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夫に対する子の引渡し仮処分認容昭和59年11月27日神戸家裁決定全文紹介

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平成28年 1月25日(月):初稿
○婚姻が破綻し別居している妻のもとから、夫が子(1年3ヶ月)を連れ去つたため、妻から夫に対し、子の引渡し等を求めた審判前の保全処分について、「この子は年齢的にみて精神の発達上、母の看護養育が緊要であり、かつ、その機会を逸することは将来の発育上重大な禍根を残すことになりかねない」として、妻の審判前引渡しの仮処分申立を認容した昭和59年11月27日神戸家裁決定(家月37巻8号61頁)全文を紹介します。

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主  文
申立人と相手方間の当庁昭和59年(家)第2565号子の監護に関する処分の審判事件が終了するまで事件本人の監護者を申立人と仮に定める。
相手方は申立人に対し事件本人を仮に引渡せ。

理  由
一 申立ての趣

 主文同旨

二 当裁判所の判断
 本件記録及び本案審判申立事件の記録によれば次の事実が一応認められる。
(1)申立人と相手方は昭和57年11月22日婚姻し、申立人肩書地住所に新居をかまえ、その後長女である事件本人をもうけたが、婚姻当初から相互の言動に納得しえないものを感じていたうえに、事件本人が出生した以後は家事育児をめぐつて相互に期待が裏切られることが重なつたため、昭和59年7月22日ころから、相手方が実家(相手方肩書地)に寝泊りするようになつて別居状態に到り、同年8月7日相手方は当庁に離婚調停の申立てに及んだ。申立人は現住所でピアノの個人教師をしでおり、相手方は実家で実母と2人で暮している。

(2)事件本人は申立人と相手方とが別居した以後も申立人の許で監護養育されていたのであるが、相手方が申立人宅を訪ねた際口論に及んだ末申立人の制止もきかず事件本人を連れて実家に戻り、以後事件本人は相手方実家において相手方が会社員であるため主として相手方の実母によつて監護養育されている。事件本人の健康状態は身体的には特段の異常は見られないが、相手方の実母は育児は概して不得手である。

 以上の事実によれば、事件本人の監護養育に関し、現在、外部的には、急迫、危険な状態はみられない。しかし、事件本人は現在1年3月足らずの乳幼児であり、年齢的にみてその精神的発達上ことのほか母親である申立人の監護養育が緊要である年代であり、かつその機会を逸することは事件本人にとり将来の発育上重大な禍痕を残すことになりかねない。そのうえ、事件本人は出生以来母なる申立人の許で監護養育されてきたところを突然母親の許から引離され、育児の不得手な相手方の実母に養育されているのであつて、事件本人の情緒の安定性を確保する必要があることをも加味すれば、事件本人の監護者として仮に申立人を定めたうえ、相手方に対し事件本人の引渡を命ずる必要がある。
 よつて、本件申立ては理由があるから認容し、家事審判規則52条の2に基づき主文のとおり審判する。
 (家事審判官 政清光博)
以上:1,208文字

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