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2020年08月01日発行第274号”弁護士の月と六ペンス”

令和 2年 8月 2日(日):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和2年8月1日発行第274号「弁護士の月と六ペンス」をお届けします。

○「100万本のバラ」と言えば加藤登紀子さんですが、演歌派の私には殆ど興味が無く、その歌詞の中身を確認したことはなく、殆ど知りませんでしたが、ネットで歌詞を見ると、感性の乏しい私には、なんとも悲しい非現実的な内容としか感じませんでした。大山先生の、「貰う人の立場など考えずに、自分の価値観だけで突き進む」との感想もごもっともです(^^)。

○モームの代表作「月と六ペンス」の存在は知っていましたが、小説は殆ど読まない私は、勿論、読んでおらず、「「月」は狂気のような情熱を、「六ペンス」は世俗的常識的な価値観を表す」なんて全く知りませんでした(^^;)。いつものことながら大山先生のおかげで僅かでも教養を積んでゆきます。「善人だが才能がない人」って、正に私が典型的に当て嵌まるような気がして、少々気が滅入ります。しかし、「才能がなくても、兎に角、善人でいいじゃないか」と、「善人」を徹底してゆきます(^^;)。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士の月と六ペンス


先日、シャンソンを聞きに行きました。曲の中に、「100万本のバラ」というのがあったんです。女優に恋をした貧しい絵描きが、100万本のバラをプレゼントしたという歌なんですが、聴いていていろいろと気になっちゃったのです。バラの花って、安いものでも1本200円はしますから、100万本送るためには、最低でも2億円は必要です。そもそもこの画家は、「小さな家とキャンバス他には何も」持ってなかったそうです。おそらくこの家は、父親から相続したものだなと、思わず推理します。一人暮らしならまだしも、この家には母親と病弱な妹が住んでいたかもしれません。そんな家を売って、バラのための2億円を作ったとしたら、母と妹はどうなったのだろうかと心配になったのです。(あ、あほか。。。)

大体、こういったプレゼントをする人は、貰う人の立場など考えずに、自分の価値観だけで突き進んでいきます。周りの人を不幸にしても、自分だけは満足するんですね。ただ、画家として大成するには、このくらい変な人の方が良いような気もするのです。ということで「月と六ペンス」です。画家のポール・ゴーギャンをモデルにした、モームの小説です。証券会社でサラリーマンをしていた主人公は、妻と娘達を残して、いきなり失踪します。失踪の理由について主人公は、「画家になりたかったんだ」というんです。とても迷惑な人です。残された妻子はもちろん、大変困窮します。(もっとも、後に主人公が画家として有名になると、妻子も手のひらを返して、主人公をほめるんですけど。。。)

考えてみますと、これって司法試験にもあります。それまで会社員をしていたのに、「弁護士になるんだ」といって会社を辞めて受験勉強を始める人なんて、よく聞きました。これなんか、家族の同意なしでやられると、大変迷惑なことになります。(会社員から弁護士に転身した私が言いうのもなんですけれど。。。)月と六ペンスというタイトルですが、「月」は狂気のような情熱を、「六ペンス」は世俗的常識的な価値観を表すそうです。

この本には、主人公のほかにもう一人の画家が登場します。この人は、狂気を帯びた芸術家の主人公と違い、画家としての才能は非常に乏しい。しかし、他人の才能を認めることができる人で、周りの人に愛されて暮らしていく人です。この人は、困窮していたから家に引き取った主人公に、自分の妻を寝取られても、最後まで主人公のことを認め続けます。さすがに私も、「それはいくら何でもやり過ぎだろう」と呆れかえるほど、「良い人」なんです。こういう、「迷惑だが才能がある人」と「善人だが才能がない人」って、どの分野にもいそうです。弁護士の場合、いわゆる「人権派弁護士」と言われる人の中には、凄いと言いましょうか、はた迷惑と言いましょうか、本当に大変な人がいます。

戦中戦後に活躍した、正木ひろし弁護士なんて有名です。警察での取り調べ中に死んでしまった被疑者がいました。警察官が首を締めたことが原因ではないかと疑った正木弁護士は、亡くなった被疑者の墓から、遺体の首を持ち帰って鑑定に回し、警官の犯罪を立証したのです。「そこまでするのか!」と、感動するというか、呆れかえりましたね。別の事件では、有罪判決が確定したのに、「犯人は別にいる」と主張して、「真犯人」を名指しまでしています。さすがにこれは、「あんたはコナン君かよ。。。」と言いたくなります。そもそもこういうタイプの弁護士は、顧客の要望など無視して、貰っても迷惑な「100万本のバラ」を届けるようなこともしちゃいそうです。一方、人柄が良い、常識的な人だが、弁護士としての熱意も実力もない人は、やはり困ります。天上の月を見上げることは忘れないが、足元の六ペンスを大切にする。そんな弁護士になりたいものです。

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◇ 弁護士より一言

事務所の打ち合わせ室には、実はゴーギャンの版画があるんです。イソップの寓話など題材にした、とても可愛いものです。見つかった版木から刷られたという微妙な作品です。しかし、来訪者には、「ゴーギャンの本物の版画です!」と自慢しています。。。
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