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2010/ 8/16 第35号 弁護士権力

平成24年 2月29日(水):初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 「弁護士は、権力と戦い、人権を守っている」などと大きな声で言っている弁護士は沢山います。しかし、弁護士自身が権力者だと認識している弁護士はあんまりいないんですね。そんなわけで、私が小さい声で言っちゃいます。

 私が、自分が権力者側の立場にいると実感したのは、弁護士になった後、警察の駐車場で車をとめたときです。弁護士になる前は、何となくパトカーの隣に車をとめるのは避けていたんですね。

 ところが、弁護士になった後は、特に気にすることなく、パトカーの隣に駐車するようになりました。後から考えてみますと、どうも自分の後ろにも国家権力がついていると無意識にでも感じたが故の行動に思えるのです!(ほんまかいな?)一般の人にとって、弁護士からなにか言ってくるなどということは、大変なプレッシャーなはずですね。まさに、権力者として振舞えるわけです。

 相手を脅すような交渉方法は、普通の人がやれば恐喝罪ですけど、弁護士なら問題なく出来るのです。よく、「弁護士は、国家公認のヤクザだ。」なんて言われるのも、理由がありそうです。人のことは言えません。私だってよく、「10日以内にご連絡なき場合、民事及び刑事での手続きを取らせていただきます。」なんて感じの通知文を相手方に送っています。

 中には、本当に当方が正しいのか、必ずしも分からない場合もあるんですね。それでも、一応それなりの説明を受ければ、対応してしまいます。

 弁護士側の権力者意識が強いと、被害者がかえって弁護士に叱られたなんていうことも起こります。刑事事件で、被告人側の弁護士が、被害者と示談交渉をするような場合です。弁護士が、被害者に対して居丈高な態度で交渉するなんて話をよく聞きます。

 「この場合の損害賠償の相場はこの位なんだから、それで納得しないのはおかしい!」といった感じで話をする弁護士がかなりいるようです。これなど、被害者側として、権力者の弁護士にいじめられているように感じるでしょうね。

 さらに弁護士が権力者として、事務所の従業員に暴君ぶりを発揮するなんて話も良くあるんですね。この辺は、面白いことに、普段は人権人権などといっている弁護士ほど、自分の事務所では事務員さんの権利など無視した対応をしている例があります。法律関連の組織が集めている弁護士事務所従業員の声なんていうのがあるんですね。かなり皆さん、恨みつらみがあるようです。

 「法律家でありながら労基法などお構いなしの弁護士が多すぎる。労働条件を明確にしてほしいと申し入れたら解雇されてしまった。」「何年も給与は据え置きのままで、残業代はまったく出ない。弁護士達は労働問題の裁判に取り組み、労働組合の人たちを指導していながら、肝心の自分の足元は全く目に入らない。」「弁護士の事務員に対する労働条件の酷さに我慢できなくなり、労務協会に相談にいったが、相手が弁護士と知ると、『勝てる相手ではない。相手が悪すぎる』と言って、労基法違反なのに何のアドバイスもしてもらえなかった。」こんな声が、いくつも出てくるんですね。

 私は、サラリーマン生活が長かったため、何となく外部者の目で弁護士を批判的に見てしまうのかもしれません。しかし、弁護士は乱用しやすい権力を持った権力者なのだということは、忘れずにいたいと思うのです。

 
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 弁護士より一言

 うちの娘達が幼稚園児の頃、妻に対して、「パパの弁護士って、どんなことするの?」なんて聞いたそうです。「困っている人を助けてあげるのが、弁護士の仕事だよ。」なんて、妻は答えたんですね。最近、小学校中学年の娘と話していたら、娘は長い間、弁護士というのはアンパンマンみたいに、町中をパトロールして、困っている人がいたら食べ物をあげたりする仕事だと思っていたそうです。

 アンパンマンにはなれなくとも、せめて「弁護士権力」を振りかざすようなことだけはしないでいたいなと思ったのでした。

 引き続きコメントやご質問を楽しみにしております。

 (2010年8月16日第35号)
以上:1,634文字

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