遺族の固有の権利と解するのが相当であるというものであるが、これは以下に述べるとおり第一に死亡退職金自体の持つ法的解釈を誤まつたものであり、第二に扶養と相続とは両立し得るものであるにもかかわらず、両立し得ないという趣旨の誤まつた解釈をしているものであり、かつその理由は不備で右違背は判決に影響を及ぼすこと明らかである。

(一)退職金の法的性質については、見解の分れるところであるが、賃金の後払的性格を有するものであることは否定できないと思われる。しかしてこの賃金の後払的性格は、労働者の死亡の有無によつて左右されるものではない。
このように労働者の死亡の有無にかかわりなく退職金は賃金の後払的性質を有するものであるから、死亡退職による場合も、その労働者の財産として一旦は、同人に帰属する性質のものである。したがつて死亡退職金は相続財産を構成するものである。

(二)しかして、この理は、本件のように退職手当規程により順位の定められた場合といえども、この偶然的規程によつて、本来の右相続財産性が消滅し去つてしまうものではない。
死亡退職金は、本来、相続財産となるべき筋のものであるが、相続が法制としておかれている理由の一つは将に遺族の生活保持(扶養)が適切に行なわれるために存するところ、現実の運用において民法第906条の適用をもつてしても必ずしも適切妥当に機能していない実状にかんがみ、よりスムースな保障的機能を図るため予め、退職手当規程がおかれているものである。したがつて本件退職手当規程は、相続法とは、次元を異にするものではなく、相続法理を前提として存在するものである。この規程をみるに、受給権者は、内縁を除き全て法定相続の相続資格を有するものに限定していること、内縁については、社会保障法や借家法等をみても法定相続的扱いをするに至つていること、しかしてそのうえで前述のとおり相続の根拠である扶養を適正妥当なものとしようとしていること等、全体的に観察すれば、相続法理の中にあることは明らかである。

(三)よつて、右規程により受給権者がなくなつたときは、本来の相続に服するものである。
以上:3,771文字
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R 3- 4-12(月):気仙沼の家族バンド「ハイブリッジーズ」”勇み船”紹介
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○気仙沼小中学校・気仙沼高校同級生から気仙沼の家族バンド「ハイブリッジーズ」のオリジナル曲「勇み船」を紹介され、早速、YouTube動画で鑑賞しました。どこか懐かしさを感じる演歌調前奏と共に懐かしい気仙沼の光景が大変綺麗な映像で出てきました。ドローン空撮による気仙沼の絶景です。令和3年4月12日午前4時現在まだ試聴回数は573回ですが、ヒットして欲しいものです。

○私の感想も、「ゆう猫らん」さんの感想「気仙沼で僕は産まれて父親が船に乗ってたので色々いろんな情景が蘇って来ました。心に染みる素晴らしい曲です。」と全く同感です。

勇み船/ハイブリッジーズ 気仙沼の家族バンド「ハイブリッジーズ」のオリジナル曲


以上:300文字
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R 3- 4-11(日):映画”バリー・シール アメリカをはめた男”を観て-少々ガッカリ
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○令和3年4月10日(土)はフラメンコギター合奏練習の日でした。現在、パコ・デ・ルシアのペサール・デ・トードを練習しています。パコの演奏は、以下のYouTube動画の通りで、速度は、♩(四分音符)=180以上で演奏しています。♩=180とは、四分音符が1秒間に3個です。速度標語ではPresto(プレスト)になります。

○ペサール・デ・トードは、この速さで、一小節全部十六分音符の箇所が2箇所あります。十六分音符は、四分音符4個分ですから、1秒間にその3倍の12個弾かなければなりません。パコは、この1秒間12個の音をいとも簡単に余裕を持って弾いています。

○私もこの箇所を繰り返し練習しているのですが、なかなか決まりません。パコは、スケールを1秒間に20個以上弾けると聞いていますので、1秒間に12個程度は余裕を持って弾ける速さです。しかし私は1秒間に12個は限界の速度です。いくら練習しても限界の速度では、ピタリと決まることがなかなかありません。限界の速度でシッカリ決めるには、兎に角、練習を繰り返すしかありません。

A pesar de todo. Paco de Lucía y Ramón de Algeciras


○練習後、いつものように映画鑑賞タイムですが、今回は、トム・クルーズ55歳時の主演映画「バリー・シール アメリカをはめた男」を鑑賞しました。予告編を観ると、以下のように如何にも面白そうなのですが、実際、本番の映画を鑑賞すると、ハラハラ・ドキドキ・ワクワクの映画三要素が殆ど感じられず、完全な消化不良で終わりました。



