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離婚した元夫に離婚時までの婚姻費用支払を命じた家裁審判紹介

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令和 7年12月 1日(月):初稿
○申立人と相手方は、平成13年6月27日に婚姻した夫婦で、両名の間には長男(平成14年生)及び二男(平成24年生)がいるところ、両名は平成26頃から別居状態となり、以降、申立人が長男及び二男とともに生活していました。

○申立人と相手方は、平成30年7月11日に調停により離婚しました。相手方は、申立人に対し、婚姻費用として1か月あたり15万円を支払っていたましたが、平成30年2月から支払がとまったため、申立人が、離婚時までの未払婚姻費用として約93万円の支払を求めて婚姻費用分担調停を申し立て、調停は不成立となり、審判手続に移行しました。

○婚姻費用の分担額については、義務者世帯及び権利者世帯が同居していると仮定し、義務者及び権利者の各総収入から税法等に基づく標準的な割合による公租公課並びに統計資料に基づいて推計された標準的な割合による職業費及び特別経費を控除して得られた各基礎収入の合計額を世帯収入とみなし、この世帯収入を生活保護基準及び教育費に関する統計から導き出される標準的な生活費指数によって推計された権利者世帯及び義務者世帯の各生活費で按分して権利者世帯に割り振られる婚姻費用から、権利者の上記基礎収入を控除し、義務者が分担すべき婚姻費用の額を算定するとの方式に基づき検討するのが相当であるとして、申立人に対し、74万5161円を支払うよう相手方に命じた平成30年9月20日釧路家裁北見支部審判(家庭の法と裁判27号41頁、最高裁判所民事判例集74巻1号8頁)全文を紹介します。

○この審判は相手方が抗告し、抗告審札幌高裁で、離婚の成立をもって被抗告人の抗告人に対する婚姻費用分担請求権は消滅したとして取り消されており、別コンテンツで紹介します。

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主   文
1 相手方は,申立人に対し,74万5161円を支払え。
2 手続費用は各自の負担とする。

理   由
第1 申立ての趣旨

 相手方は,申立人に対し,婚姻費用分担金として,93万2488円を支払え。

第2 当裁判所の判断
1 認定事実

 本件記録によれば,次の事実が認められる。
(1)申立人(昭和51年■月■日生)と相手方(昭和50年■月■日生)は,平成13年6月27日に婚姻した夫婦であり,申立人と相手方との間には,長男(平成14年■月■日生)及び二男(平成24年■月■日生)がいる。

(2)申立人及び相手方は,平成26年頃から別居状態にあり,以降,申立人が長男及び二男と共に生活していたが,平成30年7月11日,調停により,離婚した(当庁平成29年(家イ)第166号)。
 なお,相手方は,平成30年1月までは,申立人に対し,婚姻費用として1か月当たり15万円を支払っていた。

(3)申立人は,平成30年5月21日,平成30年2月からの未払婚姻費用の支払を求めて婚姻費用分担調停を申し立てた(当庁平成30年(家イ)第76号)が,同年7月11日,上記調停は,不成立となり,本件審判手続に移行した。

(4)申立人は,医療法人に勤務しており,平成29年の給与収入は,241万2763円である。
 他方,相手方は,2つの会社に勤務しており,平成29年の給与収入は,合計720万円である。また,相手方は,焼肉店も営んでいるもので,平成29年の確定申告書の事業所得は-161万8085円で,この事業所得を計算するに当たって差し引かれた経費のうち,旅費交通費は15万3670円,通信費は3万8966円,接待交際費は80万4996円である。なお,この確定申告書の課税される所得金額を算定する過程においては,上記給与収入も考慮されている。

(5)長男は,平成30年4月,高等学校に進学し,野球部に入部をした。その入学時学校諸納金は合計2万5000円,第1学年の授業料及び学校諸費は合計20万0100円,制服代は5万3784円,教科書その他の教材費は合計4万7048円,野球部のユニフォーム代,グローブ代等は合計20万1560円,通学定期代は12万9430円である。

2 検討
(1)夫婦は,互いに協力し扶助しなければならず(民法752条),別居した場合でも,自己と同程度の生活を保障するいわゆる生活保持義務を負うもので,別居中の婚姻費用は,この義務の履行として支払われるものである。

