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加害者請求権消滅時効理由での保険会社への直接請求否認判例全文紹介2

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平成26年 4月15日(火):初稿
○「加害者請求権消滅時効理由での保険会社への直接請求否認判例全文紹介1」の続きです。


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2 争点及ぴ争点に対する当事者の主張
(1)本件各事故を原因とする低髄液圧症候群の発症の有無(争点1)

(原告の主張)
 原告は、本件各事故の競合により外傷性の低髄液圧症候群を発症した。このことは、第1事故後の医療記録において低髄液圧症候群の特徴である起立性頭痛をうかがわせる記載があることや、第2事故後の医療記録において低髄液圧症候群であることを示す検査結果及ぴ診断が記録されていることから明らかである。

(被告らの主張)
 原告が外傷性の低髄液圧症候群を発症したことは否認する。第1事故後の医療記録に起立性頭痛に関する記載はなく、客観的に認められる原告の症状や検査の結果は、低髄液圧症候群に関する一般的な診断基準にも合致していない。

(2)後遺障害及び症状固定日(争点2)
(原告の主張)
 原告は、本件各事故の競合により低髄液圧症候群を発症したところ、その後遺障害の程度は、自賠法施行令別表第二第12級1自号の「局部にがん固な神経症状を残すもの」に相当する。原告は、平成19年3月27日から低髄液圧症候群の治療を受けており、症状固定日を平成24年4月17日と診断されている。

(被告三井住友の主張)
 原告は、第1事故により類椎捻挫の傷害を負ったところ、その後遺障害の程度は、後頚部痛、頭痛を主訴とする他覚所見のない軽微な受傷であることから、自賠法施行令別表第二第14級9号の「局部に神経症状を残すもの」に相当する。これは、最大6か月程度で治癒するから、第1事故から約8か月後の第2事故の前日(平成18年7月2日)までには治癒し、症状が固定していたはずである。

(被告日新の主張)
 後遺障害の程度については、被告三井住友の主張と同じであるが、症状固定日は、医師の診断により第2事故後の平成19年2月3日である。

(被告共栄の主張)
 後遺障害の程度については被告三井住友の主張と同じであり、その余は争う。

(3)第2事故後の症状につき本件各事故の寄与割合(争点3)
(原告の主張)
 原告は、本件各事故の競合により低髄液圧症候群を発症して後遺障害を残したところ、原告が実際に感じた事故の衝撃を踏まえると、原告の後遺障害に対する寄与の割合は、第1事故が80だとすると、第2事故ぱ20とすべきである。

(被告三井住友の主張)
 原告が低髄液圧症候群を発症したとの事実は、そもそも認められないから、本件各事故の寄与の割合を論じる前提を欠く。このことを措くにしても、事故の寄与の割合を原告の主観的な感覚のみに基づく尺度から認めることは相当でない。

(被告日新及び被告共栄の主張)        レ
 第2事故の寄与の割合は争う。

(4)損害額(争点4)
(原告の主張)
ア 治療費
(ア)第1事故単独分 5200円
 原告は、第1事故後、別紙5「第1事故分のみ通院明細一覧」のとおり通院して治療費を支出したところ、第1事故単独分の治療費は、別紙6「第1事故分のみ通院まとめ」の「治療費」欄のとおりである。
(イ)本件各事故競合分 52万1532円
 原告は、第2事故後、別紙7「第1に2事故競合治療費関係費明細一覧」のとおり入通院して治療費を支出したところ、本件各事故競合分の治療費は、別紙8「第1、2事故競合治療関係費まとめ」の「治療費」欄のとおりである。

イ 入院雑費         ≒
(ア)第1事故単独分 なし
(イ)本件各事故競合分 2万7000円
 原告は、第2事故後、別紙7のとおり入通院して入院雑費を支出したところ、本件各事故競合分の入院雑費は、別紙8の「入院雑費」欄のとおりである。

ウ 通院交通費
(ア)第1事故単独分 なし
(イ)本件各事故競合分 18万8590円
 原告は、第2事故後、別紙7のとおり入通院し通院交通費を支出したところ、本件各事故競合分の通院交通費は、別紙8の「通院交通費」欄のとおりである。

エ 休業損害
(ア)第1事故単独分 116万7400円
(イ)本件各事故競合分145万9250円

オ 通院慰謝料
(ア)第1事故単独分 100万円
(イ)本件各事故競合分200万円

カ 後遺障害慰謝料
(ア)第1事故単独分 なし
(イ)本件各事故競合分 300万円

キ 逸失利益                           レ
(ア)第1事故単独分 なし               、
(イ)本件各事故競合分 628万6238円

ク 弁護士費用
(ア)第1事故単独分 21万円
(イ)本件各事故競合分 1 3 0万円

ケ 損害額の合計
(ア)第1事故単独分 238万2600円
 別紙「原告第1事故固有損害~被告主張損害比較表」のとおりである。
(イ)本件各事故競合分 1478万2610円
 別紙10「原告第1、2事故競合損害2~被告主張損害比較表」のとおりである。

コ 被告らの支払額
(ア)訴外Aの自賠責保険会社としての三井住友(第1事故関係)
 第1事故による原告の後遺障害は、白賠法施行令別表第二の第12級相当であり、自賠法の損害賠償額は224万円であるところ、原告は、平成24年10月9日、訴外Aの自賠責保険会社である被告三井住友から自賠法の損害賠償額75万円を受領したから、被告三井住友に対し差額の149万円の支払を求める。

(イ)訴外Aの任意保険会社としての被告三井住友(第1事故関係)
 第1事故単独分の全額と本件各事故競合分の80%とを合計した損害額について、第1事故日からの遅延損害金を計算し、自賠法の損害賠償額75万円(前記(ア))を充当すると、別紙11「甲野花子三井住友分損害弁済売当表」のとおり、訴外Aの任意保険会社としての被告三井住友は、原告に対し、1686万9712円(=損害額1420万8688円十確定遅延損害金490万1024円一自賠法の損害賠償額75万円一前記(ア)の別途請求している未払の自賠法の損害賠償額149万円)及ぴうち1420万8688円に対する平成24年10月10日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払うべきである。
 なお、上記とは別に、被告三井住友は、訴外Aの任意保険会社として、原告に対し、治療費約128万円、タクシー代約108万円、その他費用5万円を支払ったところ、治療費は、本件請求から除外した治療費にすべて充当し、タクシー代は、本件請求から除外した通院交通費等にすべて充当しており、その他費用は、本件請求から除外した仙台整形外科の通院治療費4万3361円に充当したから、その残額の6639円のみが第1事故の損害に充当されるにとどまる。

(ウ)訴外Bの自賠責保険会社である被告共栄(第2事故関係)
 第2事故による原告の後遺障害は、自賠法施行令別表第二の第12級であり、自賠法の損害賠償額は224万・円であるところ、原告は、平成24年10月5日、訴外Bの自賠責保険会社である被告共栄から自賠法の損害賠償額75万円を受領したから、被告共栄に対し差額の149万円の支払を求める。

(エ)訴外Bの任意保険会社である被告日新(第2事故関係)
 本件各事故競合分の20%の損害額について第2事故日から遅延損害金を計算し、自賠法の損害賠償額75万円(前記(ウ))を充当すると、別紙12「甲野花子日新火災分損害弁済充当表」めとおり、訴外Bの任意保険会社である被告日新は、原告に対し、313万2763円(=損害額295万6522円十確定遅延損害金92万6241円-自賠法の損害賠償額75万円)及ぴうち295万6522円に対する平成24年10月6日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払うべきである。


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