令和 7年 4月29日(火):初稿 |
○「令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)共同親権関係条文」の続きで、令和8年5月24日までに施行される「改正の概要PDF」のうち「第3 養育費の履行確保に向けた見直し」関係についての民法条文の備忘録です。 第3 養育費の履行確保に向けた見直し ○養育費債権に優先権(先取特権)を付与(債務名義がなくても差押え可能に)民法306、308の2等 ○法定養育費制度を導入(父母の協議等による取決めがない場合にも、養育費請求が可能に)民法766の3等 ○執行手続の負担軽減策(ワンストップ化)や、収入情報の開示命令などの裁判手続の規律を整備 民執法167の17、人訴法34の3、家手法152の2等 ○以下、関係条文です。 民法 第306条(一般の先取特権) 次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。 一・二(略) 三 子の監護の費用 四・五(略) 第308条の2(子の監護費用の先取特権) 子の監護の費用の先取特権は、次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権の各期における定期金のうち子の監護に要する費用として相当な額(子の監護に要する標準的な費用その他の事情を勘案して当該定期金により扶養を受けるべき子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額)について存在する。 一 第752条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務 二 第760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務 三 第766条及び第766条の3(これらの規定を第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務 四 第877条から第880条までの規定による扶養の義務 第766条の3(子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例) 父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合には、父母の一方であって離婚の時から引き続きその子の監護を主として行うものは、他の一方に対し、離婚の日から、次に掲げる日のいずれか早い日までの間、毎月末に、その子の監護に要する費用の分担として、父母の扶養を受けるべき子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額の支払を請求することができる。ただし、当該他の一方は、支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部の支払を拒むことができる。 一 父母がその協議により子の監護に要する費用の分担についての定めをした日 二 子の監護に要する費用の分担についての審判が確定した日 三 子が成年に達した日 2 離婚の日の属する月又は前項各号に掲げる日のいずれか早い日の属する月における同項の額は、法務省令で定めるところにより日割りで計算する。 3 家庭裁判所は、第766条第2項又は第3項の規定により子の監護に要する費用の分担についての定めをし又はその定めを変更する場合には、第1項の規定による債務を負う他の一方の支払能力を考慮して、当該債務の全部若しくは一部の免除又は支払の猶予その他相当な処分を命ずることができる。 民事執行法 第167条の17(扶養義務等に係る債権に基づく財産開示手続等の申立ての特例) 第151条の2第1項各号に掲げる義務に係る請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者が次の各号に掲げる申立てをした場合には、当該申立てと同時に、当該各号に定める申立てをしたものとみなす。ただし、当該債権者が当該各号に掲げる申立ての際に反対の意思を表示したときは、この限りでない。 一 第197条第1項の申立て 当該申立てに係る手続において債務者(債務者に法定代理人がある場合にあつては、当該法定代理人)が開示した債権(第206条第1項各号に規定する債権に限る。)又は次項の規定によりその情報が提供された債権に対する差押命令の申立て 二 第206条第1項の申立て 当該申立てに係る手続において同項各号に掲げる者がその情報を提供した同項各号に規定する債権に対する差押命令の申立て 2 前項に規定する場合(同項第一号に掲げる申立てをした場合に限る。)において、執行裁判所の呼出しを受けた債務者(債務者に法定代理人がある場合にあつては、当該法定代理人)がその財産を開示しなかつたときは、債権者が別段の意思を表示した場合を除き、執行裁判所は、債務者の住所のある市町村(特別区を含む。第206条第1項第一号において同じ。)に対し、同号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。 3 第205条第3項から第5項までの規定は前項の規定による裁判について、第208条の規定は当該裁判により命じられた情報の提供について、それぞれ準用する。 4 財産開示事件の記録中前項において準用する第208条第1項の情報の提供に関する部分についての第17条の規定による請求は、次に掲げる者に限り、することができる。 一 申立人 二 債務者に対する第151条の2第1項各号に掲げる義務に係る請求権又は人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者 三 債務者の財産について一般の先取特権(民法第306条第三号に係るものに限る。)を有することを証する文書を提出した債権者 四 債務者 五 当該情報の提供をした者 5 第210条第2項の規定は、前項第二号又は第三号に掲げる者であつて、財産開示事件の記録中の第三項において準用する第208条第一項の情報の提供に関する部分の情報を得たものについて準用する。 6 第1項の規定により債権に対する差押命令の申立てがされたものとみなされた場合において、執行裁判所が第197条第3項に規定する財産開示期日における手続の実施又は第2項若しくは第206条第1項の規定による裁判をしてもなお差し押さえるべき債権を特定することができないときは、執行裁判所は、債権者に対し、相当の期間を定め、その期間内に差し押さえるべき債権を特定するために必要な事項の申出をすべきことを命ずることができる。この場合において、債権者がその期間内に差し押さえるべき債権を特定するために必要な事項の申出をしないときは、差押命令の申立ては、取り下げたものとみなす。 人事訴訟法 第34条の3(情報開示命令) 裁判所は、第32条第1項の子の監護に関する処分(子の監護に要する費用の分担に関する処分に限る。)の申立てがされている場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 2 裁判所は、第32条第1項の財産の分与に関する処分の申立てがされている場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 3 前2項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、裁判所は、決定で、10万円以下の過料に処する。 家事事件手続法 第152条の2(情報開示命令) 家庭裁判所は、次に掲げる審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 二 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件 三 子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。) 2 家庭裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 3 前2項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、家庭裁判所は、10万円以下の過料に処する。 以上:3,387文字
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