○被告女性との内縁関係を主張する原告男性が、被告がCと不貞行為に及んだこと等により精神的苦痛を被ったとして、被告に対して不法行為に基づき慰謝料500万円と弁護士費用を請求しました。
○被告女性と原告男性は、平成28年から内縁関係となり、娘ももうけたのですが、令和2年からCと名乗る男性と交際し、令和3年7月にCと結婚すると述べて5年間の内縁関係を解消して別居しました。原告は、長年事実上の夫婦として生活してきた者からの裏切り行為にショックを受け、うつ病となり、自殺を考えるようになり、勤務先を休職せざるを得ないまでになりました。
○そこで被告女性に対し500万円の慰謝料請求訴訟を提起すると、被告女性は裁判所に出頭せず、擬制自白となったのですが、慰謝料500万円の請求に対し、100万円の支払を認めた令和6年12月25日東京地裁判決(LEX/DB)全文を紹介します。
○擬制自白としても慰謝料金額の決定は裁判官の裁量によります。その根拠は、民訴法248条「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。」との規定によります。精神的苦痛の評価である慰謝料金額は、性質上その額を立証することは極めて困難です。
○判決は、同居期間の長さ、原告と被告との間に現在6歳になる子がいること、被告の不貞行為の態様等を考慮すると、同精神的苦痛に対する慰謝料としては100万円が相当としましたが、原告としては納得できない判決と思われます。
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主 文
1 被告は、原告に対し、110万円及びこれに対する令和6年9月9日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを5分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
被告は、原告に対し、550万円及びこれに対する令和6年9月9日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
第2 当事者の主張等
1 請求原因
(1)原告と被告は、平成28年頃、法律婚をしようと被告の両親に挨拶に行ったが、結婚を反対されたことから、駆け落ちの形で同居を開始した。
原告と被告の生活は、双方が就労しながら家計を支え、家事を分担して行っていた。また、原告と被告との間には、今年6歳になる娘がいる。
このように、原告と被告は、双方婚姻の意思がある中で同居生活を開始し、その後、収入面でも家事の面でも約5年間の間同居生活を送っていたもので、内縁関係にあったといえる。
(2)被告は、令和2年からCと名乗る男性と交際するようになり、複数回にわたって不貞行為に及び、その後、被告は、令和3年7月29日、原告に対し、Cと結婚すると述べて、原被告間の娘を連れて自宅を出て行った。
(3)このように、被告がCという男性と不貞行為に及んで自宅を出、別居状態となって一方的に原告との内縁関係を破棄したことで、原告は、甚大な精神的苦痛を被った。原告は、長年事実上の夫婦として生活してきた者からの裏切り行為にショックを受け、うつ病となり、自殺を考えるようになり、勤務先を休職せざるを得ないまでになった。
また、被告とCという男性は、令和3年8月13日に原告宅を訪問して、玄関の扉をガンガンと叩いたことから、原告が警察に通報したことがあった。
さらに、被告は、原告に自宅の鍵を返還せず、原告は自宅鍵を交換せざるを得ない事態となり、その費用の負担を余儀なくされた。
以上のとおり、原告が受けた精神的苦痛は甚大であり、これを金銭に換算すれば、500万円を下らない。
(4)また、原告は、被告のかかる不法行為により、原告は、訴訟代理人に本件訴訟提起及び追行を委任することを余儀なくされた。同不法行為と相当因果関係のある弁護士費用としては、50万円が相当である。
(5)よって、原告は、被告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、550万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和6年9月9日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2 被告は、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しない。
第3 当裁判所の判断
1 上記のとおり、被告は、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しないから、請求原因(1)及び(2)の各事実を争うことを明らかにしないものと認め、これを自白したものとみなす。
2 以上の被告の行為は、原告と被告との間で形成された内縁関係を不当に破棄するもので、原告に対する不法行為に当たる。そこで、上記請求原因(1)及び(2)の事実を前提として、原告の受けた精神的苦痛について判断するに、その同居期間の長さ、原告と被告との間に現在6歳になる子がいること、被告の不貞行為の態様等を考慮すると、同精神的苦痛に対する慰謝料としては100万円が相当である。
また,原告は、被告に対する権利行使を行うために、原告訴訟代理人弁護士に訴訟提起及び追行を委任することを余儀なくされたところ、被告の同不法行為との間に相当因果関係のある弁護士費用は、10万円が相当である。
第4 結論
以上のとおり、原告の請求は、主文第1項掲記の限度で理由があるからこれを認容することとし、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第4部 裁判官 西村康一郎
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