(2)婚姻費用の分担額については,義務者世帯及び権利者世帯が同居していると仮定し,義務者及び権利者の各総収入から税法等に基づく標準的な割合による公租公課並びに統計資料に基づいて推計された標準的な割合による職業費及び特別経費を控除して得られた各基礎収入の合計額を世帯収入とみなし,この世帯収入を生活保護基準及び教育費に関する統計から導き出される標準的な生活費指数によって推計された権利者世帯及び義務者世帯の各生活費で按分して権利者世帯に割り振られる婚姻費用から,権利者の上記基礎収入を控除し,義務者が分担すべき婚姻費用の額を算定するとの方式に基づき検討するのが相当である。

(3)
ア 申立人の給与収入並びに相手方の給与収入及び事業収入は,前記1(4)のとおりであるが,婚姻費用の算定に当たっては,異なる種類の収入がある場合には,一方の収入を他方の収入に換算する必要があり,相手方の給与収入がその事業収入より多い本件では,後者を前者に換算するのが相当である。そして,事業収入については,確定申告書の課税される所得金額によるのが原則であるが,本件では,この所得金額を算定する過程において給与収入も考慮されていることから,この所得金額により事業収入を認定することができない。そこで,次善の策として,確定申告書の事業所得に,給与所得の職業費に相当する交通・通信費,交際費等を加えることにより,事業収入を給与収入に換算したものとすることとする。

 以上の結果,申立人の給与収入は241万2763円となり,上記換算後の相手方の給与収入は合計657万9547円となる(なお,申立人は,相手方の事業が趣味に過ぎず,事業所得の赤字分を考慮すべきではない旨主張するが,相手方の事業が趣味に過ぎないものと認めるに足りる証拠はなく,その主張は採り得ない。)。そして,それぞれの給与収入に対する基礎収入の割合は,申立人については39%,相手方については37%であり(顕著な事実),成人1人当たりに必要な生活費に対する未成年の子1人当たりに必要な生活費の割合(生活費指数)は,14歳未満が55%,15歳以上が90%である(顕著な事実)から,前記(2)の算定方式によれば,相手方が申立人に対して負担すべき婚姻費用分担額は,1か月当たり12万1337円と試算される。

〔計算式〕
A:申立人の基礎収入=¥2,412,763/年×39%=約¥940,977/年
B:相手方の基礎収入=¥6,579,547/年×37%=約¥2,434,432/年
C:前記(2)の方式による婚姻費用分担額=(A+B)×{(100+90+55)
(100+100+90+55)}-A=約¥1,456,052/年=約¥121,337/月

イ 前記(2)の算定方式では,1年当たり33万3844円の公立高等学校の学校教育費が15歳以上の未成年の子の生活費指数の中で考慮されているが,この額を上回る教育費についても,義務者の収入等から不合理なものでない限り,義務者において,それぞれの基礎収入に応じて按分した額を負担するのが相当である。
 前記1(5)の教育費合計65万6922円(この額は1年間に必要な額と認めるのが相当である。)は,義務者の収入等からして不合理なものではないから,上述した上回る教育費として義務者が負担すべき額は,1か月当たり1万9752円と試算される。
〔計算式〕(¥656、922/年-¥333,844/年)×B/(A+B)=約¥233,012/年=約¥19,417/月

ウ 前記ア及びイの試算結果に加え,本件記録に現れた一切の諸事情を考慮すると,相手方が申立人に対して負担すべき婚姻費用の分担額は,1か月当たり14万円とするのが相当であり,平成30年2月1日から離婚した前日の同年7月10日までの未払婚姻費用は,74万5161円となる。 
〔計算式〕¥140,000/月×(5か月+10日/31日/月)=約¥745,161

3 結論
 よって,相手方は,申立人に対し,未払婚姻費用分担金74万5161円を支払うべきである。そこで,手続費用については家事事件手続法28条1項を適用し,主文のとおり審判する。
平成30年9月20日
釧路家庭裁判所北見支部 裁判官 安木進

以上:3,541文字

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