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脳梗塞既往症による後遺障害発症後のむち打ち症事例4の2

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平成21年 9月26日(土):初稿
第3 争点に対する判断
1 争点(1)について
 (1) 上記基礎となる事実に証拠(甲12,乙1,21ないし23,27,31ないし34,分離前の平成17年第○○号原告F本人,X本人,被告Y1本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。

ア 本件事故現場付近の状況の建物や道路の位置関係の概要は,別紙交通事故現場見取図のとおりである(衝突時の位置関係や停止車両の有無等については,後記のとおり,同図記載のとおりとは認められない。)。

イ Xは,X車両を運転して,国道○○号線を△△町方面(西)から○△方面(東)に向けて,片側2車線の道路の中央よりの車線を時速約30ないし40キロメートルの速度で走行し,本件事故現場である仙台市○△区□□先路上に差し掛かった。

ウ 本件事故現場のXの進行方向に向かって左側には,仙台市○△区□×所在の×△というマンション,(以下「本件マンション」という。)があり,その駐車場からは,通路を経由して車道の脇の歩道を横切り,国道○○号線に出るようになっている。また,本件マンションの駐車場から国道○○号線に出る通路は,歩道から車道に出るところで縁石が低くなっているが,その通路部分より△△町側の部分では,歩道と車道の間に緑石がある。

エ 被告Y1は,本件マンションの駐車場から被告車両を運転して,国道○○号線に右折で進入し,△△町方面に進行しようとして,本件マンションの駐車場から通路を経由して,歩道上の手前でいったん停止して歩道の安全を確認し,さらに歩道に進入して,車道の安全を確認していた。すると,△△町方面から国道○○号線の第1車線を走行してきた本件トラックが,被告車両が停止している右手前で停止したので,被告Y1は,発進し,車道に出て右折を開始したところ,本件トラックの右後方を直進してきたX車両の左前部と被告車両の前部が衝突した。

オ このとき,被告Y1は,本件トラックが停止したことから 車道に進入して右折できるものと思っており,第2車線の車両の走行状況については確認しないまま,第2車線を横切って右折しようとしていた。

力 被告Y1は,本件マンションに居住しており,本件駐車場から国道○○号線に進入する通路の状況等についてはよく知っていた。

(2) 被告Y1は,車道の手前で一時停止した後,車道左方の信号機(本件信号機)の表示が赤色となって,国道○○号線の第1車線を△△町方面から○△方面に進行していった車両が,同信号機手前の停止線のところで停止し,その後続車両である本件トラックが,少し間を開けて停止して,その運転手が,被告Y1に対し,前方通過を許す合図をしたので,発進して車道に出て右折を開始したところ,本件事故が発生した旨の供述をする。

 しかし,被告Y1は,本件マンションの駐車場から車道に至る通路を通って,車道手前の歩道部分でいったん停止していたのであり,通常であれば,通路部分をそのまま進んで,緑石が低くなっているところから車道に進入するために待機したものと考えられるが,被告Y1が供述するように,本件信号機の停止線の所に車両(被告Y1は,普通車のセダンであったと供述する。)が停止していたのであれば,被告Y1の停車位置からそのまま車道に進入するには,その停止車両が障害になるものと考えられる。

 また,その停止車両を避けて車道に進入するとすれば,被告Y1は,本件マンションの駐車場からの通路の少し左寄りを通ることになり,歩道の緑石が高くなっている部分から車道に出たものと考えられるが,被告Y1は,歩道のどの位置から車道に出たかについてはあいまいな供述をしている。

 このことに,被告Y1が主張するような本件信号機の手前の停止車両はなく,本件信号機の信号は青色を表示していて,△△町方面から○△方面に向かっての走行は流れていた(ただし,本件トラックが本件マンションの正面で停車したことを除く。)旨のXの供述を総合すれば,被告Y1が本件事故直後の実況見分の時から,本件信号機手前に停止車両があった旨の供述をしていたことを考慮しても,被告Y1の上記供述のうち,本件信号機の表示が赤色になったという部分と本件信号機の手前に停止車両がいたという部分は採用できないというべきである。他に被告Y1の上記主張を認めるに足りる証拠はない。

(3)また,被告Y1は,本件事故は,被告車両の前部中央付近とX車両の左前角部が衝突したものである旨の供述をするが,証拠(乙2 3)によれば,X車両は,左側前輪の前部付近に大きな損傷があり,左前のフロント部分は,ボンネットが持ち上がっているが,左前のライトに割れるなどの破損はみられないことに,X本人尋問の結果を総合すれば,X車両の左側前輪の前部付近に被告車両が衝突したものと認めるのが相当である。

(4)なお,乙1の交通事故現場見取図記載には,被告Y1が主張する本件信号機手前の駐車車両が記載され,また,X車両と被告車両の衝突状況についても,被告Y1の供述に沿うような記載がされているが,証拠(X本人,被告Y1本人)によれば,Xは,本件事故後間もなく救急車で病院に搬送されており,その前に,臨場した警察官に衝突地点について概略の説明はしたが,実況見分自体には立ち会っていなかったにもかかわらず,上記の交通事故現場見取図に係る実況見分調書には,Xも立会人として記載されているなど,記載内容に疑問があるものであることや,本件事故の態様についての上記認定に照らして,本件信号機手前の停止車両の存在や衝突状況についての同図面の記載を採用することはできない。

2 争点(2)について
(1)上記の本件事故の態様によれば,被告Y1は,路外から車道に進入するに当たり,車道の安全を確認する義務を怠って本件事故を引き起こしたものである。特に,被告Y1は,本件マンションの駐車場から車道に出て右折するには,片側2車線の○△方面向きの車線を横切って反対車線に進入することになるのであり,第2車線を走行する車両は,第1車線を走行する車両よりも,路外の車両の動静を見極めることが難しいと考えられるのであるから,第1車線を走行していた自動車が停止し,被告Y1に道を譲ったとしても,第2車線の安全を十分に確認する義務があるところ,それを怠ったのであるから,被告Y1の過失は重大なものがある。

(2)これに対し,Xからすれば,片側2車線の道路の第2車線を走行中,第1車線を走行していた車両が停止し,その影から被告車両が出てきて本件事故に遭ったことになるが,このような場合であっても本件道路の状況等に照らせば,路外からの進入車両の有無に全く注意を払わなくてよいとまでいうことはできず,一定の過失があったことは免れない。

(3)以上によれば,本件事故についてのXと被告Y1の過失割合は,1対9とするのが相当である。
以上:2,796文字

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