○トム・クルーズ氏の映画ディスクは5本以上持っており、過去に鑑賞したものは、初期のトップ・ガンを始め、全部がハラハラ・ドキドキ・ワクワクの連続で、スカッとするもの殆どでした。映画ユーザーレビューを見るとトム・クルーズ氏最低映画との評もありましたが、全く同感で、私が持っているトム・クルーズ氏の映画ディスクの中でも最低評価の映画です。トップ俳優のトム・クルーズ氏主演としては、もったいないの一言です。
以上:860文字
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R 3- 4-10(土):支給規程なき死亡退職金を相続財産にに属するとした地裁判決紹介
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○「支給規程なき死亡退職金を妻個人に属するとした高裁判決紹介」の続きで、その第一審昭和58年8月25日東京地裁判決(家庭裁判月報39巻10号81頁)全文を紹介します。

○一審地裁判決は、功労に対する報償の性質を兼有する(一部兼有することは当事者間に争いがない。)死亡退職金について相続税の申告において各相続人が相続分に応じて分割して退職金を取得した旨申告し,相当期間が経過しても修正申告していない(弁論の全趣旨によれば本件においては弁論終結時までに修正申告のなされた形跡はない。)場合には,遺族の代表として相続人の一人である被告が死亡退職金を支給されたものと解するのが相当であるとしました。

○しかし控訴審では、本件退職金は、Aに何ら退職金に関する規定がなかったという前判示の事情のもとでは、特段の事情のない限り、亡Bの相続財産として相続人の代表者としての控訴人に支給決定がされたのではなく、字義どおり相続という立場を離れて、亡Bの配偶者であった控訴人個人に対して支給されたものと認めるのが相当であるとして覆されました。


*********************************************

主   文
1 被告は原告Y1に対し金666万6666円,原告Y2に対し金666万6666円及びこれに対する昭和56年4月1日から支払ずみまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決は仮に執行することができる。

事   実
第一 当事者の求めた裁判

一 請求の趣旨
1 主文同旨
2 仮執行宣言
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。

第二 当事者の主張
一 請求原因

1(当事者)
 原告Y1(昭和7年2月8日生)は亡福田B(明治34年3月21日生,昭和55年5月26日死亡)と亡福田カル(昭和8年10月27日死亡)との間の長男であり,原告Y2(昭和17年11月3日生)は亡Bと亡福田久子(昭和28年2月2日死亡)との間の二女であり,被告Xは亡Bと昭和30年3月24日婚姻した妻であり,いずれも亡Bの相続人である。原告ら及び被告は,亡Bの遺産につき遺産分割の調停申立事件(東京家裁昭和56年(家イ)第159号事件)において係争中である。

2(亡Bによる財団法人A創立とその経緯)
(1)亡Bは昭和6年以降その自宅において福田写真館を営むかたわら,昭和25年ころ「○○○○診療所」を開設し,昭和34年1月X線技師養成を目的とする「○○○○エツクス線技師養成所」を設立し,右養成所長として自らX線技師の養成を行うに至つた。

(2)その後,亡Bは昭和42年2月,同人の全額出資によつて結核,成人病等の予防事業などを目的とする財団法人Aを設立し,その理事長に就任するとともに,「○○○○エツクス線技師養成所」を右財団法人の経営に移管した。右「○○○○エツクス線技師養成所」はその後,「○○○○放射線技師養成所」,「○○○○○○学院」,「○○○○○○専門学校」と改称され,財団法人Aにおけるほとんど唯一の事業となつている。

3(財団法人Aからの死亡退職金の支給)
(1)財団法人Aは,創設者であり現職の理事長であつた亡Bの死亡退職金として,昭和55年11月15日までに金2000万円を支給する旨決定し,遅くとも昭和56年3月31日までに,亡Bの相続人の一人である被告に対し,遺族の代表として右死亡退職金2000万円を支払つた。

(2)ところで,財団法人Aでは,昭和42年2月の創立以来退職金支給規程あるいは死亡退職功労金支給規程は存在せず,また理事などの役員に対する退職金支給の先例も皆無であつたところ,亡Bの死亡退職につき,同人が全額出資によつて設立しかつ理事長として同法人の発展に尽してきた功労に報いるため金2000万円の死亡退職金を支給するに至つたのである。

(3)従つて,財団法人Aからの右死亡退職金2000万円は,亡Bの遺族たる原告両名及び被告ら3名の固有の共有財産とみるべきであり,共有者間において平等に分割されるべきである。このことは,昭和56年1月30日,財団法人Aから原告両名に交付された「退職所得の源泉徴収票(昭和55年分)」によれば,支払を受ける者として「理事長福田B相続人X他2名」と記載され,同法人が亡Bの遺族たる原被告ら3名に対し共有財産として一括支払つたことが明らかである。

(4)しかるに,被告は財団法人Aから右金2000万円の死亡退職金を遺族代表として受領しながら,原告らの分割請求にもかかわらず,その分割による支払をしない。

4(むすび)
 よつて,原告両名は被告に対し,亡Bの死亡退職金として被告が遺族代表として受領保管中の金2000万円につき,各666万6666円及びこれに対する被告が受領した日の後である昭和56年4月1日から支払ずみまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二 請求原因に対する認否及び被告の主張
1 請求原因1の事実は認める。

