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2023年09月16日発行第349号”緋色弁護士の研究”

令和 5年 9月17日(日):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和5年9月16日発行第349号「緋色弁護士の研究」をお届けします。

○「TS協会主催シャーロック・ホームズ講演会」記載の通り、数年前まで東北スコットランド協会を細々と継続していた時、企画の一つとして、「シャーロック・ホームズ講演会」を開催したことがあります。東北スコットランド協会の熱心な会員の一人で、県南某市の泌尿器科内科クリニック院長さんが、筋金入りのシャーロッキアンとのことで、シャーロック・ホームズについてご見解を開陳されました。しかし、シャーロック・ホームズシリーズを全く読んで居ない私は、その中身は全然覚えていません(^^;)。

○大山先生は、子供の頃からシャーロック・ホームズシリーズを熱心に読まれていたようで、シャーロッキアンのお一人なのでしょうか。日本シャーロック・ホームズ・クラブの会員となられて、納得できないホームズ先生のお言葉等を開陳すれば勉強になりそうです。それにしても洋の東西を問わず、幅広く古典から現代までの作品を読まれて、自分なりの見解をお持ちの大山先生の溢れる教養にはいつも感心させられます。私も、せめてシャーロック・ホームズシリーズの映画になったものを探して鑑賞してみます。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

緋色弁護士の研究

「緋色の研究」は、名探偵シャーロック・ホームズの記念すべき第1作です。巻を重ねるごとに、ホームズはまともな人になりますが、第1作では、薬物中毒で推理以外には興味のない、完全に変な人です。ルームシェアの相手を探していて、紹介された退役軍医のワトソンに会って、最初に言った言葉が、「アフガニスタンからお戻りですね?」でした。

「中間の推理をことごとく消し去って、ただ出発点と結論だけを示すと、相手をびっくりさせる効果は十分だ」なんてホームズ先生は言っていました。まずは初対面からガツンと行ったんでしょうけど、私がワトソンなら驚くと共に、「こんな変な人とルームシェアして良いのだろうか?」と心配になりそうです。

ただ、軍医であることに加えて、負傷状態など見れば、恐らく「アフガニスタン帰り」なのは、ホームズでなくとも推理できそうな気はしちゃいます。当時はイギリスがアフガニスタンに出兵していました。その後、フランス、ソ連、アメリカと、アフガンに出兵しては、火傷して手を引いていますから、人間というのはあまり進歩しないものかなと感じてしまうのです。

「緋色の研究」という題名は、次の有名なセリフから来ています。「人生という無色の糸の束には、殺人という緋色の糸が一本混じっている」のだそうです。ほ、本当ですか?私も弁護士稼業をかなり長くしていますが、殺人未遂はともかく、未だに殺人事件の弁護はしたことないんです。世の中に、そんなに沢山「緋色の糸」があったら怖いです。

ホームズ大先生は続けます。「探偵の仕事は、その糸の束を解きほぐし、緋色の糸を引き抜いて、糸の端から端まで白日のもとにさらすことなんだ」なんか、とてもカッコいいと感心する一方、よく考えてみると、「探偵の仕事は、殺人事件の犯人を見つけること」と言っているだけのような気もしちゃいます。

このニュースレターを読んでいる人の中にも、ホームズのファンが沢山いそうなので心配ですが、私は子供のころからホームズ先生のお言葉には、納得できませんでした。ホームズの推理方法を述べた次の言葉は、とても有名です。「不可能なことを消去していくと、いかに奇妙に見えても、最後に残ったものが真実である」でもこれ、50年前に読んだときから、「これはおかしい」と思ったのです。だって、いろいろな可能性を検討していたけれど、どれをとっても納得できなかったんです。

そういう中で、何をもって「不可能」と断じて、何をもって最後に残った「奇妙な事実」とするのか、その基準が分からないというのが、子供のころの私の疑問だったのです。その頃は、「そのうち分かるようになるだろう」と、軽く考えていましたが、還暦を迎えてみても、その違いが分かりません。

これって、検討するときの、順番の問題としか思えないのです。A、B、Cと三つの可能性があるが、どれを取ってもあり得無そうという状況下での問題です。最初にAとBを「不可能」だと結論付けたら、Cについては「どんなに奇妙でも真実」と認定できます。でも、BとCを最初に不可能としたら、奇妙な真実はAになるでしょう。実際問題、多くの推理小説を映画化などするときに、「犯人は原作と違います」なんていうのがありました。そういうことが可能になるくらい、推理小説の「真実」はいい加減なんです。

ただ、考えてみますと、裁判による事実認定も、これと似たようなことはあります。限られた証拠での事実認定というのは本当に難しい。どちらの言い分が正しいのか、判断が付かないことはよくあります。司法修習のときに裁判官から、「双方ともおかしなところがあるので、どちらを勝たせて良いのか分からない」なんて聞いたこともありました。こういうときの判決は、負かす方の主張を「それは不可能であり得ない」と退けてから、勝たす方の主張は大した理由も付けずに「どんなに奇妙でも、これが正しいとしか考えらえない」といったものになります。

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◇弁護士より一言


ホームズ先生、こんなことも言っていました。「腹が減っているときの方が、頭の回転が良くなる。僕は頭脳で、残りの部分はただのおまけだ」か、カッコいい!私が減量始めたころ、やはり減量始めた息子が言ってました。「お腹がすくと、ご飯のことしか考えられなくなるよね!」た、確かに。。。親子揃って、名探偵にはなれないなと、思い知らされたのでした。
以上:2,460文字

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