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2017年09月01日発行第204号”ホトトギスの労働問題”

平成29年 9月 1日(金):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成29年9月1日発行第204号「ホトトギスの労働問題」をお届けします。

○労働者をホトトギスにたとえての話しですが、信長はアメリカ型合理主義者だったことに改めて気付かされました。アメリカでは、役に立たないなら直ぐに解雇出来るのが原則のようですが、役に立つか立たないかの判断期間と判断基準が問題になります。当事務所には、ここ20年以上、同一の常勤事務員3名、非常勤事務員1名でやってきましたが、勤務歴が長い分、それぞれに大変役に立って頂いています。

○ここ2年はさらに2名の勤務弁護士が加わっていますが、弁護士の場合は、従業員の役割の外に自分の個人事件が出来るので独立の経営者も兼ねています。現在の2人の勤務弁護士には、当初から、独立の経営者の面を強調し、事務所の事件より個人事件獲得に励むよう指示して、2人ともそれなりに努力して成果を上げています。

○私の場合、ホトトギスのたとえで表現を考えると、
鳴かずとも無理に鳴かすなホトトギス
でしょうか。無理に鳴かそうとすると、結局、離れてしまいます。法律事務所には、スタッフの入れ替わりが激しい事務所がありますが、中途半端な期間の勤務では、本来持っている鳴く能力も発揮できず終わることが多く、結局、多くの無駄を作るだけです。役に立つか立たないかの判断期間は長く、判断基準は緩くした方が、最終的には役に立って頂けると思っております。と、背伸びをしてしまいました(^^;)。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

ホトトギスの労働問題


弁護士のニュースレターらしく、たまには法律問題を扱います。うちで力を入れている労働問題です。
問題社員を何とかしたというのは、企業にとって深刻な問題ですね。こういうことは、戦国時代の昔からあったようです。役に立たない部下をどうするかについて、信長、秀吉、家康の有名な話がありますね。

鳴かぬなら殺してしまえホトトギス
これはもちろん、織田信長です。こういう人に仕えるとなると、私なんかビクビクしてしまいます。

鳴かぬらな鳴かしてみせようホトトギス
こちらは、人使いの名人、豊臣秀吉です。どんな暴れ馬でも乗りこなして見せるという自信を感じます。新興企業のヤリ手社長にいそうな気がします。

鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス
これなんか、高度経済成長期の日本の大企業の考えのように思えます。少々役に立たない人間でも抱えておけば、そのうち仕えるかもしれないという、大企業の自信です。さすが、江戸幕府を作った家康です。

戦後の高度経済成長期で活躍した松下幸之助が、
鳴かぬならそれもまたよしホトトギス
と詠んだのも、家康と同じような自信があったからでしょう。どこかしらで、この人も役に立つことができるはずだ、自分ならそれができるという自信です。

うちの事務所は、多くの労働事件を扱っています。うちに来る労働事件を見ていると、多くの中小企業で、問題社員の扱いに困っているのがよく分かります。問題社員と言われている人の中には、会社から「何もしないほうが良いので、給料だけ支払うから、会社に来ないでくれ。」とまでいわれていても、本人には自覚がなく、「自分は会社の役に立っている、悪いのは他人だ!」と、心から信じているみたいです。

こういう社員に対して、アメリカの法律では、基本的に、バッサリと首をはねることができます。
鳴かぬならお前はクビだホトトギス
これは、日本企業から見れば、うらやましいことかもしれません。しかし、アメリカの場合、労働契約で、それぞれの従業員の職務範囲が決められています。つまり、「鳴くこと」が職務範囲に入っているからこそ、それができない場合には、解雇できます。

それに対して日本の場合、特に「何が職務だ」と決めずに採用するのが一般的です。こういう事情も相まって、日本の裁判所は余程のことがないと解雇を認めません。
鳴かぬのは会社が悪いホトトギス
というのが、日本の裁判所の基本的な考えです。具体的に裁判所が会社に求めるのは、次の2点です。
鳴くように教育しなさいホトトギス
鳴く場所に移せばいいでしょホトトギス


大企業ならこれも可能かもしれませんが、「中小企業にここまで要求するの?」という不満は消せません。
この不満をあるとき労働裁判の裁判官にぶつけたら、すまなそうに、「まあ、法律ですから。。。」と言われました。

法律は、「悪」の資本家から従業員を守るという建前で作られています。世の中には、「ブラック企業」としか言えない会社が存在するのも事実です。しかし、多くの中小企業は、苦しい資金繰りの中、従業員のために頑張っているのです。サボってばかりいるくせに、「仕事をしろ!」と怒られると、「パワハラだ。」なんて騒ぎ立てる従業員を何とかしたいものです。
鳴けですかそれはパワハラホトトギス

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◇ 弁護士より一言

弁護士には、それぞれ得手不得手があります。法律知識にたけている弁護士は、見通しが良いだけに、お客様が何を言っても冷静に「それはこうなります。」と返答します。お客様にとっては、それが冷たく感じられるんですね。見通しが悪い弁護士の場合、お客様の問題提起をうけて、本気で悩み、真剣に考えます。その態度が、信頼につながっていくことも、よくあることです。
鳴けぬことそれが強みだホトトギス

仕事がらみだと、こういう風に考えられるのに、子供のことになると「世間並みに鳴いて欲しい。」と思ってしまう。あ、アホか!と自分に言いたいです。ううう。。。
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