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被害者側弁護士のための顧問医制度が欲しい

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平成18年 7月30日(日):初稿
○平成18年7月11日更新情報「取扱困難事案及び解剖学参考文献紹介」で紹介した「弁護士の為の交通外傷:後遺障害教本」で著者の宮尾クリニックの宮尾益和氏は序文で、「損害保険会社の顧問医としての仕事を開始したのは平成元年であるから、かれこれ16年の長きに及ぶ。」と述べられています。

○その仕事内容は「主として交通外傷に関わるもので、各医療機関の診断書や明細書の内容のチェック、医療アジャスターや医療主事からの相談への対応、医療講演、裁判事案に対しての意見書や鑑定書の作成である。」とされていますが、このような顧問医を抱える損保会社が誠に羨ましいと思いました。

○保険会社には内部に医療アジャスターがいて医療情報の分析、医療機関・担当医への訪問や文書照会等による受傷者に対する医療行為等の内容確認を通じ、「治療内容・治療費の妥当性についての判断」「治療期間の妥当性についての判断」「その他情報収集」を行い報告書を作成させています。

○医療アジャスターは、看護師や薬剤師等の医療関係有資格者から募集して、入社直後の6ヶ月間は本社で集合研修を実施し、配属後においても現場研修に加え、段階的な本社集合研修、社外の研修機関への派遣、通信教育受講等の教育プログラムを用意されるなどして育成されるようです。

○これに対し被害者代理人となる弁護士側には、到底、顧問医を抱えるほどの資力はなく更に事務局員を医療アジャスター並に育成することも出来ず、後遺障害を巡ってその程度、因果関係等が争いになる事案については、弁護士自身が付け焼き刃に勉強をして、保険会社側の専門家の医師や訓練された医療アジャスターに対抗しなければなりません。

○交通事故外傷は殆どが整形外科に関連し、私の場合、整形外科医の知人にたまに相談をしていますが、彼も多忙でじっくり時間をかけての相談は無理な状況で、大量の資料を渡して意見書や鑑定書を作成して貰うことは到底出来ない状況です。

○現在10数件の交通事故訴訟事件を抱えていますが、弁護士依頼をする事案は、何れも「取扱困難事案及び解剖学参考文献紹介」で紹介した様に、交通外傷の内容、結果等に大きな難しい問題を含んでおり、相当な医学知識が必要です。そこで被害者側弁護士にも顧問医制度が必要性を痛感しており、これをどのように制度化するか、日弁連業革委員会で議論したいと思っています。
以上:976文字

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