2 同2の(1)のうち,○○○○診療所の「開設者」が亡Bであることは否認し,その余の事実は認める。
 同2の(2)のうち,財団法人Aが亡Bの「全額出資によつて」設立されたこと及び○○○○○○専門学校が同Aの「唯一の事業となつている」ことは争い,その余の事実は認める。

3 同3の(1)のうち財団法人Aが亡Bの死亡退職金として金2000万円を被告に支払つたことは認めるが,それを「遺族の代表として」被告に支払つたことは否認し,その余は争う。
 同3の(2)のうち,亡Bの死亡時に財団法人Aには退職金支給規程あるいは死亡退職功労金支給規程が存在しなかつたこと及び金2000万円が亡Bの財団法人Aに尽した功労に対する報償の性質を一部兼有するものであることは認めるが,その余は争う。
 同3の(8)及び(4)の事実はいずれも否認する。

4 財団法人Aは,昭和55年12月6日,創立者・理事長であつた亡Bの死亡にともなう退職金,功労金及び特別弔慰金等として金2000万円を被告に支給する旨決定し,昭和56年3月16日これを被告に支払つた。当時死亡退職,功労金及び特別弔慰金等支給規定を有しなかつたので,調査,検討の結果,公務員及び企業体の役員,従業員等に関する当該規定はいずれも法定の相続順位とは異なる受給権者の順位を定めており,かつ第1順位者は妻とされていること,死亡退職金は生活保障的性格を有し,亡Bと生計を共にしていた妻である被告に支給することが実質的にも妥当であり,また功労金・特別弔慰金についても同様の措置が妥当であること及び亡Bと原告らは長期間にわたつて絶縁状態にあつたこと等の諸事情を考慮して以上のとおり支給を決定したものである。従つて,右死亡退職,功労金及び特別弔慰金2000万円は被告が財団法人Aから支給された被告固有の財産である。

 かりにそうでないとすれば,右金員は亡Bの遺産に準ずるものとして遺産分割手続により同人の遺産と包括的にその帰属を決すべきものであり,被告は亡Bの遺産の形成,維持に対し特別の寄与をなした事実が存在し当該寄与は右死亡退職,功労金にも存在する。従つて,右死亡退職・功労金等は遺産分割における一般的原則のほか右特別寄与の評価に服すべきものであり,特別寄与分は亡Bの遺産及び右死亡退職・功労金等の2分の1以上に相当するものである。

第三 証拠〔略〕

理   由
一 請求原因1(当事者)の事実,同2(亡Bによる財団法人A創立とその経緯)の(1)(○○○○診療所の「開設者」が亡Bであることを除く),(2)(財団法人Aが亡Bの「全額出資」によつて設立されたこと及び○○○○○○専門学校が同Aの「唯一の事業となつている」ことを除く)の事実はいずれも当事者間に争いがない。

二 財団法人Aが亡Bの死亡退職金として金2000万円を被告に支払つたこと,亡Bの死亡時に財団法人Aには退職金支給規程あるいは死亡退職功労金及び特別弔慰金等支給規程が存在しなかつたことは当事者間に争いがない。
(1)原告は財団法人Aの支給決定のなされた日が昭和55年11月15日までと主張し,被告は同年12月6日であると主張するが,証人佐山正の証言及び同証言により真正に成立したものと認められる乙第1号証(理事会議事録)によれば昭和55年12月6日の理事会において支給決定されたものと認められる。もつとも右乙第1号証の記載によれば昭和55年10月4日開催の理事会において既に審議されていたこと,成立に争いのない甲第7号証,同第8号証及び証人本田彦蔵の証言によれば昭和55年11月8日ころ既に死亡退職金として金2000万円の支給が内定していたことが認められる。

(2)原告は退職金の支給された日が遅くとも昭和56年3月31日までと主張し,被告は昭和56年3月16日と主張するが,証人佐山正の証言及び同証言により真正に成立したものと認められる乙第2号証の1,2によれば昭和56年3月16日であることが認められる。

(3)本件の基本的な争点は誰に支給されたかという点である。被告は前記乙第1号証を根拠に東京都職員退職手当に関する条例,同施行規則等にならい,亡Bの配偶者である被告に支給されたものと主張し,これに副う乙第1号証及び証人佐山正の証言がある。これに対し原告らは亡Bの功労に対する報償としてその相続人の一人である被告に対し遺族の代表として支給されたものと主張し,これに副う成立に争いのない甲第3号証の3(退職所得の源泉徴収票特別徴収票),証人本田彦蔵の証言により真正に成立したものと認められる甲第6号証(相続税の申告書),公文書であるから真正に成立したものと推定される甲第9,同第10号証があるほか,前記乙第2号証の1,2及び証人佐山正の証言によれば、右退職金は「X相続口」に振込まれ,成立に争いのない甲第13号証によれば被告が「保管中」であることが認められる。

