○判例時報最新の令和8年1月号2336号118頁掲載の通行権に関する令和7年3月27日大阪高裁判決を紹介します。現時点ではウエストロージャパンにもLEX/DBにも掲載されていませんが、次回判例勉強会で私がレポート担当なので、以下、判例時報を読んでのレポート概略を紹介します。
○先ず要旨は以下の通りです。
1 原告の所有する土地につき公道に通ずる通路はあるがその幅が狭いために土地の効用を全うできないとして、より広い幅の通路の確保のために、被告の所有する土地につき民法213条に基づく通行権を認めた事例
2 民法213条に基づく通行権の範囲を定める際の一事情として、建築基準法43条1項所定の接道要件を満たすべき必要性を考慮した事例
(大阪高判令7・3・27〈参考原審:大阪地判令6・9・27〉)
論点は、民法213条通行権の有無及びその範囲で、参照条文は民法第213・210条と建築基準法第43条1項です。
○事案は以下の通りです。
s30年代2964番土地所有者Rが、添付参考図のとおり、2964番1~6に分筆
土地1~6として販売、
土地4と6の間に通路(本件道路)設置し、土地3・5所有者が道路利用(参考図参照)
r2に2886番1所有者Qが5を取得し、5と本件道路の間に塀を設置し本件道路使用をしなくなった
土地6所有者Y2は土地3所有者Xに本件道路の土地6部分使用を許さないと主張
主な争点
①本件道路の土地6部分にXは民213通行権が認められるか
②Xに認められる民213通行権の範囲
Xは、建築基準法43Ⅰに基づき約2.5mの幅を認めるべきと主張
r6.9.27大阪地裁判決
①を肯定
②は幅2mの範囲で通行権認める
Y2のみ控訴
○東京高裁判示概略は以下の通りです。
判示
Y2の控訴棄却
理由
(1)昭和30年代の本件各土地分筆の経緯からは
添付参考図での土地3・5の所有者は、本件道路につき、土地3の所有者は4部分のみ、土地5の所有者は6部分のみ通行するものではなく、それぞれ設けられた通路全体を通行する213条通行権を取得
(2)213条通行権の範囲
昭和56年承諾書においては、土地4・6の元所有者は、本件道路4部分を土地5所有者のために、本件道路6部分を土地3所有者のためにそれぞれ通行権の負担を承諾していたことを示す
建築基準法上接道要件を事情として考慮する必要がないとするのは相当でない
通行権の範囲は、土地3・5所有者のために幅2mを認めるべき
以上:1,006文字
|