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統合失調症既往症患者頚随損傷被害交通事故損害賠償請求事件顛末6

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平成27年 4月 8日(水):初稿
○「統合失調症既往症患者頚随損傷被害交通事故損害賠償請求事件顛末5」を続けます。
16歳で統合失調症を発症して、以来、無職無収入であったAさんが40歳で交通事故に遭い、頚随損傷で別表第一第1級後遺障害となるも、事故形態がAさんの赤信号無視自転車走行横断のためAさんに85%の過失があるとして、加害者側保険会社は、自賠責保険金を超えた損害は発生しないと断定し、一切の交渉を拒否していた事案です。

○年齢40歳での頚随損傷で別表第一第1級後遺障害の事案は、通常、2~3億円の損害賠償が認められます。症状固定時年齢を41歳とすると、ごく大雑把には、将来稼働期間26年間の逸失利益1億円、平均余命期間40年間の将来介護料1億2000万円に休業損害・慰謝料・後遺障害に伴う住宅改造費等・将来雑費等種々の損害合計額が1億円前後認められるからです。

○ところがAさんの場合、16歳で発症した統合失調症で労働経験がなく、将来収入がないと認定されると逸失利益1億円がバッサリ削られます。当然、休業損害も認められません。更に本来3000万円程度認められるべき1級後遺障害慰謝料も、既往症統合失調症による減額を主張されると相当程度削られます。

○その上、本件では、検察側はAさんが赤信号を無視して横断歩道を渡ったと認定し、結果は死亡にも比肩する重大事故にも拘わらず加害者は略式起訴となり僅か20万円の罰金刑で済んでいます。この赤信号横断過失割合を基準通り85%に認められるとAさんが取得できる損害賠償金は、仮に統合失調症による既往症減額後の全損害を1億8000万円としても、その15%相当額の2700万円にしかなりません。

○ところが、Aさんの自賠責保険金は、既往症減額12級相当後遺障害分だけで、また、過失割合減額もされず、3776万円が支給されました。これは私も想定外で、Aさんの家族と一緒に大喜びでした。そこで勢いづいてAさんは青信号で渡ったと主張して、さらに統合失調症も改善されて今後は普通の人と一緒の逸失利益も認めるべきと主張して、既往症減額ゼロで3億5000万円を請求する訴えを提起しました。しかし、私自身としては、既に自賠責保険金3776万円を受領しており、5000万円も回収できれば上出来との本音でした。

○この巨額の訴えに対し、保険会社側は、当然、既往症減額・過失割合減額によってAさんの損害額は大幅に減額され、自賠責保険金受領によってもはや支払分はないと強力に主張してきました。最大の争点は、過失割合であり、次に将来の逸失利益は保険会社がゼロを主張し、更に将来介護料も保険会社側は低い金額の裁判例を取り上げてAさん請求額一日2万円は高すぎると争いました。

○保険会社側と主張の遣り取りが数回続き、さらに意外なことに将来介護料に関してはAさんにとって有利にも取れる内容の保険会社側顧問医意見書が提出され、書証による立証終了時点で、裁判所からAさんの過失割合50%を前提とする和解案として金8000万円の提案がありました。Aさんにとっては有り難い和解案で直ぐに受け入れたのですが、保険会社側は、到底応じられない金額として速やかに拒否され、加害者本人の証人尋問が実施されました。色々質問した結果、やはりAさんが赤信号で渡ったとの認定は崩れないと思いましたが、加害者の前方不注視程度は大きく、Aさんの過失割合50%の認定も崩れないと確信しました。

○その後、判決前に保険会社側と裁判外の和解交渉をしましたが、保険会社側は5000万円までは譲歩してきましたが、それ以上は、絶対に無理となり、和解決裂となり、判決となりました。
この判決結果は、別コンテンツで紹介します。

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