 以上のように当事者間に争いのない事実及び認定事実によれば,法人の役員が死亡時に退職金支給規程あるいは死亡退職,功労金及び特別弔慰金等規程が存在しない場合に法人の理事会において配偶者に死亡退職金を支給する旨の決定をしたとしても,功労に対する報償の性質を兼有する(一部兼有することは当事者間に争いがない。)死亡退職金について相続税の申告において各相続人が相続分に応じて分割して退職金を取得した旨申告し,相当期間が経過しても修正申告していない(弁論の全趣旨によれば本件においては弁論終結時までに修正申告のなされた形跡はない。)場合には,遺族の代表として相続人の一人である被告が死亡退職金を支給されたものと解するのが相当である。そのように解しないと相続税の負担の面においては優遇措置を受けながら(相続税法12条1項6号により200万円まで非課税とされている)死亡退職金は1人で取得するという不合理な結果を招来することになるからである。 

(4)被告は予備的に特別寄与分の主張をするが,死亡退職金は遺産(相続財産)ではなく,相続人の固有財産であるのみならず,寄与分の判断は家庭裁判所の専権である(民法904条の2,家事審判法9条参照)から当裁判所において判断すべき限りではない。

三 以上によれば,被告は遺族代表として保管中の退職金2000万円を原告らの共有持分に応じて分割すべく,原告らの本訴請求はいずれも理由があるからこれを認容し,訴訟費用の負担につき民事訴訟法89条,仮執行宣言につき同法196条を各適用して主文のとおり判決する。
以上:4,696文字
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R 3- 4- 9(金):支給規程なき死亡退職金を妻個人に属するとした高裁判決紹介
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○「支給規程なき死亡退職金を妻個人に属するとした最高裁判決紹介」の続きで、その原審昭和59年1月30日東京高裁判決(判時1106号71頁、家庭裁判月報39巻10号76頁)全文を紹介します。

○退職金等支給規程のない財団法人が死亡した理事長の妻を受給者として退職金を支給した場合につき、妻は相続人の代表者としてではなく妻個人の資格で支給を受けたものと認定したものですが、事案詳細が判ります。


**********************************************

主   文
原判決を取り消す。
被控訴人らの請求を棄却する。
訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人らの負担とする。

事   実
第一 当事者の申立

一 控訴人
主文同旨

二 被控訴人ら
控訴棄却

第二 当事者の主張
 当事者双方の主張は、次のとおり付加訂正するほかは、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。
一 控訴人
 原判決6枚目表7行目末尾と8行目冒頭の間に次のとおり加入する。
「、特に控訴人は、設立当初資力の不十分であった夫である亡Bの創立したAの事業資金に充てるため、自ら写真館を経営し、また乙山生活館において結婚記念写真業に従事し、これから得た収益を多額にわたり支出してAの施設・設備の拡充に努めたうえ、常時検診要員の世話を続け、他面、亡Bが晩年糖尿病等で療養を要する状態にあった時期を通じ献身的に看護に従事する等、物心両面において同人を強力に補佐し、これにより初めて同人のAにおける職務遂行が可能であったもので、これらの内助の功はAの理事等役職にある者及び友人知己の知悉していたことであったから、同人の控訴人に対する推定的意思ないし遺思としての特別贈与金の措置が必要視されること」

二被控訴人ら
原判決6枚目裏末行の前に次のとおり加える。
「財団法人Aの死亡退職金等支給決定に至るまでの配慮事項と控訴人の固有財産であるとの法律上の性質及び遺産分割手続に付すべしとの予備的主張をすべて争う。」

第三 証拠《略》

理   由
一 控訴人が亡甲野Bの妻、被控訴人Y1及び同Y2がその子であり、それぞれBの相続人の地位にあること、亡Bは、昭和55年5月26日死亡したが、その生前昭和42年2月に結核、成人病等の予防事業などを目的とする財団法人A(以下「A」という。)を設立しその理事長に就任したこと、Aは、その設立前に亡Bが所長となっていたエックス線技師の養成を目的とする「中央診療エックス線技師養成所」の移管を受け、その後2回の名称変更を経て右養成所は、亡Bの死亡時、「中央医療技術専門学校」と改称されていたが、その経営がAにおける主たる事業となっていたこと、亡Bが死亡した当時、Aには退職金支給規程ないし死亡功労金支給規程は存在しなかったが、Aは同人の死亡後同人に対する死亡退職金(以下「本件退職金」という。)として2000万円を支給する旨の決定をし、その後控訴人に対し右2000万円の支払いをしたことは、いずれも当事者間に争いがない。

そして、本件退職金の支給決定をした日は、《証拠略》によれば、右12月6日であるが、同年10月4日開催の理事会においてすでに同じ案件が審議の対象となっていたものであることが認められ、また、控訴人に対し本件退職金が支給された日は、《証拠略》によれば、昭和56年3月16日であることが認められる。

