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前訴確定後8ヶ月後提起二回目有責配偶者離婚請求認容例紹介1

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平成25年 6月29日(土):初稿
○有責配偶者からの第1回目の離婚請求訴訟敗訴確定後僅か8ヶ月後に第2回の離婚請求訴訟が認容された珍しい事案である平成15年1月31日那覇地裁沖縄支部判決(判タ1124号244頁)判決全文を紹介します。
字数の関係で説明等は別コンテンツで行います。

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主文

1 原告と被告とを離婚する。
2 原告と被告との間に未成年の子であるA(平成2年9月2日生)及びB(平成5年6月24日生)の各親権者をいずれも被告と定める。
3 原告は、被告に対し、第2項の未成年の子の養育費として、本判決言渡しの日の属する月の翌月から、それぞれ成人に達する日の属する月まで、毎月15日限り、各15万円宛、3月、7月、12月は各10万円を加算して支払え。
4 訴訟費用は、被告の負担とする。 
 
事実及び理由

第1 請求等
1 原告の請求
 主文第1項と同旨。
2 原告による付随的申立て
 主文第2及び3項と同旨。

第2 事案の概要
 本件は、離婚原因の作出について専ら責任のある一方配偶者(以下「有責配偶者」という。)である原告の離婚請求は信義則に照らして許容できないとの敗訴判決を受けた原告が、被告に対し、前訴確定判決後の事情に照らし、離婚を認めることが真の紛争解決ないし子の福祉のためにも必要であるとして再度被告との離婚を求めた事案である。

1 前提となる事実
(1) 原告(昭和36年4月6日生)と被告(昭和43年2月19日生)は、平成2年5月16日に婚姻届出をした夫婦である。両名の間には、長女A(平成2年9月2日生)及び次女B(平成5年6月24日生)の二名の未成熟子がいる。

(2) 平成5年7月ころ、原告が甲山一子と性関係を有したことが被告の知るところとなり、これを契機に原告と被告との婚姻関係は悪化した。

(3) 原告は、平成5年12月ころ、自己名義で借入をして、被告肩書地所在のマンションを購入し、被告が同マンションに転居したことにより、被告と別居することとなった。

(4) 原告は、平成6年3月17日、上記マンションに転居して被告との同居を試みたものの喧嘩が絶えず、同年7月16日、原告は被告と確定的に別居するに至った。

(5) 原告は、平成9年7月ころ、乙川二子と交際を始め、同年10月ころから同人と同居するようになった。

(6) 原告は、平成10年4月14日、那覇家庭裁判所に対し夫婦関係調整調停を申し立てたが不調に終わり、同年10月6日、那覇地方裁判所に対し離婚請求の訴えを提起した(同裁判所平成10年(タ)第36号)。

(7) 被告の申立てに係る婚姻費用分担調停申立事件について、平成10年10月27日、原告が被告に対し、婚姻費用として年額480万円を支払うこと、子らの学資保険掛金を積み立てること、被告と子らが居住するマンションはBが成人に達するまで無償にて使用させ、固定資産税を原告の負担とした上で他に処分しないこと等を内容とする調停が、那覇家庭裁判所において成立した。

(8) 平成11年8月28日、原告と乙川二子との間の子であるCが出生した。

(9) 那覇地方裁判所は、前記(6)の訴えについて、平成11年12月27日口頭弁論を終結し、平成12年2月14日、原告の請求を認容し、子らの親権者を被告とする判決を言い渡した。

(10) これに対し、被告は、福岡高等裁判所那覇支部に対し控訴を提起した(同裁判所平成12年(ネ)第37号)ところ、同裁判所は、平成12年5月9日口頭弁論を終結した。

(11) 原告は、平成12年7月9日、乙川二子及びCとともに実父母が居住する丙市に転居し、実父が営む眼科医院で働くようになった。

(12) 福岡高等裁判所那覇支部は、平成12年7月18日、上記(10)記載の事件において、同(9)記載の原判決を取り消し、原告の請求を棄却する旨の判決を言い渡した。

