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面会交流間接強制決定を得る要件についての重要判例全文紹介2

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平成25年 9月25日(水):初稿
○「面会交流間接強制決定を得る要件についての重要判例全文紹介」の続きです。前回は、面会交流間接強制決定を認めましたが、今回は、「監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判において,面会交流の日時又は頻度,各回の面会交流時間の長さ,子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合」に該当しないとして、面会交流間接強制決定ができないとされました。平成25年3月28日最高裁第一小法廷決定(平24(許)41号、判時判時2191号46頁))です。

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主  文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。 
 
理  由
 抗告人の抗告理由について
1 本件は,未成年者の父である抗告人が,未成年者の母であり,未成年者を単独で監護する相手方に対し,抗告人と未成年者との面会及びその他の交流(以下「面会交流」という。)に係る審判に基づき,間接強制の申立てをした事案である。

2 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1) 抗告人と相手方は,平成12年12月に婚姻の届出をし,平成14年9月に長男を,平成18年7月に二男をもうけた。

(2) 平成24年2月,高知家庭裁判所において,相手方に対し,抗告人と長男及び二男が,1箇月に2回,土曜日又は日曜日に,1回につき6時間面会交流をすることを許さなければならないなどとする審判がされ,同審判は,同年3月確定した(以下,この審判を「本件審判」といい,上記の面会交流を命じた条項を「本件条項」という。)。

(3) 抗告人と長男及び二男との面会交流は,本件審判後,平成24年3月に2回行われたが,同年4月以降は行われていない。

(4) 抗告人は,平成24年5月,高知家庭裁判所に対し,本件審判に基づき,相手方に対し本件条項のとおり抗告人が長男及び二男と面会交流をすることを許さなければならないと命ずるとともに,その義務を履行しないときは相手方が抗告人に対し一定の金員を支払うよう命ずる間接強制決定を求める申立てをした。

3 原審は,本件審判は,面会交流の大枠を定めたものにとどまり,相手方が履行すべき義務内容が具体的に特定されているとは認められないから,本件審判に基づき間接強制決定をすることはできないとした。


(1) 子を監護している親(以下「監護親」という。)と子を監護していない親(以下「非監護親」という。)との間で,非監護親と子との面会交流について定める場合,子の利益が最も優先して考慮されるべきであり(民法766条1項参照),面会交流は,柔軟に対応することができる条項に基づき,監護親と非監護親の協力の下で実施されることが望ましい。

 一方,給付を命ずる審判は,執行力のある債務名義と同一の効力を有する(平成23年法律第53号による廃止前の家事審判法15条)。監護親に対し,非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判は,少なくとも,監護親が,引渡場所において非監護親に対して子を引き渡し,非監護親と子との面会交流の間,これを妨害しないなどの給付を内容とするものが一般であり,そのような給付については,性質上,間接強制をすることができないものではない。

 したがって,監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判において,面会交流の日時又は頻度,各回の面会交流時間の長さ,子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は,上記審判に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。

(2) これを本件についてみると,本件条項は,1箇月に2回,土曜日又は日曜日に面会交流をするものとし,また,1回につき6時間面会交流をするとして,面会交流の頻度や各回の面会交流時間の長さは定められているといえるものの,長男及び二男の引渡しの方法については何ら定められてはいない。そうすると,本件審判においては,相手方がすべき給付が十分に特定されているとはいえないから,本件審判に基づき間接強制決定をすることはできない。

5 これと同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志 裁判官 横田尤孝 裁判官 白木勇 裁判官 山浦善樹) 

 
以上:1,898文字

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