二 しかるところ、被控訴人らは、本件退職金を控訴人が受領したことにつき、右退職金は相続人全員に支給されたものであり、控訴人は相続人3名の代表として受領したものにすぎない、と主張するのに対し、控訴人は、控訴人自身に支給されたものである旨主張するので、右の点につき検討を進める。

1《証拠略》には、本件退職金は亡Bの配偶者であるX(控訴人)に対して支給する旨の決議をした、との記載があるから、本件退職金は、Aに何ら退職金に関する規定がなかったという前判示の事情のもとでは、特段の事情のない限り、亡Bの相続財産として相続人の代表者としての控訴人に支給決定がされたのではなく、字義どおり相続という立場を離れて、亡Bの配偶者であった控訴人個人に対して支給されたものと認めるのが相当である。したがって、以下右特段の事情の有無について検討する。

 この点につき、(1)《証拠略》によれば、本件退職金については、A委嘱の税理士本図専蔵により、また被控訴人らにより他の相続財産と共に相続人3名においてみなし相続をしたものとして相続税の課税処理がされていること、(2)《証拠略》によれば、本件退職金はその支払に当たり、控訴人名義の預金口座ではあるが、「X相続口」なる特別の口座に振り込まれていること、(3)《証拠略》によれば、控訴代理人は、被控訴人らが控訴人を相手方として申し立てた遺産分割調停事件(東京家裁昭和56年(家イ)第159号)につき相手方代理人として提出した昭和56年6月16日付準備書面において、Aから支払われた本件退職金は、現在控訴人において保管中である旨控訴人と被控訴人らの3名に支給されたものであることを自認するような陳述をしていることが認められる。

 しかしながら、(1)については、税理士ないし利害関係人による税務処理いかんによって直ちに本件退職金の性格が決定されるものでないことはいうまでもないところ、一般に、死亡退職金の法的性質については従来から争いがあって,これに関する見解として、亡Bの死亡による相続税の申告期限である昭和55年11月頃には、死亡退職金は相続財産に属するとの見解も有力であったのであり(この点に関し、支給の第一順位を内縁を含む配偶者と明定する退職手当に関する規定がある場合に、その受給権は相続財産に属さず、配偶者である妻固有の権利であるとの最高裁判決が言渡されたのは同年11月27日のことであり、当時最高裁がその見解をとることがいまだ周知されていなかったことは当裁判所に顕著である。)、《証拠略》に徴すれば、同人は、当事、税理士として基本的にかかる見解を前提とし、しかも、申告の当事はまだAにおける退職金支給の件は内定の段階にあって、常務理事のCから支給金額のみを知らされ、何人に支給されるもののであるかは確知しないまま、税務上の処理をし、その後も必ずしもAから右の点につき正確な告知を受けていなかったことが認められるから、本図税理士による税務上の処理いかんは、前記認定を覆えすに足りる特段の事情となりえず、また、被控訴人らが自ら相続ないしみなし相続を受けたものとして申告したことも事柄の性質上、特段の事情となしえないことは同断である。

次に、(3)については、《証拠略》によれば、右調停事件の相手方代理人である控訴代理人は、前記準備書面提出の翌月である昭和56年7月23日付準備書面をもって直ちに、本件退職金は控訴人個人に対して支給されたものである旨の主張をしているから、前記6月16日付準備書面に用いられた「保管中」なる文字を字義どおりに解するのは相当でない。

そしてまた、この事実と《証拠略》によれば、前記(2)のように、本件退職金が昭和56年3月16日にAによりX相続口に振り込まれたのも、当時すでに本件退職金とAから支払われるべき同会中央医療技術専門学校用地になっている土地の地代との帰すうが控訴人と被控訴人間で争いとなっていたところから、A及び控訴人において独断専行を避け、ひとまず右相続口なる口座に振り込みを受けたものと認めることができるのであるから、(3)の保管中なる文言も右処理の趣旨に添うものということができ、(2)、(3)の事実もまた前記特段の事情とするに足りず、更にまた、《証拠略》によれば、同人のした税務処理については、なお本件退職金が控訴人のみのみなし相続財産であるとの修正申告はされていないことが認められるが、本件退職金の帰すうにつき本件で係争中であることを考慮すれば、むしろ当然であって、これまた前記認定を覆えす特段の事情とはなりえないというべきである。そして他にも右特段の事情を認めるに足りる証拠はない。

2 のみならず、本件退職金が亡Bの生前におけるAに尽した功労に対する報償の性質を含むことは当事者間に争いがないが、《証拠略》によれば、Aの理事会において退職金支給の相手方を亡Bの配偶者である控訴人と決議したのは、控訴人が亡Bの生前同人のAの運営その他を物心両面にわたり支えた内助の功に報いるためであり、その形式として東京都職員退職手当に関する条例、同施行規則等において配偶者が第一順位とされていることに倣った結果であることが認められるから、Aの理事会の意思が控訴人個人に対して退職金を支給する趣旨であったことはむしろ明確であるといわなければならない。

