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立退料90万円での賃貸人解約申入賃貸借終了を認めた地裁判決紹介

○「立退料50万円での賃貸人解約申入賃貸借終了を認めた地裁判決紹介」の続きで、立退料90万円の支払で賃貸借終了による明渡請求を認めた令和6年4月11日東京地裁判決(LEX/DB)全文を紹介します。

○本件建物の賃貸人である原告が、賃借人である被告に対し、昭和42年5月に建築され築55年以上経過し本件建物が老朽化しており建替えの必要があるなどとして、賃貸借契約の解約を申し入れ、本件建物の明渡を求めました。

○これに対し、建物の劣化状況から立替の必要性は高いが、外観上、直ちに倒壊や部材の崩落などが生じて居住者や周辺住民の生命、身体、財産に損害を及ぼすほどの状態にあるとまでは認められず、平成9年に入居して25年以上更新を重ね、長年にわたり本件建物で生活を続けてきたことからすると、退去するには、相当な負担が伴うとして、賃料等の約1年分90万円の支払があれば借地借家法28条の定める正当事由が認められるとして明渡請求を認めました。

○「建物老朽化・建替必要性を理由に解約正当理由を認めた地裁判決紹介2」で紹介した判例の事案の様に建物の「朽廃」が認められれば立退料無しでの賃貸借終了・明渡請求が認められます。しかし、この建物「朽廃」の認定は、ハードルが相当高いのが賃貸人にとって辛いところです。

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主   文
1 被告は、原告に対し、原告から90万円の支払を受けるのと引換えに、別紙物件目録記載の建物を明け渡せ。
2 被告は、原告に対し、令和5年10月20日から前項の建物の明渡済みまで1か月7万4500円の割合による金員を支払え。
3 原告のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用はこれを2分し、その1を原告の、その余を被告の負担とする。
5 この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

1 被告は,原告に対し、別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を明け渡せ。 
2 主文第2項と同旨

第2 請求原因
1 原告は、被告に対し、令和3年3月8日、本件建物を、次の約定で賃貸し、これを引き渡した(以下「本件賃貸借契約」という。ただし、更新契約である。)。
(1)期間 令和3年4月20日から令和5年4月19日まで
(2)賃料 1か月7万2000円
(3)共益費 1か月2500円

2 原告は、被告に対し、借地借家法26条1項の定める期間内(上記1の期間満了の1年前から6か月前まで)に不更新の通知をしなかった(したがって、本件賃貸借契約は、従前と同一の条件で、期間の定めがないものとして更新された。)。

3 原告は、令和5年3月21日、本件賃貸借契約の解約を申入れた。(甲6の2の通知書。なお、同通知書は、期間満了後の更新を拒絶する旨通知するものであるが、仮に従前と同一の条件で更新された場合には、改めて解約を申し入れる趣旨を含むものである。)

4 令和5年9月21日(借地借家法27条1項の定める解約申入れの後6か月)は経過した。

5 本件建物は、昭和42年5月19日に新築され、すでに55年以上が経過している。外観上も老朽化は甚だしく、躯体部分の劣化や損傷も想定される上、新耐震基準も満たしていない。
 したがって、首都直下型地震その他の災害により倒壊の危険、居住者の生命身体の危険、隣接家屋への損害発生などを想定すると、可能な限り早期に建替え等が必要であり、こうした建物の現況を考慮すると、(少なくとも相当な退去費用の提供があれば)借地借家法28条の定める正当な事由がある。

第3 当裁判所の判断
1 被告は、答弁書において縷々主張するものの、本件賃貸借契約の成立について争う趣旨の主張はしておらず、むしろこれを前提としている。
 そこで、請求原因1及び2については、争うことを明らかにしないものとして、これを自白したものとみなす。

2 請求原因3については、甲6の1・2により認められる。

3 請求原因4は、当裁判所に顕著である。

4 請求原因5の正当事由については、次のとおり判断した。
 本件建物(賃借部分のみならず全体)は、昭和42年5月に建築された建物であり、築55年以上経過している。外観だけを見ても、外壁表面の至るところに亀裂が入り、被告が賃借する×××号室は、台所、浴室、トイレなどの設備の劣化が激しく、他室の床、柱、天井、内壁などにも経年によるとみられる損傷が多々見られる。(甲3)このような劣化状況を見ると、建替えの必要性は相応に高いといえる。いわゆる旧耐震基準下で建築されていることに加えて、上記の劣化状況から推察するに、震度5程度を超える地震に対して、十分な耐震性を備えているとは考え難い。

 もっとも、外観上、直ちに倒壊や部材の崩落などが生じて居住者や周辺住民の生命、身体、財産に損害を及ぼすほどの状態にあるとまでは認められないし、そのような耐震診断の結果が出ているものでもない。
 他方、被告側の事情についてみると、近隣には、類似する築年数、間取り、賃料の賃貸物件が存在し(甲7)、転居先も確保できそうであり、本件建物の使用継続を必要とする事情があるかどうかは明らかでない。

 もっとも、被告の主張によれば、平成9年に入居して25年以上更新を重ねてきたようである。長年にわたり本件建物で生活を続けてきたことからすると、退去するには、相当な負担が伴うと考えられる。
 以上を総合すると、相当の立退料の提供があれば、正当事由が認められるというべきである。
 そして、その額としては、賃料等の約1年分、90万円が相当である。


5 その他、被告の主張には、本件賃貸借契約に際し、何らかの欺罔行為があったかのようにいう部分もあるが、趣旨不明瞭であり、的確な抗弁足りえない。

6 よって、原告の請求は、立退料90万円の支払と引換えに本件建物の明渡しを求め、かつ、本件賃貸借契約終了後の令和5年10月20日から明け渡し済みまで1か月7万4500円の賃料相当損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余の請求は棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第16部 裁判官 池田幸司

物件目録
1 所在   杉並区α×丁目×××番地××
2 家屋番号 ×××番××
3 種類   共同住宅作業所
4 構造   軽量鉄骨造陸屋根3階建
5 床面積  1階 105.27平方メートル
       2階 105.27平方メートル
       3階  70.87平方メートル
 上記建物の3階のうち、×××号室部分

以上:2,697文字

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