(13) 上記(12)記載の控訴審判決は、平成12年11月28日、最高裁判所第三小法廷による上告不受理決定(平成12年(受)第1342号)により確定した。

2 認定事実
 証拠調べの結果(甲3、甲11、乙7、原告本人、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、前訴判決の口頭弁論終結後の事情につき、以下の事実が認められる。

(1) 被告は、前訴判決が確定した後である平成12年12月、原告の親族らが驚愕することを認識しつつも、原告の兄嫁に対し、「裁判に勝ったから子供たちを丁小学校に転校させて、私も丙市に行く」旨電話で伝えた。

(2) そこで、原告は、このままでは夫婦間の争いに子供たちを巻き込むおそれが生じることを案じて、平成13年1月12日、那覇家庭裁判所に対し、夫婦関係調整調停の申立てをした。その際に原告が提示した調停条項案は、①被告との離婚、②子らの親権者を被告とする、③養育費支払い(毎月各15万円、合計30万円に加え、3、7、12月は各10万円を加算した合計50万円)④慰謝料300万円支払、⑤面接交渉を内容とするものであったが、同事件は、被告に対する意向調査の結果、調停に応じる意思はないことが明らかであったことから、同年5月17日、不成立となった。

(3) 原告は、平成13年8月13日、本件訴えを提起した。
 本件訴状には、①被告との離婚を求める旨、②子らの親権者を被告とする旨の親権
者指定に関する付随的申立て、③養育費の支払(毎月各15万円、合計30万円に加え、3、7、12月に各10万円を加算した合計50万円)を原告に命ずる旨の付随的申立てのほか、④慰謝料として300万円の支払を原告に命ずることを求める趣旨が記載されていた。

 なお、上記②の趣旨は、子らの養育等を被告に押しつける趣旨ではなく、原告が被告の母親としての立場と母親にとっての子の重要性、子らにとっての母親の重要性を考慮したものであったことが窺われ、④は、後に撤回されたものであるが、前訴判決において、原告が被告に対し具体的で誠意ある提案をしていないとして離婚請求を棄却されてしまった考えから、法的には無理のあることを承知で記載されていたものであったと考えられる。

(4) 原告は、平成13年11月2日、被告から、コンピューター関係の仕事をして自立したいので、子供を原告が引き取る条件でならば協議離婚に応じてもよいという趣旨の申出を受けた。原告は、被告との間で離婚を前提とした話をする機会を初めて得たことに喜び、乙川二子と協議するなどして、子供たちを引き取り受け入れる準備を進めていたが、その後被告からの連絡は途絶え、和解条項案を同封して手紙を出してみたが、やはり連絡はなかった。そこで、原告は、同月末、被告に電話をかけてみたところ、子供を引き取らせることはあり得ないし、協議離婚も難しいとの回答であり、むしろ弁護士を介入させずに話し合いたいので本件訴えを取り下げてほしいと求められた。このとき、原告は、被告に翻弄されたという思いでその電話を切った。

(5) 原告は、被告との間で離婚を前提とする話し合いができるのではないかと期待していたが、平成13年11月30日の本件口頭弁論期日において、被告から婚姻は破綻していないとして争う趣旨の答弁書が提出されたことを知り、このような被告の対応にひどく落胆した。

(6) 原告は、平成14年4月15日の本件口頭弁論期日後、Aから携帯電話への電子メールを合計四回受信した。その内容は、いずれもAの原告に対する非難が綴られたものであったところ、原告は、これらは被告がAを使って行っているものと考え、子供らを巻き込む被告の態度に立腹した。そして、原告は、Aに対しては謝罪を内容とする手紙を送り、被告に対しては、二度にわたり抗議の手紙を送ったが、被告からは何の連絡も反応もなかった。

(7) 原告は、平成14年10月8日、Cを認知した。

(8) 原告の親族は、乙川二子を原告の妻として受け入れており、むしろ反対に被告に対し慰謝料を請求できるのではないかと考えている。

以上:3,292文字

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