三 以上の認定と判断によれば、被控訴人らが本件退職金2000万円につき、それが亡Bの相続財産であるとの主張に基づき、控訴人に対し共有財産の引渡し請求として各3分の1の金員とその遅延損害金の支払を求める本訴請求は、爾余の判断をするまでもなく理由のないことが明瞭である。してみれば、原判決は当裁判所の判断と結論を異にし失当であるので、本件控訴に基づきこれを取消して本訴請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法96条、89条、93条一項本文を適用し、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 吉井直昭 裁判官 岡山宏 河本誠之)
以上:3,857文字
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R 3- 4- 8(木):支給規程なき死亡退職金を妻個人に属するとした最高裁判決紹介
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○死亡退職金の支給規程のない財団法人が死亡した理事長の妻に支給した死亡退職金が相続財産に属さず妻個人に属するものとした昭和62年3月3日最高裁判決(判タ638号130頁、判時1232号103)全文を紹介します。

○事案は、次の通りです。
・財団法人Aは、死亡退職金の支給規程を定めていなかったが、理事長Bの死亡後、Bの妻Yに死亡退職金として2000万円を支給した
・Bの子であるXら(2名)は、この死亡退職金はXら及びYの共有財産であるから平等に分割されるべきであるとして、Yに対しXらの持分の支払を求めた
・一審は、相続人の一人であるYは遺族の代表として死亡退職金を支給されたものと解すべきであるからこの退職金を共有持分に応じて分割すべきであるとして、Xらの請求を認容した
・これに対し、原審昭和59年1月30日東京高裁判決(家庭裁判月報39巻10号76頁)は、この死亡退職金は相続という立場を離れてBの配偶者であったY個人に対して支給されたものであるとして、Xらの請求を棄却した
・Xらの上告


○死亡退職金の受給権者ないし相続財産性については、死亡退職金の支給基準、受給権者の範囲、順序が法令や就業規則等で定められている場合について、①受給権者の固有の権利とみる説(以下「固有権説」という。)、②相続財産とみる説及び③特別受益分とみる説に分かれています(浅見公子・新版相続法の基礎91頁、時岡泰・昭和55年度最高裁判例解説366頁)。

○通説、判例は、固有権説をとっており、昭和55年11月27日最高裁判決(民集34巻6号815頁、判タ434号169頁)は、特殊法人日本貿易振興会の職員Aが死亡し、同人の相続財産法人が、右特殊法人に対しAの死亡退職金の請求をした事案において、「死亡退職金の支給等を定めた特殊法人の規程に、死亡退職金の支給を受ける者の第一順位は内縁の配偶者を含む配偶者であって、配偶者があるときは子は全く支給を受けないことなど、受給権者の範囲、順位につき民法の規定する相続人の順位決定の原則とは異なる定め方がされている場合には、右死亡退職金の受給権は、相続財産に属さず、受給権者である遺族固有の権利である。」旨を判示ています。

○昭和58年10月14日最高裁判決(裁判集140号115頁、判タ532号131頁)も、滋賀県立高校の教諭であったAが死亡し、同人の遺言執行者が滋賀県に対し死亡退職金の支払を求め、これに対し同県が右退職金は条例に基づきAの妻Bに支給すべきものであってAの相続財産に属さないと主張して争った事案において、死亡退職金の受給権は、受給権者たる遺族固有の権利であり亡Aの相続財産には属さない旨を判示しています。

○死亡退職金の支給につき全く規程がない場合、学説には、相続財産に属さないとする説と相続財産となるとする説に分かれ、裁判例も同様に分かれていましたが、本判決は、死亡退職金につき相続財産性を否定する最高裁の判例の流れの中にあるものと位置づけることができるもので、死亡退職金の支給規程のない財団法人において理事長の死亡後同人に対する死亡退職金として支給する旨の決定をし同人の妻に支払われた金員は、特段の事情のない限り、相続財産に属するものではなく、妻個人に属するものと認めるべきものとした原審の認定判断は相当としました。

***************************************

主  文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

理  由
上告代理人○○○○の上告理由について
 亡B(以下「B」という。)は財団法人○○会(以下「○○会」という。)の理事長であつたこと、Bの死亡当時、○○会には退職金支給規程ないし死亡功労金支給規程は存在しなかつたこと、○○会は、Bの死亡後同人に対する死亡退職金として2000万円を支給する旨の決定をしたうえBの妻である被上告人にこれを支払つたことは、原審の適法に確定した事実であるところ、右死亡退職金は、Bの相続財産として相続人の代表者としての被上告人に支結されたものではなく、相続という関係を離れてBの配偶者であつた被上告人個人に対して支給されたものであるとしてBの子である上告人らの請求を棄却すべきものとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原判決の結論に影響のない説示部分を論難するものにすぎず、採用することができない。
 よつて、民訴法401条、95条、89条、93条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 安岡滿彦 裁判官 伊藤正己 長島敦 坂上壽夫)

