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2012年7月16日発行第81号”ピント弁護士のコスト計算(2)”

平成24年 7月16日(月):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成24年7月15日発行第81号「ピント弁護士のコスト計算(2)」をお届けします。

○大山先生が言われるようにコスト計算を考慮してのアドバイスが出来る弁護士は、殆ど居ないと思われます。何故なら、一般に弁護士は必要なコスト計算までは出来ないからです。例えに挙げられている牛丼チェーン店の強盗対策ですが、強盗対策としての方策、その方策にかかるコストまで一般に弁護士は知りません。強盗対策のため全国約1800もある支店で深夜アルバイトを1人増やすのには1店舗1日当たり8000円かけると1日当たりコスト増は全店舗で約1500万円、年間365日で54億7500万円かかり、到底、現実的ではありません。

○結局、この問題は、警備費用の問題に帰着して、コストが安く且つ確実に警備してくれる警備会社を探すことになります。だとすると全国に存在する警備会社の詳細な情報が必要であり、普通の弁護士はここまでの情報を持っておりません。更に警備会社に当たりを付けて安い費用で確実な警備を実施を依頼する交渉についても弁護士に依頼するよりは会社の担当者が行った方がコスト的にズッと安く済むはずです。弁護士に依頼したからと言って安く有利になるとは限りません。

○この問題解決のために役立つ弁護士になるためには全国の警備会社についての詳細な情報網を持ち、且つ、安く確実な警備を実施する警備保証契約を締結する能力を持つことが必要になります。「企業が決断を下す前に相談できる弁護士」になるには、法律問題に限らない企業経営に必要な幅広い知識が要求されることになり、大変だなと実感します。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

ピント弁護士のコスト計算(2)

弁護士も、「リスクから生じるコスト」と、「リスク対応のコスト」を比較する必要があるのではないかという話しですね。

例えば契約交渉の場合、多くの弁護士は、「契約書をしっかり読んで、十分に検討しないといけない。適当に契約すると、後で大変なことになるので、時間をかけてしっかり交渉すべきだ。」なんてアドバイスするわけです。別にそれ自体は間違ってはいません。契約を適当に結ぶことから生じるリスクは、相当程度あります。

しかしその一方、契約のチェックや交渉には、時間と費用が相当かかります。交渉に時間をかけることで、せっかくのチャンスを失う場合も増えるでしょう。つまり、「リスク対応のコスト」もバカにならないということです。さらに、契約書をしっかり確認しなかったために後から問題となるケースは、確率的にはそれほど高いわけではないですよね。

「契約締結をいい加減にすることによるリスク」を問題にするならば、「契約対応に費用と時間をかけることのリスク」も考えないと、片手落ちになるのではないかということです。このように、コスト計算が必要となる事態は、企業活動の中で無数にあります。しかし、この問題点を解決するために、「リスク対応のコスト」のことまで考えてアドバイスしてきた弁護士が、どれほどいるのか、かなり疑問に思います。

もっとも、この問題はそんなに簡単ではありません。例えば、私が「すき家」の顧問弁護士だとしてみます。あの牛丼チェーンのすき屋ですね。

少し前に、すき家では、夜中に起こる窃盗や強盗の事件数が、吉野家など他の店舗に比べて、数倍多いなんて問題になりました。他のお店は、夜中にも店員が複数いるのに、すき屋では1人きりで対応していた。それで、犯罪者に目をつけられたわけです。

ところで深夜にアルバイトを1人増やすと、1店舗当たり8000円程度は余分にお金がかかりそうです。すき屋は全国で約1800店舗以上あるんです。そうしますと、1 日当たり1500万円程度、余計なコストがかかってくるわけです。一方、強盗が仮に毎日、すき屋のどこかしらの店舗に入ったとしても、被害は1日当たりせいぜい10万円程度ですよね。そうしますと、強盗で1日10万円失うリスクに対応するため、人を1人増やすことで1日1500万円のコストをかけることになるわけです。

こういう場合に、すき屋さんから、「顧問弁護士として意見を聞かせて欲しい」などと言われたら、何と答えるべきなのか考えてしまいます。可能性は低くても、強盗によって従業員やお客さんが怪我をすることまで考えて、「人を増やさないといけない。」と言うべきでしょうか。それとも、安全のためには、もっと低い費用でセキュリティー対策を考えれば十分というべきでしょうか? 非常に悩ましいところです。

これまで弁護士は、こういう問題に対してコスト計算などせずに、リスクを避けて安全な方安全な方へとアドバイスするのが通常だったと思います。

逆に企業の立場としては、どうするのか決める段階では、弁護士には聞きませんでした。企業内部で安全策を取ろうという結論が出た後に、その結論を強化する目的で、弁護士の意見を聞いていたんですね。これからは、企業が決断を下す前に相談できる弁護士が、求められている気がするのです。

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◇ 弁護士より一言

小学校1年生の息子に、「大きくなったら、パパみたいな弁護士になる!」なんて言われました。息子は弁護士の仕事など、何も知らないはずです。そこで、「どうして弁護士がいいの?」と聞きました。

「パソコンをダダダッて打っているところが、かっこいいから!」 そ、そこですか。。。

5年生の娘にも言われました。
「私も弁護士になる! いっぱい勉強して、お金儲けするよ!!」 こ、こいつは。。。

引き続きコメントを楽しみにしております。
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