以上:1,947文字
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R 3- 4- 7(水):内縁妻財産分与2分の1分与しその余の財産に遺産分割した家裁審判紹介
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○相続における妻の法定相続分は2分の1ですが、私は妻は、夫が婚姻中に取得した財産については、夫死亡時においても、先ず夫婦共有財産清算のための財産分与として2分の1の取得を認め、その他の夫特有財産について法定相続分2分の1の取得を認めるべきと考えています。しかし、このような考えの裁判例は現時点では見つかっていません。残念ながら、妻の法定相続分2分の1は財産分与を含めたものだとの考えが主流です。

○しかし、この主流の考え方では、夫の残した財産が全て夫婦共有財産の場合、妻には実質相続分はなくなります。法定相続分として2分の1が認められても、それは本来妻が有している共有持分権2分の1だからです。妻の法定相続分2分の1は、夫の特有財産に認められた相続分と解釈するのが合理的です。

○法定相続分のない内縁の夫婦の一方が死亡した場合には、民法768条(財産分与)の類推適用を認めるべきであるとして、被相続人の内縁の妻から申し立てられた財産分与事件と相続人の1人から申し立てられた遺産分割事件とを併合審理した上、相続財産の2分の1を同女に分与するとともに、その余の財産について遺産分割の審判をした事例があります。昭和58年3月23日大阪家裁審判(家庭裁判月報36巻6号51頁)で、以下、全文紹介します。

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主   文
1 別紙1遺産目録中第1項記載の各不動産は、それぞれに付、持分申立人X12分の1、申立人X2、相手方X3および同X4ら各6分の1宛とする共有取得とする。
2 遺産中現金は、内金615万円は申立人X2の、同金637万円は相手方X3の、同金630万円は相手方X4の取得とし、その余は全部申立人X1の取得とする。
3 別紙1遺産目録第3項記載の株券は右同項に記載の配分表どおり各人の取得とする。
4 同目録第4項1乃至3、第5項1に記載の証券類につき、転換社債全部(同目録第4項1乃至3、元金と利息を含む、以下同様に利息、分配金付のものはその果実を含む)、国際フアンドおよび2月公社債は申立人X1の、4月公社債は申立人X2の、コクサイおよび積立株式フアンドは相手方X3の、そうして12月公社債、オープンおよび○○農業協同組合出資証券は相手方X4の各取得とする。
5 本件調停並に審判手続費用中、鑑定費用金15万円は、申立人X2、相手方X3および同X4の均等負担とし、その余の費用は各自の負担とする。

理   由
 当裁判所は、本件各記録および本件関連事件(昭和50年(家イ)第786号財産分与並に同52年(家イ)第4738号遺産分割各申立事件)記録にあらわれている諸資料により、以下の記述の各事実を認定し、その他諸般の事情を考慮して、次のとおり判断する。第一 被相続人について
 被相続人は昭和49年11月28日大阪市○○区で死亡、同日相続が開始した。

第二 相続人
 被相続人には後述のとおり内縁の妻申立人X1がいるが、この間に子はなく、両親は既に没しており、結局相続人としては、相手方長兄X4同妹X3および長姉亡A(昭和6年12月21日没)の子で代襲者たる申立人X2らである。
 従つてその法定相続分は各3分の1宛となる。

第三 遺産の範囲について
1 ところで、本件遺産については、申立人X1から財産分与の申立がなされている。
 そこで検討するに以下の事実が認められる。
(1)申立人X1と被相続人とはその先妻没後の昭和23年7月頃見合いの上、挙式同棲するに至つたものであるが、右申立人は初婚であつた。

(2)右結婚当初被相続人は医師で吹田市内の診療所に勤務していたが、同25年頃右同所を退職して高知県○○町々立診療所に勤務、この際は申立人は大阪に留まり、被相続人は謂ゆる単身赴任した。

(3)同29年7月頃被相続人は大阪に戻り、その最後の住所となつた申立人X1の現住所地で当初は外科の、間もなく内科小児科に変えた○○病院を開設、看護婦一人又は二人位置いてやつて来たが、この頃右申立人も窓口事務を始め調剤・外科手術などの手伝いもして来た。

(4)同48年1月頃同病院を閉鎖、被相続人は茨木市に所在の○○○○診療所に勤務するに至つたが、右同年8月頃右同人は病気になり、○○病院に入院、一旦同年11月頃退院し自宅療養をして来たが、翌49年11月28日○○病院に入院、右同病院で前記のとおり死亡するに至つた。
 なお、同申立人はこの臨終に立会つている外、右入院中および自宅療養などにおいて、被相続人の身の廻りの世話や食事などの世話をして来ていた。

(5)ところで、申立人X1と被相続人との婚姻届出については、右申立人において、被相続人が最後に入院をしていた際、相手方X4の子Bに依頼して届出ようとしたりしたが、結局その理由は詳かでないが、受理されるに至らず、ともあれ婚姻届出は未了となつているものである。

2 以上の事実によると、申立人X1と被相続人とは事実上夫婦関係にあつたことは認められるものの、ともあれ婚姻届出はなされておらず、謂ゆる内縁関係にとどまるものであることが認められるところ、かかる内縁関係にある者の一方から他方に対して財産分与をなし得ることについては、現在異論を見ない。

 ところで本件は当事者の一方が、つまりその「相手方」死亡に関するものであるが、かかる場合も財産分与の本質が夫婦共有財産の清算性を中核とするものと解する限りでは、生前における解消たると死亡による解消たると彼此区別すべき合理的理由に乏しいこと、財産分与に対応すべき義務(一身専属性たる性質に基くものを除く)の相続性は認められるべきであること等からすれば、この場合その相続人を相手方とする財産分与を肯定すべきであると考える。

 然して財産分与に関する民法768条における財産分与請求の要件たる「離婚」も前記財産分与の本質からする限りで、その清算の契機はその身分変動そのものに意味があるのではなく、右身分変動に必然的に伴う夫婦共有財産の形成母体たる夫婦共同体の解体にこそその実質的根拠を求め得べきものであることは明らかというべきであるから、だとすれば夫婦共同体の解体の一場合たる死亡による内縁関係の解消の場合にも右同条の類推適用を認められるべきであり、従つて又家事審判法(同法9条)の適用も認められるべきであると解するを相当とする。

 かく解したにせよ内縁関係をより以上に保護するものというに当らず、むしろ、生前解消によつて求め得たところのものを、終生協力関係にあつた死亡による場合においてこれを失わしめることの合理的理由は見出し難く、漫然その相手方の相続人にこれを全て取得せしめることは、不当に利得せしめるものとして公平の観念からも、到底許容し難いものという外はなく「片手落ち」のそしりを免れない。


 そうして又この場合包括財産の分配たる方法による財産分与の制度に依らしめ、審判手続に依らしむるのが実際的であろう。
 以上本件の如く死亡による内縁解消の場合についてもその相手方即ち死亡配偶者の相続人を相手方として財産分与請求を認めるを相当とする

3 そうして,前記認定の事実によると、本件の場合その配偶者たる被相続人の職業が医師で相当期間個人の開業医をなし、この間申立人X1も窓口事務を始め、手不足の場合看護婦の補助するなど協力して来たことが認められるところであり、ともあれその同棲期間が20年余に及びこの間もとより主婦としての協力関係があり、以上彼此勘案すると申立人X1に分与すべき財産はその遺産の2分の1宛相当が妥当と思料する。

4 そうすると、相続人らに分割すべき被相続人の遺産は結局別紙1遺産目録記載中申立人X1に対する分与分を控除したその残、即ち2分の1宛相当分である。

第五 具体的財産分与分および具体的相続分額
 別紙2試算表2のとおり。

第六 取得物件についての当事者の意向
 申立人X1には同人の現住家屋に引き続き居住したいので、本件分与については右の点を考慮して欲しい旨の意向を示した外は、申立人X2および相手方X3は財産を指定して取得したいものはなく裁判所に一任する旨を述べた。
 なお、相手方X4は不動産を処分し一括現金化して分割することを望む旨の意向を示している。

第七 本件財産分与並に遺産分割について
 本件の如く、要するに被相続人の遺産について財産分与と遺産分割が併合され同時的になし得る場合については、右財産分与請求権者並に相続人らの遺産に対する各具体的分与又は分割分額割合を基準として、右各人らの希望意見及び現在の生活関係などを斟酌し、両事件総合して適宜配分するを相当と思料する。

 そこで検討するに前記認定の事実によると申立人X1は本件遺産である土地・家屋には既に約30年間居住して来たことが認められ、謂わば同居住家屋は右同人にとつて住み馴れた場所であること、他方右同人は62才の老女で、被相続人没後は未亡人となり、且子など確かと頼るべき身寄りがないことが認められるので、本件は主として右同人の居住確保と併せてその生活費も考慮すべき要があること、して見ると相手方X4が主張する如く、前記不動産を売却し換金の上での分割は相当でなく、この点右相手方X4を除く他の相続人らは申立人X1の境遇に理解を示し、必ずしも右売却には固執しない旨の意向を明らかにしているところでもある。

 以上の次第で、本件については、以上の事情およびその他前記認定の諸般の事情更には別紙2の試算表の結果(なお、試算上不動産および株券については、同一物件又は単一銘柄について、配分割合に従つて共有し或は取得せしめるのが公平であると思料し、これらを試算対象から除いた)を参酌して主文記載のとおり財産分与並に遺産分割するを相当と認めた。

第八 結果
 よつて主文のとおり審判する。
(家事審判官 丸藤道夫)
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